後期高齢者医療広域連合議会 第1回定例会 2月10日
田口 かずと議員

平成22年第1回愛知県後期高齢者医療広域連合議会が2月10日(水)午後2時から行われました。日本共産党のただ一人の議員として、田口かずと議員(名古屋市選出)が広域連合議員に選出されています。条例案や予算案審議について概要を紹介します。

議案第3号
後期高齢者医療に関する条例の一部改正について

保険料値上げに対する認識を問う

【田口議員】
本件は、平成22年度および23年度の保険料について、均等割額を1,669円引き上げて41,844円に、所得割率を0.42%引き上げて7.85%に改定するものです。保険料は一人当たり平均で年額3,660円、4.95%の値上げとなります。

昨年の総選挙後、後期高齢者医療制度の廃止をマニフェストに掲げた民主党を中心とする新政権が誕生し、多くの国民は、この制度はすぐに廃止されるだろうと期待していました。ところが、鳩山政権は、廃止を4年先送りする方針を決めました。後期高齢者医療の保険料は2年ごとに改定され、値上げになりますので、廃止を先送りする間に、2度の保険料値上げが後期高齢者の暮らしを直撃することになるのです。

高齢者の方の声を紹介したいと思います。

「老人は金持ちに思われています。現在の制度は老人から金をとれという制度です。大半が年金生活者であり、年金額はほとんど増えていないにも関わらず、私の場合、介護保険料、国民健康保険料、固定資産税、住民税など総額は平成15年に比べると約2倍になっています」。

これは、昨年10月21日に広域連合が開いた後期高齢者医療制度に関する懇談会でのある委員の方の発言です。広域連合のホームページに掲載されていましたので紹介させていただきましたが、この懇談会では他の委員からも、「保険料が高いということでみんなで審査会に申し立てをしましたが、結局は広域連合条例に基づいた決定という理由で全て却下されてしまい、辛い思いをしました」という意見も出されています。

この4月から保険料が値上げされますと、負担がさらに増え、高齢者にいっそう辛い思いを強いることになるのではありませんか。国が、先送りするとはいえ、制度そのものを廃止するというのなら、国と愛知県にさらなる財政支援を求めるなどして、保険料は据え置くべきではありませんか。保険料値上げにたいする連合長の認識を伺います。

約5%の増に抑えることができた(連合長)

【連合長】
一人当たり医療費の増加などにより、保険料は、前年度に比較して約12%も増加することが見込まれた。

連合長としては、加入されているみなさんに不安や混乱を生じさせることがないよう、可能な限り保険料負担の増加を抑制することが必要であると、強く認識している。このため、厚生労働大臣に対して、全国の広域連合とともに、保険料の増加抑制への財政支援を強く要望した。また、知事に対しても、県が管理している財政安定化基金を保険料の増加抑制に活用できるよう要望した。

その結果、県の財政安定化基金への積み増し及び取り崩しにより財政支援を受けることができ、保険料負担は、約5%の増に抑えることができた。

<保険料が増加する要因>
ー人当たり医療費の伸びにより約4.6%増加
後期高齢者負担率の上昇により約2.6%増加
平成20年度及び21年度における医療給付費の算定期間が23か月であったことにより約4.3%増加
所得の減少が見込まれることにより約2.0%増加
≪保険料増加の抑制策≫
広域連合の剰余金等の活用=17億円
県財政安定化基金の活用=92億円
・21年度末積立残高 24億円
・積立金拠出率改定(0.09%→0.25%)
2年で88億円積立(連合分29億円)
・県基金の取り崩し 2年で92億円
保険料の改定案(平均年額)
一人当たり 73,998円→77,658円
*均等割額 40,175円→41,844円
*所得割率  7.42%→ 7.85%
年金収入別保険料値上げ例
(妻の年金は80万円以下の場合)
夫の年金   現行保険料   新保険料 値上額
79万円
*1
4,000 4,100 100
4,000 4,100 100
合計 8,000 8,200 200
168万円
*2
11,500 12,100 600
6,000 6,200 200
合計 17,500 18,300 800
192.5万円
*3
34,700 36,400 1,700
20,000 20,900 900
合計 54,700 57,300 2,600
211万円
*4
53,600 56,200 2,600
32,100 33,400 1,300
合計 85,700 89,600 3,900
250万円
*5
112,200 117,900 5,700
40,100 41,800 1,700
合計 152,300 159,700 7,400

・妻の所得割額はいずれの例も0円。
*1 夫も所得割0円(〜153万円)。均等割は2人とも9割軽減(〜80万円)。
*2 夫の所得割は5割軽減(153〜211万円)。均等割は2人とも8.5割軽減(80〜168万円)。
*3 夫の所得割は5割軽減。均等割は2人とも5割軽減(168〜192.5万円)。
*4 夫の所得割は5割軽減。均等割は2人とも2割軽減(192.5〜238万円)。
*5 減免対象外(211〜238万円は均等割2割減免がある)

国が保険料値上げを抑制する予算を盛り込まなかったことに甘んじるのか

【田口議員】
保健料値上げの要因は、大きく二つあると思います。一つは、後期高齢者の人口の増加、もう一つは、医療給付費の増加です。他の医療保険でも医療費の増加が保険料値上げに影響しますが、人口が増えることで値上げになるのは、75歳という年齢で区切って囲い込む後期高齢者医療制度だけであります。

後期高齢者の人口の増加割合にともなう値上げ分、すなわち後期高齢者負担率の上昇は約2.6%と見込まれています。厚生労働大臣は昨年の臨時国会で、後期高齢者医療制度は、「75歳以上の、病院に行く頻度の高い方だけを区切った制度であるので、保険料が急上昇する」と認め、保険料上昇の「負担を少しでも抑制していく措置」を概算要求に盛り込んだと答弁していました。厚生労働省は昨年10月26日、各広域連合にたいして、「後期高齢者負担率の上昇による保険料の増加分について国庫補助を行うことを検討」しているとの事務連絡を出していました。

ところが、国の来年度予算案には、値上げを抑制する予算は盛り込まれませんでした。国会で答弁し、広域連合に通知していたにもかかわらず、結局、国庫補助を行なわない。鳩山政権が、制度の廃止を先送りし、しかも、廃止するまでの間は負担を抑制する措置をとるといったこともやらないのは、国民の願いを裏切る“二重の後退”だといわなければなりません。

保険料値上げの抑制は、地方に押し付けられました。厚生労働大臣は、現在開かれている国会で、広域連合が「財政安定化基金を使ったら同じお金を国庫から負担する」と弁解しましたが、財政安定化基金は、3分の1は保険料負担に跳ね返り、3分の1は都道府県の負担であり、国は3分の1しか負担しません。本広域連合も、財政安定化基金の積み増しと取り崩しによって保険料の上昇を一定程度抑制するとしていますが、それでも約5%の値上げになるのです。

