後期高齢者医療広域連合議会 8月定例会 (8月7日)
田口 かずと議員

愛知県後期高齢者医療広域連合議会が8月7日(金)に行われました。日本共産党のただ一人の議員として、田口かずと議員(名古屋市選出)が広域連合議員に選出されています。一般質問や請願審査の概要を紹介します。

《一般質問》
資格証明書の発行をやめよ/一部負担金減免を/健診事業へ県補助を/運営協議会の設置を

保険料滞納者への資格証明書・短期保険証の交付について

滞納者や資格証明書・短期保険証の実態を

【田口議員】
保険料滞納者への資格証明書および短期保険証の交付について質問します。

資格証明書の交付は、国民健康保険でも重大な問題となっていますが、高齢者の場合は、保険証が取り上げられて必要な医療を受けることができなくなれば、まさに命に直結します。ですから、私は、資格証明書の交付は行うべきではないと考えます。

まず、事務局長に伺いますが、昨年4月の制度発足から1年数か月が経過し、資格証明書の交付要件の一つである保険料の滞納期間が1年以上となる人が生まれていると思いますが、1年以上の滞納者は何人いますか。また、こうした滞納者にたいして資格証明書、あるいは短期保険証を交付した件数は何件ですか。

保険料を支払ってないのは1,210人。資格証明書及び短期保険証の交付はない

【事務局長】
保険料の支払いが始まったのは平成20年7月からで、平成21年3月末まで、一度も保険料を支払ってない方は、1,210人です。

本年7月末時点では、資格証明書及び短期保険証の交付実績はありません。

資格証明書交付候補者の通知は何件か

【田口議員】
広域連合が本年6月1日付けで各市町村に通知した短期保険証と資格証明書の「交付等に関する要綱の取扱いついて」では、市区町村は「資格証明書を交付すべきものとして判断した者」、すなわち資格証明書交付候補者を広域連合に通知することになっています。それでは、現在までに市区町村から資格証明書交付候補者の通知は何件あったのか、お答えください。

市区町村からの通知はない

【事務局長】
資格証明書交付候補者は、滞納の初期の段階からのきめ細かな収納対策の実施、納付計画の作成や短期保険証の活用等を行ったうえ、要綱の条件に該当する方をリストアップするものですが、現時点では市区町村から資格証明書交付候補者の通知はありません。

所得の少ない人には、原則として資格証明書を交付しないように

【田口議員】
私は、本年2月の第1回定例会の質疑の中で、原則として資格証明書は交付しないよう求めたところ、連合長は、「真に保険料を払えない方にまで一律に機械的に交付するものではない」と答弁されました。その後、5月に厚生労働省から資格証明書の運用に係る留意点が通知され、これを踏まえて広域連合は、資格証明書の交付等に関する要綱を定めています。

この要綱では、所得の少ない被保険者への対応として、保険料の均等割額が軽減されている人や、高額療養費の低所得者[1]または[2]の区分に該当する人など所得の少ない人については、「資格証明書を交付しないことができる」とあります。このことは、所得の少ない被保険者にたいしては、原則として資格証明書を交付しないようにするという理解でよいのか、確認させていただきます。

短期保険証を有効活用し、収入所得等に応じて個々に交付の判断をする

【事務局長】
所得の少ない被保険者に対する資格証明書の交付ですが、要綱第10条における規定では、資格証明書を交付するで医療費の全部を一時的に負担することが困難な場合には、病気・負傷、生活状況の急激な変化等の特別の事情の有無の判断を適切に行うとともに、短期保険証を有効活用し、適切な収納対策を講じることにより、資格証明書を交付しないことしており、本人の収入所得、資産状況、負担能力や保険料額等に応じ個々に交付の判断をすることとしている。

きめ細かな納付相談をしているのか

【田口議員】
滞納者へ資格証明書の交付を避けるためには、何よりもきめ細かな納付相談を行うことが大切であります。厚生労働省の通知でも、文書による催告のみではなく、電話や臨戸訪問などによる納付相談を実施すること、連絡が取れない場合は、民生委員や福祉・介護関係者などと連携して、被保険者の地域での生活状況を把握すること、被保険者の状況に応じて、保険料の分割納付、減免・徴収猶予制度について十分に説明することなどの取り組みが例示されています。

