2010年2月定例会 追加提出議案への質疑(3月19日)
わしの恵子議員
「自動車運送事業の経営健全化計画」の撤回と追加について
わしの議員
市民の交通権を守る使命を後退させる
【わしの議員】 地方公共団体の財政の健全化に関する法律に基づき、平成20年度決算で資金不足比率が経営健全化基準(20%)を上回る自動車運送事業について、経営健全化計画を定めるものとして、2月定例会当初に提出されていた第51号議案を撤回し、新たに、第91号議案として追加上程されました。
このようなやり方は、名古屋市議会始まって以来の前代未聞のことだと思います。
追加上程により、どこが変更されたのか、議案別紙の第3の「経営の健全化の基本方針」のところに、個別外部監査人の意見をより反映させるとして、「一層の経営の健全化に向けて、赤字路線の民間譲渡及び早期退職制度の見直しについて検討を行う」という文言が加えられました。
先日の土木交通委員会では、当初提出の第51号議案の審議のなかで、「個別外部監査人の意見を聞く」として、監査人の意見を参考としてお聞きしました。監査人は、委員会の場で「監査人の意見が経営健全化計画にもりこまれていない」と意見を述べられていました。だからといって、監査人の意見をすべて反映させなければいけないのでしょうか。委員会の審議の中で、当局からは、監査人の意見のすべてを盛り込む必要はないと答弁されています。
そこで交通局長にお聞きします。
なぜ、監査人の意見をすべて盛り込む必要がないにもかかわらず、当初議案を撤回して追加提案をする必要があるのでしょうか。私は、赤字路線の民間譲渡は、市交通局が、これまで市民の公共交通を守るために、ぎりぎりの努力を続けてきたことから、大きな転換をはかり、市民の交通権を守る使命を後退させることになるのではないかと危惧するものですが、局長の見解を求めます。
赤字路線の民間譲渡・早期退職制度の徹底では市民の足は守れない
【わしの議員】 次に、監査人の意見により、盛り込まれた内容についてうかがいます。
監査人は、今年1月15日に提出した、「個別外部監査報告書に添えて提出する意見書」において、「資金不足比率20%をさらに下回る努力が必要で、そのために最優先課題として、赤字路線の民間譲渡を検討すべきであり、これを達成するための努力として、早期退職制度の徹底」を述べています。こうした監査人の意見をふまえ、「赤字路線の民間譲渡について検討する」という内容が盛り込まれたものと考えますが、この名古屋市において、そんなことが可能なのでしょうか。名古屋市の交通状況は、東京都や大阪市と比べて自動車・マイカーの利用割合が高い上、市街化区域面積当たりの人口が、1平方キロメートル当たり7392人と東京都の14878人の半分しかなく大都市では最低です。そのため、他都市においては、民営バス事業者の廃止はほとんどないのに、名古屋市においては、2002年の規制緩和後、2008年度までに26路線の廃止が行われました。このように交通事業として、厳しい経営環境となっている実態のもとで、赤字路線の民間譲渡というが、本当にこんなことができるのか、私は、強い疑問を感じます。
また、監査人は、赤字路線の譲渡を達成するためには、早期退職制度を徹底して職員を減らすことを求めています。本市には50歳以上と55歳以上を対象とした早期退職制度がありますが、私が調べたところ、市バス事業において、今年度、対象となる50歳以上の職員が130名であるのに対し、応募された職員はたった7名と、約5%にすぎません。今の不況のもとで早期退職をして他の仕事を見つけるのは、大変なことだと思います。仮に監査人の言うように退職金の増額などを行ったとしても、希望者が多く出るとはとても思えません。このような効果の見込めない制度をあてにして、職員の削減を図り赤字路線の民間譲渡を行うことは、私は、到底理解できません。名古屋市の交通事情のもとで、赤字路線の譲渡は、結局赤字路線を廃止・切り捨て、市民の大切な足を崩すことになると考えます。市民の足を守るという立場に立つなら、赤字路線の譲渡は行うべきではないと思います。交通局長の見解をお聞きします。
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将来にわたり安定的に運行サービスを提供したい
【交通局長】
市バスは、市内のバス利用の9割の方に利用され、市民の日常生活などの移動手段としての重要な役割を担っている。今後、さらに高齢化が進展する中で、移動手段を自動車に頼ることができない市民が増加し、このような方々の日常生活に必要な移動手段を確保することの必要性も高まり、さらに市バスが果たす役割は大きくなる。
今後も、このような役割を果たしていくことができるよう、一層の経営の健全化に向けて、幅広い観点から方策の検討を行い、将来にわたり安定的に運行サービスを提供したい。