そこで、連合長にお尋ねします。国庫補助を行うことを検討していると国から連絡を受けたにもかかわらず、国庫補助が付かなかったことにたいして、広域連合としても失望されたのではないかと思いますが、来年度予算に保険料値上げを抑制する予算を盛り込まなかった国の姿勢について、どのようにお考えですか。政府が、75歳という年齢で区切る制度の欠陥を認識しているのなら、保険料増加分については国が負担すべきです。国にたいして、少なくとも後期高齢者負担率の上昇分ぐらいは国庫補助を付けるよう、国に要望すべきではありませんか。お答えください。

財政措置が得られなかったことは、大変遺憾(連合長)

【連合長】
厚生労働大臣に、『保険料率上昇要因の一つである後期高齢者負担率を、現行のまま維持すること』も強く要望した。

保険料が増加する分は国が財政措置を行うべきとの思いでしたが、結果として財政措置が得られなかったことは、大変遺憾です。

愛知県に健康診査事業への補助を求めよ

【田口議員】
保険料値上げを抑制するためには、国からの財政支援を求めるとともに、愛知県にたいしてもさらなる財政支援を求める必要があります。この点で私は、この間の定例会でも質問してきましたが、愛知県から健診事業への補助を得ることもその一つだと考えています。

昨年8月の定例会では、連合長も「県からの健康診査事業に対する財政支援をお願いするため、……健康診査事業に対する公費助成について格別のご配慮を賜りたい旨の要望書を……愛知県知事に対して提出した」と答弁されました。

今回の保険料改定にあたって、愛知県はこの要望に応えてくれたのでしょうか。そうでなければ、引き続き愛知県にたいして健診事業への補助を要請すべきではないでしょうか。連合長の答弁を求めます。

財政安定化基金を増額して交付された(連合長)

【連合長】
健康診査事業に対する愛知県への財政支援は、昨年7月に保険料負担を少しでも軽減できるよう要望書を提出したが、残念ながら、愛知県から補助をいただくことはできませんでした。

しかしながら、保険料の増加抑制策として財政安定化基金を増額の上、当広域連合に交付金としていただくこととなり、保険料負担の軽減につながるもので、間接的ですが、健康診査事業への財政支援の要望にも配慮されたものです。

保険料値上げは、名古屋市の市民税減税を吹き飛ばす額だ(再質問)

【田口議員】
連合長は、後期高齢者の方々に「不安や混乱を生じさせることがないよう」、保険料増加を抑制することが必要だという認識を示されましたが、約5%の増加に抑えたから、不安や混乱を生じさないといえるのでしょうか。

たとえば、夫の年金が250万円、妻の年金が80万円以下の夫婦世帯の場合、後期高齢者医療の保険料値上げ額は合計で7,400円です。一方、名古屋市では来年度から市民税10%減税が実施されますが、この世帯の場合ですと、減税額は3,400円です。河村たかし名古屋市長の鳴り物入りの10%減税で税金が安くなる分よりも、後期高齢者医療保険料の値上げ分の方が2倍以上も多い。市民税減税の恩恵は保険料値上げで吹き飛び、負担が増えます。ですから、約5%という値上げ幅はけっして小さなものではありません。

それでも連合長は、今回の保険料値上げ幅は、高齢者の方々に不安や混乱を生じさせるような値上げ幅ではないとお考えですか。

先ほども紹介しましたが、広域連合が開いた懇談会の席上でも、保険料が高いということで審査会に申し立てをしたが、却下され、辛い思いをしたと、委員の方が語っておられます。「保険料が高い」などと不服審査を請求された方は、この2年間に470人余りにのぼっていると聞きました。私は、今回の保険料値上げは、さらに辛い思いを後期高齢者に強いるものだと思いますが、連合長は、そのようにお感じになりませんか。お答えください。

不安や混乱を生じさせない対応ができた(連合長)

【連合長】
当初、約12%の大幅な伸びが見込まれたなか、4.95%までに抑制することができ、東京や大阪と同程度の上昇率となった。

様々な上昇要因があるなかで、9割軽減に該当する方の保険料は年間で100円の増、8.5割軽減に該当する方は年間で200円の増に抑えることができた。

可能な破り、被保険者のみなさんに不安や混乱を生じさせない対応ができたものと考えている。

基金をさらに活用して保険料を据え置け(意見)

【田口議員】
私は、約5%という保険料値上げは、後期高齢者の方々に不安や混乱を生じさせるものだと思います。東京や大阪と同程度の上昇率だと答弁されましたが、東京都では均等割を据え置きますので、約6割の方は保険料が据え置かれるそうです。全国の広域連合の中には、福井県などのように保険料を据え置くところもあります。埼玉県や神奈川県では保険料を引き下げると聞いています。

本県では、財政安定化基金を積み増しして取り崩すといっても、全部を取り崩すわけではありません。約20億円も残ります。これをもっと取り崩すなどして、せめて均等割だけでも据え置くことができれば、低所得者については保険料を値上げしなくてすむのです。さらに、国と県に財政支援を求めて、本広域連合でも保険料を据え置くよう求めて、質問を終わります。

20年度の自治体別後期高齢者医療費総額 および一人当たり医療費
市町村名 医療費総額
(円)
(H20.4−21.2)
被保険者数
(人)
(年度平均)
1人当たり
医療費
(円)
市町村名 医療費総額
(円)
(H20.4−21.2)
被保険者数
(人)
(年度平均)
1人当たり
医療費
(円)
名古屋市 172,849,442,704 202,865 852,042 愛西市 4,746,671,536 6,517 728,352
豊橋市 25,921,761,238 33,774 767,506 清須市 3,557,440,028 4,880 728,984
岡崎市 21,603,616,554 29,474 732,972 北名古屋市 4,075,110,554 5,352 761,418
一宮市 24,999,545,597 32,535 768,389 弥富市 2,788,793,941 3,737 746,265
瀬戸市 10,386,649,528 12,614 823,422 東郷町 1,988,002,310 2,522 788,264
半田市 7,221,938,336 10,053 718,386 長久手町 2,022,818,589 2,513 804,942
春日井市 17,234,169,653 22,523 765,181 豊山町 699,076,191 946 738,981
豊川市 11,567,219,918 14,782 782,521 春日町 543,361,594 619 877,805
津島市 4,706,521,169 6,189 760,466 大口町 1,278,107,445 1,648 775,551
碧南市 4,789,063,693 6,748 709,701 扶桑町 2,329,859,850 2,990 779,217
刈谷市 7,918,968,908 9,519 831,912 七宝町 1,316,745,768 1,702 773,646
豊田市 20,226,575,475 27,854 726,164 美和町 1,503,056,381 1,976 760,656
安城市 8,308,253,757 12,167 682,851 甚目寺町 2,134,178,083 2,494 855,725
西尾市 6,482,923,979 9,442 686,605 大治町 1,494,627,690 1,721 868,465
清郡市 6,557,037,760 9,159 715,912 蟹江町 2,467,834,288 2,958 834,292
犬山市 5,901,901,295 7,059 836,082 飛島町 344,086,273 602 571,572
常滑市 4,103,531,507 6,090 673,815 阿久比町 1,653,605,419 2,344 705,463
江南市 6,460,474,226 8,678 744,466 東浦町 2,935,894,972 3,925 747,999
小牧市 7,580,450,960 9,928 763,543 南知多町 2,408,401,619 3,228 746,097
稲沢市 8,827,815,590 12,021 734,366 美浜町 1,920,566,294 2,511 764,861
新城市 4,729,226,818 7,766 608,966 武豊町 2,503,408,974 3,189 785,014
東海市 6,216,993,932 7,750 802,193 一色町 1,708,971,480 2,837 602,387
大府市 4,322,164,630 5,798 745,458 吉良町 1,640,759,436 2,611 628,403
知多市 4,827,799,983 6,598 731,707 幡豆町 1,038,796,972 1,629 637,690
知立市 3,582,821,543 4,435 807,852 幸田町 1,989,010,607 3 701,344
尾張旭市 5,231,695,107 6,231 839,624 三好町 2,040,631,562 2,621 778,570
高浜市 2,538,318,321 3,540 717,039 設楽町 863,837,371 1,609 536,878
岩倉市 2,733,417,113 3,643 750,320 東栄町 658,795,487 1,190 553,610
豊明市 4,287,110,964 5,178 827,947 豊根村 174,570,120 405 431,037
日進市 4,524,983,081 5,339 847,534 小坂井町 1,705,356,387 2,213 770,608
田原市 4,905,087,145 7,744 633,405 合計 488,079,857,705 623,822 782,402

