2010年6月定例会 個人質問(6月17日)
城西病院の民間譲渡をやめ、守山市民病院の拡充を。
医療を奪う資格証発行はやめよ

くれまつ順子議員

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名古屋市立病院改革プランと医療体制の充実について


くれまつ議員

西部医療センター構想の破たんをどう総括しているのか

【くれまつ議員】
第1に、名古屋市立病院改革プランと医療体制の充実についてです。

市は、2003年に市立病院再編計画をつくり、5つの市立病院それぞれ特色をもたせながら、中央病院とサテライト病院という2つで一つの医療センターとするグループと地域完結型の総合病院に再編し、市民の高度で多様なニーズにこたえる病院づくりをめざすとしてきました。

城北病院と城西病院で西部医療センターにする、東市民病院と守山市民病院で東部医療センターに、緑市民病院は地域完結型病院という構想でした。病院改革プランもこの再編計画にそって2009年につくられました。

ところが、昨年12月に、赤字を理由に、城西病院の廃止・民間譲渡と緑市民病院の指定管理者制度導入がしめされ、住民と職員の間に不安が広がりました。この病院の廃止や指定管理者制度導入によって、本市がすすめてきた市立病院の再編計画と病院改革プランは、いったいどうなるのか。城西病院を廃止すると西部医療センターは一つの病院だけになり、センター構想で目指した医療体制はどうなるのか。緑市民病院の地域完結型の病院という構想はそのまま指定管理者にひきつがれるのか。今年は、病院改革プランの最終年度です。病院改革プランの総括が必要だと思います。そこで病院局長に伺います。

西部医療センター構想でめざした城西病院の役割・位置づけが、譲渡先にもひきつがれるのかどうか。

グループ化という西部医療センター構想の運営形態は変わる(局長)

【病院局長】
城西病院の民間譲渡は、医療ニーズや高齢者が多いという周辺地域の状況に、より的確に対応するもの。赤字解消のためだけに行うものではない。

西部医療センター中央病院と城北病院をグループ化する構想の運営形態は変わるが、民間譲渡にあたり、「高齢者にやさしく、地域の方が利用しやすい施設の整備・運営」「現在地における医療の継続」の理念のもと、さらに一歩進めた「地域における医療・福祉の複合エリア」の実現をめざし、譲渡先の公募を行っている。

城西病院を民間譲渡して患者負担は増えないのか

【くれまつ議員】
民間譲渡後も、城西病院において住民から期待されていた経済的負担を低く抑える必要があると思いますが、どうなるのか、お答えください。

病床の半数は無料を確保されている(局長)

【病院局長】
経済的負担は、国が定める診療報酬で決められ、全国一律です。診療報酬で定められていない個室料(室料差額)等は、病院独自に設定できる料金だが、個室料は、民間病院では病床数の5割以下とされており、少なくとも半数は無料の病床が確保されている。

緑市民病院は指定管理制度導入後も地域完結型の総合病院か

【くれまつ議員】
指定管理者制度の導入を決めた緑市民病院は、病院改革プランでは地域完結型の総合病院として位置付けてきました。

緑市民病院の指定管理者制度導入後も地域完結型を貫いていくのでしょうか。お答えください。

地域密着型の総合的な病院の役割ができる指定管理者を選定したい(局長)

【病院局長】
緑市民病院は、地域の医療機関と機能を分担、地域全体で連携して一定の診療機能まで完結させるという地域完結型の医療の中核となる地域密着型の総合的な病院を目指している。地域密着型の総合的な病院の役割を継続する考えは、指定管理者制度の導入に当たっての最優先の理念の一つに掲げている。この理念を実現できる適切な指定管理者の選定に努めたい。

東部医療センター守山市民病院の役割についてーーー院内助産所の設置を

【くれまつ議員】
東市民病院と守山市民病院とで東部医療センターです。サテライトになった守山市民病院は、現状では、簡単な手術すらできない。お産ができない、休診日が増えるという中で、東部医療センターのサテライト病院として位置付けた守山市民病院をしっかりと充実していただきたいと思います。