それでは納付相談の実際はどのようになっているのか。名古屋市に状況をお聞きしたところ、昨年度までは催告書の送付のみ。今年度は今月から、民間事業者に委託して、新規の未納者にたいする電話による納付催告を実施すると聞いておりますけれど、納付相談については、被保険者から相談があった場合には区役所窓口で実施するとのことでした。これで、厚生労働省の通知で示しているようなきめ細かな納付相談ができるのか、ちょっと心配になりました。

そこでお尋ねしますが、滞納者にたいするきめ細かな納付相談については、市町村と連携してどのように実施されているのか、お答えください。

実情に応じた納付相談を行っている

【事務局長】
滞納者に対する納付相談は市町村で実施されている。滞納の初期段階には文書のみでなく電話や臨戸訪問等による催告・納付相談を行うとともに、被保険者の収入の状況や、生活状況等を十分に考慮しながら、保険料の分割納付、減免等の制度の説明などの対応がされている。

また、保険料を直ちに支払うことが困難である方は、被保険者との面談を行う中で納付計画を作成するなど、実情に応じた納付相談を行っている。

資格証明書交付の前に国への報告を求める厚労省通知をどう受けとめるか(再質問)

【田口議員】
再質問します。資格証明書の交付実績は、現在までのところ1件もないとのことでした。私は、今後も交付実績がゼロという状況が続くことを望むものです。高齢者からの保険証の取り上げは、命の危機に直結する問題であり、やるべきではないからです。

厚生労働省も、この問題では慎重な姿勢を示していまして、今年1月の事務連絡の中で、資格証明書の交付を検討する事案が発生した場合には、あらかじめ、その事案の状況を国に報告することを広域連合に求めています。わが党の小池晃参議院議員が、参議院の厚生労働委員会でこのことを取り上げて、「これは、後期高齢者に対しては、保険証の取り上げをやらないようにしてくれとの地方自治体へのメッセージと受け取ってよいか」と質したところ、厚生労働大臣は、「そういうふうに受け取っていただくと大変ありがたい。要するに、しゃくし定規に、もう時間が来たから資格証明書を出してこれで終わりと、そういう冷たい扱いをしてはいけない」と答弁しています。

それでは、連合長にお尋ねしますが、連合長は、資格証明書の交付を検討する事案が発生した場合には、あらかじめ、その事案の状況を国に報告してほしいという厚生労働省の通知をどのように受けとめていますか。資格証明書の交付はやらないようにしてくれとのメッセージだと受けとめていますか。お答えください。

交付に問題ないのかの確認や交付予定状況の把握のため。高齢者の医療の機会が損なわれることのないよう適切な運用をしたい

【連合長】
国への報告は、資格証明書の交付予定月の前月に行うものとなっており、国として資格証明書の交付自体に問題はないかの確認や、交付予定状況の把握のために求めているのではないかと思われる。

資格証明書は、保険料の支払いができるにもかかわらず、特段の事由もなく納付しない真に悪質な被保険者に対して交付するものであり、本広域連合では、保険料の徴収を担当する市町村とも連携を密にし、きめ細やかな納付相談をいただくなかで、高齢者の医療の機会が損なわれることのないよう、対象世帯の生活状況や相談経過等を正確に把握しながら、適切な運用をしたい。

世界にも例がない差別医療制度は廃止するしかない(意見)

【田口議員】
連合長は、資格証明書の交付はしないとは明言されませんでしたが、「高齢者の医療の機会が損なわれることのないよう」にするとおっしゃいましたので、それならば資格証明書の交付は避けるべきであります。

最後に、一言申し上げたいと思います。今回の一般質問では、後期高齢者医療制度が存続しているもとで、その運用を少しでも改善するために、いつくかの点について質してまいりましたが、私は、そもそもこの制度は廃止すべきであると考えています。この立場から、先ほどの特別会計決算の認定にも反対させていただきました。