「後期高齢者医療に関する条例の一部改正」にたいする反対討論

値上げ抑制の努力は不十分

【田口議員】
後期高齢者医療に関する条例の一部改正にたいして反対の立場から討論を行います。

反対する理由は、後期高齢者医療の保険料を値上げし、加入者の方々に重い負担を強いることになるからです。

いま年金で暮らすお年寄りは、年金から、税金はいうに及ばず介護保険料、国民健康保険料、75歳以上の方は後期高齢者医療保険料を差し引かれ、しかもその額は年々重くなっています。中でも、後期高齢者医療の保険料は、高齢者の人口や医療費の増加に応じて2年ごとに保険料が上昇するという苛酷な仕組みになっています。ここに、75歳という年齢で区切って高齢者を囲い込むこの制度の大きな弊害の一つがあります。こんな“姥捨て”制度は、直ちに廃止すべきであります。

今回の保険料値上げは、剰余金の活用や財政安定化基金の積み増しと取り崩しなどによって、当初の試算よりも値上げ幅を抑制したとはいえ、財政安定化基金を約20億円も積み立てたままにするなど、値上げ抑制の努力は不十分だと言わなければなりません。約5%という保険料値上げは、後期高齢者の方々にさらに辛い思いを強いるものであり、到底、認めるわけにはまいりません。

以上の反対理由を申し上げ、討論を終わります。

議案第7号
平成22年度一般会計予算ついて

懇談会について

要綱で定めた組織を設置することに至った理由はなにか

後期高齢者医療制度に関する懇談会の委員

被保険者代表 石川 満清
河村 節子
久木 好子
清水 富士子
寺尾 登
山田 兼通
医療関係者代表 浅井 彦治
柵木 充明
兜森 正道
保険者団体代表 鈴木 英範
渡辺 誠
学識経験者代表 井口 昭久
田川 佳代子

【田口議員】
昨年9月、本広域連合に「後期高齢者医療制度に関する懇談会」が設置され、10月21日にその第1回の会議が開かれたということが、会議録も含めて広域連合のホームページに掲載されています。この懇談会の設置運営要綱を拝見しますと、懇談会は、「後期高齢者医療制度の被保険者を始めとする関係者の意見を聞く場」として設置されたものであり、年2回、開催することになっています。

被保険者の方も含めた常設の懇談会の設置については、愛知県社会保障推進協議会から4たび、本議会に請願が提出されており、私も、昨年8月の定例会で運営協議会など常設の組織を設置するよう求めました。その直後に、運営協議会か懇談会かという名称はともかくも、被保険者の代表を含む常設の組織が設置されたことは評価するものです。

そのうえで、事務局長にお尋ねします。

事務局長は昨年8月の定例会で、「運営協議会の設置は現在のところ考えておりません」と発言されました。私は、この発言を聞いて、後期高齢者などの意見を聞く場は必要に応じて持つけれども、要綱できちんと定められた常設の組織を設置する考えはないんだなと受けとめましたが、それが一転して、要綱で定めた常設の組織を設置することに至った理由は何か、お答えください。

関係者のご意見を直接伺う場として継続するため(事務局長)

【事務局長】
「運営協議会の設置は現在のところ考えておりません」と申し上げた趣旨は、「平成19年度に開催した懇談会を今後開催し、高齢者の方を始め関係者のご意見を直接伺う場として活用していく」ということです。この懇談会を継続的に運営するにあたり、懇談会の設置日的、委員構成あるいは任期を明確にするために新たに要綱を制定した。

被保険者の意見は制度運営に反映するのか

【田口議員】
この懇談会は、被保険者などの意見を聞くだけの場なのか、それとも、出された意見を制度の運営に反映させる考えがあるのか伺いたい。

第1回目の懇談会の会議録を拝見しますと、たとえば、この制度の名称について委員から、パンフレットなどでは長寿医療制度という名称を大きくして、正式名称である後期高齢者医療制度という名称が小さく書かれていることに関して、「広域連合が長寿医療制度という用語を用いるのは不適切」という意見が出され、これにたいして事務局長が、長寿医療制度は法律用語ではないので、「広域連合としても研究をしながら今後はパンフレットなどを作成したいと思います」と答えておられますので、委員からの意見は可能な限り制度の運営に反映させるおつもりだと理解しましたが、それでよいでしょうか。

意見等は今後の制度の運営に生かしていきたい(事務局長)

【事務局長】
懇談会では、具体的な施策の実現につながる意見を始め、制度に対する考えや思いをお聞きすることも必要と認識しており、委員からの意見等は、今後の制度の運営に十分生かしていきたい。

来年度の懇談会の開催時期等は

【田口議員】
来年度についてはこの懇談会をいつ頃、どのような議題で開催する予定なのか。

9月から10月頃と2月から3月頃の2回、実施したい(事務局長)

【事務局長】
懇談会設置運営要綱で年2回開催することとしている。来年度も、9月から10月頃と2月から3月頃の開催を予定している。議題は、後期高齢者医療制度に係る医療給付や保険料、あるいは保健事業などに関することを想定している。

委員を公募し、会議は公開を

【田口議員】
委員の選任にあたって、今後は公募の委員も含めるべきではないかと考えますが、そのお考えはないのか。また、懇談会は一般の傍聴を認めるなど公開の場で開催すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

公募はしない、公開もしないが会議録を後日公表する(事務局長)

