名古屋港管理組合議会 一般質問 山口きよあき議員 (11月17日)

高潮時の防災対策について


山口議員

コンテナや自動車の流出対策はどうなっているか

【山口議員】
6月議会で名古屋港高潮防波堤の耐震診断についてうかがいました。その後、「伊勢湾高潮災害低減方策検討委員会」が組織され検討が始まりました。しっかりとかつ迅速に検討を進め、必要な対策を進めていただきたいと思います。

この検討会では、高潮によるコンテナや自動車が流出する危険性が指摘されています。空のコンテナはわずか20cmほどの浸水で、自動車も50cmの浸水で浮上し流出するとされています。この危険性が先月の台風18号により三河港で現実になりました。

三河港の岸壁は、基準面(海面)からの高さ4m、そこを4.5mの高潮が襲いました。三河港には高潮防波堤はありません。沖合から岸壁に向かってまともに波と風が押し寄せ、高潮が岸壁を越え、二段積みだったものをふくめて重さ2トンの空コンテナが合計136個が最大約240mも流されました。強風に備えて重ねていたコンテナを平積み、2段積みにしたことがかえって被害を広げました。強風と高波の両方に備えるにはどうすればよいのでしょうか。特に被害が大きかった8号岸壁では168個中118個もの空コンテナが流出しています。

今回の台風は最終的に進路が東にそれたため、名古屋港では高潮による直接の被害はありませんでしたが、もし伊勢湾台風と同じコースだったらと考えるとぞっとします。台風の高潮や津波によって、コンテナや輸出用完成自動車を50年前の材木のような街を襲う凶器にしてはなりません。

コンテナおよび自動車の流出対策はどうされているのか、まずうかがいます。

三河港より高い岸壁でヤードも背後に向け勾配。入港の差し止め時には荷捌き地に車を入れない(部長)

【防災・危機管理担当部長】
コンテナターミナルの岸壁天端高は、三河港は三河港基準面(M.P.)+4.0mですが、本港は名古屋港基準面(N.P.)+4.8mです。更にヤード部分は背後に向って勾配をつけ地盤が高くなっており、伊勢湾台風の最高潮位N.P.+5.31mでも、ヤード内のコンテナが流出する可能性は、極めて低い。

完成自動車の流出対策は、台風接近時に、船舶に対する警戒体制が発令され、入港の差し止めが行われた場合、完成自動車がモータープールから荷さばき地へ搬出されることはありません。荷さばき地に置かれている場合は、メーカーや港運事業者の判断によりモータープールへ引き上げを行っています。また、モータープール周辺の地盤は比較的高いため、自動車が流出する可能性は極めて低いと考える。

関係事業者に対し、今後も最新情報の提供など綿密な連携を図ることにより、減災に努めたい。

台風18号の被害を受けた三河港のコンテナターミナル。
上が配置図、下左が空荷で倒れたコンテナ。下右が高潮で流されたコンテナ。

防潮堤外側の住宅の高潮による浸水対策が必要ではないか

【山口議員】
高潮についてもうひとつ気になったことがあります。今回の台風接近で港区野跡学区にある4つの集合住宅244世帯649人に対し、高潮に備えての避難勧告が発令されました。これらの住宅はいずれも高潮防潮堤の外側にある中高層住宅です。

臨港地区及び隣接した臨海部防災区域に厳しい建築制限があります。たとえば臨海部防災区域内の建築制限では、建物一階の床は名古屋港基準面から1m以上とされています。しかし緩和措置で2階以上に居室があれば、建築が許されています。しかし一階に住んでいる住民にとって建物の2階以上に逃げればよい、ではすみません。港区内のある分譲マンションでは、台風や集中豪雨でこの10年間に3回も一階部分が床上浸水した所もあります。

臨港地区とその隣接地、少なくとも防潮堤の外側においては、一階部分は居住スペースとしてふさわしくないのではありませんか。

住民とその財産を高潮被害から守るためには、住宅の外側に防潮堤を築くか、防潮堤の外側の住宅への制限を強化するか、どちらかの対策が必要と思いますが、港湾管理者としてはどう考えているのか、うかがいます。

1階居室の床高をNP+5.5m以上という指導・規制がある(部長)

【港営部長】
臨港地区は、港湾とは無関係な構築物の建設等が規制されており、一般市民の住宅は原則として建てることができません。

臨港地区外で防潮堤外側にある住宅は、防災上の観点から、名古屋市の条例である名古屋市臨海部防災区域建築条例に基づき、1階居室の床高をNP+5.5m以上とするなど、適正に指導・規制がなされていると聞く。