まもなく総選挙が行われます。総選挙の後もこの制度が存続しつづける保証は少なくなってきていると思うんです。私は日本共産党に所属していますが、わが党は、総選挙で民主党中心の政権が成立した場合には、後期高齢者医療制度の廃止では、大いに協力していく立場を表明しています。

75歳以上を後期高齢者と呼び、別枠の医療保険制度に囲い込むという、世界にも例がない差別医療制度は廃止するしかない。このことを申し上げておきます。

医療費の一部負担金の減免について

一部負担金の減免の拡大を収入激減などにも対応を

【田口議員】
2点目は、医療費の窓口負担、すなわち一部負担金の減免についてです。

生活が苦しくなり、医療費の支払いが困難になった場合には、一部負担金の減額、免除または徴収猶予を受けられることが、高齢者の医療の確保に関する法律の第69条に定められています。これに該当する場合について、厚生労働省の通知では、災害により住宅や家財などの財産に著しい損害を受けた場合の他、農作物の不作、事業の休廃止や失業などにより著しく収入が減少した場合、世帯主が死亡したり、重大な障害を受けたり、長期間入院したりした場合などとされています。ところが、本広域連合では、一部負担金の減免規定は、災害により住宅に著しい損害を受けた場合における免除だけに限られています。

そこで、事務局長にお尋ねしますが、一部負担金の減免規定について、災害により住宅に著しい損害を受けた場合における免除だけに限っている理由は何ですか。本広域連合でも、減額や徴収猶予の規定も設けるとともに、様々な事情で収入が激減した場合も減免の理由とすべきではありませんか。答弁を求めます。

36広域連合が対応しており、検討する

【事務局長】
「高齢者の医療の確保に関する法律」第69条では、一部負担金の減額・免除などの措置は「災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情がある場合」に採ることができると規定されている。また、厚生労働省令およびその通知においては、田口議員ご指摘のとおり「特別の事情」を定めている。

一方、当広域連合の「後期高齢者医療に関する規則」第25条では「一部負担金の支払いを免除する特別の事由として、被保険者が震災、風水害、火災その他これらに類する災害により現に居住する住宅に重大な損害を受けたことにより、一部負担金を支払うことが肉感と認められる場合」と規定している。これは、平成20年4月の制度発足に先立って、県内の市町村からの意見、および、老人保健法に基づく一部負担金の減免に関する調査を行ったところ、一部負担金の減額等の規定が設けられている市町村では、災害による場合の免除規定が主であったことから、この規定を設けた。

しかし全国の広域連合での対応を調査したところ、36広域連合において国の通知にある4つの項目を適用としている状況でした。

こうしたことから、当広域連合では、諸所の事情による収入激減者に対しても、一部負担金の減額、免除、徴収猶予の措置について、市町村との協議も踏まえ、検討したい。

収入激減者にたいしても一部負担金の減免を(意見)

【田口議員】
諸々の事情による収入激減者にたいしても、一部負担金の減額、免除、徴収猶予の措置について検討していくとの答弁でした。すみやかに検討し、少なくとも法律にもとづいて国が通知で示している減免規定については、全面的に採用するよう改めていただくことを要望します。

なお、この一部負担金の減免制度というのは、特別な事情があって医療費の支払いが困難になった場合に限られており、国民健康保険でも適用件数は大変少ない。名古屋市でも昨年度は19件だったと聞いています。私は、後期高齢者、すなわち75歳以上の高齢者については、一部負担金それ自体をなくす、つまり、医療費の窓口負担を無料にすることを国の制度としてやるべきだと思います。

愛知県に対する健診事業への財政支援要望について

県にたいする健診事業への財政支援要望についての考えは

【田口議員】
3点目は、愛知県に対する健診事業への財政支援要望についてです。

厚生労働省が本年2月の全国担当課長・事務局長会議で説明した資料によりますと、11都道府県が健診事業にたいして補助を実施しています。ところが、愛知県は補助を実施していません。私は、この問題についても本年2月の第1回定例会で質問し、愛知県に費用負担を要望したのかお尋ねしたところ、連合長は「今後の制度の実施状況を勘案しながら、必要に応じ対応していく」と答弁されていました。