私は、ここでは守山市民病院が住民からの期待にこたえて役割をはたせるように、病院局長に3つ提案をします。

まず、守山市民病院に院内助産所を設置することです。

守山区は人口が市内で3番目と増えており、2008年は1810人の赤ちゃんが生まれ、市内で出生率が第一位という状況です。お産は病気ではありませんので正常分娩であれば助産師さんに赤ちゃんをとりあげてもらえます。私は彦根市民病院の院内助産所を視察してきました。産科医が少なくなる中で、院長先生の決断と助産師さんの熱意、病院内でお産が継続できるようにという市民の運動が院内助産所の開設に実を結びました。医師1名と非常勤医師1名、助産師さん4名でお産に対応されていました。

病院局長、守山市民病院での院内助産所について設置を検討されることを要望します。お答えください。

医師確保に困難で、院内助産所の設置は極めて難しい(局長)

【病院局長】
院内助産所は、緊急時に産婦人科医師の対応が常時可能な病院において、助産師主体で正常・異常の判断をして出産を介助する。守山市民病院は平成20年4月から産科入院を中止している。全国的な産婦人科医師不足の中、産婦人科医師の確保に困難を生じていることから、院内助産所の設置は極めて難しい。

健診センターの具体化を

【くれまつ議員】
2つ目の提案は、健診センターについてです。今年度本市はワンコインでがん検診ができるようになりました。乳がん検診のマンモグラフイがある守山市民病院の特徴を生かし、1ヶ所ですべてのがん検診が受けられる健診センターの具体化を早急にすすめてください。

医師の確保や専用の施設の整備などから困難(局長)

【病院局長】
守山市民病院では、胃がん、乳がんなど6種類のがん検診を実施し、人間ドック、特定健康診査、特定保健指導などを実施している。

しかし、医師をはじめとする医療スタッフが十分でなく、全ての検診項目を毎日実施するには至っていない。がん検診の実施は非常に重要と認識しているが、守山市民病院で市民の健康診断を行う、いわゆる健診センターの開設は、医師の確保や専用の施設の整備など困難な課題がある。

敷地内へのバス停設置と東市民病院との間のシャトルバスの具体化を

【くれまつ議員】
3つ目は、守山市民病院を利用しやすくするための提案です。

住民からの要望で病院の北側の道路を巡回バスが通るようになり、住民のみなさんから大変喜ばれています。足の不自由な高齢者の方にとっては、もっと利用しやすくと、病院の玄関にバス停を設置してほしいと要望があります。そこで、是非とも病院内の敷地を整備していただきたい。そして、守山市民病院から東市民病院にお見舞いや、外来診療のための病院間のシャトルバスの設置を具体化していただきたい。

院内バス停は課題が多い。シャトルバスは具体策を検討していく(局長)

【病院局長】
守山市民病院敷地内へのバス停留所の設置は、バス停留所の設置スペースの確保や市バスの重量に耐え得る舗装工事、歩行者の安全確保のための通路の整備などの課題がある。

東市民病院と守山市民病院間を移動するための手段は、その方法、経費などについて、引き続き検討を行っていく。

城西病院の廃止は撤回を。緑市民病院は公立で存続を。守山市民病院の健診センターや院内助産所の検討を(意見)

【くれまつ議員】
城西病院の民間譲渡で、個室料金、いわゆる差額ベッド代を病院独自に設定できる、結局料金はひきあげられます。これでは、安心して医療を受けられない人がでてきます。局長の答弁では民間譲渡しても西部医療センターの一翼を担う病院として位置付けるように聞こえましたが、それならば患者の経済的負担についても市立病院と同じ水準を保つべきです。それができないのなら、城西病院の廃止は撤回すべきです。