複合災害や伊勢湾台風を超える規模の台風に対する対策はどうか

【山口議員】
さて「伊勢湾高潮災害低減方策検討委員会」における被害想定は、伊勢湾台風規模の台風が伊勢湾台風とまったく同じコースを通ったケースとしていますが、その被害想定で十分なのでしょうか。

地震との複合災害の可能性についても確率はかぎりなく低いとされていますが、今年の夏、台風と地震が静岡県を襲いました。台風18号が日本列島を襲っている頃に南太平洋でも地震が発生し津波の発生も同時に心配する事態も起こりました。研究者の間ではスーパー伊勢湾台風と名づけられた超大型台風の発生を想定した研究もさかんに行われています。

検討会での被害想定について、地震と台風の複合災害や伊勢湾台風を超える規模の台風についても、いまから想定して対策を立てるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

伊勢湾台風級の予測で検討・取りまとめ。伊勢湾台風超級は将来リスクで(部長)

【防災・危機管理担当部長】
「伊勢湾高潮災害低減方策検討委員会」では、伊勢湾台風級の台風が来襲することを想定し、堤外地における高潮災害の低減方策について検討を進め、今年度中を目処に取りまとめられる予定です。また、「同検討委員会分科会」では、東海・東南海・南海地震などによる高潮防波堤の沈下とともに、伊勢湾台風級の台風が来襲することを基本条件とし、地震による沈下に対する効果的な対応策について検討を進め、今年度中を目処に取りまとめられる予定です。

検討委員会も伊勢湾台風を超える規模の台風は、確率的に非常に低いと考えているが、将来リスクとして紹介されており、愛知県・名古屋市と連携をとりつつ、対応したい。

発生確率が低いからと先送りできない課題だ(意見)

【山口議員】
高潮対策について「将来リスク」でいいのか。「地球温暖化に起因する海面上昇、台風の強大化」、「発生確率はきわめて低いものの大規模地震直後に高潮に見舞われる複合災害発生」が懸念されるとあります。

「東海ネーデルランド高潮・洪水地域協議会」は今年3月に、大規模地震発生後に整備水準を超える規模の高潮・洪水が発生した場合の危機管理行動計画を策定しています。

確率が低いことが起きている。コンテナ・自動車の流出対策は今の回答では甘すぎる。三河港の教訓をしっかりと学び万全の対策をとっていただきたい。また住宅の1階部分は浸水しても構わないとしか受け取れない。名古屋市とも対応策をよく検討していただきたい。

交流厚生用地としてのガーデンふ頭と金城ふ頭について

イタリア村破たんに対する市長の考えは

【山口議員】
新しく管理者となられた河村市長に数点うかがいます。

あなたは国会議員時代に、イタリア村問題についても質問しており、私も議事録を読ませていただきました。その詳細を紹介はしませんが、あなたはPFI事業でイタリア村が破綻した問題をどのように考えておられるのか、基本的な認識をまずうかがいます。

民間事業者には本当に心が痛む。管理組合は一銭も損していない(管理者・河村市長)

【管理者(河村市長)】
木造でいいといわれて、お金をつぎ込んで多くの方が商売をされた。それを無残に取り壊す結果になった。また働いていた人もたくさんいた。民間事業者は損をした。しかし、まさかこういう風になるとは夢にも思わなかった。ちゃんと調べてみようと思っている。

管理組合は一銭も損をしたとは、私は思っていない。家賃等が入っていると思う。「税金を払うほうの苦労と税金で食ってるほうの極楽」、これが一番当たるのがこの現状だと思う。私も中小企業の小さな会社をやってきた人間として、こんなことが許されるのか。苦しんだ民間事業者の皆さんには本当に心が痛むというのが基本的な認識だ。したがって徹底した調査を命じてあるので報告が上がってくると思う。

ガーデンふ頭の将来像をどう考えるか

【山口議員】
ガーデンふ頭は、親しまれる港づくりのための貴重な空間です。あなたはガーデンふ頭の将来像、及び開発または保全の手法をどう考えているのか、お聞かせいただきたい。

民間の提案を生かしながらもっと楽しめる状況にしたい(管理者)

【管理者】
神戸港と横浜港のような風にならないかと思う。残念ながら民間主導の早期の事業再生は断念となっているが、できれば民間の提案を生かしながら何とか早く、もっと楽しめる状況にならないかと、思っている。

