2010年9月定例会 個人質問(9月15日)
地域住民の「民意」は、緑市民病院・城西病院の市営での存続
すべての教室にエアコン設置などの熱中症対策を
かとう典子議員
緑市民病院の指定管理者制度導入について
かとう議員
指定管理者の応募者がいなくなった緑市民病院は公営で残せ
【かとう議員】
8月25日、緑市民病院の指定管理者選定委員会が行われました。4者が現地説明会に参加し、そのうち2者が事前登録、応募申請したのは、たった1者のみでした。申請者が提出した資料及び選定委員会で説明した内容が、審査にあたり十分なものではなかったため、選定委員会は再度資料を要求し、継続審議となりました。次の選定委員会が9月9日に行われる予定でしたが、その前の7日に、結局、申請者が自ら申請を取り下げました。
病院局は、今後、現地説明会に参加した4者に、今回の公募条件について意見を聞き取り調査し、ネックになったことは何かを明らかにして、募集要項のネックの部分を見直して、再募集するとのことです。
しかし、病院局は、地域密着型の、二次救急病院としての緑市民病院の募集要項を、しっかり検討して作ったはずです。その要項のネックの部分を見直すということは、ハードルを下げるということにはなりませんか。そうすれば、市民サービスを低下させるということになるのではありませんか。
緑市民病院は、名古屋市立病院改革プランで、総務省の公立病院改革ガイドラインを踏まえ、許可病床数や経営形態を含めた病院のあり方について検討するとしました。そして平成18年度から20年度の3年間、70%を割りましたが、これはその間、医師が18年度3月1日現在で4人、19年度は6人、20年度は5人も欠員があったからです。医師一人あたりの患者数から見ても、70%を割るのは当然です。緑区の人口は、今年8月、ついに23万人を超えました。人口が増えたのに、患者が減るわけはありません。医師不足のため、許容量がなかっただけではありませんか。医師の確保については、病院局の責任ではありませんか。
そもそも指定管理者制度は、行政のコスト削減などが狙いで、地方自治体が持つ公共施設の管理・運営を民間企業やNPO法人などに任せるとして、2003年、小泉構造改革の下で、始まったものです。病院局は、市民に対し、指定管理者制度を導入しても、今のまま名古屋市立の緑市民病院には変わりなく、指定管理者制度という民間の手法で、運営すれば、医療もサービスも素晴らしく向上するように説明しました。しかし、果たして、そのようにできるのでしょうか。コスト削減のために民間に任せたいと狙ったけれども、応募者がなくなったのは、民間も現在の水準を維持するのは無理だという証拠ではありませんか。
現在、緑市民病院では、月曜日から金曜日の平日夜間診療を行っていますが、そのうち毎週水・木曜日に、緑区医師会のメンバー25人が協力しています。医師会の皆さんは「われわれも協力して、頑張っている。地域の開業医としても緑市民病院と協力関係でやっていきたい。災害時の拠点病院としても、緑市民病院は公立公営で運営してほしい。」と言われています。
そこで、病院局長にお聞きします。
指定管理者の応募者がいなくなったのは、指定管理者制度の行き詰まりの表れだと思います。また、ハードルを下げて、再募集することは市民サービス低下につながると考えます。この際、医師会や住民の願いを受け止め、指定管理者制度導入は見直し、公立公営のまま運営するべきではありませんか。お答えください。
西部医療センター城西病院の民間譲渡について
かとう議員
地域住民の求める診療科目ができないなら、市立病院のまま継続を
【かとう議員】
城西病院は、8月31日に譲渡先選定委員会が行われ、病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホームを、整備・運営する医療法人グループに譲渡されることが決まったと発表されました。選定された医療法人グループの事業計画書をみると、病院については診療科目が23年度は内科のみ、24年度から内科、呼吸器内科、呼吸器外科、腎臓内科、神経内科の5診療科目になるということです。
しかし、城西病院のある地域は、高齢者が多く、城西病院は、高齢者にやさしい身近な総合病院として利用されてきたものです。住民の地域医療を守ってほしいという願いをうけとめるならば、診療科目は、最低でも整形外科や、眼科、泌尿器科などが必要です。高度な専門病院を求めているわけではありません。簡単な手術ができ入院施設があればいいのです。
住民の要望にこたえられる民間病院を誘致するということでしたが、これでは地域の高齢者の行先はありません。住民は納得しません。高齢者に必要な診療科目を設置できないということ自体、民間では運営が難しいということではないですか。
そこで、病院局長にお聞きします。
民間病院が特色ある病院をつくるのは自由ですが、地元住民が利用しやすい城西病院の形を残すよう、市は、地域住民の要求のある診療科目を増やすよう指導するべきです。それができないなら、民間譲渡は撤回し、地域密着型の市立病院のまま継続させるべきです。
譲渡先の医療法人の経営する病院の「不正請求の疑い」について
【かとう議員】
譲渡先の医療法人が経営する病院が2年前「不正請求の疑い」と新聞報道されていますが、病院局の見解を求めます。
民意を受け止めて2つの病院を公立公営で残せ(再質問)
【かとう議員】
城西病院は条件を満たしたから民間譲渡を決めた、というが実態は他の病院とシャトルバスで結ぶという、地元の人にはこと足りない。情けない答弁でした。緑市民病院の指定管理者導入も、城西病院の民間譲渡も結局、財政難、赤字経営という病院局の都合です。市民が「市民病院はいらない」と言ったわけではありません。
