平成22年3月26日に国会で成立した子ども手当は、満額であれば防衛費を超える巨額の財源を要する。今の赤字財政の状況では、子ども手当の財源をすべて国債に依存することになる。いわば子どもや孫の世代にお金を借りて今の親を支援するということに他ならず、このまま恒久施策として続けていけば、国の財政は完全に破綻する。厳しい財政事情の下、財政破綻を回避するために、子ども手当は廃止されるべきである。
子ども手当の政策目的は全く不明確である。例えば少子化対策を考えるなら第2子、第3子への支援を強化すべきである。子育てに対する経済的支援なら所得の低い家庭により手厚い支援をすべきである。子どもの給食費や医療費の無料化、保育サービスや幼児教育の充実等の政策をとるべきである。子ども手当は、少子化対策や子育て支援のために有効な政策であるとは思われない。このような効果が不明確なばら撒き政策は、子どもたちの将来への負担のつけ回しということに他ならず、言うならば「財政での児童虐待」というようなものである。
また、子ども手当には所得制限がないため、今まで児童手当が支給されなかった高収入世帯にも子ども手当が支給されることになる。従来の児童手当の政策目的からかなり後退している。
子ども手当の受給資格は国籍を問わず、ただ「日本国内に住所を有する」、とあるだけである。受給対象者の要件として「日本国籍を有する者」という文言がない点が問題で、このままでは日本を危うくする。すなわち日本国に滞在する外国人には、本国に子どもが居ても子ども手当が支給される一方、海外赴任中の日本人は、例え日本国内に子どもが唇でも、子ども手当を受給することができない。これは、日本人として納得できることではない。海外には子どもが十人以上居る家庭等が数多くある。日本と貨幣価値の差が大きい国に住む人ほど、日本に出穆ぎに来たいという誘惑にかられる。子ども手当目的で外国人が来日する例が増える可能性がある。厚生労働省は、外国人に関しては、少なくとも年2回以上の本国の子どもたちとの面会をパスポートで確認することとしたり、4か月に1回送金証明書の添付を義務付けたりしているが、このような事後的規制だけでは、子ども手当目的の外国人の来日を止めることはできない。受給対象者を日本人に限定できなければ、日本を守るために子ども手当の制度自体をなくすべきである。
民主党政権は、参議院議員通常選挙前の6月に第1回目の子ども手当の支給をしようとしている。このため、事務を担当する市町村は大変な負担とならている。加えて、母国に子どもを残してきている外国人への子ども手当の支給については、市町村が公的証明書等による確認手続きをすることになるため、市町村はより負担が増えている。さらには国が負担するとしてきた財政的負担も地方に押し付けられている。このように、子ども手当は地方公共団体に大きな負担をかける制度であり、その負担を考えても廃止すべきである。
いずれにしても、子育ては、一義的には家庭でなされるべきである。子どもを社会全体で育てるという考え方の民主党政権は、家庭における子育てというものを軽視していると言っても過言ではない。このような考え方からできた子ども手当は、家庭を守るために廃止されるべきである。
ついては、私たちの子どもたちや孫たちの利益を考えて、貴議会が次の事項を内容とする意見書を国に提出されるようお願いする。
- 子ども手当を廃止すること。
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