金城ふ頭とガーデンふ頭をどのように 位置づけるか

【山口議員】
あなたはまた、金城ふ頭については「ものづくり文化交流拠点構想」を見直して、JR東海の博物館を軸にもっと集客力のあるゾーンにしたいと発言しています。にぎわいづくりも大切とは思いますが、金城ふ頭とガーデンふ頭を同じような集客ゾーンとして開発すれば、結果的に共倒れになる危惧が拭い去れません。金城ふ頭とガーデンふ頭をどのように位置づけて、バランスよく発展させていくのか、現時点での構想をお聞かせください。

金城ふ頭は、大きい集客設備で外国人に来てほしい。ガーデンふ頭は近所の人がフラッと海を見に来る感じのところにしたい(管理者)

【管理者】
金城ふ頭は、大きい集客設備で、とくに中国の観光客の方にきてもらいたい。それで観光業者の皆さんにヒアリングしてみたらどうか。役所の考えることはうまくいかない。どういう施設をどうやって作っていいったらお客さんにきてもらえるか、主に外国人をはじめとし、大規模な面白いものができないかと。

ガーデンふ頭は、名古屋の人には限らないが、ちょっと海が見たいなと、港の持っている一つの情緒を味わえるところにできたらいいなあと思っている。横浜と神戸は港から成り立っており、ここの埋め立てとは違うが、言い訳になっているが、横浜の赤レンガ倉庫、万葉の湯というとこにもよく行くが、ああいうようななんとかここをじわっとした、バーみたいなものを含めて近所の人が名古屋ないし愛知県、名古屋港の周りの人がフラッと海を見たくなったらいけるようなそんなガーデンふ頭になったらいいかなと思う。

計画策定段階からの市民参加をしっかり保障し、やすらぎと憩い、癒しの空間に(意見)

【山口議員】
金城ふ頭とガーデンふ頭の将来構想ですが、イタリア村の失敗を繰り返さぬよう、市民の声をよく聞くこと、計画策定段階からの市民参加をしっかり保障していただきたい。

港に市民が求めるものは、にぎわいだけではなく、やすらぎと憩い、癒しの空間です。とくにガーデンふ頭は、潮風に吹かれた開放感に満ちた空間として整備することを望みます。

景気回復に頼らない貨物の積極的増加策について

入港料一元化の検討について

【山口議員】
いまどこの港でも昨年来の不況で取り扱う貨物が減少しています。なかでも名古屋港はたいへん厳しい状況が続いています。そこで取扱い貨物をどうやって増やすのか、いくつかうかがいます。

名古屋港では基幹航路を維持するためとして入港料を引き下げています。多港はどうか。横浜・川崎・東京の京浜3港はスーパー中枢港湾としての連携を強めて、例えば入港料の一元化をはかり3港を一体的に運用する体制をつくろうとしています。同じくスーパー中枢港湾の阪神港でも、大阪湾の4つの港の間で、複数の港に連続して入港する場合に入港料を一元化しています。

スーパー中枢港湾として一体的に指定された複数の港をひとつの港として扱い入港コストの軽減を図る。同時に複数寄港を増やして荷主に近い港での積み下ろしを可能とし、また陸送距離を短縮し環境負荷も減らす、としています。

さて、国は港湾整備の重点化の検討を始めましたが、東西二つのスーパー中枢港湾が単なる入港料の引き下げではなく、入港料の一元化をし、貨物を集めようとしています。スーパー中枢港湾としての伊勢湾の取り組みはどうか。

これまでは事実上、四日市港を名古屋港の災害時のスペア扱いし、二港の役割分担と本格的な連携を怠ってきたのではないでしょうか。スーパー中枢港湾として今後もがんばると言うのなら、伊勢湾として二港の一体的な運用を進める必要はないのか、入港料の一元化は検討しないのでしょうか。

それとも同じスーパー中枢港湾でも伊勢湾はもともとチャレンジャー型なので京阪、阪神とは同じ土俵では競争しないと割り切るのか、お答えください。

名古屋港の内港貿易量(2008年度)

一元化は寄港コストの削減効果も少なく、貨物物量の増加も期待できない(室長)

【企画調整室長】
四日市港との入港料の一元化は、国、四日市港とともに平成18年度に設置した「伊勢湾寄港利便性向上勉強会」のなかで、阪神港を参考に検討を行ってきた。阪神港は、各港湾のコンテナ取扱量が同規模であり、湾内において2港に寄港するコンテナ船の割合が高いため、一元化は寄港コストの削減につながる。しかし、伊勢湾は、本港と四日市港のコンテナ取扱量に大きな差があり、両港に寄港する割合も低いので阪神港と比べて効果は少ない。

