2009年12月臨時会 議案質疑(12月18日)
くれまつ順子議員

訴えの提起について


くれまつ議員

談合が疑われるような契約をなぜやったのか

【くれまつ議員】
今回の案件は、猪子石工場と五条川工場の契約をめぐる談合事件に関わって名古屋市が請求している損害賠償の額について、一審の判決が不服として控訴するものです。

問題となっている談合事件とは、平成6年から平成10年までの4年半にわたって、タクマ、三菱重工業、川崎重工業、日本鋼管、日立造船の5社が、全国各地で行われていたごみ焼却炉のストーカ炉の入札の大部分で談合を繰り返していたとして、平成11年8月に公正取引委員会が排除勧告をしたものです。この期間の全国のストーカ炉の発注87件のうち、5社が66件を受注し、その受注総額は全体の87%の約9600億円に上っていました。名古屋市が主張するように、談合によって10%の利ザヤを得ていたとすると約1000億円もの暴利をむさぼっていたことになり、許されざる事件です。

そのうち名古屋市にかかわる猪子石工場は平成9年5月に入札が行われ、落札率100%でタクマが落札、五条川工場は、平成10年7月に入札が行われ、落札率100%で三菱重工業が落札しました。二つの契約金額は、合計で約400億円です。

しかし、平成10年の五条川工場の契約については、公正取引委員会が契約前の9月17日に5社に立ち入り調査を行っており、契約の時点で談合が疑われていたのです。にもかかわらず名古屋市は、入札に参加した業者から事情聴取をしただけで、談合の事実を確認できないとして、そのまま五条川工場の契約案件を平成10年の9月定例会に提出してきました。わたしども日本共産党は、「談合の疑いがあるとして公正取引委員会の調査が行われているところとは、契約をすべきではない」として、反対しましたが、賛成多数で可決されてしまいました。

そもそも、落札率が100%で談合が疑われるような契約について、公正取引委員会の立ち入り調査が行われた時点で、仮契約を保留にして、しっかりと独自の調査などを行っていれば、五条川工場の不正な入札をあらためることができたのではないでしょうか。こうした談合をみのがしてきた行政の責任を明らかにしなければ、損害賠償請求する前提がないのではありませんか。環境局長の見解を伺います。

規定に基づき適切な措置を行った(局長)

【環境局長】
いずれも一般競争入札により、規定に基づく手続きで適切に入札を行った。

公正取引委員会が立入検査等を実施したのを受け、談合情報対応マニュアルに沿って二度にわたり各社から事情聴取及び誓約書を徴収するなど、適切な措置を行った。その後、公正取引委員会の排除勧告及び審決が出されたのを受け、訴訟の提起をおこない、地裁の判決が出された。

一部勝訴ですが、損害賠償額の認定に不服があり、控訴したい。

大型化路線に無批判に追随してきた姿勢が招いた談合。どう改善するか

【くれまつ議員】
さて、全国のストーカ炉の建設の大半を独占してきたのが談合をした5社です。その背景には、焼却炉の大型化路線に無批判に追随してきた自治体の姿勢があります。談合の疑いがあったにもかかわらず、五条川工場の契約を三菱重工と結んだ理由は、このような大型焼却炉を建設することができる企業が限られていたからではありませんか。

一部独占的な企業でなく、多くの業者に受注機会をひろげるとともに、入札制度の改善がもとめられていると思いますが、再発防止にむけた考えを環境局長にお聞きして、私の1回目の質疑を終わります。

全市的な改善を行い、談合防止に努めた(局長)

【環境局長】
談合情報があった場合の調査体制の強化、電子入札システムの全面的適用、さらには損害賠償条項を新設するなど全市的な改善がおこなわれ、全市の制度改善に沿い、談合防止に努めてきた。今後も関係局と連携し、一層の防止に努める。

公正な入札を行い、談合情報があったら、しっかりと調査をおこなえ(意見)

【くれまつ議員】
答弁をいただきました。まづ、談合情報に対する本市の対応について、適切な措置だという答弁には、納得がいくものではありません。

談合防止の今後に向けたとりくみについて、全市の制度改善も含めて局長から答弁をいただきました。談合情報があったら、しっかりと調査をおこなっていただきたい。今回の本市の談合による損害額は本市の主張では38億円です。相当な金額です。今後このように談合にもとづく損害賠償請求の訴訟をおこさないよう、公正な入札が行われるように要望し、私の質疑を終わります。

焼却炉談合で排除勧告 大手5社に公取委

自治体など発注のごみ焼却炉の入札をめぐり、日立造船(大阪市)、NKK(東京)、タクマ(大阪市)、三菱重工業(東京)、川崎重工業(神戸市)のプラントメーカー大手五社が談合を繰り返していたとして、公正取引委員会は13日、独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除勧告した。5社は1979年12月にも、ごみ焼却炉の入札をめぐって公取委の警告を受けており、業界の談合体質が批判を受けそうだ。

5社は階段状の炉にごみを落としながら焼却するストーカ炉のメーカー。94−98年度の全国の大型ストーカ炉の発注は計92件。うち71件を5社が受注し、契約総額は約1兆300億円に上った。公取委はその大部分で、談合が行われていたとみている。

調べによると、日立造船など5社は、98年に入札が行われた東京都の中央地区清掃工場など、94年4月以降、各自治体のストーカ炉建設で指名競争入札などの際、事前に各社の部課長クラスが会合を開き、受注予定者や受注価格を決めるなどしていた。

5社以外にも入札で指名を受けた企業があった場合、5社間で決めた受注予定者などを伝えて談合への協力を求めていたという。

この結果、94−98年度では日立造船が19件、NKKが13件、タクマが13件、三菱重工業が14件、川崎重工業が12件をそれぞれ受注した。

(中日新聞 1999.08.14 朝刊)

訴訟内容

  猪子石工場 五条川工場
契約日 1997年7月3日 1998年10月7日
契約金額 182億7000万円 205億8000万円
落札率 100% 100%
請求額(10%) 18億2700万円 20億5800万円
請求先 タクマ 三菱重工
五条川工場の入札額
(予定価格196.0億円)億円
入札回数
川崎重工 219.5 205.0 200.5
クボタ 220.0 205.2 200.8
タクマ 215.0 204.0 200.0
NKK 223.0 204.8 200.3
日立造船 212.0 204.3 200.2
三菱重工 205.5 201.0 196.0
猪子石工場の入札額
(予定価格 174.3億円)
入札回数
川崎重工 204.0 180.0 177.5 辞退
クボタ 194.8 181.5 178.7 辞退
タクマ 182.0 179.0 175.0 174.3
NKK 198.7 181.8 178.9 辞退
日立造船 197.0 181.0 178.0 辞退
三菱重工 188.5 180.5 178.5 辞退

 

▲このページの先頭へ戻る