【事務局長】
懇談会の委員は、被保険者、医療関係者、保険者団体及び学識経験者からお願いし、被保険者の委員の選任は、愛知県老人クラブ連合会及び名古屋市老人クラブ連合会から適任者を推薦していただいている。要綱で定める13名の定数で就任していただいており、任期も2年となっているので、現在のところ、委員の公募は考えていない。

また、制度に対する被保険者の方等のご意見を伺うことを目的としており、委員の率直な意見表明ができなくなる恐れがあると考えて、懇談会の公開は控えさせていただいている。

なお、懇談会の会議録を当広域連合のホームページに掲載しています。

開かなくてもいい懇談会から、常設の懇談会への発展は評価する(意見)

【田口議員】
「後期高齢者医療制度に関する懇談会」についてですが、平成19年度に開催された懇談会は、要綱で定めた常設の組織ではなかったために、平成20年度には一度も開催されませんでした。開いても開かなくてもよいという懇談会から、設置目的や委員構成、年2回開催などを要綱で定めた常設の懇談会へと発展させられたことは、名称はともかくとして、運営協議会の設置を求める市民団体からの請願に応えたものと理解させていただきます。

協定保養所利用助成事業について

見込み件数と実績見込み件数は

【田口議員】
第2は、協定保養所利用助成事業についてです。

これは、「あいち健康プラザ 健康宿泊館」、「名古屋市休養温泉ホーム 松ヶ島」など県内の6か所の保養所に後期高齢者が宿泊する際に、1人1泊千円を助成するという事業であり、昨年6月から実施されています。

しかし、今年度の利用実績は、当初予算での見込みを下回るために、先ほど議決されました平成21年度一般会計補正予算で、予算額が3850万円から1350万円に大幅に減額されました。

そこで、事務局長にお尋ねします。協定保養所利用助成事業について、今年度の当初予算の見込み件数と実績見込み件数はそれぞれどれだけか。利用実績が当初の見込みを大幅に下回ったのはどうしてか。来年度の利用はどの程度を見込んでいるのか、お答えください。

当初38,500人を見込んだが、最終的には5,800人程度(事務局長)

【事務局長】
利用者数の推計が大変難しく、協定予定の保養所における利用状況を参考にして、見込み件数は、38,500人とした。6月から12月までの実績が4,060人であり、最終的に5,800人程度と見込む。

周知徹底が不足しているのではないか

【田口議員】
75歳以上の方の健康の保持と増進にとって、この事業は有益な事業だと考えますが、その利用が伸び悩んでいる要因の一つに、周知不足があるのではないでしょうか。広域連合からの周知とともに、協定保養所の管理運営者にたいして、それぞれの保養所のパンフレットやホームページなどでもこの助成制度について周知していただくようお願いされていますか。たとえば、「名古屋市休養温泉ホーム 松ヶ島」のホームページでは、名古屋市の国民健康保険加入者には千円の割引制度があることは掲載されていても、後期高齢者医療制度の加入者については掲載されていません。ですから、協定保養所側からの周知も徹底していただく必要があると考えますが、事務局長の答弁を求めます。

広く浸透しなかった。ホームページやパンフレット、広報誌でPRしたい(事務局長)

【事務局長】
制度開始の1年目ということもあり、広く被保険者に浸透されていない面が大きかったのではないかと考えております。なお、利用が伸びない原因を探る目的のため、3月には利用者へのアンケート調査を実施する。平成22年度は、本年度の実績をふまえ、10,000人を見込む。

協定保養所のホームページへの掲載は、各協定保養所のホームページに掲載していただくよう、お願いをしている。今後の周知方法は、従来のホームページやパンフレットでの周知に併せて、市町村における広報紙への掲載も継続し、高齢の方々の目に付きやすく分かりやすい方法として、新たにポスターを作製し、市町村窓口、県下の老人クラブや高齢者利用施設などに配布し、掲示をしていく。さらに協定保養所が作成しているポスターやパンフレットなどにも掲載していただけるようお願いをする。

周知の徹底で利用が増えることを期待する(要望)

【田口議員】
協定保養所利用助成事業についてですが、様々な方法で周知を徹底するとの答弁をいただきましたので、それが功を奏して利用が増えることを期待します。

第8号議案
平成22年度後期高齢者医療特別会計予算ついて

資格証明書、短期保険証について

保険料滞納者数及び資格証明書の交付実績等はどうなったか

【田口議員】
第1は、保険料滞納者への資格証明書、および短期保険証の交付についてです。

私は、これまでも、医療なしでは生きていけない高齢者から保険証を取り上げることは、命綱を断ち切ることになることから、資格証明書を発行しないよう求めてきました。

厚生労働省は昨年10月26日、原則として資格証明書を交付しないとする通知を各広域連合に出しています。その通知では、資格証明書の交付については、「保険料の納付につき十分な収入等があるにもかかわらず、保険料を納付しない悪質な場合であって、資格証明書を交付しても必要な医療を受ける機会が損なわれないと認められるときに限って」おり、しかも、「資格証明書の交付を検討している事案が生じた場合には、厚生労働省に報告」し、厚生労働省は、「不適切と考えられる事案があれば交付しないよう要請するとともに、資格証明書が交付された場合には、その事案の概要について公表する」とされています。

そこで事務局長にお尋ねします。後期高齢者医療制度が発足して2年近く経ちますが、保険料を1年以上滞納している被保険者は何人いますか。こうした滞納者に資格証明書を交付した事案、また、交付を検討して厚生労働省に報告した事案はありますか。

資格証明書を交付したことはない(事務局長)

【事務局長】
保険料を1年以上滞納している被保険者は、平成21年12月末現在で、1,060人。滞納者に資格証明書を交付した事案、及び、検討をして厚生労働省へ報告した事案もない。

資格証明書を交付しないための努力とは

【田口議員】
次に、連合長にお尋ねしますが、資格証明書は原則として交付しないという厚生労働省の通知を踏まえて、後期高齢者医療制度の廃止に至るまでの間、資格証明書は1件も交付しないようにすべきだと考えますが、本広域連合として、この通知をどのように受け止めておられますか。また、資格証明書を交付しないためにどのように努力されますか。お答えください。

十分な納付相談を行う(連合長)

【連合長】
資格証明書は、保険料を納付する資力が十分にありながら、特別の事情もなく長期間保険料を支払っていないいわゆる悪質な滞納者で、かつ、資格証明書を交付しても必要な医療を受ける機会が損なわれないと認められるときに限られ、被保険者間の負担の公平の観点からやむを得ず行う措置であり、真に保険料を払えない人にまで、資格証明書を交付するものではない。

