2010年6月定例会 個人質問(6月18日)
金持ちゼロの不履行を謝罪せよ。
「行革」の名による福祉・市民サービス削減を許さない
江上博之議員
マニフェストに対する市民の期待と市民税10%減税の現実について
江上議員
金持ちゼロのマニフェストに反した市民税10%減税
【江上議員】
景気が低迷し、厳しい暮らしが続いています。生活保護は、この4月も増え続け市民4万人近くにまでなっています。まだまだ派遣切りは続き、商店や中小企業は売り上げがなくて、あるいは仕事がなくて困っています。暮らしを守る施策こそ求められています。
河村市長が言われるように、「民意に忠実に従うことは政治家にとって何よりも大切な使命」です。そのためには、私たちは、大企業の溜め込み金である内部留保を取り崩し、派遣を正規に、下請け中小企業の仕事単価を引き上げる。これが内需拡大、景気回復にどうしても必要だと考え、名古屋市政でも大企業にものをいう政治の実現を目指してきました。不要不急の公共事業の見直し、生活改善のための公共事業などの仕事おこしを提案してきました。しかし、今回の議案には、そのような施策が見えません。
市長は、議案提案説明で、「市民税10%減税」、「地域委員会」、そして、「議会改革」は、51万票の支持してくれた市民の命令だ、これに反対するなら、「議会の解散請求」を市民に呼びかけるとまで言っています。
日本共産党市議団は、市民税の10%減税について、マニフェストには、定率減税(金持ちゼロ)とうたっているのに、1千万円単位の減税を金持ちに行う一方、40万人市民にはゼロ。大企業にも億単位の減税の一方赤字中小企業には5千円の減税。そして、その財源を福祉・市民サービス削減。大企業にモノを言わなければならないのに、逆に大企業優遇で、マニフェストだから反対しました。地域委員会は、「自分たちの地域のことは自分たちで決める」といううたい文句とは異なり、地域の保育園待機児や不登校児を地域で面倒見ることを掲げており、行政の責任放棄であることから反対しました。「議会改革」は、マニフェストでは、報酬について額について何も記述していません。私たちは、市長が議員報酬を半減という押し付けに反対しています。このように、民意というより、市長の思いを進めようというものであり、その仕事が民意に反するのであれば、反対し、改善策を提案するのが議員の務めです。これが、憲法の二元代表制によるチェックアンドバランスの民主主義ではないでしょうか。
そこで、市長に質問します。金持ちにも減税したのは、法律で、市民税が所得に関係なく一律の税率だからと説明しています。しかし、これが決まったのは4年も前であり、昨年の市長選時にはわかっていたことです。私たちは、税額控除方式など法に反しない方法で金持ちゼロを提案しました。金持ちゼロのマニフェストに反した市民税10%減税は市民の期待に反するものではありませんか。市長の回答を求めます。
市民生活を守る行財政改革について
保育料値上げ提案が、市民サービス低下でないのか
【江上議員】
市長は、減税の財源は、すべて行財政改革で確保したといわれました。今年度の予算案では、486億円の収支不足です。うち161億円が減税によるものです。その486億円を185億円の「行財政改革」、臨時財政対策債を80億円ふやし、児童福祉センター用地33億円の売却などで穴埋めしようというのです。185億円の行財政改革の名によるものに新明小学校跡地売却も入っています。お金に色がついているわけではありません。収支不足こそ問題なのです。161億円の減税がなければ、臨時財政対策債の増額80億円を行わなくてもよかったことは明らかです。
さらに、減税財源について、行財政改革によるといわれますが、保育料の値上げや第3子の保育料有料化などによる3億4千万円の増収が行財政改革として提案されました。
市民生活を守るために税金の無駄をなくすのが行財政改革であり、保育料値上げ提案が、どうして、市民サービス低下を絶対に招いていないといえるのでしょうか。市長に、回答を求めます。
財政危機の原因は公債費に対する地方交付税措置に大きな問題がある
【江上議員】
さて、減税は、徹底した「行財政改革」のためだといわれます。今までは、「行財政改革」は財政危機だからといわれました。私は、この「行財政改革」の内容が福祉・市民サービス削減で、市民生活を破壊してきた改悪であると名古屋市の仕事を見てきて感じています。そこで、今日は、市民生活を守る本来の行財政改革の実現を求めて質問します。
「行財政改革」が声高に言われたのが1991年のバブル崩壊以後です。景気対策のために、国は公共事業を推進しました。名古屋市でも、1992年(平成4年)から急激に地方単独事業が増大します。これは、公共事業中で国の補助金がつかないものです。瑞穂、南や熱田の区役所建設、国際展示場の整備、能楽堂、音楽プラザの整備をはじめどんどん進められました。国は、市債で借金しても元利償還金の一部を地方交付税で対応すると約束しました。国の補助事業以上に市の持ち出しが少なくて済むという仕組みです。さらに、名古屋市では、この間に、過大なビル開発、ささしまライブ24事業、サイエンスパークなど大型開発事業を進めました。市債発行はさらに増えました。