また、一元化しても、双方の港湾の貨物物量が増加せず、再配分により平準化することになれば、本港にとって貨物量の減少による基幹航路の抜港につながり、国際競争力が低下する恐れがある。

今年度の勉強会では阪神港でヒアリング調査を実施したが、一元化による貨物量の増加の効果が確認されず、伊勢湾における導入は、勉強会での調査、検討を踏まえ、慎重に判断していく必要がある。

内航貨物の集荷につながっていないのではないか

【山口議員】
横浜港では、ハブ港としての機能を高める、つまり国内各港からの輸出入貨物を集める積み替え港としての機能を高めて、基幹航路の寄港地としての地位確保に取り組んでいます。なかでも内貿コンテナ取扱量はここ数年2桁の伸びとなり、2008年度は28万TEUとなり、この7年間に清水港からは6倍、神戸港から10倍、そして名古屋港からは12倍も貨物のやりとりを増やしています。

背後地の産業、とりわけ自動車産業に極端に依存して、日本一の貿易港だと自慢していたその足元で、貨物が横浜港へ流出しているのではありませんか。ポートセールスや内航船のガンとリークレーン使用料の減免などの努力は認めますが、結果的に貨物を集めることに成功していないのではないか。最近はハブ港という位置づけを聞きませんが、内航貨物を名古屋港に集めるつもりはあるのか、かえって他港に流れているのではありませんか。お答えください。

他港へ流れているものではないと考える(室長)

【企画調整室長】
本港と横浜港との内貿コンテナ貨物は、両港の貿易量が拡大し、平成20年の本港から横浜港への移出は、約2万3千個で、これは、横浜港の内貿コンテナ個数全体28万個のうち、10%足らずです。このなかには、本港で輸入された後、横浜港まで運ばれ、関東圏で消費される貨物も含まれていると考えられるので、本港から一方的に流出しているということではない。

また、平成20年度全国輸出入コンテナ貨物流動調査によると、愛知県で生産・消費されるコンテナ貨物の約93%が本港を利用しています。これは、5年前の前回調査の約91%に比べ、2ポイント利用率が上昇しています。中部9県全体でも本港の利用率は維持されているので、全体的な傾向として、他港へ流れているものではない。

本港の直背後に進出した海外の大手家具チューン店は、名古屋を日本の物流拠点として、内航コンテナ輸送を利用している。今後「本港は、日本の真ん中にあるという地理的特性も活かしながら、こうしたモデルの企業誘致を図る。

取扱い貨物を増やす今後の手立てについて

【山口議員】
横浜ではまた、すぐれた港湾労働者の存在が横浜港の魅力だとPRしていました。優秀な労働力が港のセールスポイントになっているのです。名古屋港ではどうでしょうか。大型の港湾整備や荷役の自動化によるコスト削減で入港船舶を増やすという発想から、働く人々を大切にする港だからこそ安心して寄航できるという方向へ発想を変える必要があると私は思います。

中部圏の産業構造、景気動向に名古屋港の港勢が大きく影響を受けるのは当然です。しかし背後地の特定分野の産業に港の運命をゆだねることは好ましいことではありません。スパ中競争にあおられることなく、かつ自動車産業の業績回復にのみ依存するのでもなく、安定的に名古屋港を発展させていくために、港独自の努力で取扱い貨物を増やすために知恵を絞るときです。取り扱い貨物を増やすために、どういう手立てをとるのか、最後にうかがって一回目の質問を終わります。

自動車や航空機産業を始め、企業誘致と多様な貨物の誘致に努め、取扱貨物を増やしていきたい(室長)

【企画調整室長】
輸出貨物の約7割は自動車関連貨物で、背後のものづくり産業の発展とともに港勢を拡大してきた。今後もハイブリット化を始めとする自動車のシステム変化や、新興国の経済発展による需要増が見込め、中部地域の自動車関連産業の重要性は変わらない。他にも国産旅客機のプロジェクトが進められるなど、今後、航空機産業の発展による貨物増加も期待できる。また、東海北陸自動車道、新名神高速道路の高規格道路ネットワークの充実に伴って、背後圏の拡大につながる。

取扱貨物を増やすための具体策としては、物流拠点の形成が重要であり、コンテナターミナル近接地に物流企業の立地を促進するため、飛島ふ頭第2貯木場跡地、弥富ふ頭第1貯木場跡地の埋立整備や、企業立地に対する保証金減額制度を既に実施しているほか、「臨海部物流拠点の形成を図る区域」の指定を行うなど、企業誘致の環境をより一層整える。

