河村市長は、民主主義発祥の地ナゴヤとのスローガンを掲げ、市長選の際のマニフェストでは「日本一住民自治が行き渡った街ナゴヤを実現する」との目標のもと、地域委員会(仮称)を創設するとしている。
河村市長が設立を考えている地域委員会とは、そのマニフェストによれば、中学校区や小学校区を単位として、公選に準ずる手続きによって選定された委員により、一定の予算の範囲内で、福祉や防犯、街づくりなど生活に密着した事業を決め、その決定に従って、行政が施策を実施するというものであり、地域委員会の実現に向けては、まずはモデル地域を選定し、対象地域を徐々に増やしていくとされている。
従来から名古屋市では、地域の住民と市区行政とをつなぐパイプ役として、5,000名以上の方が区政協力委員となり、市政情報の提供や地域住民の意見の集約、また地域における社会教育活動や町美、交通安全、青少年育成等の市民運動の推進のため、長年にわたりボランティアで活動してきた。また、民生委員、保健委員といった方々、町内会・自治会といった住民組織、さらには消防団、PTA、子ども会、老人クラブ、女性会、地域のNPOボランティア団体といった様々な市民活動団体の活動により、これまでも地域行政の仕組みは十分機能してきたものである。
河村市長の提案による地域委員会については、現在、市内部の検討プロジェクトチームにおいて、どのような仕組みとするか等制度設計の検討を進めているとのことであるが、地域委員会の権限、委員の選出方法といった具体的な内容については我々が十分納得出来る内容ではなく、また、従来から地域の行政の担い手として尽力してきた区政協力委員等の意見を十分聞くこともされていない。にもかかわらず、新聞報道によれば、河村市長は早急にもモデル地域を選定したいということである。
現行の仕組みとの役割分担もはっきりしない地域委員会制度の創設をこのまま進めていった場合、地域の現場は混乱し、現行制度すら充分機能しなくなる恐れもあるため、次の事項をお願いする。
- 地域委員会制度の創設については、地域委員会の権限、委員の選任方法等の制度設計をしっかり行った上で、区政協力委員を始めとした地域団体等へ十分な説明を行い、名古屋市区政協力委員議長協議会及びその他の各種地域団体等の理解が得られるまでは、モデル地域の公募を始めないこと。
|