2009年9月定例会
議案質疑(9月15日) 江上博之議員
姉妹友好都市提携のいっそうの充実について
江上議員
災害対策や環境問題など課題を決めた交流を
【江上議員】 8月にロサンゼルス市との姉妹提携50周年を記念する名古屋市会代表団の一員として参加させていただきました。その体験から、今後の姉妹友好都市提携について質問します。
「都市提携とは、市民から盛り上がる力によって結ばれた二つの都市の市民が、積極的に文化や経済の交流を図りながら、人種や国境を超えた友愛精神を育て、風俗習慣の相違から起こりがちな誤解や偏見を取り除いて、国際間の理解と親善を深めようとするものである」と名古屋市は位置づけているようです。ロサンゼルス市との提携は、1959年4月です。アメリカ領事館からアメリカの都市と提携する意向があるかどうか名古屋市に問いかけがあり、決まったようです。国家間とは異なる都市間の国際交流の意義は現在一層高まっています。大都市の地球環境問題、災害対策また、男女共同参画や性差別問題、人種問題など参考にすべきことがあります。今年は、伊勢湾台風から50年、また、ロサンゼルス市は地震が多く都市計画、建築において様々な施策があるようです。このような災害対策で交流があるかと思いましたら、意外にないようです。また、地球温暖化の取り組みでは、自動車中心のロサンゼルスから参考になることも多いのではないか、と考えます。ところが、人的交流はあっても、都市の課題での交流は目に見えません。昨年30周年を迎えた南京市との関係では、未来志向を進めるためにも、過去の侵略戦争の歴史を共有し、平和な市民生活をいかに守っていくかなど考えることも重要です。
そこで、市長に質問します。これからの都市間交流で、たとえば、災害対策、地球環境問題など課題を決めて行う必要を感じますが、今後の取り組みに対する考えを明らかにしてください。また、来年は、オーストラリア・シドニー市との姉妹都市提携30周年です。COP10開催が予定されるわけです。いかに多様な生物が大都市で生き残るようにできるか、や、温室効果ガス削減での取り組みについて交流を行ったらどうでしょうか。その意向についてお聞きします。
姉妹友好都市提携(市の定義)
都市提携とは、市民から盛り上がる力によって結ばれた二つの都市の市民が、積極的に文化や経済の交流を図りながら、人種や国境を超えた友愛精神を育て、風俗習慣の相違から起こりがちな誤解や偏見を取り除いて、国際間の理解と親善を深めようとするものである。
写真はロサンゼルス市庁舎
「日本民主主義発祥の地ナゴヤ」にふさわしい、市民の声にこたえた民主主義について
名古屋城本丸御殿復元の見直しを
【江上議員】 市長は、51万票の支持を得、「日本民主主義発祥の地ナゴヤ」を強調しています。市民が主人公の町を、市民参加で、市民のために作り上げていくことは私も大賛成ですし、推進していくものです。
ここで大切なのは、4月の市長選挙では、どのマスコミの世論調査でも、福祉・医療の充実、景気・雇用の回復、そして、行財政改革による行政のムダをなくしてほしい、というのが圧倒的声であったことです。今までの名古屋市政を変えてほしい、こんな要求を実現してほしいという願いの現われではないでしょうか。51万人の市民の圧倒的な声は、今までのオール与党市政を変えてほしい、ということであり、そのうえで、市長のマニフェスト、公約の実現を望む声もあるのではないでしょうか。先日9月8日の地域委員会についての意見交換会で明らかにされた市政アンケートで、市長がマニフェストに掲げた地域委員会の論議について知らないという声が7割あったということもそのことを示すのではないでしょうか。このような市民の声を踏まえた市政運営が市長に求められています。日本共産党は、市長の提案に対し、市民が主人公の市政をつくるために、良いものには協力、悪いものにはキッパリ反対、そして、問題点はただす。この姿勢で取り組んできました。
以上を踏まえて、市政運営についての姿勢について市長に質問します。
第1に、名古屋城本丸御殿復元の見直しについてです。8月10日、市長は建設続行、天守閣の建て替えも検討と明らかにしました。公約は、「一度立ち止まって考える」でした。6月に1回、150人の市民を集めた討論会で、最後に挙手で、7割が、建設続行だったからと述べているようです。1回の、抽選で当たった市民の声、大切ですが、全市民の声とは取れません。また、挙手は、5割の72人が計画通り継続、2割の32人は、修正して継続、一時中断37人と中止5人で3割というものでした。市民の意見を聞くという民主主義は大切ですが、1回だけで建設続行と判断するのは、安直過ぎませんか。決定するには、改めて本丸御殿を再建するかどうかについて住民投票を行うべきと考えます。その姿勢をお持ちなのか質問します。
