2010年2月議会 意見書・決議名古屋市住民投票条例 日本共産党をはじめ各会派から提案された13件の意見書案について議会運営委員会理事会で協議が行われ、無料低額宿泊所の法的整備に関する意見書は共産党と自民党から出された案件を1本化、その他4件も必要な修正のうえ、3月19日に議決しました。3月24日に民主・公明から議員年金廃止に関する決議案が提案されました。会期中は全会一致しか出せないという申し合わせがありましたが、多数決でも出したいとの民公の意向で提出され、共産党の修正で自民も賛成し可決されました(社民が反対)。
結果が「可決」となっている、セルの背景が黄色いものは可決された意見書。 議運に提案された段階での態度 ○=賛成 ●=反対 △=保留 《採択された意見書》障害者自立支援の新たな制度設計に関する意見書平成18年より施行された障害者自立支援法は、その成立から施行までの間が非常に短かった上、施行直後から負担軽減策を講ずるなどの制度変更を繰り返し、利用者を初め地方公共団体、事業者等は、その対応に追われてきた。 また、同法の施行により、応益負担となったことで、重度障害者及び収入の少ない障害者が施設利用を控えざるを得なくなるなどの問題点も指摘され、各方面から見直しや廃止を求める悲痛な声が上がっていた。 こうした中、名古屋市を初め各地で同法を違憲とする集団訴訟も起き、ことし1月に原告団と国は、現行の障害者自立支援法を廃止して平成25年までに新法を制定することなどを盛り込んだ基本合意を交わしたところである。今後、新たな制度の設計・実施に向けて、現行制度における問題点を抜本的に見直し、充実した制度としていくことが必要である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要望する。
私学助成の拡充に関する意見書我が国の高校生の約30%が私立学校に在学しているが、近年の少子化の影響により、私立学校の経営環境は厳しい状況にある。また、長引く不況によって、保護者の負担も大きくなっており、授業料の滞納が問題となっている。 私立高校における生徒一人当たりの授業料は、公立高校の約3倍であるが、公費投入額は私立が公立の約3分の1となっている。政府は、平成22年度予算において、公立高校の授業料無償化を盛り込み、私立高校についても、公立高校の授業料相当額を助成することとしているが、依然として学費負担は重く、公私間格差の問題は解決されていない。 私立学校は、多様化するニーズに応じた教育の推進など、我が国の教育に重要な役割を果たしており、また、学生の選択肢を広げるという意味においても、その充実が求められている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、教育予算を充実させるとともに、私学助成をより一層拡充し、公私間格差の是正を図るよう強く要望する。 無料低額宿泊所に関する意見書世界的な大不況に伴う製造業の派遣切り等で雇用情勢が悪化する中、生活困窮者を対象に無料、または、低額で宿泊施設を提供する無料低額宿泊所が増加しており、厚生労働省の調査によると、昨年6月末時点で全国439施設に1万4,089人が入所している。 こうした中、一部の運営業者が入所者に劣悪な居住環境を強いたり、入所者の預金通帳などを事実上管理し、同意もなく生活保護費から利用料を天引きするなどのトラブルが相次ぎ、いわゆる「貧困ビジネス」として大きな社会問題となっている。また、名古屋市など1都6県で展開する大手事業者FI Sの幹部らによる脱税事件が起き、無料低額宿泊所の不透明な経理のあり方が問題となっている。 しかしながら、無料低額宿泊所は社会福祉法に基づく施設ではあるが、事業開始後の届け出が義務づけられているにすぎず、施設整備や運営に関する最低基準等が具体的には定められていない。そのため、各地方公共団体は独自のガイドラインを制定し、事業者に対し指導を行っているが、法律に基づく強い指導権限もなく、ガイドライン等による指導にも限界がある。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、無料低額宿泊所の質の向上と入所者の適正な処遇のために、次の事項を実現するよう強く要望する。
女性特有のがん検診推進事業に関する意見書国民の約3分の1ががんで死亡するなど、がんが国民の生命・健康にとって重大な問題となっていることから、がんを早期に発見し、早期に治療に結びつけるというがん検診は今後ますます重要となってくる。 国では、がん対策基本法に基づくがん対策推進基本計画において、がん検診の受診率を5年以内に50%以上とすることを目標としている。子育て世代の女性の患者が急増している子宮頸がん・乳がんについては、特に検診の受診率が低いため、全額国庫補助による女性特有のがん検診推進事業が創設され、今年度、全国の市町村で実施し、一定の成果が認められるところである。 しかし、この事業については対象年齢が限られており、当初より少なくとも5年間継続して実施しなければ不公平となるという意見も多く聞かれた。 その.ような状況の中、平成22年度国家予算案において、女性特有のがん検診推進事業に対する補助率を2分の1とすることが示された。今年度国のイニシアチブのもとで実施された女性特有のがん検診推進事業について、事前に協議することもなく一方的に地方負担を求めることは非常に遺憾である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、女性特有のがん検診推進事業については、次年度以降も全額国庫補助を継続するよう強く要望する。 介護保険制度の基盤整備に関する意見書介護保険制度がスタートしてから10年を迎えたが、介護現場では深刻な問題が山積している。