2010年9月議会 意見書・決議日本共産党をはじめ各会派から提案された11件の意見書案(1件は追加)について、議会運営委員会理事会で協議が行われ、日本共産党の提案した意見書案1件も含め、6案件が修正など調整を行って共同提案の合意が得られ、9月30日に議決しました。生活保護の意見書は改悪的内容の推進になる、地方分権の意見書は構造改革路線の推進になるものとして反対しました。地方自治の継続を求める意見書は、国の補正予算見直しに抵抗するものであり、民主党は賛成しましたが日本共産党は反対しました。後期高齢者医療制度廃止の意見書に民主党は反対しました。
結果が「可決」となっている、セルの背景が黄色いものは可決された意見書。 議運に提案された段階での態度です。 ○=賛成 ●=反対 △=保留 《採択された意見書》地方議会の自立性の確立に関する意見書近年、地域のことは地域が決めるという住民による行政を実現する地方主権への転換が進められている中、住民に身近な存在であり、多様な意見を反映することができる地方議会も、二元代表制のもと、今まで以上に機能を向上させ、その役割と責任を果たしていくことが求められている。 しかしながら、現行の地方議会制度は、議会の招集権を長だけが持っていることなど、長と議会の間の権能のバランスがとれておらず、議会本来の機能が発揮されていないため、議会の自立性を確立し、議会に与えられた機能を発揮する必要がある。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、二元代表制下において、行政側と並立する議会の招集権を長だけが持つことは不合理なため、議長にも議会の招集権を付与するよう強く要望する。 社会保険中京病院の公的存続法案の早期成立に関する意見書社会保険中京病院は、本市における中核的な医療機関として、長年にわたり地域医療に貢献してきている。地域医療が危機にある中で、本市に5カ所ある救命救急センターの一つとして、また、熱傷に関する基幹病院として救急医療などを積極的に担っている。 社会保険病院・厚生年金病院等の存続については、第173回臨時国会において「独立行政法人地域医療機能推進機構法案」が提出されたが、第174回通常国会において廃案になっている。さらに、社会保険病院・厚生年金病院等の保有者である独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)は、本年9月末に迎える予定であった存続期限が2年の延長になったものの、存続は危ぶまれる状況である。 こうした存続危機の問題は、患者や地域住民のみならず医師や看護師など医療従事者までにも多大な不安を与え続けている。このままでは、医師や看護師などの離職や地域に必要な診療科の不足などにより医療機能が低下し、患者や地域住民の生命をも脅かしかねない。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、社会保険中京病院が地域医療・救急医療において果たしている役割を十分に踏まえて、安定的な地域医療を維持・拡充させるためにも、社会保険中京病院を公的に存続させる法案を早急に成立するよう強く要望する。 鉄道駅周辺の放置自転車対策に関する意見書自転車は、通勤、通学や買い物など、多くの人々に利用されている交通手段であり、近年では、環境負荷の低い交通手段として見直されるなど、今後ますます自転車利用が交通社会の中で重要な位置づけを持つことが予想される。 しかしながら、現在の自転車法では、地方公共団体の条例により鉄道事業者に自転車駐車場の附置義務を課すことができないため、鉄道駅周辺では放置自転車が通行の障害となり、街の美観を損なうなど大きな社会問題となっている。 鉄道駅周辺の放置自転車対策については、駅周辺の用地が少なく、自転車駐車場の確保が困難をきわめている中、鉄道事業者の積極的な理解と協力が必要である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、自転車法を改正し、鉄道事業者に対する鉄道駅への自転車駐車場の附置義務化を盛り込むよう強く要望する。 学生に対する支援制度の充実に関する意見書長引く不況による家庭の経済状況の悪化により、大学への進学を断念せざるを得ない者が多くなっている。大学で学ぶためには、入学金や授業料、教材費等の学費に加えて、みずからの住居費や食費が必要となるが、親からの援助が期待できない状況であれば、生活費を稼ぐためのアルバイトに時間をかけざるを得ず、意義のある学生生活を送ることが困難となる。 今や大学進学率は50%を超えているが、学習意欲が高く優秀な学生が経済的理由により進学の道を閉ざされたり、あるいは生活費を稼ぐための労働によって必要な勉強時間が確保できなくなったりすることは、日本の将来を担う人材を育成するという観点からも大きな損失である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、給付型の奨学金制度を確立するなど、学生が安心して勉学に励むことのできる環境を整えるよう強く要望する。 完全な地上デジタルテレビ放送の実施に向けた円滑な移行策に関する意見書平成23年7月24日をもって地上アナログテレビ放送は終了し、完全に地上デジタルテレビ放送に移行することが予定されており、総務省の調査では、平成22年3月時点で地デジの世帯普及率は83.8%となっている。前回調査から14.3%増加し、当初の普及目標を上回ったが、今後、さらなる世帯普及や視聴者側の受信環境整備への支援を進めていく必要がある。 また、平成23年に残存するアナログテレビは推定約2,700万台と言われ、これらは地デジ完全移行で大量の廃棄物となることから、不法投棄の懸念も指摘されており、不要テレビの処分に関する対策も必要である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、完全な地上デジタル放送に円滑に移行するため、次の事項を実現するよう強く要望する。