ところが、国から地方交付税が予定通りこなくなりました。市債の元利償還金である公債費は増大していくのに、普通地方交付税は、2000年を境に減り始めました。2004年からの「三位一体改革」という名で、税源移譲以上に国の補助金や地方交付税が削られました。本来来るはずの交付税がこないことによって、市財政が危機的な状況になっているのではないでしょうか。2006年からは、名古屋市の普通交付税はゼロです。そこで、歳出を減らすために、「行財政改革」の名で、敬老パス有料化をはじめとする福祉・市民サービスを削ってきたということではありませんか。財政危機の責任は、公共事業を進めた国と市の責任であり、市民にはまったく責任がないことは明らかです。
そこで、財政局長にお聞きします。今見たように、財政危機の原因が、公債費に対する地方交付税措置に大きな問題があると考えます。また、今なお財源不足の要因ではないでしょうか。お認めになりますか。
4大プロジェクトはじめ不要不急事業の見直しを
【江上議員】
「行財政改革」の名による福祉・市民サービス削減は、責任のない市民に押し付けるものであり、中止すべきものです。ところが、河村市長は、今度は、減税で「行財政改革」を進めるというのです。そして、現に提案した行財政改革には、城西病院の廃止、子ども会のキャンプ場の廃止、私立保育園へのギョウチュウ検査補助廃止まであります。福祉・市民サービス削減です。これは、行財政改革ではありません。
市民生活を守るための税金の無駄遣いをなくす、本来の行財政改革を進めるためには、ムダ・浪費の大型開発、不要不急の公共事業に、まずメスを入れることです。そして、市民に情報をきちんと伝え、市民参加、職員参加で行うことです。特に、名古屋城本丸御殿再建などの4大プロジェクト、天守閣の木造化、名古屋港の18m大水深バース建設、中部国際空港第2滑走路建設を始め大型開発の見直しがどうしても必要です。
さて、市長は、「4大プロジェクトについて現在進められている4大事業は、いったん立ち止まって、市民に約束する諸政策との関係を検討した上で、優先順位、実施時期、規模・内容などを決定する」とマニフェストで約束しています。
そこで、質問します。市長は、一瞬立ち止まったようですが、結局、事業をそのまま進めています。これは、今述べたマニフェストに反しているのではないでしょうか。明確な優先順位とか、実施時期、規模・内容などの検討が市民参加で行われたとは思われませんが、いかがお考えでしょうか。
生活改善型公共事業の推進としても保育園建設を
【江上議員】
一方、市民生活の充実のために、生活改善のための公共事業の拡大が必要です。地元中小企業に仕事を増やすことです。保育園建設、住宅建設や生活道路、公園などの整備維持です。1992年から急激に公共事業が増大したことを指摘しましたが、一方、法人市民税は、逆に減り続けています。地元経済活性化には、大型の公共事業ではあまり役立たなかったということではないでしょうか。
そこで、保育園の待機児童が、4月1日現在で598人もいます。待機児童解消は市民要求であり、そして、その建設は、地元中小業者の仕事にもなります。このような生活改善型公共事業の推進としても保育園建設を求めます。市長の見解を求めます。
ただちに中学校卒業までの通院費の無料化を
【江上議員】
さて、市民生活を守るためにマニフェストに出ていて行われていないのが、子育ての拡充として中学校卒業までの通院費の無料化です。
そこで、マニフェスト通りの子育て支援策として通院医療費の中学生までの無料化を速やかに行うよう市長に求めます。
納税者憲章からみた市税事務所のありかたについて
江上議員
納税者憲章の制定を。市税事務所を改めよ
【江上議員】
次に行財政改革の名で進められた市税事務所について質問します。
市民税10%減税の財源での「行財政改革」の一つに市税事務所の設置がありました。各区役所から、3箇所3出張所に再編されました。区役所改革もはっきりしないのに、なぜ、税務関係だけ区役所からなくなるのか、定員削減を今年度だけでも100名以上で、住民サービスに大きな問題を残すと日本共産党市議団は、市税事務所設置に反対してきました。その心配がもう出ています。
4月以降、税金のことで区役所に電話するとそれは、市税事務所へといわれた。そこで、市税事務所へかけると、区役所窓口で行っていますといわれた。たらいまわしがつづいていました。