今回の通知は、大臣の「原則、資格証明書を交付しない」との方針に基づき出されたものであり、当広域連合としても、より厳格な運用を徹底したい。

したがって、本広域連合では、被保険者の収入や資産状況などの保険料の納付能力や特別な事情があるかどうかなど十分な納付相談を行っていく。

短期保険証の交付件数はいくつか

【田口議員】
資格証明書の交付には至らなくても、滞納者にたいして有効期限を縮めた短期保険証を交付する事案は昨年の8月から発生しています。広域連合にお聞きしたところ、昨年10月1日時点での短期保険証の交付実績は全県で628件であり、最高は豊田市の217件、一方、交付件数がゼロの市町村も32と約半数ありました。

名古屋市では、昨年7月末時点で38人に短期保険証を郵送で届けたそうですが、その後、保険料を完納して正規の保険証に切り替わったことなどによって、現在の交付数は6人だそうです。名古屋市の場合、短期保険証の有効期限は、20年度の滞納が3か月以上の人は期限1か月、3か月未満の人は期限2か月とのことです。ところが、昨年7月、有効期限が1か月ないし2か月の短期保険証を郵送したきり、期限が切れても新しい保険証が窓口に留め置かれ、本人の手元に渡っていない人が6人いるそうです。応答がないことが理由のようですが、この6人の方はこの数か月間、無保険状態に置かれているのです。

そこで、事務局長にお尋ねします。

一つ、短期保険証の交付件数について直近の数字をお聞かせください。

二つ、短期保険証の交付対象者で手元に保険証が渡っておらず、無保険状態になっている被保険者が何人いるのか、把握していますか。把握していればその人数をお答えください。

三つ、短期保険証が渡っていないという無保険状態を放置していてよいのでしょうか。保険証が手元に渡っていないということは、保険証の取り上げにほかならず、資格証明書の交付と同じことではありませんか。むしろ、資格証明書もないわけですから、こうした人たちは医療機関にかかることができません。短期保険証が渡っていない被保険者にたいして、速やかに保険証を手渡すよう市町村を指導すべきではありませんか。答弁を求めます。

21年12月末現在 短期保険者証交付状況
名古屋市 6 犬山市 0 田原市 0 蟹江町 0
豊橋市 9 常滑市 0 愛西市 9 飛島村 0
岡崎市 37 江南市 0 清須市 0 阿久比町 1
一宮市 0 小牧市 12 北名古屋市 0 東浦町 0
瀬戸市 18 稲沢市 2 弥富市 5 南知多町 0
半田市 22 新城市 0 みよし市(三好町) 4 美浜町 4
春日井市 0 東海市 11 東郷町 4 武豊町 6
豊川市 30 大府市 0 長久手町 2 一色町 0
津島市 0 知多市 0 豊山町 0 吉良町 0
碧南市 0 知立市 0 大口町 0 幡豆町 0
刈谷市 26 尾張旭市 0 扶桑町 0 幸田町 4
豊田市 121 高浜市 9 七宝町 5 設楽町 0
安城市 3 岩倉市 7 美和町 0 東栄町 0
西尾市 2 豊明市 6 甚目寺町 15 豊根村 0
蒲郡市 16 日進市 7 大治町 9 小坂井町 0
合計 403

12月末現在で403件短期保険証を交付、21名は呼び出しに応じない(事務局長)

【事務局長】
平成21年12月末現在で403件短期保険証が交付されている。毎月、市町村から報告を受け、交付状況の把握に努めている。納付相談の呼び出しをしても応じてもらえないなど、短期保険証を渡していない方は、平成21年12月末現在、21名です。

各市町村では、有効期限が切れる月の中旬に「後期高野者医療被保険者証更新のお知らせ」、「保険料の納付のお願い及び納付相談のご案内」等を送り、来庁の勧奨を積極的に行い、それでもなお、来庁しない方には、翌月に再度の呼び出しをするなどして、保険証の更新及び納付相談に努めている。

その後も各市町村の報告で交付状況を把握のうえ、広域連合としては納付相談、保険証の交付をするよう指導しており、各市町村も、引き続き、職員による公簿調査や訪問調査を行うなど、保険証の交付に鋭意努力している。

無保険状態で放置しておくことは絶対にあってはならない(再質問)

【田口議員】
短期保険証すら渡っていない人が21名いるとの答弁でした。この人たちは、保険証が手元にないわけですから、医者にかかれない人たちです。75歳以上の方というのは、急に容態が悪くなって、医者に駆け込む必要が生じる場合が少なくありません。そんなときに保険証がない人たちはどうするのでしょうか。無保険状態で放置しておくことは、まさに命に直結する問題ではありませんか。事務局長にまず、この点での認識を伺います。

保険証が渡っていない理由は、納付相談の呼び出しをしても応じてもらえないからと言いますが、名古屋市の場合は、短期保険証の対象者の方には、一度は全員に保険証を郵送しているのですから、郵送すれば保険証は手元に届くのです。呼び出しに応じてもらえないからといって、渡せるのに保険証を渡さなくていいのですか。郵送で届くんだったら、文書を送って応答を待っているのではなくて、訪問して相談にのり、保険証を手渡せばいいじゃないですか。

高齢者を無保険状態で放置しておくことは異常なことです。絶対にあってはなりません。この立場に立って、保険証が渡っていない人をなくすために市町村を強力に指導すべきではありませんか。事務局長の答弁を求めます。

繰り返し、呼び出しや訪問等を行うよう指導する(事務局長)

【事務局長】
保険証につきましては、被保険者の皆さんが安心して医療が受けられるよう、原則として、お渡しすべきものと考えております。

短期保険証は、被保険者間の負担の公平を図るべく、納付相談の機会を設けることにより保険料の納付につなげるためのものでありますので、納付相談のお呼び出しに応じていただけなかった方に郵送を行うことまでは、考えておりません。

しかしながら、被保険者資格のある方が保険証をお持ちでない事例がありますので、このようなことが無いように、被保険者の方の窓口となる市町村において、今後も引き続き、繰り返しのお呼び出しや訪問等を行うよう指導してまいります。

ただちに保険証を手渡すよう求める(意見)