21世紀型の公共投資の推進による景気対策に関する意見書我が国の景気は、リーマンショックに端を発した最悪の経済状況からは脱したものの、依然として低成長にとどまっており、雇用情勢も厳しい状況が続いている。また、地方経済は深刻で、中小・零細企業は、デフレや公共投資の大幅削減の影響による長引く不況にあえいでおり、景気回復のための経済対策が課題となっている。 こうした中、学校など公共施設の耐震化や近年多発しているゲリラ豪雨への対策は、必要な公共事業として潜在的需要が高く、地方経済が活性化する効果も大いに見込めることから、21世紀型の公共投資として着実に推進することが求められている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、次の事項を実現するよう強く要望する。
尖閣諸島沖における中国漁船衝突事件に関する意見書9月7日、尖閣諸島沖の日本領海内で中国漁船衝突事件が発生し、那覇地方検察庁は24日、公務執行妨害容疑で逮捕された中国人船長を処分保留のまま釈放した。 「尖閣諸島は日本固有の領土で領有権の問題は存在しない」というのが政府の見解である。過去の経緯を見ても中国や台湾が領有権について独自の主張を行うようになったのは、1970年以降であり、それ以前はどの国も異議を唱えたことはなかった。 しかし、今回中国人船長が逮捕されると、閣僚級以上の交流停止や国連総会での日中首脳会談を見送るなどの対抗措置をとり、中国人観光客の訪日中止など日本の各種産業にも悪影響が出ている状況にある。 一方、日中両国の友好的な発展と協力関係は、二国間のみならず、地域・国際社会全体にとっても極めて重要であることから、真剣な対話を通じて課題を解決していくことが必要である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、毅然とした外交姿勢を確立するため、次の事項を実現するよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。 《採択されなかった日本共産党提案の意見書案》国会の比例定数削減に関する意見書(案)菅直人首相は、衆議院で比例定数を80、参議院では40程度減らすことを基本とした国会議員の定数削減で、年内に与野党合意を目指す方針を示した。 衆議院の比例定数を80削減すると、2009年総選挙結果にもとづく試算では、民主党は比例代表42.41%の得票率で、小選挙区も含め衆院議席の68.50%を占め、1党だけで3分の2以上の議席を得ることになり、参議院で否決された議案も衆議院で再可決できることになる。 選挙制度で最も大事なことは、主権者である国民の意思を公正・正確に議席に反映させることであるが、比例定数の削減は、少数政党を締め出し、いわゆる「2大政党」による議席の独占を招き、少数意見が切り捨てられ、多様な民意を国会に反映することができなくなる。日本の国会議員の数は、人口当たりで比較すれば、他の先進国と比べて決して多くなく、むしろ少ない。このようななかでの比例定数削減は、「身を削る」ものではなく「民意を削る」ものにほかならない。 よって、 名古屋市会は、国会及び政府に対し、民意を削り、国権の最高機関としての権能を引き下げる国会の比例定数の削減は行わないよう強く要望する。 政党助成金制度の廃止に関する意見書(案)1994年の「政治改革」によって国民の税金を財源とした「政党助成制度」が開始された。国民一人当たり250円、毎年300億円をこえる税金が日本共産党以外の政党に配分され、その総額は15年間で約4719億円にも達する。 政党助成制度の導入の目的は「政治の浄化」であったが、今日においても国会議員と金の問題、国会議員が関与する汚職事件は後を絶たず、政党助成金を使い選挙買収まで行われるというところまで腐敗・堕落は進行している。 イタリアでは、政治腐敗への強い不信感を背景に、1993年の国民投票の結果を受けて政党助成金を廃止した。南米のボリビアでは2008年、政党助成金を廃止し、その分を障害者支援の基金にあてることを決定した。 そもそも、国民には政党を支持する自由も、支持しない自由もある。政党助成金とは、国民の税金の「山分け」であり、支持していない政党にも献金することを事実上強制し、「思想及び信条の自由」をふみにじる憲法違反の制度である。政党の政治資金は、国民とのむすびつきを通じて、自主的につくるべきものであり、税金からの分けどりは、この本来のあり方に根本的に反し、政党の堕落と国民無視の政治を助長するものである。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、政党助成金を直ちに廃止しするよう強く要望する。 |
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