先ほどの加藤議員への答弁で、事務局長は、7月31日に愛知県知事にたいして要望書を提出したことを明らかにされましたが、やっと動かれたかという思いです。来年度は保険料改定の年ですが、健診事業への補助が実施されれば、わずかではありますが、保険料を軽減することができます。何としても愛知県には健診への補助を実施してもらいたいと思います。

愛知県にたいする健診事業への財政支援要望について、連合長はどのようにお考えか、答弁を求めます。

11都道府県で広域連合への財政支援が行われ、国も財政支援の検討を要請している

【連合長】
健康診査事業はその財源を国からの補助金と被保険者からの保険料に求めているのが現状です。

そうした中、全国の都道府県では、平成20年度に11の都道府県で広域連合への財政支援が行われており、また、国においても都道府県に対して、保険料の負担軽減を図るべく広域連合の健康診査事業への財政支援を検討するよう要請がされている。

こうした環境下において、私どもも県からの健康診査事業に対する財政支援をお願いするため、高齢者の方々の健康保持を推進する健康診査事業に対する公費助成について、格別の御配慮を腸りたい旨の要望書を、去る7月31日愛知県知事に対して提出した。

来年度予算で愛知県から補助が受けられるよう強く要望を(意見)

【田口議員】
来年度の予算では愛知県からの補助が受けられるよう、引き続き県にたいして強く要望していただきたいと思います。

運営協議会の設置について

懇談会の開催で代替しているが、実績や計画はどうか

【田口議員】
4点目は、後期高齢者の代表を含む運営協議会などの組織の設置について、加藤議員の質問と重複するところがありますが、お尋ねします。

各広域連合のホームページで調べたところ、少なくとも20道県で被保険者の代表なども委員となった運営協議会などの組織が設置されています。しかし、本広域連合はこれまで、高齢者などの意見を伺うための懇談会を開催するとして、常設の運営協議会の設置に背を向けてきました。

それでは、この懇談会の開催状況はどうなっているのか、また、今後の開催予定についてもお尋ねします。

常設の運営協議会が設置されているお隣の三重県では、昨年度は運営協議会が3回開催されていまして、制度開始からの状況などについて協議されています。ホームページには議事録の概要も載っています。後期高齢者などの意見を広域連合の運営に反映させるための努力が行われているのです。

本広域連合でも、その運営に後期高齢者など住民の意思を反映させるために、後期高齢者の代表を含む運営協議会などの組織を設置すべきではありませんか。事務局長に答弁を求めます。

平成19年10月に実施、本年は9月頃に開催したい

【事務局長】
本広域連合では、後期高齢者の代表の方などのご意見等を直接伺う場として平成19年に「愛知県後期高齢者医療制度に関する懇談会」設けたところであり、今後もこの懇談会を様々なご意見を伺う場として活用したい。

なお、開催実績は、平成19年10月に高齢者10名と医療関係者、保険者団体、学識経験者等の代表7名の合計17名の方の参加で開催している。

本年度は、本年9月頃に開催したい。

運営協議会など常設の組織を設置する必要がある(意見)

【田口議員】
ただいまの答弁でも、後期高齢者などの意見を聞く懇談会は、平成19年度に1回開催されたきりで、制度が発足して以降は一度も開催されていません。制度が始まって、さまざまな混乱が生じたというのに、一度も開かなかったということは理解できません。これは、懇談会が常設の組織ではないために、開いても、開かなくてもよいとなっているからではないでしょうか。後期高齢者などの意見を広域連合の運営に反映させるためには、やはり運営協議会など常設の組織を設置する必要があるということを申し上げておきます。

愛知県後期高齢者医療広域連合議会定例会の議案概要と結果(2009年8月7日)