それでは市長に再質問します。あなたは、昨日も今日も「民意」「民意」と言われていますが、緑市民病院にかかっている患者さんも市民です。患者は名古屋市を信頼して、命を預けているのです。切実な問題です。緑市民病院を公立公営で残してほしいという声は、今、大きな広がりを見せています。病院の利用者、学区の区政協力委員の皆さんや、医師会の皆さんも、公立公営で残してほしいと言っています。また、城西病院は高齢者の皆さんが心から信頼を寄せている病院です。民意を大事にすると言っている市長、任意を大事にするというなら、民意を受け止めて2つの病院を公立公営で残していただきたい。市長の英断を求めます。お答えください。
ご都合主義の市長の「民意」でなく、病院存続を求めることこそ民意だ(意見)
【かとう議員】
市長の「民意」がご都合主義であることを見せていただいた。先ほども言いましたが、2つの病院を利用されている方たちは、今の病院を求めています。今の病院より悪くなるからいけないと言っているのです。民意の切り捨ては絶対に許さない。という市民の声をお伝えして質問を終わります。
熱中症対策について
生活保護世帯へエアコン設置補助や電気料金補助を
【かとう議員】
今年の夏は暑い日が続き、各地で、熱中症で死にいたる事例が相次ぎました。市内でも熱中症による救急搬送が7月以降、1,100人を超え、死者も出ています。
さて、この夏、特に注目された熱中症とは、高温環境の下で、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして、ケイレン、失神、めまい感、疲労感、虚脱感、頭痛、吐き気、嘔吐などのいくつかの症状が重なり合って意識障害、過呼吸、ショック症状など発症し、死に至る可能性のある病態です。
NHKのまとめによると、全国では、今年の梅雨明け以降から9月5日までに熱中症で死亡した人は500人を越えたとのことです。最近の10年間では死者数は、年平均で400人近く、30年前に比べ6倍になっています。35度以上の猛暑日が増え、高齢者の死亡につながるケースが目立ちます。死亡のうち年齢がわかっている人のおよそ4人に3人が70歳以上の高齢者であり、どこで亡くなったかがわかっている人の80%ほどが、室内で亡くなっていたことがわかったということです。
記録的な猛暑は、地球そのものの温暖化気象で、今年に限ったことではなく、今後も続くことが予想されるため、来年の夏に向けて、今から対策が必要です。高齢者への熱中症に対する注意事項や、エアコン利用の啓発を早めに行うべきです。特に、生活保護世帯や生活保護並みの低所得者世帯への対策は、国や行政が対応する課題です。現在、生活保護費の中には、冬の暖房費は含まれていますが、夏の冷房の費用は含まれていません。市として、エアコン設置補助、及び電気代補助をつくるべきです。
また、9月に入っても暑い日が続いていたため、暑さで体力が弱っている高齢者や、障害者は、暑さが緩む今から体を壊す人が増えることが予想されます。一人暮らしの高齢者や障害者の見回り、安否確認も必要です。人の命の問題です。
また、1昨日、参議院厚生労働委員会で、わが党の田村智子議員が「生活保護受給者に夏季加算の新設を提案し、長妻明厚生労働大臣は「検討していきたい」と答弁しています。
そこで健康福祉局長にお聞きします。
まずは、生活保護世帯へのエアコン設置補助や電気料金補助を行うことを求めます。お答えください。
来年夏までに小中学校の普通教室へエアコン設置を
【かとう議員】
学校は、夏休みがあるから、基本的にはエアコンは必要ないと考えられてきたと思います。現在、エアコンが設置されている学校は、大気汚染、自動車騒音、航空機騒音、新幹線騒音などの指定地域にある小学校43校、中学校17校、あわせて60校のみです。
しかし今年は、学校現場では夏休みが終わり、2学期が始まっても猛暑が続き、先生方は児童・生徒たちへの水分補給や健康への配慮で、授業が進められなかったのではないでしょうか。文部科学省の基準では、夏の「最も学習に望ましい」条件は、30℃以下としています。2学期が始まって、この基準が守られていなかったのは当然でしょう。このまま児童生徒の教育環境を放置しておくわけにはいきません。
さらに、そこで働く教職員の労働環境の視点からも、問題です。埼玉や京都ではすでにエアコン設置されているのです。そこで教育長にお聞きします。
名古屋市の学校では、各教室で、温度を把握されているのでしょうか。
また、児童・生徒の学習のための環境基準、教職員の労働環境を守るために、望ましい教室の温度にどう近づけるのかの対策を立てるとともに、来年夏までに小中学校の普通教室へのエアコン設置をすすめることを求めます。お答えください。
熱中症対策はいのちにかかわる(意見)
【かとう議員】
生活保護受給者は大変増えています。生活保護を受けたばかりなら、エアコンのお金をつくりだすことはできないでしょう。ここに貧困と格差は現れます。この秋に体を悪くされる方への訪問・見守りをしっかり、おねがいします。
そして、参議院の長妻大臣の答弁もありましたから、夏季加算の検討もされることになるでしょう。是非、来年夏までに夏季加算を始め、エアコンの補助、電気代補助を市として検討していただきたい。求めておきます。
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公募条件等を見直して再公募する(局長)
【病院局長】
市立病院の経営状況は非常に厳しく、複数の病院を横並びで整備・運営していくことは、かなり困難である。このため、緑市民病院は、地域密着型の総合的な病院の役割を継続し、救急医療の充実等による医療サービスの向上及び経営の改善等を図るため、指定管理者制度を導入することにした。医師等の確保は大きな課題であり、民間の柔軟な経営手法により病院を運営できる指定管理者制度導入の意義は大きい。
緑市民病院に指定管理者制度を円滑に導入することが非常に重要であり、公募条件等を見直して再公募を行い、より良い事業者の選定に努める。