2009年9月定例会
議案外質問(9月16日) かとう典子議員

地域療育センター整形外科医の確保について


かとう典子議員

発達保証に欠かせない整形外科医がいなくなる

【かとう議員】
現在、地域療育センターは、市内に西部、南部、北部と児童福祉センターを含めて、4ヶ所あります。身近な地域にある療育センターでは、知的障害、発達障害、視覚・聴覚・肢体不自由などの身体障害など、さまざまな障害を持った子どもたちが利用しており、小児科、整形外科、耳鼻科、精神科の医師が、子どもの障害や発達への不安を抱えながら相談、初診に訪れた親御さんの不安と苦しみを受け止め、診療を行い、子どもの成長発達への見通しを指し示します。さらに施設職員がリハビリ、療育を行い、子どもの成長を支えているのです。

ところが、この夏、この療育センターが、これまでの役割が果たせなくなる一大事が起きました。熱意を持って診療を続けてくださった小児整形外科医が退職されたのです。西部地域療育センターの小児整形外科医は北部地域療育センターも担当していましたが、8月末で退職されました。また、児童福祉センターの小児整形外科医は、南部地域療育センターも掛け持ちされていますが、6月末で退職されました。現在は、それぞれ先生方の好意で、今年度中は嘱託医として登録してくださってはいますが、日常は、整形外科医がいない状態です。

名古屋市の療育センター(発達・療育の相談)

施設名 所在地・電話番号 担当区域
名古屋市児童福祉センター
(障害児総合通園センター)
(名古屋市児童相談所)
昭和区川名山町6-4
052-832-6111
千種区、中区、昭和区、
瑞穂区、守山区、
名東区、天白区
名古屋市西部地域療育センター 中川区小本一丁目20-48
052-361-9555
中村区、中川区、港区
南部地域療育センター
そよ風
南区三吉町6-17
052-612-3357
熱田区、南区、緑区
名古屋市北部地域療育センター 西区新福寺町2-6-5052-522-5277 東区、北区、西区

整形外科医は、例えば、知的障害や発達障害の子どもも、診察を行い、動き回るが足もとが不安定で転びやすい子どもが、靴の中敷をいれることによって安定した歩行ができるようになったとか、椅子の座面の工夫をしたら、落ち着いて座っていられるようになったなどの効果が現れ、大きな役割を果たしています。重症心身障害児には、呼吸が楽にできる椅子、食事をしやすい椅子、体が楽になれる椅子など、整形外科医の診断と処方で「装具」を作ります。子どもは成長が早いため、「装具」のサイズの微妙な修理も必要です。これにも、整形外科医の処方が必要です。また、療育やリハビリでも、医師が子どもの様子をみて、今必要なやるべきことを指導しています。このような全国に誇る内容の充実した施設に育ててきたのは、そこの医師や職員たちと保護者であり、関係者皆さんの努力の賜物です。

これまでは、センター内でそれぞれの医師に診断してもらえたのですが、現在は、整形外科医の診察を受けたい場合は、別の医療機関に予約を取って行かなければなりません。車椅子で連れていかなければならない子どもや、待合室で待つことができない子どもの親御さんの苦労は計り知れません。さらに、重症心身障害児の場合には、コロニーや青い鳥学園の紹介をせざるを得ません。障害児の施設で障害児を断るのはどうかと言わざるを得ません。また、リハビリを行なうには、整形外科医の診断・処方がなければできないため、理学療法士さんも途方に呉れる始末です。

この件については1年前から判っており、障害児の家族や施設関係者から、小児整形外科医の補充の要望が強く出されていたのです。私は、全国に誇る本市の地域療育センターの機能を十分果たせるよう、各地域療育センターに常勤の小児整形外科医師を確保すべきだと考えます。

そこで子ども青少年局長にお尋ねします。少なくとも、今年度中には、必ず正規の小児整形外科医を確保するよう、あらゆる手段を講じるべきと考えますが、お答えください。

大学や医師会に出向き、派遣を依頼している

【子ども青少年局長】
地域療育センターには、常勤の小児科医・整形外科医、非常勤の精神科医・耳鼻咽喉科医を配置していますが、平成21年8月末で常勤の整形外科医が退職し、現在欠員となっています。全国的な医師不足の中でも、整形外科医の不足は顕著であり、特に小児整形外科は専門とする医師が少ないことから、その確保については大変困難な状況にあります。

当面の対応策として、非常勤の整形外科医を配置したほか、小児科医師が応援に入り、利用者への影響が少しでも減少するよう努めています。これまでも、大学の医学部や医師会に出向き、整形外科医の派遣を依頼しておりますが、1日でも早く常勤の整形外科医の欠員状態を解消するため、引き続き全力で取組んでまいります。

市長自ら整形外科医の確保に走れ(再質問)

【かとう議員】
療育センターの小児整形外科医についてですが、非常勤医師の処遇について改善してくださるとのこと、そして、整形外科医師を一生懸命探しているとのお答えでした。整形外科医がすぐそばにいるかどうかは、子どもの成長のみならず、命にもかかわる問題です。早く地域療育センターの機能が発揮されるようにすべきです。