また、外国船社に対する海外ポートセールスや国内ポートセールスとして中部9県の荷主・物流企業を対象とした企業訪問や名古屋港視察会、愛知・名古屋国際ビジネス・アクセス・センタ(I-BAC)や荷主懇談会等を活用した企業立地に対する各種優遇制度の情報提供等により、企業誘致と多様な貨物の誘致に努め、取扱貨物を増やしていきたい。

名古屋港の集荷戦略とスーパー中枢港湾の構想が食い違うのではないか(再質問)

【山口議員】
取扱貨物の問題です。名古屋港の基本性格に関することでもあるので、専任副管理者に再質問します。

入港料の一元化は伊勢湾についてはメリットがない、との答弁でした。それではスーパー中枢港湾に伊勢湾というサイズで指定を受けたことにあまり意味がない、ということになりはしませんか。

愛知県のコンテナ貨物はほとんど名古屋港で扱っている、中部9県の利用率も維持していると、いうが横浜は松本市など長野県の製造業の貨物を誘致している、滋賀県の貨物も京阪との奪い合いです。それに加えて四日市港に続き、清水港でも大水深バースを建設し、少なくなった貨物を奪いあう状況です。

ハブ港として内航貨物を集めるよりも、物流拠点の整備をすすめて貨物を増やすのは、国のめざすスーパー中枢港湾とはちがう名古屋港独自の戦略構想ですか。ならば京阪や阪神の港と、背伸びして、背比べをするようなスーパー中枢港湾にこだわる必要はありません。大水深バースの整備よりも背後の経済圏に見合ったコンパクトな港湾整備で十分、むしろ多彩な貨物の集荷にこそ力を注ぐべきです。

名古屋港の集荷戦略とスーパー中枢港湾の関係について、どう考えるのか、答えてください。

日本列島の中央に位置する地理的特性と広域道路網の整備進展を踏まえた整備を進めていく(副管理者)

【専任副管理者】
本港は、大消費地を抱えた東西港のマーケット立地型とは異なり、我が国産業の集積地の国際競争力の維持・向上を目指したチャレンジャー型のスーパー中枢港湾として、中部国際空港との連携など伊勢湾の特性を活かした施策を展開している。

スーパー中枢港湾の指定で重点整備がされ、日本初の白働化荷役システムを導入した高規格ターミナルが稼動するなど、国際競争力が着実に強化されている。

また、スーパー中枢港湾育成プログラムや長期構想「名古屋港の針路」の考え方にあるように背後経済圏の貨物を取扱う港にとどまらず、「日本列島の中央に位置する地理的特性と広域道路網の整備進展を踏まえ、わが国の広範囲をカバーする広域流通拠点の形成」を目指した整備を進めていく必要がある。

現在、新政権がスーパー中枢港湾をさらに選択と集中させる政策を打ち出している中で、本港は貨物量、貿易額等が日本一の港として、これら進めている施策を積極的に訴えていくことが、重要である。

道路輸送に頼るなんて。コストも環境負荷も削減できる港独自の魅力で取り扱い量を増やせ(意見)

【山口議員】
空港との連携は、東京湾でも大阪湾でもやっています。伊勢湾の特性を活かすとは何なのか、理解できません。その中部空港も貨物便が減り続けている。

国際競争力を強化したといいますが、国内貨物の集荷競争で負けていないか、と指摘したのです。

もうハブ港をめざすとは言えなくなりました。国内から船が集まらない中枢港湾とはいったい何なのか。

しかも集荷戦略はとたずねたらなんと答えたか。背後経済圏の貨物にとどまらず、名古屋は日本列島の真ん中にあるから広域道路網を整備を踏まえて、広域流通拠点の形成をめざして整備を進める。つまり日本中から排気ガスを吹かして、トラックやトレーラーで貨物を名古屋港へ集めるというのですか。それならば港の整備はあまり必要ないじゃありませんか。むしろ、海上コンテナの安全輸送対策こそ国任せにせず、急ぐべき課題です。

地球環境問題でもCO2を25%減らそうという時代に、環境にやさしい船舶輸送ではなく道路輸送に港の発展を頼るというのは少しさびしいとは思いませんか。ここでも自動車に依存ですか。

もちろん、ものづくり産業の集積地に見合った適正小簿の港づくりは必要です。

しかし、あなたは港の管理者なのですから、環境の時代らしく、例えば、船舶と鉄道の組み合わせでコストと環境負荷のどちらも削減できる、などの港独自の魅力で取り扱い貨物量を増やすためにもっと知恵を絞ってください。

その努力を重ねて要望して質問を終わります。

▲このページの先頭へ戻る