  議案名 態度 結果 内容
共産党 他議員
議案
第10号
愛知県後期高齢者医療広域連合議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部を改正する条例の制定について 可決 船員保険法、地方公務員災害補償法の改正により、非常勤職員の船員保険の被保険者に公務災害の保証をすることに伴う規定の整備。
議案
第11号
平成21年度愛知県後期高齢者医療広域連合一般会計補正予算(第2号) 可決 991万2千円。市町村合併による電算システムの修正に646万円、高額療養費の75歳の到達月における自己負担限度額特例を20年4月から12月にもさかのぼって適用して差額を支給するための事務費191万1千円、国庫補助金清算154万1千円。
議案
第12号
平成21年度愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計補正予算(第2号) 可決 41億9911万6千円。療養給付費負担金、高額療養費負担金の清算で6億8354万5千円を市町、県、国から。保険料還付4852万4千円、償環金41億4089万2千円を返還、高額療養費特別支給金970万円の支給。
認定
第1号
平成20年度愛知県後期高齢者医療広域連合一般会計歳入歳出決算の認定について 可決 歳入55億5,380万9,541円、歳出53億6,531万7,944円。議会費187万円、総務費8億1,876万円、民生費(臨時特例基金28億円余、激変緩和措置10億円余など)45億4,471万円。
認定
第2号
平成20年度愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算の認定について 可決 歳入4,548億4,382万5,278円、歳出4,468億3,418万6,307円。65〜74歳41,507人、75歳以上59万7,092人、計63万8,599人。保険料463億円、一人あたり76,388円。収納率99.11%(普通徴収97.88%)。医療費4,880億円(自己負担4,528億円)、一人当たり78万2,402円。保険料減免1,100件(うち945件が8月集中豪雨)
請願
第2号
後期高齢者医療制度の改善を求める請願書 不採択 1 低所得者への保険料独自減免を 2 同 一部負担金の減免を 3 資格証明書の発行はしない の3点を求める。
請願
第3号
愛知県に健康診査事業への補助を要請することを求める請願書 不採択 1 健康診査事業への補助を は趣旨実現のため議決不要 2 県に健診への助成を求める意見書を は不採択。
請願
第4号
後期高齢者医療制度運営協議会(仮称)の設置を求める請願書 不採択 運営協議会の設置を求める。
(三好の加藤議員も賛成)

態度:○=賛成 ●=反対
日本共産党以外の31人の全議員は請願4号を除き、同じ態度でした。

《請願審査》
制度の廃止が当然だが、それまではできる限りの改善をすべきだ。請願の採択を求める

全員協議会での趣旨説明

【田口議員】
請願第2号、同第3号、同第4号について、趣旨を簡単にご説明申し上げます。

後期高齢者医療制度が実施されて1年数カ月が経過しましたが、高齢者を別枠の医療保険に囲い込むという差別医療制度にたいして、高齢者をはじめとする国民の不満や怒りはおさまっていません。この制度が抱えている問題は、政府・与党によるたび重なる見直しを経ても根本的には解決せず、制度そのものを廃止することが必要だと考えます。

しかし、制度が開始され、運用されている状況に鑑み、この3件の請願は、ただちに改善すべき次の課題の実現を求めるものであります。

請願第2号は、愛知県独自の保険料軽減制度の創設、低所得者向けの一部負担金減免規定の創設、資格証明書の発行を行わないことを求めています。

同第3号は、愛知県にたいして健診事業への補助を行うよう要請するとともに、議会として同趣旨の意見書を提出するよう求めています。

同第4号は、後期高齢者医療制度運営協議会(仮称)の設置を求めています。

以上の請願の趣旨をおくみとりいただき、皆様のご賛同をお願いて、趣旨説明を終わります。

各請願に対する賛成討論

請願第2号「後期高齢者医療制度の改善を求める請願書」

【田口議員】
「後期高齢者医療制度の改善を求める請願」について、賛成の立場から討論を行ないます。

まず、第1項の愛知県独自の保険料軽減制度の創設についてですが、全国の広域連合の中には、独自の保険料軽減制度を設けているところがあります。たとえば、東京都広域連合では、葬祭事業、審査支払手数料、財政安定化基金拠出金、収納率による保険料上乗せ分の4つの事業について、保険料算定からはずして区市町村負担とすることによって、保険料を軽減しています。来年度は保険料改定の年であり、保険料の値上げを抑えるためには広域連合独自の保険料軽減制度の創設が求められています。