【田口議員】
事務局長は保険証の交付に努力すると答弁されました。現在いる21名の無保険の方については、ただちに保険証を手渡すよう求めます。

20年度 保険料収納率
市町村名 収納率
(%)
普通徴収
収納率
(%)
市町村名 収納率
(%)
普通徴収
収納率
(%)
市町村名 収納率
(%)
普通徴収
収納率
(%)
名古屋市 99.1 97.9 常滑市 99.5 98.3 清須市 99.0 97.9
東浦町 99.6 99.5 豊橋市 97.3 93.5 江南市 98.9 97.2
北名古屋市 98.3 96.3 南知多町 99.4 98.6 岡崎市 99.4 98.6
小牧市 99.1 98.1 弥富市 98.9 97.3 美浜町 99.8 99.4
一宮市 98.6 96.7 稲沢市 99.0 97.3 東郷町 99.3 98.6
武豊町 99.5 98.5 瀬戸市 99.3 98.0 新城市 99.4 97.8
長久手町 99.3 98.5 一色町 99.5 99.0 半田市 99.6 98.8
東海市 99.5 98.9 豊山町 99.9 97.9 吉良町 99.9 99.9
春日井市 99.2 98.1 大府市 99.2 97.9 春日町 99.9 99.9
幡豆町 99.9 99.9 豊川市 99.4 98.5 知多市 99.4 98.0
大口町 99.6 99.0 幸田町 99.6 98.9 津島市 99.6 98.9
知立市 99.6 98.9 扶桑町 99.2 97.7 三好町 99.4 98.7
碧南市 99.5 98.7 尾張旭市 98.9 97.1 七宝町 99.5 98.7
設楽町 99.9 99.7 刈谷市 99.5 98.8 高浜市 99.5 98.8
美和町 99.5 98.7 東栄町 99.8 99.2 豊田市 99.0 97.8
岩倉市 99.3 98.5 甚目寺町 98.5 97.1 豊根村 98.7 95.2
安城市 99.4 98.5 豊明市 99.7 99.2 大治町 99.1 98.2
小坂井町 99.8 99.5 西尾市 99.6 99.1 日進市 99.7 99.2
蟹江町 99.7 99.4 蒲郡市 99.4 98.5 田原市 99.4 98.2
飛島村 98.3 97.0 犬山市 99.4 98.3 愛西市 99.2 97.6
阿久比町 99.6 98.7       広域連合 99.1 97.9

健診事業について

健診事業の受診率は向上したか

【田口議員】
第2は、健診事業の受診率の向上についてです。

後期高齢者医療における健診事業は、法律では努力義務とされたこともあって、75歳以上の方の受診率は、この制度に移行する以前と比べて低下し、20年度の本県の受診率は20.2%でした。本広域連合では、今年度の受診率を30%と見込み、受診率を向上させるために、通年実施あるいは可能な限り長い実施期間を設定する、生活習慣病で治療中の人であっても希望者には実施するという方針で取り組まれております。

そこで、事務局長にお尋ねしますが、21年度の健診受診率の実績はどの程度見込まれますか。21年度に実施している受診率向上の方針は功を奏していますか。

20年度の受診率 20.21%、21年度は31%程度と見込む(事務局長)

【事務局長】
21年度の受診率は31%程度と見込んでおり、20年度の受診率20.21%に比較して向上している。

受診率を向上にむけ、どのような取り組みを実施するのか

【田口議員】
政府は昨年10月16日、各広域連合にたいして健診の受診率を向上させるために、平成22年度の目標受診率と目標受診率達成に向けた具体的な取り組みを掲げた健康診査受診率向上計画を策定するよう通知しています。

本広域連合では、平成22年度の目標受診率を何%に設定しているのか。また、その目標を達成するために、来年度はどのような取り組みを実施されるのか。健診項目に貧血検査や心電図検査、眼底検査が追加されますが、これも受診率向上の一環なのか、事務局長に伺います。

22年度の目標受診率は32%と設定し、様々な取り組みを行う(事務局長)

【事務局長】
健康診査受診率向上計画における平成22年度の目標受診率は32%と設定し、具体的な取り組みについては、

  1. 健康診査の目的や受診方法を広報紙やホームページへ掲載する。
  2. がん検診などの他の健診と同時に実施できるようにする。
  3. 被保険者全員に受診券を配布する。
  4. 健康診査の受診機会を増やすため、極力年間を通した受診期間とする。
  5. 検査項目に詳細項目を追加して実施する。
  6. 未受診者に対して受診勧奨や広報紙への掲載を実施していく。

こととして、今後、受診率向上に努めていく。

なお、詳細項目の追加は、被保険者及び市町村からの要望を受け、平成22年度より実施していくが、この見直しは、受診率向上につながるものと考えております。

廃止を先送りしたことについて

後期高齢者医療制度の廃止「先送り」に対する連合長の認識は

【田口議員】
第3は、国が後期高齢者医療制度の廃止を先送りしたことについてです。

先ほども申し上げましたが、総選挙で政権が交代し、多くの国民が、後期高齢者医療制度はすぐに廃止されるだろうと期待していました。2008年の6月には、当時の野党4党が提出した後期高齢者医療制度を廃止し、元の老人保健制度に戻す法案が、参議院で可決されています。75歳という年齢で高齢者を区切り、差別するこの制度はすぐに廃止し、いったん元の老人保健制度に戻す。そのうえで、新たな制度について国民の合意を図りながら検討していけばよいと思うのです。

制度の廃止が先送りされるために、今年の4月から保険料が値上げされようとしています。国が約束していた保険料値上げの抑制措置を講じなかったことにもっぱらの要因があるにしても、保険料が値上げされ、後期高齢者に負担増が押し付けられることが、本特別会計予算の最大の問題であります。

そこで、お尋ねします。後期高齢者医療制度は、2年ごとの保険料値上げ、後期高齢者の人口増にともなう保険料値上げなどに見られるように、存続すればするほど被害が広がる制度という認識をお持ちですか。政府がこの制度を廃止するというのなら、直ちに廃止して元の老人保健制度に戻すことが、被害をふせぐ道だとお考えになりませんか。連合長の見解を伺います。

理念は妥当だが運用面で問題点があり、新たな高齢者医療制度の検討を見守る(連合長)

【連合長】
後期高齢者医療制度は、「国民皆保険」を堅持し、将来にわたり安心して医療が受けられるようにするために創設された制度と認識しており、制度の理念は妥当なものと考えている。

しかし、制度の運用面で諸々の問題点があり、新政権下において、新たな高齢者医療制度を検討しているので、連合長としては、その検討状況を見守っていきたい。

75歳以上という年齢で差別することが問題。ただちに廃止すべきだ(意見)

【田口議員】
後期高齢者医療制度にたいする連合長の認識についてですが、「将来にわたり安心して医療が受けられるようにするために創設された制度」という認識は、私の認識とも、多くの国民の認識とも違うということを申し上げておきたい。この制度の最大の問題点は、75歳以上という年齢で差別するところにあります。鳩山首相も、昨年の臨時国会で「後期高齢者を年齢で差別する後期高齢者医療制度」と呼んでいるように、制度の運用面で問題があるにとどまらず、高齢者差別という制度の本質に問題があるのです。本質的に問題のある制度は、直ちに廃止すべきであります。

「平成22年度特別会計予算」にたいする反対討論

鳩山政権の対応は、国民の願いを裏切る“二重の後退”

【田口議員】
平成22年度特別会計予算にたいして反対の立場から討論を行います。

反対する理由は、後期高齢者医療制度の廃止が先送りされ、今年4月からの保険料値上げが盛り込まれた予算となっているからであります。

この制度の根本的な問題は、高齢者を年齢で差別するところにあり、そのことが、“姥捨て”制度だという国民の怒りを広げました。この国民の怒りが、先の総選挙で政権交代をもたらした一つの要因だったと思います。ところが、鳩山政権は、制度の廃止を4年先送りし、しかも、保険料の負担をふやさないという約束まで反故にしました。これは、国民の願いを裏切る“二重の後退”であります。

