2009年11月定例会 個人質問(11月27日)
さとう典生議員
市民税減税について
さとう議員
減税の内容と市長の公約
【さとう議員】 「名古屋市市民税減税条例」案について、順次、河村市長に質問し、真に市民の期待しているものなのかどうかを検証したいと思います。あわせて本当の庶民減税の方法を提案したいと思います。
市長の2大公約の一つ、市民税10%減税については、この条例提案がなされ、はじめて、その内容が明らかになりました。個人市民税、法人市民税とも一律10%減税をおこなうというものです。
そこで、この減税がどのような内容と規模になるのか、これまでの市のデーターから明らかになったことを整理します。
まず、名古屋市民はおよそ225万人、そのうち扶養家族などで税の控除対象者は73万6000人、非課税や生活保護世帯などが39万7000人と減税の対象にならない市民が113万人です。ようは市民の半分は河村市長の減税の対象にはならないということです。
そして、市長が「減税が一人15,000円」とあちこちで言っていますが、実際に15,000円減税になるのは「4人家族で、年収635万円」くらいの方です。
そうしますと、減税の対象となる人の中で77万人。70%くらいの人は「15,000円」以下となります。残りの30%が「15000円」以上ということです。
河村市長が「一人15000円」というので、市民のみなさんが「15000円」還ってくると思っておられるかもしれませんが、実際には大きく違います。
この分布の中で市民税を「500万円以上」払っている方は630人。第1位は2億1500万円とのことです。この方は10%で2150万円減税になります。第2位は1億1300万円、第1位の方の半分ですが、それでも減税は1130万円です。第10位は5500万円なので10%で550万円の減税です。
一方、庶民の方は均等割りだけの人は3000円の10%でわずか「300円」となります。このように一律の減税を行えば、たくさん所得があって税金をたくさん納めた人はたくさん減税になります。当然の結果だと言うこともできますが、金持ち優遇減税というそしりは免れません。
そこで市長にお尋ねします。このように「金持ち優遇の減税」で、市長のマニフェストの「庶民が主役で創る、日本一税金が安い名古屋ナゴヤ」と言えるのでしょうか?
「金持ちはゼロ」の公約違反だ
【さとう議員】 市長のマニフェストには「減税の姿として定率減税(金持ちはゼロ)、定額減税、子育て減税、勤労者減税、社会保障減税、それらのミックスもあり」と書いています。これを読めば、経済的弱者・庶民に減税と受け取れます。ところが、今回の市長の提案ではいま述べたように金持ちに大きな減税がおこなわれるわけです。
そこで、市長にお尋ねします。市長の提案は「金持ちはゼロ」といった公約に違反するのではないですか。お答えください。
庶民減税では金持ちを除外せよ
【さとう議員】 減税に関し、日本共産党市議団は「庶民減税」には賛成の立場です。また、市長に「減税は10%にこだわらずに」と9月に要望しました。
今回のこの条例の提案理由として市長は「市民生活の支援及び地域経済の活性化を図るとともに将来の地域経済の発展に資するよう」にと述べられました。おおむね一致できるわけです。ただし、後段部分について「法人減税で企業を呼び込む」という点には同意できません。この点は後で触れます。
市民生活の支援について、日本共産党は、(1)減税は個人市民税だけ(2)低所得層への減税を厚くする(3)高額所得者を減税対象からはずす(4)減税の恩恵のない非課税世帯への援助(5)中小企業支援の充実、を提案しています。
そこで、私は市長に以下提案をします。減税は一定の所得以下の庶民に限定すべきです。
地方税法の規定で、税率は一の率となっていますが、一方で不均一課税はできる、という規定があります。この隙間に着目すれば、税率は一定で計算した後、すなわち課税した後で、その税額から特別控除という形で減税することもできると考えられます。従って、たとえば、市長の言うところの庶民、年収800万円以下に限って、定率もしくは定額で控除を行うという方法で減税の対象を限定することもできるわけです。
そこで、市長にお聞きします。なぜ、このような形(税額から特別控除する)で所得制限をおこなわなかったのか、お尋ねします。
均等割を100円にしてはどうか
【さとう議員】 庶民に手厚く減税をするべきと考えれば、均等割3000円について10%の300円の減税でなく、思い切って2900円、97%を減税して、均等割りを100円にするという方法もあります。金額は少ないけれども多くの庶民は助かります。所得が減って生活がたいへんな庶民の懐をささやかですが暖めることにつながります。
一律10%にこだわらず、均等割りを100円にしてはいかがでしょうか。市長のお考えをうかがいます。
法人市民税の減税はやめて、別の振興策を
【さとう議員】 次に法人市民税についてです。今回提案の一律減税では法人市民税の減税額でも企業間で大きな差があります。
9万社あまりの法人のうち約50%は法人市民税が5万円以下です。税額が5000万円を超えるのは約200社で第1位は24億2400万円、第2位は21億1700万円の納税額で、減税額は2億以上になります。一方で半数の法人はわずか5000円で大きな開きができます。ここでもやはり大企業有利の減税になるわけです。
ところで、この10年で大企業の内部留保が倍になったそうです。どのようにして、儲けたのか。派遣労働を拡げるなど、働くものの賃金を引き下げてきた結果です。また、自民党政府の新自由主義政策で企業有利の政策が進められ、法人税の税率もずいぶん下げられてきました。こうした経過を考えれば、本市が法人市民税の減税をするは必要ありません。