それでは市長に質問したいと思います。先程からの私の質問内容には、市長は記者会見で、この問題について「それは何とかせないかん」と言われたそうですから、すでにご存知だと思います。また、療育センターの保護者の皆さんから市長に手紙を出されたということですが、ご覧になられたでしょうか。名市大病院や名大病院、他の民間病院などにも河村市長の行動力で、呼んできていただきたいと思います。市長は、セールスとよく言われますが、今は、セールスよりスカウトです。市長の答弁を求めます。

いっぺん行きたい(市長)

【市長】
整形外科医の確保について、これは大変な努力がいるようで、名市大も本当に協力していただいてありがたいということですが、ま、さらに名古屋の大学ですのでどこまでお願いできるかどうかわかりませんが、何とか一肌脱いでもらえんかということは、今までのことは感謝しつつも、さらに一遍、わしも行きたいと思っております。

保護者も職員も医師確保を切に願っている(要望)

【かとう議員】
市長、療育センターの保護者の皆さんも職員も、市長の力を頼りにしています。ぜひ、見つけてきてくださるようお願いします。

非常勤嘱託医師の処遇改善を

【かとう議員】
さて、医師不足は、大本には、国の社会保障費削減の影響であることは明らかです。これは今後の新政権のもとで、方針の転換が図られるよう、市としてもしっかり要望していくことが必要です。

その一方で、前の述べたような役割から言えば、地域療育センターの医師を格段の待遇に改善しなければ、なかなか見つかるものではありません。本来、常勤の医師が必要ですが、常勤医師の確保が難しい間、非常勤の医師でも確保してほしいと言う願いは切実です。しかし、児童福祉施設嘱託医師の報酬日額は、病院局医師と比べると3分の2程度で、仕事に対して正当な評価がされていません。

そこで子ども青少年局長にお聞きします。小児整形外科医の確保のためには、処遇改善することが必要だと考えます。地域療育センターの非常勤の医師の、仕事の重さと役割を認識し、給与は別立てで定め、改善を図るべきと考えますが、お答えください。

市民病院診療科などを参考に検討する

【子ども青少年局長】
児童福祉施設の非常勤医師の報酬額は、条例で日額21,400円と定められており、地域療育センターの非常勤医師もその規程で同額です。あけぼの学園などの児童福祉施設の非常勤医師の業務内容は、入所児童を対象とした健康診断や医学的指導を行うのに対して、地域療育センターの非常勤医師は、通園児以外にも外来診療を行っており、業務内容は病院診療科の非常勤医師に近いものとなっている。現在、他の児童福祉施設の非常勤医師と同額となっている地域療育センターの非常勤医師の報酬額は、外来者への診療行為を行うことも考慮し、市民病院診療科における非常勤医師の報酬額などを参考に検討していきたい。

難聴児の補聴器費用の補助について

障害者手帳がなくても補助せよ

【かとう議員】
次に難聴の子どもの補聴器費用の補助について質問いたします。

私のところに、3人のお子さんを持つお母さんからご相談がありました。3人とも難聴の障害をもっていて、それぞれ補聴器が必要です。

難聴、聴覚障害で、障害者手帳が発行されるのは、「両耳の聴力レベルが70デシベル以上」としており、これは「40cm以上の距離で発生された会話語を理解し得ない」ということです。健常者の場合、30デシベル以下で聞こえ、40デシベル以上になると、生活によっては補聴器が必要になります。その中で、老人性難聴の場合には、日常生活の場面での言葉の聞き取りは、一つ一つの言葉や音が聞き取れなくても、文脈や前後の話の関係や、また相手の表情や行動からも、その意味を判断できます。しかし、子どもの難聴の場合、生活経験がない上に、言語をこれから獲得していかなければならない大切な時期であり、手帳の出ない40デシベル以上から70デシベル以下の子どもにとって、言語発達に支障が生じるため、どうしても補聴器が必要なのです。手帳を持っていれば、自立支援法が導入されたとはいえ、1割負担ですが、補聴器は「装具」として補助を受けることができます。しかし、このグレーゾーンの場合、補聴器の費用は自己負担です。

補聴器は、片耳で10万円程度かかるそうです。また、補聴器は、繊細なものなので濡れたら壊れるため、子どもに水遊びも自由にさせることができないという悩みもあります。さらにイヤーモールドという耳に付ける器具が必要です。これは、両耳で13,000円程度かかりますが、子どもは成長しますから、年に3〜4回買い替えなければなりませんし、時には落として折れたりもするため、親はヒヤヒヤしていると言われます。3人分の補聴器とイヤーモールドを買うためには、経済的にたいへん厳しいけれども、子どもたちを言語訓練や聴覚検査に通わせるためには、母親が働くこともできないのです。難聴の子どもを持った家族が、精神的にも、体力的にも、大変なうえに、経済的にも、さらに苦しまなくてはいけないのです。