そのために保険料が値上げされ、高齢者に重い負担が強いられることになります。さらに2年後には再度の保険料値上げが待ち受けています。この制度は、存続すればするほど被害が広がる制度であり、直ちに廃止すべきであります。

以上の点から、本予算を認めることはできないということを申し上げ、討論を終わります。

≪一般質問≫
障害者の医療費助成に後期高齢者への加入を前提にするな、医療費の一部負担金の減免を

障害者にたいする医療費助成について

後期高齢者医療制度に加入しない65〜74歳の障害者にたいする医療費助成を求める

【田口議員】
後期高齢者医療制度に加入しない65歳から74歳までの障害者にたいする医療費助成について質問します。

65歳から74歳までの障害者については、法律上は後期高齢者医療制度への加入は本人の選択になっていますが、愛知県では、障害者医療費助成を受ける場合には後期高齢者医療制度への加入が条件とされているため、事実上の65歳からの強制加入となっています。

愛知県のように後期高齢者医療制度への加入を障害者医療費助成の要件としていたところは10道県ありましたが、国からの検討要請を受けて、これまで4県でこの制度への加入を助成要件としないようにするなどの見直しが行われました。一方、4道県では現行どおりこの制度への加入を助成要件とし、残る2県、そのうち1県は愛知県ですが、いまだ検討中とのことです。

後期高齢者医療制度は、先送りされるとはいえ廃止の方向です。しかし、廃止されるまでの間も、65歳を迎えた障害者は、愛知県では医療費助成を受けるために、否応なしにこの制度に加入しなければなりません。近々廃止になる予定の制度に、どうして障害者は65歳から加入しなければいけないのか。愛知県でも、後期高齢者医療制度への加入を障害者医療費助成の要件としないよう、見直されるべきです。

そこで、連合長にお尋ねします。障害者医療費助成の要件の見直しの検討状況について、愛知県からどのように聞いていますか。広域連合から愛知県にたいして、後期高齢者医療制度を選択しない65歳から74歳の障害者にも、障害者医療費助成を適用するよう強く求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

愛知県に適用を求めるのは、難しい(連合長)

【連合長】
現時点で、愛知県から平成22年度は見直しを行わないと聞いている。愛知県は後期高齢者医療制度など他の法令等の医療制度を優先すべきとの考えで現行制度が運用されており、これは県全体の障害者福祉施策の中の大変大きな問題であり、保険者としての立場からは、適用を求めるのは難しい。

廃止する制度でもあり、加入を助成要件としないようもとめる(要望)

【田口議員】
65歳から74歳までの障害者にたいする医療費助成についてですが、平成22年度は見直しを行わないという愛知県の姿勢はたいへん問題です。後期高齢者医療制度は廃止の方向なのですから、この制度への加入を障害者医療費助成の要件としないよう、見直すことを愛知県に求めたいと思います。

医療費の一部負担金の減免について

医療費の一部負担金の減免を

【田口議員】
次に、医療費の一部負担金の減免について質問します。

私は昨年8月の定例会で、医療費の窓口負担、すなわち一部負担金の減免について、本広域連合では、災害により住宅に著しい損害を受けた場合における免除だけに限定されている点を指摘し、様々な事情で収入が激減した場合も減免の対象とするよう求めました。これにたいして事務局長は、「諸々の事情による収入激減者に対しても、一部負担金の減額、免除、徴収猶予等の措置について、市町村との協議も踏まえて、今後検討を進めていく」と答弁されました。

そこで、事務局長にお尋ねしますが、一部負担金の減免規定について、その後、どのように見直しを検討し、改善されたのか、お聞かせください。

国からの通知に準じて見直しや調整を行っている(事務局長)

【事務局長】
一部負担金の減免規定は、国からの通知に順じ、諸々の事情で収入が激減した場合も減額・免除・徴収猶予の措置が出来るよう、他の広域連合及び県下市町村国保の実施状況の調査、さらには、市町村職員との協議を重ねるなど、検討を進め、その結果、平成22年度からの実施に向け、国からの通知に準じて規定の見直しや関係機関との調整を現在進めている。

一部負担金の減免は周知徹底を。75歳以上は無料をめざせ(要望)

【田口議員】
「諸々の事情で収入が激減した場合も減額・免除・徴収猶予の措置ができるよう」規定を見直し、来年度から実施するとのことですので、これは一歩前進だと思います。ただ、国民健康保険の場合も、一部負担金の減免については、制度の周知不足もあって適用件数がたいへん少ないという実態がありますので、制度の周知を徹底する必要があります。保険証更新時に同封している冊子の中に一部負担金の減免制度についても明記したり、市町村の窓口に制度紹介のチラシや申請書を置くなど、PRに努めていただきますよう要望しておきます。

なお、医療費の一部負担金の減免が適用されるのは、規定を見直しても特別な事情がある場合に限られます。私は、75歳以上の高齢者については、医療費の窓口負担を無料にすることを国に求めたいと思います。

≪請願審査≫
保険料の引き下げ、独自減免、議員定数増などを求めるのは当然の要求

全員協議会での趣旨説明

【田口議員】
請願第1号、同第2号について、趣旨を簡単にご説明申し上げます。

昨年の総選挙後に誕生した民主党を中心とする新政権は、後期高齢者医療制度を4年後に廃止する方針を決めましたが、廃止されるまでの間、制度は継続し、今年4月には保険料が値上げされようとしており、保険料未納者への保険証の取り上げ、資格証明書の発行も心配されます。

高齢者人口の割合が増加すると自動的に保険料が値上げされる仕組みや、以前の老人保健制度では禁止されていた高齢者への資格証明書の発行を可能とする仕組みなどは、後期高齢者医療制度の大きな弊害だといわなければなりません。

この制度の矛盾を根本的に解消するには、制度そのものを速やかに廃止することが必要であると考えますが、制度が運用されている状況に鑑み、請願第1号では、保険料引き上げを行わないこと、愛知県独自の保険料軽減制度を創設すること、愛知県にたいして健康診査事業などへの補助などを求めて、保険料負担を軽減することを、請願第2号では、資格証明書の発行を行わないことを求めるものです。

以上の請願の趣旨をおくみとりいただき、皆様のご賛同をお願いして、趣旨説明を終わります。

賛成討論

請願第1号
「後期高齢者医療制度の保険料に関する請願書」にたいする賛成討論

【田口議員】
「後期高齢者医療制度の保険料に関する請願」について、賛成の立場から討論を行ないます。

まず、第1項の今年4月からの保険料引き上げを行わないことについてですが、先ほど来、申し上げてきたように、保険料の引き上げは、後期高齢者に負担増を強いるものであり、やめるべきです。

次に、第2項の愛知県独自の保険料軽減制度の創設についてです。全国の広域連合の中には、独自の保険料軽減制度を設けているところがあります。たとえば、東京都広域連合では、葬祭事業、審査支払手数料、財政安定化基金拠出金、収納率による保険料上乗せ分の4つの事業について、保険料算定からはずして区市町村負担とすることによって、保険料を軽減してきました。本広域連合としても、とくに低所得者にたいする独自の保険料軽減制度の創設が求められています。