地域委員会の議論の進め方・・・
今ある住民組織の何が課題と考えているのか
【江上議員】 第2に、地域委員会の議論の進め方について2点質問します。
1点目です。ロサンゼルスの例を市長は出されます。私も参加した者として、感想を含めながら、市長にお聞きします。
ロサンゼルスの地域委員会の方との意見交換の場でも述べましたが、「ナゴヤとロサンゼルス、歴史も違えば地理も違うし、市の仕事も違う、市長や議員の役割も違う、しかし、違いはあるが、市の仕事に対して住民の参加を促し、充実していきたいという気持ちでは同じだと思う、名古屋でも住民参加をどうやったらよいか考える参考にしたい」と私は、述べました。相手側からも「同感だ」といわれました。そして、地域委員会が10年前から作られたきっかけをお聞きました。大きく二つ事例がきっかけだと言われました。1992年に、黒人に対する白人警官らの逮捕が差別的であることから問題となったロドニーキング事件。これを機に、暴動が広がり、ロザンセルス市から130万人が独立した市を作ろうとしたこと。市政と市民の間に、市会議員はいるが15人であり、市民の声が市政に届いていない点が問題になったということです。もう一つが、ロサンゼルス市は、この10年間だけ見ても、白人が5割から3割に減る一方で、ヒスパニック・ラテン系が4割から過半数を超えているなど人種間の動きが大きいこと、そのことで、コミュニケーション不足もあるのでしょう、地域に様々な問題が起こっているといいます。これが地域委員会というそれまでなかった住民参加の組織を促進するきっかけになったといいます。また、現在、役員には、富裕層が多く、特に、低所得層の参加をどう実現するか、課題だと語っていました。
ロス暴動:1992年4月末から5月頭にかけて、アメリカ合衆国・ロサンゼルスで起きた大規模な暴動。新旧の人種問題、陪審制の難しさなど、暴動の背景にある多くの問題が浮き彫りになった。日本における報道でロス暴動はロドニー・キング事件に対する白人警官への無罪評決をきっかけとして突如起こったかのような印象を受けることが多いが、その潜在的要因としてロサンゼルスにおける人種間の緊張の高まりが挙げられる。アフリカ系アメリカ人の高い失業率、ロス市警による黒人への恒常的な圧力、韓国人店主による黒人少女(ラターシャ・ハーリンズ)射殺事件とその判決に対する不満などが重なり、重層的な怒りがサウスセントラル地区の黒人社会に渦巻いていた。そこにロドニー・キング事件のロス市警警官に対して無罪評決が下されたことが引き金となって、黒人社会の怒りが一気に噴出して起きた。6日間に渡った暴動による被害は死者50〜60人、負傷者約2,000人を出し、放火件数は3,600件、崩壊した建物は1,100件にも達した。被害総額は8億ドルとも10億ドルともいわれる。この事件での逮捕者は約1万人にものぼり、そのうち42%が黒人、44%がヒスパニック系、そして9%の白人と2%のその他の人種が含まれていた。これは当時のロサンゼルスの人口比率とほぼ同じで、最終的には黒人による暴動というよりは、街を挙げての略奪騒ぎになった。
名古屋ではどうでしょうか。名古屋市には、以前から町内会や自治会という住民参加の組織があります。戦前の設置を国からすすめたこともあり住民組織として異議を持つ方もありますが、住民の自治組織として存在していることは事実です。小学校区にコミュニティ組織としての学区連絡協議会もあります。そこへ、突然、市長は、市長選挙でマニフェストに載せたからと地域委員会を提案しました。外国の例も断片的に出すだけです。これでは、今一所懸命事業を担っている方から反発が出るのも当たり前です。現在の組織の活動状況、住民自治の組織としての課題は何か、新たな課題に対応できるのかなど住民参加を拡充し、住民自治を強化する立場から明らかにするなかで、地域委員会を考えることが大切な点ではないでしょうか。選挙で役員を選出する意義、予算の在り方、他都市の例でもきちんと市民に情報提供して進めることではないでしょうか。このような進め方、民主的な手続きをしっかり踏んで進めることが、制度完成後も住民の参加が得られるのではないでしょうか。
