2010年2月定例会 個人質問(3月5日)
かとう典子議員
市立病院の役割について
かとう議員
城西病院を廃止するな
【かとう議員】 昨年3月に策定された「名古屋市立病院改革プラン」によれば、市立病院は、採算性の面等から、民間医療機関による提供が困難な、市民ニーズの高い医療に積極的に取り組むとともに、地域の医療従事者の研修の場としての役割や、市民の健康を保持・増進する役割を担うとして、5つの市立病院を3つのエリアに分けてそれぞれの機能を存分に活かし、機能を分化するとともに、ネットワークをより強化し、市民の医療ニーズに応えるとしていました。ところが、昨年9月7日、「市立病院のあり方を考える有識者会議」にて、経営悪化などを理由に、城西病院は民間譲渡、緑市民病院は指定管理者制度導入を含めて検討するよう意見が出され、それを聞いた河村市長が当日の記者会見で、廃止・民間委託を進める姿勢を示したために、これまでの計画が急転換したのです。
まず、城西病院については、経営難や医師・看護師不足がある上に、近隣にたくさん病院があるため、できれば病院併設または単独の高齢者の施設にするよう民間に売り渡すと12月に発表しました。城西病院を利用している中村区や中川区の住民や地域の医師会からも城西病院の存続を求める声が多数寄せられているのは、市長も市当局もご存知のことと思います。中村区や中川区は市内でも高齢化率が高く、貧困率も高い地域です。「医療費や文書代などが城西病院は安いから城西病院に行く」という市民がいます。入院患者をすぐ追い出したりしない、患者に誠実に向き合って医療を進めているからと、市民の城西病院への信頼度は大変大きいのです。中村区の医師会の開業医さんからも、「患者の入院を受け入れてくれる総合病院、高齢者を受け入れてくれる城西病院を存続してほしい」といわれています。
そこで病院局長にお尋ねします。改革プランでは「高齢者にやさしい病院を目指す」としていたのに、なぜ方向転換して、城西病院を市から切り捨てることになったのでしょうか。城西病院に対する、市民、開業医さんの声をどのように受け止めますか。お答えください。
緑市民病院の指定管理者制度の導入をやめよ
【かとう議員】 緑市民病院について、緑区には、病院が少なく、緑市民病院は必要だが、財政困難なために、今より安上がりに運営できる指定管理者制度を導入するということです。緑市民病院という名前のままで、運営は民間病院が行うことになります。緑区は、高齢者とともに若い子育て世帯も大変多く、小児科や周産期医療の需要が大変高い地域です。私が行ったアンケートでは、「緑市民病院は市立病院だから安心」という答えが1番多く、市立の病院への信頼が大きいことがよくわかりました。内容の充実を求める声も多いです。
そこで病院局長に質問します。公立病院への信頼は高く、緑市民病院の指定管理者制度導入に反対の声が多くあります。どのように受け止られますか。お答えください。
病院の赤字を市民とともになくす工夫を
【かとう議員】 名古屋市は、市立病院を行政から切り離し、独立行政法人化して病院局をつくりました。独立行政法人にして、経営の健全化に努力すると言っていたはずです。ところが5つある市民病院は、守山市民病院を含めて3つが縮小・民営化で、私たちの命が切り捨てられたと感じた市民は少なくないと思います。結局経営改善ができなくて、そのつけが市民に回されたことになります。いずれにせよ、市民には、何の責任もなく、逆に市民は犠牲者であり、納得ができないのは当然です。
病院局は、経営難の実態を市民の前に明らかにして、市民に相談するべきだったのではありませんか。市は、これまで赤字解消のためにどんな努力をしたのですか。市民に何も相談や協力依頼もないまま、廃止だの、民間委託だの、なぜ結果しか知らせないのでしょうか。
市民の命綱である市民病院を守るために、市立病院が自ら市民に意見やアイディアを求め、たとえばボランティアを呼びかけ、患者サービスの向上を図る取り組みが事前にできたのではないでしょうか。今からでも遅くはありません。地域密着型医療を市民と協力し合い、経営改善することができれば、直営のまま継続できるのではないかと考えますが、病院局長のお考えをお聞かせください。
城西病院、緑市民病院の切り捨てはするな(再質問)