また、この4月以降、滞納処分が今までの市民との話し合いを無視して強行され、住所地から遠く離れた市税事務所まで呼び出されて大変だ、という苦情が相次いでいます。今まで、毎月1万円づつ支払い、残りは、退職金でと区役所と約束してきたのに、突然、4月、全額払え、といってきた。市税事務所へ行っても払えの一点張り。別の人は、固定資産税について、分割納付してきたのに、これも全額払え、といってきた。国税の滞納があるが、これは引き続き分割納付で認められているのにです。市民税10%減税という一方で、まじめに滞納分を納付している市民へのこのような対応は認められません。市民生活はますます苦しくなっており、仕事をしたくても職もない。このようなときこそ、懇切丁寧な職員対応が求められます。ところが、職員定員削減も、市民税10%減税の財源対策としての「行財政改革」として行われました。市民に怒りを呼ぶような、あるいは、不安を与えるような施策は行財政改革ではありません。納税者権利憲章の制定をマニフェストに掲げている市長として、このような市税事務所のあり方、対応を改善すべきと考えますが、見解をお聞きます。
苦情はたくさん来ている(意見)
【江上議員】
市税事務所に苦情がない?私も財政局に苦情に言った。私の言ったことは苦情ではなかったという数え方でしょうか。苦情がたくさん来ていることは間違いない。苦情の定義が違うようだ。とにかく大変厳しい、ひどいといわれていることを指摘しておきます。
「金持ちゼロ」にならなかったことを謝罪せよ(再質問)
【江上議員】
市長はマニフェストの「金持ち」ではいろいろ言い訳をされた。厳に守ってないと言われた。市民に謝るべきだ。謝罪があるなら発言してください。
財政危機は市民の責任ではないことを説明せよ(再々質問)
【江上議員】
謝罪はしない。他人にはマニフェストの書いてあることは命令だといわれるのに、書いてあることを守らなかったらまず謝る、そのうえで悩むことは結構です。しかしまず謝ることが必要です。自らマニフェストに反することを行っています。市民の暮らしを守るためなら反していても賛成することはあり得ます。しかし金持ち大企業優遇の10%減税は景気対策に全く反しており、市民の期待にも全く反していることを指摘しておきます。
マニフェストでまだ進められていない中学生の通院医療費無料化について残念だと言われました。現物給付も考えられるといわれましたが、現物給付として大きな意義がありますので是非進めていただきたい。
局長は財政の厳しい原因が、国と市の責任、公共事業であったと認められました。今なお財源不足の要因だということは明確です。今まで財政危機だからと行政改革の名で様々な福祉サービスを削ってきた、敬老パス有料化、国保窓口負担世帯主2割負担を3割にした改悪を進めてきたが、財政危機だから仕方ないと思わされてきた。しかし、財政危機は市民の責任ではないことを市民に明らかにすることが市長として必要だ。説明する気はあるか。
本丸御殿と生活再建とどっちが大事か(再々再質問)
【江上議員】
国の責任、それに煽られてやった名古屋市の責任です。90年代、こんなに借金増やしてどうするんだ、公共事業やってどうするんだと市長を追及した。過去の話ではあるが、市債は30年間返済する。市長も90年代の借金が残っている。だからまず市民に事実を伝えるべきです。
だから、4大事業にメスを入れる、生活改善型公共事業をもっとすすめるべきと申し上げた。しかし、4大プロジェクト、本丸御殿再建は何の条件も進めずに進めている。市民生活を守るために、本丸御殿の再建と市民生活再建と、どちらが今優先順位が高いと思いますか。
くらしを守り、景気対策、オール与党政治の改善にがんばる(意見)
【江上議員】
比較できないのに本丸御殿は進めている。市民生活再建策は出していない。景気が悪い時に減税だというだけ。これでは大切にしているようには聞こえない。だから生活改善の公共事業はじめ、市民を大切にする、減税の財源に福祉サービス削減などとんでもないといってきた。臨時財政対策債も交付税の肩代わりというが、交付税ゼロなので赤字の市債だ、続けていいのか。
マニフェストに期待した市民は、くらしを守り、景気対策に期待し、オール与党の改善に期待した。この期待を実現するために全力を挙げる。マニフェストにあっても中身は市民の期待に反する施策を進める市長にきっぱり反対し、改善に努める、これが議員の使命であることを改めて表明し終わります。
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税は簡素に。単一税率にした(市長)
【市長】
正直、悩んだ。地方税が単一税率に変わった時に、民主党は反対したもんだから、若干累進性を維持できないかと悩んだ。マニフェストにも、したがって定率、定額、子育て減税、勤労者減税、社会保障減税、それらのミックスもあると、悩みを正直に書いた。
その後の議論で、税は簡素というのが税法の大きな議論であって、この際国に反逆するのはやめようと。金持ちのみなさんには是非、寄付で、ゼロの精神でやってもらえんかと思った次第です。法人におかれましてはお客様還元セールとか。