そこで子ども青少年局長にお聞きします。言語獲得に必要な成長期の子どもの補聴器について、障害者手帳がなくても費用を補助するよう求めるものです。答弁を求めます。

現行のまま自立支援法による補装具費の支給制度で

【子ども青少年局長】
補聴器や眼鏡・車椅子など補装具は、障害者自立支援法に基づき、身体障害者手帳所持者に原則1割の自己負担で補聴器の購入ができます。

難聴児の言語獲得のためには、早期発見と訓練が非常に重要だと認識しており、本市の難聴幼児通園施設である「すぎのこ学園」では、障害者手帳所持に至らない難聴児に対しても訓練を行い、訓練に必要な補聴器は貸出しを行っており、いくつかの補聴器を試した上で、児童に合った補聴器を自ら購入していただいています。

補聴器や眼鏡・車椅子など補装具の購入助成には一定の基準が必要であり、障害者自立支援法に基づく身体障害者手帳所持者を対象とした制度で対応する。

障害があっても子どもたちが成長出来る支援を(要望)

【かとう議員】
補聴器についてですが、手帳を持った18歳未満の聴覚障害者は昨年度末で、市内で230人余り、平成20年度に補聴器を購入した数は45人だということです。手帳のないグレーゾーンの難聴の子どもの人数も、さほど多くないのではないでしょうか。三重県では、聴覚障害児早期発見療育推進事業で、補聴器購入は初回に限り補助するということです。就学前の、言語獲得の必要な成長発達の著しい時期にこそ、発達を促すことが強く求められます。どの子も精いっぱい成長したいと望んでいますから、難聴に限らず、さまざまな障害で手帳がないグレーゾーンの子どもたちも成長出来るよう支援すべきだと考えますが、難聴児の補聴器費用の補助は市の予算で考えればほんのわずかな予算でできます。子育て支援のまず第1歩として、難聴児の補聴器の費用の補助を進めてくださるよう要望します。

「木曽川水系連絡導水路事業」の撤退・中止について

市として決断を

【かとう議員】
最後に「徳山ダム導水路事業」の撤退・中止について質問します。

6月にも、我が党のさとう議員が、徳山ダムの導水路事業について質問しました。これからは環境配慮型社会への動きや人口減少で水需要は増えないこと。水利権に比べ水源利用率はわずかで、水余りは明白だということ。渇水時にも給水制限をすれば大丈夫、徳山ダムの水利権を放棄し、導水路事業は撤退をするよう求めました。その時点では、市長が、撤退の意思表示をしたということでした。

8月30日に行われた衆議院選挙の結果、自民公明政権が退場し、今日にも新政権が誕生するということです。「民主党のマニフェストには、「ムダな公共事業の見直し」「不要不急の事業、効果の乏しい事業は、政治の責任で凍結・廃止する。」と書かれています。まさに国が、無駄な事業を止める姿勢を示すことになります。また、我が党は、徳山ダムの建設事業、さらに導水路事業にも反対してきましたので、政府に対し、いいことはいいと、大型公共事業の無駄遣いをやめるよう大いに協力していく所存です。

新聞によりますと、河村市長は、選挙翌日「空前のチャンス」と発言されています。「民主党の金看板である大型公共事業の見直しに大いに期待しとります。木曽川導水路はどうなるのか、精査して時代の転換を示してほしい」と、さらに「新しい国土交通相が決まれば、すぐにでも事業中止を掛け合いに行く」と発言されておられます。

そこで、河村市長にお尋ねします。これまで市長は個人として、撤退を表明してきたところですが、本市が導水路事業から撤退するには、撤退する旨の文書を水資源機構に提出するだけいいのです。この際、今、市として、しっかり決断すべきです。答弁を求めます。

よう話し合ってええ結論を導き出したい

【市長】
木曽川水系連絡導水路事業はなくてもいい事業なのではないかということを言ってきた。渇水についてはなるべく早い時点で木曽川の水にかかわるみんなが集まって天の恵みである水をじょうずに使っていくべきではないかと言ってきた。

ほんでね、今日さっき、前原氏に電話した。古い友達ですので。いろいろ話をしており、よう話し合ってやりましょうということだった。この24日には東京へ行きまして、国交省だけではないが、よう話し合って、市民の皆さんのみとって、ええ結論を導き出したいと思います。

導水路問題ではここではっきりやめると言え(再質)

【かとう議員】
話し合っていきましょうと言われたとのことですが、名古屋市で市長が決断すればいいことです。24日には出かけて行く、それまでには必ず決断をしなければなりません。ぜひこの場で市の態度として決断してください。答弁を求めます。

まあちょっと待っとってちょ(市長)

【市長】
まあちょっと待っとってちょ。そういうことでお願いします。

はっきりさせてから東京へ行きなさい(意見)

【かとう議員】
待てというがこのことは無駄遣いだということは分かっているではないですか。国へ行く前に撤退・中止の態度をしっかり決めていってください。

 

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