2010年6月議会 意見書・決議

日本共産党をはじめ各会派から提案された12件について、議会運営委員会理事会で協議が行われ、7件は適切な修正や調整を行って、成立しました。
そのうち、日本共産党の提案した4案件については2件が可決しました。

意見書案に対する各会派の態度(議会運営委員会に提出された意見書案)
意見書案 原案
提出
結果 各会派の態度
共産 民主 自民 公明
地方議会議員の職務実態に即応した法改正に関する意見書(案) 民主 否決
社会福祉施設における防火安全体制の強化に関する意見書(案) 民主 可決
ばらまき政策を排した財政健全化を求める意見書(案) 自民 否決
選択的夫婦別姓制度の導入反対に関する意見書(案) 自民 否決
司法修習生に対する給費制の維持に関する意見書(案) 自民 可決
未就職新卒者の支援策実施に関する意見書(案) 公明 可決 修正 修正
マルチメディアデイジー版教科書の普及促進に関する意見書(案) 公明 可決
機能性低血糖症に係る国の取り組みに関する意見書(案) 公明 可決 修正
口蹄疫の感染防止対策の充実強化に関する意見書(案) 共産 可決 修正
日本航空の路線廃止に関する意見書(案) 共産 可決
普天間基地の無条件撤去を求める意見書(案) 共産 否決
国民健康保険への県補助金の増額などを求める意見書(案) 共産 否決 修正

結果が「可決」となっている、セルの背景が黄色いものは可決された意見書。
意見書名を修正した場合は修正後の件名を掲載。

議運に提案された段階での態度です。 ○=賛成 ●=反対 △=保留
●が1つでもあれば議案として本会議に上程されません。
共:日本共産党 民:民主党 自:自民党 公:公明党

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《採択された意見書》

社会福祉施設における防火安全体制の強化に関する意見書

近年、急激な高齢化の逸展に伴い、認知症高齢者グループホームなどの小規模な社会福祉施設が増加傾向にあり、こうした施設における火災が社会問題化している。

平成21年3月の群馬県渋川市の老人ホーム火災や平成22年3月の札幌市北区の認知症高齢者グループホーム火災など、小規模な施設において多数の入所者が死傷する惨事が発生している。

これらの惨事を未然に防ぐための対策としては、防火管理体制を含めた夜間の運営体制の強化及びスプリンクラー設備などの消防用設備の設置強化などが挙げられる。特に、消防用設備については、規制の対象とならない施設での惨事も発生している状況であり、さらなる対策が求められている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、早急に高齢者施設や障害者施設等のうち小規模な社会福祉施設における運営体制の強化やスプリンクラー設備の設置補助制度の拡充など、防火安全体制を強化するよう強く要望する。

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司法修習生に対する給費制の維持に関する意見書

平成16年に成立した改正裁判所法の施行により、本年の11月から、これまで司法修習生に対して行われてきた給費制が廃止され、国が修習資金を貸与する貸与制が導入されようとしている。

司法修習生のアルバイトは禁止されており、貸与制が導入されることになれば、財政的に余裕のある者以外は、必然的に生活費の貸し付けを受けざるを得ず、債務を抱えた状態で法律家としてのスタートを切らなければならないことになる。

同法の改正に当たっては、経済的事情から法曹への道を断念する事態を招くことがないよう関係機関と十分な協議を行うこととの附帯決議が明記されているが、財政支援の具体的なあり方についてはいまだ示されていない。

また、弁護士人口の増加などにより、深刻な就職難となっている状況の中で給費制が廃止されることとなれば、優秀な人材が経済的事情により法律家となることをあきらめざるを得なくなるおそれもある。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、改正裁判所法を見直し、司法修習生に対する給費制を維持するよう強く要望する。

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未就職新卒者の支援策実施に関する意見書

平成21年度大学卒業者の就職率は、ことし4月1日時点で91.8%であり、過去2番目に低い値となった。社会人としての第一歩となる就職ができないことは、日本の将来を担うべき若者にとって厳しい問題であり、経済・社会の活力低下という点からも大変憂慮すべき事態である。

こうした中、大企業を中心に新卒優先採用の雇用慣行が存在することから、あえて留年する「希望留年者」が増加しており、実質的な未就職者は相当数に上ると考えられる。

若者の厳しい雇用情勢に対応するため、速やかに国を挙げて雇用確保のための成長戦略を初め、未就職新卒者の支援策が必要である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、未就職新卒者を支援するため、次の事項を実現するよう強く要望する。

1 大企業を中心とした新卒優先採用の雇用慣行や就職活動の早期化を見直し、卒業後3年間は新卒扱いとするなど、企業、大学の間で新しいルールを策定すること。

2 大企業志向を強める学生と人材不足の中小企業を結びつけるための情報提供を行う「政府版中小企業就活応援ナビ」を創設するなど、雇用のミスマッチを解消すること。

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マルチメディアデイジー版教科書の普及促進に関する意見書

平成20年9月の「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」の施行を機に、(財)日本障害者リハビリテーション協会が、ボランティア団体の協力を得て、通常の教科書と同様のテキストと画像を使用し、テキストに音声をシンクロ(同期)させて読むことを可能にした「マルチメヂィァデイジー版教科書」(デイジー教科書)の提供を始めた。

デイジー教科書は、平成21年12月現在で約300人の児童生徒に活用され、保護者などから学習理解が向上したとの効果が報告されるなど、普及推進への期待が大変に高まっている。