次に、第3項の愛知県にたいして健康診査事業などへの補助を求めて、保険料負担を軽減することについてです。健診事業への都道府県からの補助については、平成20年度に11の都道府県で広域連合への補助が行われています。本広域連合も昨年7月、愛知県に要望書を提出しましたが、愛知県からの補助は実現していません。愛知県は、保険料の増加抑制策として財政安定化基金の積み増しと取り崩しを行う予定ですが、それとは別に、健診事業などへの補助を行っていただければ、さらに保険料負担を軽減することができるわけですから、繰り返し愛知県に求めるべきです。

以上の理由から、本請願の採択を求めて、賛成討論を終わります。

請願第1号 後期高齢者医療制度の保険料に関する請願書

【請願趣旨】
後期高齢者医療制度が実施されてまもなく2年となろうとしていますが、この制度の不合理な点や矛盾はますます明らかになり、度重なる見直しを経ても、なお不満や怒りは治まっていません。
昨年9月に誕生した民主党を中心とした新政権は、「後期高齢者医療制度」を4年後に廃止することを決め、廃止に向けて「高齢者医療制度改革会議」を発足させてその検討を始めました。
しかし、廃止されるまでの間、制度は継続し、まもなく保険料改定時期を迎えます。厚労省は4月の改定で、2009年度より13.8%の増加となるとの試算を公表しており、このまま推移すれば保険料の大幅引き上げが心配されます。
そもそも高齢者人口割合が増加すると自動的に保険料が値上げされる仕組み自体が制度的な欠陥だと言わねばなりません。
私たちは、後期高齢者医療の矛盾を根本的に解消するには、制度そのものを速やかに廃止することが必要だと考えますが、制度が運用されている状況に鑑み、後期高齢者のいのちと健康を守る立場から、次の事項の実現を求めます。

【請願事項】

  1. 今年4月からの保険料引き上げを行わないでください。
  2. 低所得者に対し、愛知県独自の保険料軽減制度を設けてください。
  3. 愛知県に対し、健康診査事業なとへの補助を強く求めて、高齢者の保険料負担を軽減してください。

請願第2号
「資格証明書の発行を行わないことを求める請願書」にたいする賛成討論

【田口議員】
「資格証明書の発行を行わないことを求める請願」について、賛成の立場から討論を行ないます。

資格証明書の発行について当局は、先ほどの特別会計予算の質疑に中で、厚生労働大臣の「原則、資格証明書は交付しない」との方針にもとづいて出された厚生労働省の通知を踏まえて、より厳格な運用を徹底すると答弁されました。「原則として交付しない」という国の方針は、資格証明書は交付しないようにせよという趣旨だと、私は受け取っております。実際、全国で資格証明書を交付したという事例は聞いておりません。

高齢者は病気にかかりやすく、受診の遅れが命に関わります。保険証の取り上げという資格証明書の発行は、制度廃止までの間、1件もあってはなりません。本広域連合としてもこの立場に確固として立つことを求めたいと思います。

以上の理由から、本請願の採択を求めて、賛成討論を終わります。

請願第2号 資格証明書の発行を行わないことを求める請願書

【請願趣旨】
昨年9月に誕生した民主党を中心とした新政権は、「後期高齢者医療制度」を4年後に廃止することを決め、廃止に向けて「高齢者医療制度改革会議」を発足させてその検討を始めました。
しかし、廃止されるまでの間、制度は継続し、その間に保険料未納者への保険証取り上げ、資格証明書の発行が心配されます。
高齢者は病気にかかりやすく、受診の遅れが命に関わるため、老人保健制度では、高齢者への資格証明書の発行を禁止していました。
しかし、後期高齢者医療制度の発足と同時に、高齢者への資格証明書の発行を可能とする仕組みが導入されました。
年金から保険料を天引きできない低所得者すら保険料を未納すると保険証を取り上げられてしまうといった仕組みに、高齢者からの不満や怒りの声が集中したことは言うまでもありません。
こうした背景を受けて、新政権は、厚労省通知(平成21年10月26日)で、保険料未納者人の「資格証明書は原則として交付しない」との基本方針を示しました。
私たちは、後期高齢者医療の矛盾を根本的に解消するには、制度そのものを速やかに廃止することが必要だと考えていますが、制度が運用されている状況に鑑み、後期高齢者のいのちと健康を守るために、次の事項の実現を求めます。

【請願事項】

保険料未納者への「資格証明書」の発行は行わないでください。

愛知県後期高齢者医療広域連合議会定例会(2010年2月10日)
議案 番号 議案に対する態度 結果 内容
共産党 他議員
同意
第1号
監査委員の選任 可決 議選:丸山繁治(新城市議)
承認
第2号
平成21年度愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計補正予算(第3号)の専決処分 可決 補正額330万円。75歳になった月の自己負担額を1/2にする特別支給金が不足したため。財源は国庫。
議案
第1号
愛知県後期高齢者医療広域連合職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部改正 可決 職員の勤務時間を1日8時間→7時間45分、1周40時間→38時間45分に。休憩時間を45分→1時間に。
議案
第2号
愛知県後期高齢者医療広域連合職員等の旅費に関する条例の一部改正 可決 県外出張に実費以外に出していた雑費(幹部1日2000円、職員1日1300円)を県内と同じ1日200円に。
議案
第3号
愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療に関する条例の一部改正 可決 保険料の値上げ。所得割額7.43%→7.85%。均等割40,175円→41,844円。
議案
第4号
愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療制度臨時特例基金条例の一部改正 可決 軽減措置を延長するために基金の処分をする。失効時期を2年延長。
議案
第5号
平成21年度愛知県後期高齢者医療広域連合一般会計補正予算(第3号) 可決 34億円の補正。市町村負担金の減額1.5億円、健康増進補助など3200万円、保養所助成減額2500万円、保険料軽減のための交付金34億円。
議案
第6号
平成21年度愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計補正予算(第4号) 可決 196億円の補正。療養給付費増が186億円、訪問看護療養費増が4.8憶円、高額療養費増が4.7憶円など。
議案
第7号
平成22年度愛知県後期高齢者医療広域連合一般会計予算 可決 48億6142万円。前年比5億8624万円、13.7%増。
議案
第8号
平成22年度愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計予算 可決 5740億3799万円。前年比552億2591万円、10.6%増。保険料値上げで34億円。県財政安定化基金から44億円。検診項目を拡大5677万円。
請願
第1号
後期高齢者医療制度の保険料に関する請願書 不採択 1 保険料の値上げを行わない
2 独自の減免制度を
3 健診などへの補助を求め保険料軽減を
請願
第2号
資格証明書の発行を行わないことを求める請願書 不採択 資格証明書は発行しないこと

態度:○=賛成 ●=反対 日本共産党以外の全議員は同じ態度でした。

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