特に、特別養護老人ホームの入所待機者は約42万人にも上り、在宅介護においても家族の心身の負担などが深刻な問題となっている。 また、介護保険を利用している要介護認定者やその家族、介護事業者や介護従事者などから、必要なサービスや介護施設の確保、経済的負担の軽減、介護報酬や処遇の改善などを要望する切実な声が数多く上がってきている。 しかも、32年後には65歳以上の高齢者人口がピークを迎えると言われており、今後さらに進展する超高齢社会を見据え、安心して老後を暮らせる社会の実現を目指すには、介護施設の大幅な拡充や在宅介護の支援強化、利用者負担の抑制、公費負担割合の引き上げなど、必要な見直しが求められている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、介護保険制度を見直すため、次の事項を実現するよう強く要望する。
地方議会議員年金制度の廃止に関する決議地方議会議員の年金制度は、昭和36年に法に基づきスタートし、翌年からは強制加入の制度として、これまで一定の役割を果たしてきたところである。 ところが、平成の大合併の大規模かつ急速な進展による議員数の減少と受給者数の増加等により、年金の財政状況は、急速に悪化し、平成14年度及び平成18年度の二度にわたり自助努力の限界ともいえる大幅な掛金の引き上げと給付の引き下げが行われた。それにもかかわらず、国の責任において措置すべき合併特例法の規定に基づく激変緩和措置が不十分であったことから、平成23年度には積立金が枯渇し、破綻が確実視されている。 このような中、このまま議員年金制度を維持し続けることとした場合、公費負担の引き上げが予想され、その負担が永続することから、国及び地方の厳しい財政状況を考慮すると、制度そのものを廃止することもやむを得ない。 よって、名古屋市会は、議員年金への加入が法によって強制されていることにかんがみ、廃止の際には特段の措置を講じた上で、地方議会議員年金制度の廃止をするよう要望する。 以上、決議する。 《日本共産党提案で採択されなかった意見書》高等教育の漸進的無償化に関する意見書(案)深刻な不況の中、親の解雇・失業などによって進学をあきらめたり、学業を続けることが困難になる生徒・学生があとを絶たない。政府は、「高校授業料実質無償化」をすすめているが、私学の負担はなお重く、大学の学費負担はさらに深刻である。「世界一高い」とも言われる日本の高学費は、未来ある子ども・若者の夢を阻んでおり、一刻も早い対策が求められている。 国際人権規約(A規約)は、高等教育の漸進的無償化を定めているが、この条項(13条2項C)を留保しているのは、締約国160か国中、日本とマダガスカルの2か国だけである。鳩山首相は、今国会の施政方針演説で「留保撤回を具体的な目標とし、検討をすすめる」と表明しているが、すみやかに留保を撤回し、学費無償化にむけた施策を具体化することが求められている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、国際人権規約が定める高等教育の漸進的無償化条項の速やかな留保撤回を強く要望する。 高齢者医療に関する意見書(案)政府は、後期高齢者医療制度を平成25年3月末に廃止する方針を決め、廃止後の新たな制度のあり方を検討するため、「高齢者医療制度改革会議」を設置し、その検討を開始した。 後期高齢者医療制度は、75歳という年齢によって他の保険制度から高齢者を切り離す世界に類のない制度であり、この制度の廃止は当然であるが、廃止の時期が先送りされようとしていることは問題である。制度の廃止が先送りされるために、今年4月から多くの加入者は保険料値上げによる負担増を強いられることになる。 しかも、政府は保険料増加分について相応の財政措置を講じることを国会等で言明していたにもかかわらず、来年度の政府予算案には保険料増加を抑制する予算は盛り込まれていない。 存続すればするほど被害が拡大する後期高齢者制度は、速やかに廃止するとともに、医療にかかる高齢者の負担を軽減するために、高齢者の医療費無料制度の創設等が求められている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、高齢者医療の充実を図るために、次の事項を実現するよう強く要望する。
「政治とカネ」に関する意見書(案)「政治とカネ」をめぐる問題として、鳩山首相の虚偽献金疑惑に続き、小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」に絡む土地購入資金問題が国民の大きな関心を集め、一刻も早い疑惑の解明が求められている。 ところが、鳩山首相は小沢幹事長の疑惑の解明にのりださず、「検察の捜査を冷静に見守っていきたい」と問題をすり替えているが、刑事的な訴追を免れたとしても、政治資金の公開性の確保や政治をゆがめていなかったかなど、政治的道義的責任を曖昧にはできない。 疑惑の核心は、東北地方での公共事業発注の発注に「天の声」を発し、ゼネコンから裏献金を受け取り、土地購入資金に充てたのではないかということであり、税金の“還流”疑惑である。さらに小沢氏が参加する政治団体の解散にかかわる政党助成金の処理のついても疑惑が浮かび上がっている。 こうした問題の根源には、田中金脈、金丸金脈以来の金権政治と、その元凶である企業・団体献金の温存がある。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、「政治とカネ」に関する国民の信頼を回復するために、次の事項を実現するよう強く要望する。
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