緑市民病院でも地元の医師会からも公立病院として存続してほしいという強い意見が出されています。

東部医療センターの守山市民病院の医療の充実について、提案しました。健診センターは改革プランの中にある計画ではありませんか。具体化を強く要望しておきます。若い人が増えている地域です。お産ができる医療機関が不足しています。守山市民病院でもお産ができるように、院内助産所の検討を強く要望しておきます。

国民健康保険制度の充実について


くれまつ議員

資格証明書を発行する前の生活状況の把握

【くれまつ議員】
国民健康保険制度の充実について伺います。

不況が長引き、国民保険料が払えない滞納世帯が増えています。1997年に保険料の滞納者に対して、特別な事情が認められない場合に限り、国民健康保険の資格証の発行が義務化されました。名古屋市はできるだけ資格証を発行しないようにしてきたのですが、2006年度から資格証発行世帯数が増え始め、2007年は1084世帯、2008年は2048世帯、2009年は3644世帯にと増加の一方です。資格証の場合、病院の窓口で十割払わなければなりません。病院には行けない、病気をがまんする、命を守れない、そんな状況をもたらします。国保料の収納のための推進員さんが訪ねて行って「保険証がないから病院にいくのをがまんしていた。」という方が何人もいらしたそうです。資格証発行によって手遅れにならないか、心配です。

資格証の発行は、医療を受ける権利を奪うもので、行うべきではありません。私は、資格証を発行しないように、子どもたちの資格証明書発行をやめよと2008年の11月議会で質問をしました。今年7月から高校生までには資格証ではなく、保険証を発行することになりました。こどもたちだけではなく、国保加入者はみな医療がうけられるようにすべきです。

国保の資格証の問題で、日本共産党の小池晃参議院議員が3月4日に予算委員会で、質問をしました。東京の29歳の男性が資格証発行後に、自ら命を絶ったという事例をとりあげ、「こんなやり方はやめるべきだ」と厚生労働大臣に迫りました。これに対し、大臣は「払えるのに払わないということが本当に証明できた場合以外は慎重に対処するようお願いしている」と答えました。名古屋市ではこの資格証が安易に発行されてはいないでしょうか。そこで、健康福祉局長に伺います。

2009年度に発行された3644世帯のすべて、大臣答弁の通り、「払えるのに払わないということが証明できた世帯」でしょうか。滞納者の生活状況をどのように把握されたのか、状況が把握できないままで、資格証を発行された方は何人いるのでしょうか。お答えください。

約9割の世帯は、面接などで納付約束の履行状況を確認(局長)

【健康福祉局長】
国保料の滞納額が多額になり、滞納対策として新規滞納時の電話催告をはじめ、書面による督促や催告、さらには訪問による催告などを幾重にも行っている。滞納が1年以上経過した方には、納付が困難な事情を伺う文書を送りながら、相談にあたっている。納付相談の中で、保険料の減免制度を適用したり、特別な事情がある場合は、資格証明書を交付しないといった対応をしている。

しかし、納付資力がありながら保険料の納付が得られない方には、資格証明書を交付している。資格証明書を交付している世帯のうち、約9割の世帯は、面接などの方法により、納付約束の履行状況を確認しているが、約1割469世帯は連絡がなくどうしてもお会いしていただけない世帯です。引き続き、それぞれの世帯の状況把握に努めながら、制度の適切な運営を図っていきたい。

資格証明書の増加は、払えるのに払わない悪質が増えたのか

【くれまつ議員】
名古屋市では資格証の発行が2006年度から急増していますが、資格証の発行世帯が増えていることについての認識を健康福祉局長に伺います。払えるのに払わない悪質な滞納者が増えているのでしょうか。

資格証明書は滞納対策の有効な手段だ(局長)

【健康福祉局長】
国民健康保険の健全な事業運営の観点から、あるいは相互扶助に基づき成り立っている国民健康保険制度の理念からも、資格証明書を交付することは、重要な方策の一つです。