また、先ほど紹介した市長のマニュフェストを読む限りでは「法人市民税を減税する」とは書いてないわけです。
河村市長は「10%減税で企業を呼び込む」ことが本市の活性化につながると言いますが、わたしは市民の所得を増やし、消費を活性化することが、企業の進出を促すのだと考えています。この際、中小企業には直接に別の支援を行うこととし、法人市民税減税は見送るべきだと、考えますがいかがでしょうか?市長の答弁を求めます。
減税財源として福祉を削るのか
【さとう議員】 河村市長の発言を聞いていると、「減税をてこに行政改革を行う」ということです。「財源がなければ、それに合わせて、行政が仕事をする」結果、行財政改革が行えるというのですが、これまでの、オール与党相乗りの松原市長の下で「財源配分型の行政改革」でたとえば学校の標準運営費が毎年10%カットされてきて、64%になって現場では大変になっていることなど、くらしや福祉や教育の予算を削ってきたこととどこが違うのか。疑問を抱きます。そこへもってきて、さらに、というわけですから、非常にきついことになります。
しかも、国の補助事業などは聖域になっていて、しわ寄せは、結局、本市独自の福祉施策などにおおきな影響を与えることになります。この8月には、扶助費・補助費の一律カットが指示され、多くの市民が福祉が削られるのではないかと心配して、市長に必死に陳情を繰り返しています。この市民の心配に市長がどのように答えるのかが、いま問われています。
たとえば、障害者福祉では「ガイドヘルパー」という制度があります。当局は決算で生じた不用額分を削る、と考えているようです。しかし、なぜ不要額になったのか、背景を忘れてはならないと思います。「ヘルパーの報酬が低くて、なり手がないので、頼みたくても頼めない」という実態です。それを無視して、不用額になったからその分減らせばいいと、福祉予算を削られてはたまりません。河村市長の減税によって、このように福祉にしわ寄せがくる、と不安が拡がっているわけです。
市長はこれまでもこの問題を問われると「福祉は削らない」とか「福祉はやります」と答え、さらには「減税をした分、地域委員会に寄付をしてもらいそれで福祉をやってもらう」とも答えています。また、「減税分は230億円余なので小学校は263なので、1学区あたり約9000万円戻る」と減税した分が地域の財源になる、というような話もしています。しかし、減税分を全部寄付させて、そのお金で地域委員会が福祉をやるというそんな馬鹿な話はありません。
このような、市長の「減税と寄付論」は市民を惑わすもので止めるべきです。「福祉は寄付で」という市長の議論は結局、福祉を憲法で保証された権利ではなく、個人の善意に頼るものとして、地方自治体の責任を放棄するものです。資本主義の市場経済社会では、ほっておけばどんどん格差と貧困が拡がります。特にこの10数年の新自由主義政策のなかで、このことが顕著に現れました。
その格差を拡がらないようにする手段の一つが「累進課税」の考え方だと思います。累進課税でお金持ち、また利益の上がった企業に応分の負担を求め、その財源で「格差の広がり」を補正することが政治に求められていると私は考えます。
この点を指摘した上で、市長にお尋ねします。福祉を削らない、というなら、扶助費・補助費の一律削減方針を撤回すべきです。いかがでしょうか。
金持ちゼロでないことは認めるか(再質問)
【さとう議員】 法人税減税やるとは書いてないと言ったら2500億円と書いてあったんで入る、と言いますが、市民はどう思うでしょうか。これを見て、ミックスもあり金持ちゼロと書いてある。金持ちゼロについてはなんかぼやかして答えている。しかし金持ちゼロでないことは間違いないと思いますがどうか。
減税は金持ちゼロに、法人税減税をやめ、福祉に
【さとう議員】 市長が、金持ちゼロ、市民減税をするというように取れるのでそれに沿った提案をしたのだ。しかし市長は累進課税じゃないから、それはできないという。私も地方税法を読んだ。やっぱり矛盾はある。一方で不均一課税できる、一方で均一税率でと言っている。しかしその隙間を突いて庶民減税をすることができる。庶民には特別控除するという形で、グレーゾーンを生かしてできる。庶民減税ができて金持ちゼロもできる。
金持ち減税でないというが、300円と2000万では雲泥の差だ。これが公平だと言われて市民は納得しない。一律でやるからそうなるので、私の提案に沿ってやればできるのでやってほしい。これまで自民党政府が毎年2200億円福祉予算をカットしてきたのが間違いと市長は言ったが私もその通りだと思う。そういう流れを変えようということで河村市長を市民は選んだのですよ。ところが予算の圧縮が結果として減税で福祉にしわ寄せが来たら同じことになってしまう。同じ過ちを繰り返すことによって信頼を裏切ることになる。減税は金持ちゼロにして法人税減税をやめて福祉に回すべきではないですか。
開き直るな、公約を守れ
【さとう議員】 だから庶民に限るべきだと言っているんです。減税しなくていいと言っているのではない。均等割を300円減税するより100円にすることはぜひ検討していただきたい。
▲このページの先頭へ戻る
|
市民税6%は金持ち優遇といわない(市長)
【河村市長】
これが金持ち優遇減税だったら今の市民税6%は金持ち優遇かね。それとも共産党は反対されたかね。昔は累進課税だった。それが一律課税に変わった。金持ちとそうでない方と同じ税率です。