しかし、デイジー教科書は無償給与の対象となっていないことに加え、製作に多大な時間と費用を要するため、必要とする児童生徒の希望に十分にこたえられていないのが現状である。このような現状を踏まえ、教科用特定図書等の普及促進のための予算の拡充が求められているが、平成21年度の同予算が1.72億円であったのに対し、平成22年度は1.57億円と縮減されており、不十分であると言わざるを得ない。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、必要とする児童生徒、担当教員等にデイジー教科書を安定して配布・提供できるように、その普及促進のための体制の整備及び必要な予算措置を講ずるよう強く要望する。

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機能性低血糖症に係る国の取り組みに関する意見書

すい臓の機能失調等による血糖値の調節異常によって発症する機能性低血糖症は、医師ですらまだ認知度が低い病である。

機能性低血糖症は、食生活の乱れやストレスなどにより血糖値が急激に低下したり低い状態にとどまったりする疾患で、近年、研究が進むとともに、患者の数もふえてきている。しかし、脳への血糖補給不足に加え、アドレナリンなどの内分泌系異常や自律神経にも影響し、慢性疲労やうつ状態など、身体面、精神面ともにさまざまな症状が引き起こされることから、精神疾患や神経疾患などと誤った診断をされるケースも少なくない。また、妊産婦の低血糖症は、新生児低血糖症の要因となり、脳障害を引き起こすことが知られており、発達障害(自閉症スペクトラム)の危険因子の一つであると指摘されている。

機能性低血糖症と正しく診断されたことで、治療により症状が改善し、社会復帰する事例は数多くあるが、診断に必要な5時間の耐糖能精密検査は保険適用されていないため、高額な自己負担が必要となるだけでなく、実施する医療機関も少ないのが問題となっている。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、病名の認知及び意識啓発等を図るため、機能性低血糖症についての医学研究の進展と診断・治療法の普及に向け、国として調査研究を進めるよう強く要望する。

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口蹄疫の感染防止対策の充実強化に関する意見書

ことし4月に宮崎県で確認された口蹄疫は、殺処分対象の牛や豚が30万頭を超えるとも言われる過去最悪の被害となっている。

政府の初動対応のおくれは極めて遺憾であるが、同時に、政府が緊急になすべきことは、殺処分した家畜の埋却地を確保し、人的資源と機材も投入して感染防止に全力を尽くすとともに、被害農家が趣営再建するまでの営農・生活資金の直接支援に踏み出すことである。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、口蹄疫の感染防止に向けて、次の事項を実現するよう強く要望する。

  1. 殺処分した家畜の埋却が迅速に行われるよう、処分地の確保から埋却まで国が責任を持って進めること。また、宮崎県内の発生地外への感染を拡大させないために、あらゆる人的体制をとって徹底的な防疫措置を行うこと。
  2. 直接補助や交付金などにより、畜産農家への速やかな補償と営農再開の支援を行うとともに、畜産関連産業に関係している人々の生活を守ること。
  3. 全国の畜産農家への調査を徹底し、口蹄疫の封じ込めに全力を挙げること。
  4. 今後のパンデミック(感染爆発)などの緊急自体に備えた体制づくりを検討すること。

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日本航空の路線廃止に関する意見書

日本航空は4月28日、今年度未までに国際線15路線と国内線30路線の計45路線から撤退する方針を発表した。中でも県営名古屋空港では帯広など4路線を10月未までに、秋田など5路線を来年3月までに廃止し、同空港から全面撤退する方針が明らかにされた。また、中部国際空港でも10月末までに国際線2路線、国内線3路線を廃止するとしている。

この航空路腺の撤退は地域経済に大きな影響を与えるとともに、国内の公共交通網に大きな穴をあけるものであり、容認できるものではない。公的資金の導入により日本航空を再建することが検討されているが、公共交通である航空路線の維持が公的支援の前提である。

よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、日本航空の路線廃止に関して、地域経済への影響に十分配慮する観点から慎重に検討し直し、責任ある対応をするよう強く要望する。

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《日本共産党提案で採択されなかった意見書》

普天間基地の無条件撤去を求める意見書(案)

日米両政府は年5月28日、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設に関して、「1800mの長さの滑走路を持つ代替の施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に設置する」との共同声明を発表した。これは、沖縄県民の総意よりも、アメリカの意思を最優先し、それを県民と国民に押し付けるやり方であり、沖縄県民の怒りをいっそう増幅させている。

日本にある米軍基地の7割が沖縄県に集中し、県民の暮らしは日夜脅かされ、広大な米軍基地によって経済活動も妨げられている。こうした基地があるが故の苦しみは、基地を何処へ移設しても解決するものではない。

もはや沖縄県内はもとより、日本国内のどこにも基地の「移設」を受け入れる地元合意が得られる場所はなく、移設先探しは完全に破綻している。「海兵隊は抑止力」という呪縛から抜け出し、普天間基地の無条件撤去を求めることこそ解決の道である。

よって名古屋市会は、政府及び国会に対し、日米共同声明を撤回し、普天間基地の無条件撤去を求めて米国政府と交渉するよう強く要望する。

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国民健康保険への県補助金の増額などを求める意見書(案)

市町村の国民健康保険に対する都道府県の独自支出金は、この10年間で約4分の1に落ち込んでいる。なかでも愛知県の市町村国保に対する国民健康保険事業費補助金は、1997年度には約28億円あったものが、2010年度当初予算では1億7千万円余へと激減した。同補助金の削減は、市町村の負担を増すとともに、保険料の値上げにつながる恐れがある。

よって名古屋市会は愛知県に対し以下の事項を要望する。

  1. 国民健康保険に対する県支出金を増額すること。
  2. 国民健康保険への国庫支出金の大幅な増額を国に要望すること。

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