国保に対する国庫及び県の補助金の増額をもとめ、保険料の引き下げを

【くれまつ議員】
保険料が払えない。保険料が値上がりしている問題を解決しないと、医療から切り離される人が増えていきます。国保加入者では今、高齢者や中小の自営業者だけではなく、無職、非正規の若い人などの加入が増えるなど、低所得者が増えています。国保料の値上げが続いてきた一番の原因は、国が国保への負担を削り続けてきたことです。さらに名古屋市が一般会計から国保への繰り出しを削ったことが、保険料の値上げにさらに拍車をかけました。現在では、夫婦こども2人世帯、所得300万円で保険料は36万3270円。所得の一割以上の保険料は異常です。一人当たりの保険料も2005年度7万円から2009年度には9万円に4年間で2万円も上がりました。今年度は、低所得者への福祉施策として国保の均等割を3%引き下げましたが、さらなる保険料の引き下げが必要です。

そこで市長に伺います。払える保険料にするため、年間一人当たり国保料を1万円引き下げることを求めます。引き下げのために県と国から補助金の増額を強くもとめるべきです。お答えください。

やりたいけど困難だ(市長)

【市長】
私も一時国保でしたので、どえりゃ保険料高いし、職員になりましてからこれだけは非常にええなあと思わさせていただいとります。国と県になんとか補助金を増額してくれんかというけど、相変わらず、財源不足だということで厳しい。さらに強く求めていきますが、繰入に頼るしかないんで1万円引き下げということで、私もやりたいが、なかなか困難だという状況のようでございます

国民健康保険料の値下げを。資格証発行の実態調査を(再質問)

【くれまつ議員】
市長さんから困難だとの答弁がありました。安心して医療にかかれるよう払える保険料にしてほしいというのが市民の願いです。

わが党提案のように、法人市民税減税と年収800万以上の方の市民税減税をやめれば、70億円の財源がうまれます。国保1万円の引き下げは約60億円で実現できるのです。金持ち減税やめれば、国保料の1万円引き下げはすぐ実現できます。これも市民生活応援の施策です。

資格証発行の問題です。469世帯は状況がわからないままに発行されているという答弁でした。問題です。厚生労働大臣は「払えるのに払わないということが証明されない限り発行しない」ようにと言っているのです。469世帯の中に、役所に相談に行けない事情があるかもしれません。病気の方もいるかもしれない。ぜひ、役所から市民のもとへ足を運ぶ、家庭訪問を含めた調査をすべきではないでしょうか。

滞納者には様々な方法で催告を行っている(局長)

【局長】
資格証明書の交付までに様々な方法で催告を行っている。しかし、中には、幾度となく納付相談の機会を設けても連絡がなく、どうしてもお会いしていただけない方がいる。資格証明書を交付したあとも、引き続き、書面や訪問などによる催告を行い、納付相談の機会が確保できるよう、努めている。

資格証の発行は収納率の向上にはつながらない。滞納者には会うことが大事(意見)

【くれまつ議員】
文書を送りつけ、あとは役所で待っているのではなく469世帯の家庭訪問をきちんと行ってください。

さいたま市では、一度発行した資格証をゼロにしました。

さいたま市の職員がこのように言っておられます。保険証はどんな人にも渡さなくてはならない。市の職員が昼も、夜も、日曜も訪問しました。さいたま市の担当者は説明します。「資格証の発行は収納率の向上にはつながらない。滞納者には会うことが大事です。支払い能力がある人にはきちんと措置をとる。払いたくても払えない人には事情を聞いて分納などの相談に乗る。会えば解決するので、結果として資格証はゼロになっているのです」

資格証発行まえに家庭訪問、名古屋でもやれるはずです。人が足りないというのであれば、緊急雇用事業なども活用しましょう。保険証の取上げをなくす。医療をちゃんとうけられるようにする。安心してかかれる市立病院の充実も行う。こうしたことをやって、名古屋に住んでいてよかったという医療の行き届いた名古屋にしていただくように、強く要望して、質問を終わります。

 

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