【かとう議員】 城西病院は役割を終えた。と言われました。「城西病院は、看護師さんが落ち着いて対応してくれる。だから、そのまま残してほしい。」という市民の声が大変大きい。城西病院の説明会で、「何を聞いても、まともに説明をしてくれない」と言っています。市民が納得のいく説明をするべきです。緑市民病院でも、私のアンケートで「知らなかった」という答えと一緒に、「今のまま残してほしい」という声がほとんどです。
市長は、名古屋市民の命綱である城西病院、緑市民病院の切り捨てはするべきではありません。
経営難がこの結果だと思います。自治体病院の経営悪化の要因は、これまでの自公政権の構造改革、社会保障切り捨て政策――すなわち、医師養成の抑制、診療報酬の引き下げ、医療保険の改悪、患者負担増による受診抑制ではありませんか。
市長は前自公政権の「社会保障費連続削減」政策を批判されています。それならば、市長は自治体病院を守り、社会保障切り捨てから充実へ国のもとの政策を転換すべきではありませんか。お答えください。
そして、市長は、城西病院の市営を廃止して、民間に移譲するといいますが、民間譲渡の目途もつかないうちに先に市営廃止を決めようとしています。これは、受け手がない場合、病院そのものをなくすことになるのではないですか。お答えください。
病院を廃止する前に国にしっかり削減させないことを求めよ(意見)
【かとう議員】 国の削減が悪いといった、それなら市民を守ることが市長の責務だ。病院を廃止する前に国にしっかり削減させないことを求めよ。
地域委員会モデル実施について
モデル実施の進め方は拙速ではなかったのか
【かとう議員】 「地域委員会モデル実施」について、まず始めに、モデル地域の選定や委員の選挙などの進め方について質問します。
地域委員会モデル実施のためのパンフレットと募集要項が発表されてから、モデル実施の募集期間が12月17日から1月12日まで。年末年始、さらに成人式と、地域では大変忙しい時期で、実質、地域で議論する余裕はほとんどなかったため、地域の30人の署名を添えて申請する方は、学区連協の推薦や学区連協との協議を行う時間が取れず、早くから学区連協で相談をしていた学区しか申請できませんでした。
1月中旬、市内8学区がモデル地域に選定され、その学区では、委員の立候補や投票人の申し込み等の封筒が各戸に配布され、1月22日から12日間、投票人及び公募地域委員、立候補者の募集を行い、住民説明会が行われました。モデル実施学区になったことを知らない方も多く、封筒が配られても、封筒を開けないままおいてあったり、開けずに捨てたりなどあった中で、投票人の募集は締切られて、投票参加率は10.6%でした。その後、投票人名簿の縦覧、候補者広報を投票者に配布。候補者の公開討論会の後、2月26日までに郵便投票、27日に開票で、委員が決定しましたが、投票率は8,7%でした。モデル地域が選定されてから、たった1カ月半で選挙が行われました。市長のマニフェストでは「十分な準備を経た上で、公選に準ずる手続きによって地域委員会の委員を選定」するとあります。
ちなみに、ある学区では学区全体が住民の選挙で自治会長を決めており投票率は95%だと言うことでした。またある町内会では、町内会長を選挙で選び、投票率は約97%。それぞれの地域ごとに努力して民主主義を築こうとしています。
そこで市長におたずねします。住民への周知が1カ月半のみで、進め方があまりに性急過ぎるのではありませんか。これが市長のいう「民主主義発祥の地ナゴヤ」の進め方でしょうか。お答えください。
行政責任の明確化がされないではないか
【かとう議員】 「地域委員会モデル実施に関する要綱」には「住民が自らの地域の課題を解決するために、住民から選ばれた委員を中心に議論し、市予算の一部の使い道を決め」、「議会の議決を経て予算化」されると書かれています。
そして、予算の使い道は「地域予算」「地域予算の除外対象」と基準が定められており、地域予算の除外対象は、本来市全体で取り組むものや国の制度で定められているものなどあります。福祉や教育は国の制度で定められていますから、だれでもお世話さえすればいいものではありません。子どもの福祉でも、高齢者の福祉でも障害者の福祉でも、これに携わる方の専門性が問われます。また、市内のどこでも同じレベルの福祉を受けることができることも当然のことです。