そこで質問します。今ある住民組織の何が課題と考えているのかお聞きします。
市長の進め方には問題がある
【江上議員】 2点目に、地域委員会の議論を例に民主主義の在り方について質問します。市民の声を聞くということで、1回討論会を行いましたが、これで、全市民の声を聞いた、とはもちろんなりません。その9月8日の意見交換の場で、平均1万5千円減税されるから、それを寄付してもらって地域委員会の財源にする、と発言されました。市長は、その前に開催された9月2日の財政福祉委員会で市民税10%減税の議論で、定率10%であれば減税額がゼロが40万人で1万円以下が納税者の過半数であることが明らかとなった場に参加しているにもかかわらずです。減税額の問題も無視、今まで発言したこともない財源についても突然出てきました。司会者が訂正はしたようですが、市長からは訂正の声はありませんでした。また、名古屋市が説明に使った「地域委員会(仮称)の検討状況について」という文書の中で、モデル地域の選定にあたって、「学区連絡協議会の推薦」がなければならないというのは問題だ、と市民の前で、当局案を批判されました。議論に参加していてもその議論を無視したり、提案してもいないことを議論したり、また、市の提案を自ら批判する、その一方で、とにかく早く制度を作ってほしいと発言される。これでは民主的な論議とは言えません。民主主義実現のための制度設置のためには、自分の考えと異なる意見にも耳を傾け、そうした意見でも取り入れるべきものは取り入れながら制度の内容を練り上げていくという姿勢が市長には求められているのではないでしょうか。
そこで、質問します。市長の進め方に今述べたような問題があったとお感じになりませんか。そして、問題があれば改善し、民主的に進めていくお考えかどうかお聞きします。
市民の声をどう認識しているのか(再質問)
【江上議員】 本丸御殿復元について、市民税10%減税から、市民サービスを238億円カットする、今精査中という話が出ている。市長はその動きを止めようとしていない。私たちは238億円の市民サービスカットには絶対反対です。その一方で市長は急ぐ必要のない本丸御殿に150億円を言う。6月にも市長は市民サービスを絶対カットしないといった。市長の市民サービスカットと私の市民サービスカットは言葉が違うという感じを受けます。違いがあるというのはおかしなことです。その上、天守閣の木造化、ご意見としてはいいが市長がいうことではない。500億円のことだ。一方で高齢者や子どもさん、障害者のかたなどが苦労しているのにそんなこと言っていていいのでしょうか。これは市民の期待に反すると思います。本丸御殿の復元は少なくとも住民投票をやって市民の声を問うべきだ。
地域委員会のこと、知らない人が7割だ。わからない人が7割なのではありません。聞いてもいないのです。それをきちんと踏まえて市政運営をやってもらいたい。
市長は事あるごとに51万票の意義を言うが、選挙での市民の声は市政の流れを変えてほしい、福祉・医療を充実してほしい、景気・雇用の回復、無駄をなくしてほしいというのが大きな声であったという認識は持っているか。お聞きします。
庶民の暮らしを大切にするのが庶民革命だ
【江上議員】 庶民革命というなら、武士の建物の前に庶民の暮らしはどうだったか、江戸時代を言うなら、庶民の暮らしを大切にするのが庶民革命だ。総選挙で民主党も51万票を取ったが、自公政治を政治を変えてほしいというのが世論だ。市政を変えてほしいというのが願いだ。社会保障の充実の方向に国の流れを一緒に変えていくのが名古屋市のやることです。行政の責任、住民福祉の増進、健康で文化的な生活を営めるようにする、市長はこの責任をきちんと果たしていくことです。私たちもそうした責任を果たすためにがんばることを表明して終わります。
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テーマを決める方法もいい提案(市長)
【市長】
課題を決めて交流するのも分かりやすく、友好を深めるのに非常にいいと思います。特に来年は環境問題なんかもいいし、名古屋の水も非常においしいので、姉妹都市間でも大いに飲み水ということは関心が高いと思いますので、言われるようにテーマを決める方法もいい提案ではないかと思います。