次に、第2項の一部負担金減免制度における低所得者向けの減免規定の創設についてです。国民健康保険では、低所得を減免の理由として認めている自治体が少なくありません。たとえば、名古屋市や春日井市などでは、減免対象となる特別な事情として、災害による場合、事業・業務の休廃止や失業等による収入激減の場合の他、これらに類する事由として、世帯員の傷病等による収入減少などの場合も認めています。後期高齢者医療制度においても、やむをえない事情で収入が減少し、低所得世帯となった場合にも、一部負担金の減免を適用すべきであります。

次に、第3項の資格証明書の発行についてですが、医療なしでは生きていけない高齢者から保険証を取り上げることは、行政が命綱を断ち切り、社会的弱者を見捨てることになります。もともと後期高齢者医療制度の導入までは、高齢者の場合は、資格証明書の発行の対象となっていなかったのですから、資格証明書の発行は行うべきではありません。

以上の理由から、本請願の採択を求めて、賛成討論を終わります。

保険料の軽減状況(2008年度)

区分 対象者数(人) 軽減額(円)
均等割軽減 8.5割軽減 174,397 5,562,514,381
5割軽減 12,481 233,952,119
2割軽減 39,371 293,522,259
被扶養者軽減 81,752 3,014,359,070
所得割軽減 58,116 563,978,365

請願第3号「愛知県に健康診査事業への補助を要請することを求める請願書」

【田口議員】
「愛知県に健康診査事業への補助を要請することを求める請願」について、賛成の立場から討論を行ないます。

先ほどの一般質問の中で当局は、健診事業にたいする公費助成について愛知県知事に要望書を提出したと答弁されました。したがって、請願の第1項目についは、すでに実施されたことになります。保険料負担を少しでも軽減するために、健診事業にたいする財政支援は、愛知県にどうしてもやってもらわなければなりません。そのために、本議会としても「健診事業への財政支援を求める意見書」を愛知県に提出する必要があると考えます。

以上の理由から、本請願の採択を求めて、賛成討論を終わります。

請願第4号「後期高齢者医療制度運営協議会(仮称)の設置を求める請願書」

【田口議員】
「後期高齢者医療制度運営協議会(仮称)の設置を求める請願」について、賛成の立場から討論を行ないます。

被保険者の代表を含む運営協議会は、国民健康保険制度では必ず設置されており、後期高齢者医療制度でも、少なくとも20道県の広域連合において後期高齢者や診療担当者の代表が委員となった組織が設置されています。本広域連合では、懇談会を開くことでよしとしていますが、この懇談会は常設の組織ではないため、制度発足後は一度も開催されていないなど、住民や高齢者の意見を制度運営に反映させる制度的な保証が担保されていません。したがって、本広域連合でも運営協議会を設置すべきであります。

以上の理由から、本請願の採択を求めて、賛成討論を終わります。

【2008年度決算の概要】
平成20年度一般会計及び後期高齢者医療特別会計決算収支状況 (単位:円)

区分 一般会計 特別会計 合計
歳入
(1)
5,553,809,541 454,843,825,278 460,397,634,819
歳出
(2)
5,365,317,944 446,834,186,307 452,199,504,251
歳入歳出差引
(3)=(1)-(2)
188,491,597 8,009,638,971 8,198,130,568
翌年度に繰り 越すべき財源
(4)
0 0 0
実質収支
(5)=(3)−(4)
188,491,597 8,009,638,971 8,198,130,568
平成19年度実質収支額
(6)
165,936,599 165,936,599
単年度収支
(5)-(6)
22,554,998 8,009,638,971 8,032,193,969

 

▲このページの先頭へ戻る