ところが、これまで、河村市長は、市民に向けてタウンミーティングなどあちこちの場で、待機児童対策、不登校や虐待の問題、高齢者介護の問題など、市民の切実な願いを住民自治として「地域委員会」で予算を決めることができると言ってきました。
市長は、なんでも地域でできるとして専門性を無視し、制限をなくして、行政から切り離し、すべて地域委員会に丸投げしようとしているようであります。市長は、地域委員会に福祉・保育・介護等の公共サービスを担わせる「福祉の構造改革」をめざしているのではありませんか。
そこで市長にお尋ねします。
地域委員会で市民が自らの地域課題を解決できるよう、市長は、地域委員会の意見を尊重することと、市は市民の福祉や教育に責任を持って行うこととを、住み分けを明らかにするべきと考えます。市長は言葉に責任を持つべきです。市長は、市の最高責任者として、これらについて責任ある説明をするべきと考えますが、お答えください。
地域委員会は行政機関ではないのか(再質問)
【かとう議員】 「地域委員会」の基本性格について、お尋ねします。
市長は「ボランティア議会」といい、市は説明パンフレットで「住民主体の行政機関」とあります。「議会」と「行政機関」とは全く性格、役割が違います。「地域委員会」は「議会」ですか。「行政機関」ですか。どちらかお答えください。
要綱でも行政機関だと言っている
【かとう議員】 住民自治をすすめることに異論はない。地域の自治会は民主主義を実現するために頑張っている。これを否定して地域委員会をつくり、ぶつけているから、否定しているのと同じです。要綱でも行政機関だと言っているのに市長が議会だと言っていては困ります。再度聞きます。
責任ある言葉を(意見)
【かとう議員】 市長は市の責任者として責任ある言葉を発していただきたい。
関連質問 田口一登議員
地域委員会を議会とこだわるネライは市議会の無力化
監視・監督権もないのに、地域委員会をボランティア議会といって「議会」にこだわるのか
【田口議員】 地域委員会をボランティア議会と言っているのは市役所の中でも市長だけです。誰も言ってません。どこにも書いてありません。名古屋市の地域委員会の要綱にもありません。市が発行するパンフレットにも広報なごやにもありません。地域委員会をボランティアと言っているのは市長だけです。どうして市長がボランティア議会、議会でないのに議会にこだわるのか。まず議会でないということをはっきりさせていきたい。本物の議会には議決権がある。監視・監督権がある。地域委員会にありますか。
地域委員会をボランティア議会というのは、議会の発展的解消が狙い
【田口議員】 地方自治体に議事機関を置く。これは憲法で定められています。憲法で定められた議会の一つが名古屋市議会なのです。市長がなぜ地域委員会をボランティア議会というのか、それは市長が小中学校区単位でボランティア議会なるものを作っていけば、市町村の議会や議員は不用になるという考えを持っているからだ。これは2008年の河村ビジョンの中で「議会は発展的に解消する」とかいてある。ここにあなたが地域委員会をボランティア議会と呼ぶ狙いがあるんじゃないですか。
地域委員会は行政機関。ボランティア議会と呼ぶ根拠や意図は議会は縮小にある
【田口議員】 議会改革は議論しましょう。又機会はあります。市長ビジョンの中で、新しい街を小中学校区単位でつくり、そこにボランティア議会をおいていけば、やがて議会は縮小し、発展的に解消するとはっきり書いてることは間違いない。こういう思想があるから、あなたは地域委員会、今の地域委員会は行政機関です。市長のもとにある機関です。それをあえてボランティア議会と呼ぶ根拠や意図があるということをはっきりと言っておきます。
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市立病院としての役割は基本的に終えた。高齢者にやさしい施設に
【病院局長】
今回の経営形態の変更に関しては、市民や開業医の先生方など多方面から、様々なご意見を頂いている。
城西病院は、周辺に多数の病院が存在し、急性期の医療を担う病隈が十分充足されているため、その役割は必要なく、また、回復期慢性期等の医療については民間医療施設による対応が望ましいことから、市立病院としての役割は基本的に終えたと考える。今後は、高齢者が多いという周辺地域の状況から、高齢者にやさしい施設、又、周辺の医療機関等と連携のとれた施設となることが望ましいと考える。