2010年2月定例会 議員提出議案への質疑(3月9日)
山口きよあき議員
住民投票条例について
山口議員
発議者は住民に限れば良い
【山口議員】
議員提出議案第2号「名古屋市住民投票条例の制定」について、うかがいます。この条例案について、この議場で、議員同士で議論できることは、議会の改革にとっても画期的です。
住民投票は、住民の意思を市政に直接反映させる大切な制度であり、常設型の住民投票条例は、住民自治のためにも必要と私も考えます。私たち日本共産党名古屋市議団でも独自の条例案をつくり議論を深めようと呼びかけています。
さて住民投票条例について、3点うかがいます。
第一に、第9条(住民投票の実施)に関する規定です。住民投票を市民が発議するには投票資格者の10分の1以上の署名を集めて、その実施を請求することになっています。私たちも10分の1の署名を必要とする点では同じ意見ですが、自民案では、そのうえに議会で議員の3分の2以上の反対があれば住民投票は実施できない、としています。
10分の1の署名は名古屋市では約18万人、かなり高いハードルです。住民投票を行うべきかどうかは、議会の判断ではなく、こうした数の署名が集まるかどうかで判断すべきです。市民の意思がこうした署名の数で表されたなら、素直に住民投票を実施すべきです。住民投票は、住民の直接民主主義を保障するものであり、議会が必要以上に関与することは慎むべきです。
市民が議会の意思を問いたいのなら、請願や陳情、いくつも手段はあります。住民投票は議会の意思でなく、市民の意思を問うのが目的ですから、10分の1という署名を集めることができれば、あえて議会の同意を得る必要はありません。なぜあえて、議会の同意を必要としたのか、その理由を聞かせてください。
住民投票の乱発を恐れるのなら、市長や議会の発議権を削ることです。市長や議会が住民投票を発議したいときは、議会の3分の1ではなく、過半数の賛成が必要な、いわゆる個別の住民投票条例案を出せば良いのであって、住民投票条例では、発議者は住民に限れば良いのです。
重要事項という判断は誰がする
【山口議員】
第二に、第2条(住民投票に付することができる重要事項)です。
ここでは、住民投票に付すことができる市政に係る重要事項について「議会もしくは市長その他の執行機関により意思決定が行われた事項にあっては、改めて住民に直接その賛成又は反対を確認することが必要とされる特別な事情が認められるものでなければならない」とあります。
現実に住民投票が問題になるのは、市長や議会の決定に多くの住民が異議を唱えるケースです。住民投票のテーマは極力限定せず、可能な限り広く住民投票の対象とすべきだと私は思います。
そこでうかがいます。「特別な事情」を認める、認めない、住民投票になじむ、なじまない、という判断は誰がするのか、どういう手続きと基準に基づき判断するのか、お答えください。
永住外国人を含む18歳以上にすべきだ
【山口議員】
第三に、第3条(投票資格者)についてです。
自民党案では公職選挙法上の有権者としています。しかし他都市で制定された条例の多くでは年齢要件は18歳以上であり、また川崎市や広島市、県下では高浜市の条例など、そのほとんどで永住外国人にも投票権を付与しています。
住民投票の対象は「現在または将来の生活に重大な影響を与え、又は与える可能性のある事項」としているのですから、若い人や永住外国人へと投票資格者の範囲を広げているのが時代の流れです。私は、投票資格者は、他都市のように、永住外国人を含む18歳以上にすべきだと私は考えます。
名古屋市だけが、投票資格者の要件を20歳以上の日本人に狭く限定するのは時代の流れに逆行しませんか。
なぜ投票資格者を20歳以上の日本人に限定したのか、その理由をお聞かせ下さい。
議会の同意は不要など、議論を尽くし、より良いものに仕上げましょう(意見)
【山口議員】
自民党が出したことは画期的だとは思う。ただ、議会ではなく市民の目線で議論する必要がある。いま住民投票を発議しようと思えば、住民投票の直接請求しかありません。直接請求は、有権者の50分の1の署名で請求はできるが、議会の過半数の賛成が必要です。自民案は、有権者の10分の1、現行の5倍の署名、5倍のハードルを必要としますが、議会のハードルは過半数の賛成からから3分の1に減らすだけで、ハードルは3分の2にしか下がりません。住民の必要な署名を5倍にするなら、議会のハードルも5分の1に下げる、議員の10分の9以上の反対がない限り、住民投票を行うとすべきです。それならばわりきって、議会の同意を要する条項はなくてもいいと思います。
自民案はまさか、いまよりも住民投票のハードルが高くするための条例ではありませんよね。心配する市長の発議に対しては3分の1の賛成でなく過半数で決すればよい、市長と議会の発議権は削除すれば済みます。市民が10分の1という署名を集めたら無条件に住民投票を行うべきです。
自治の主役は市民です。その視点からの論議が必要です。例えば、市民が落ち着いて、住民投票の必要性を判断できるようにするためにも、署名を集める期間を1カ月ではなく2カ月にすべきではないでしょうか。
一方で、提出された条例案の、第24条では「結果の尊重」を無条件に議会と市長に求めています。たいへんすっきりしており、いさぎよい、と思います。
せっかくの住民投票条例案です。市民のみなさんのご意見もうかがいながら、必要な指摘はしっかりさせていただき、互いに議論を尽くして、より良いものに仕上げていく決意を申し上げ、質疑を終わります。
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ハードルを下げた。硬直化した姿勢を持っているわけではない
【桜井議員】
提案者の一人として答えさせていただく。気も見て森を見ざる様なことになっていただくと困りますが、本来なら2分の1という議論もあったんです。それをむしろ、緩和してハードルを下げて3分の2の反対以上、すなわち3分の1の賛成でいいというところまで、いろんな方の意見を聞いて降りてきた。
ただ、私たちの会派は過半数ないので、他のみなさんにも同調していただけなければ、成立できません。これから委員会に付議されて、その中でもまれるということもありますので、決して私はこれに対して硬直化した姿勢を持っているわけではない。ただ、今回、市長の発議、議会の発議も入れているのは、ご承知のような市長ですので我々としては危惧せざるを得ない。