後期高齢者医療広域連合議会第2回定例会(8月6日)平成22年第2回愛知県後期高齢者医療広域連合議会が8月9日(金)午後2時から行われました。日本共産党からはこれまでの田口かずと議員(名古屋市選出)に加え、伊藤惠子議員(津島市)の2名が広域連合議員に選出されています。2009年度決算認定案や一般質問、請願結果などの概要を紹介します。 ≪議案質疑(決算認定案)≫
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項目 | 件数 | 金額 | 備考 |
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健康診査 | 190,826人 | 1,120,046,473円 | 受信率29.88% |
人間ドック | 8市町村 | 24,563,000円 | |
協定保養所 | 5,480人 | 5,480,000円 |
【田口議員】
次に、市町村の人間ドック事業への助成についてです。
市町村が実施した人間ドック事業にたいして、広域連合が、国からの特別調整交付金を活用して、被保険者の自己負担額を除く全額を助成しており、昨年度の実施は8市町村とのことです。
75歳以上を対象とする人間ドック事業は、全国的には平成19年度末には723市町村で実施していたのに、後期高齢者医療制度導入後の20年5月には141市町村へと激減しました。そのため「75歳未満は受診できるが、75歳以上はできなくなった」などの批判が広がり、国は、制度導入直後の20年7月から人間ドック事業を特別調整交付金の交付対象にしました。しかし、20年度末でも実施市町村が234にとどまったことから、昨年10月には各広域連合に通知を出して、市町村にたいして21年度の追加実施、ならびに22年度実施に向けた検討を要請するよう求めています。
そこでお尋ねします。昨年度、人間ドック事業を実施した8つの市町村名を明らかにしてください。また、後期高齢者医療制度導入前の19年度末の時点で実施していた市町村は県下でどれだけあったのか。人間ドック事業を再開していない市町村が残されているのは、何がネックとなっていると考えているのか、お答えください。
【事務局長】
21年度に人間ドック事業へ助成した市町村は、豊橋市をはじめ岡崎市、春日井市、安城市、西尾市、蒲郡市、新城市、幸田町の8市町です。
19年度に人間ドックを実施した市町村は49であり、対象者に75歳以上を含めて実施していた市町村が36、75歳未満に限定して実施していた市町村が13でした。
再開へのネックとしては、20年4月以降、75歳以上の方は健康診査にガン健診をくみ合わせて受診することで、人間ドックに相当する検査内容が受けられることとなり、被保険者のみなさんの受診目的が、おおむね達成できると判断していることや、人間ドック事業が国の単年度補助事業であるため、恒常的に予算措置することが困難であることではないか、と考えている。
【田口議員】
つぎに、資格証明書および短期保険証の発行についてです。
今年3月末現在で、保険料を1年以上滞納している被保険者は何人ですか。こうした滞納者に資格証明書を交付した事案、または、交付を検討して厚生労働省に報告した事案はありましたか。
おそらく資格証明書を交付した事案は1件もなかったでしょう。厚生労働省は昨年10月、原則として資格証明書を交付しないとする通知を各広域連合に出しており、本広域連合でも今年2月の定例会で連合長が、この通知を踏まえて「より厳格な運用を徹底したい」と答弁されています。医療なしでは生きていけない高齢者から保険証を取り上げるという資格証明書の交付は1件たりとも行なうべきではありません。
【事務局長】
保険料を1年以上滞納している被保険者数は、平成22年3月末現在1,456人となっている。資格証明書を交付した事案、及び、交付を検討して厚生労働省へ報告した事案はない。
【田口議員】
滞納者にたいしては、有効期限を縮めた短期保険証は交付されています。その交付件数は、昨年12月末現在では403件でしたが、今年3月末現在では何件だったのか、お聞きします。
【事務局長】
平成22年3月末現在で262件、短期保険証が交付されている。
【田口議員】
短期保険証の交付に関して問題なのは、保険証が市町村の窓口に留め置かれ、被保険者の手元に渡っておらず、事実上の無保険状態になっている被保険者がいることです。この人たちは、手元に保険証がないわけですから、医療機関にかかれません。こうした無保険状態を放置しておくことは許されません。私が先の定例会でこの問題についてただしたところ、当局は、「保険証については、被保険者が安心して医療が受けられるよう、原則として渡すべきものと考えている」ので、「保険証を持っていない事例がないように、市町村において繰り返しの呼び出しや訪問等を行なうよう十分指導していく」と答弁されました。
そこでお尋ねしますが、昨年12月末現在では保険証が渡っていない人が21名いましたが、この人たちに保険証は渡りましたか。今年3月末現在では保険証が渡っていない人は何名になりましたか。また、無保険状態を解消するためにどのような手立てを講じましたか。お答えください。
【事務局長】
平成21年12月末現在で保険証が渡っていない21名への保険証の引渡しについて、9名の方に保険証を渡した。残りの12名のうち、生活保護が1名、居所不明で亡くった方が1名で、それ以外の10名に渡せていない。
平成22年3月末現在で保険証が渡せていない方は、先程の10名を含め、31名となっている。
各市町村において、有効期限が切れる月の中旬に「後期高齢者医療被保険者証更新のお知らせ」、「保険料の納付のお願い及び納付相談のご案内」等を送り、来庁の勧奨を確実に行っている。それでも来庁しない方には、翌月以降に再度の呼び出しや、一部の市町村では臨戸訪問を行い、保険料の納付相談をした後、保険証の更新を行っている。
広域連合としては、被保険者が安心して医療が受けられるよう、原則として、保険証を渡すべきものと考えており、各市町村に対し平成22年2月16日付けで、再度の呼び出し、訪問、電話により納付相談を行う等、保険証の更新に努めるよう指導の徹底をした。
【田口議員】
まず、資格証明書および短期保険証の発行について再質問します。
短期保険証が渡っていない人が、昨年12月末の21名から、今年3月末には31名へと増えています。どうして無保険状態が解消されないのか。名古屋市の担当者に伺ったところ、3月末現在で保険証がわたっていない人が5名おり、この人たちとは電話などで連絡はとれているが、納付相談に出向いてもらえないので保険証を渡していないそうです。
そこで、事務局長にお尋ねします。短期保険証が渡っていない31名の中には、連絡先が不明の人もいるのですか。連絡先がわかっているのなら、訪問して納付相談にあたれば保険証を手渡すことができますが、答弁によりますと、「一部の市町村」しか臨戸訪問を実施していないようです。どうして訪問しないのですか。訪問したくても窓口の職員体制が不十分でできないのですか。窓口となる市町村において何が問題で無保険状態が解消されていないのか、お答えください。
【事務局長】
3月末時点で保険証を渡していない31名の連絡先は、いずれも確認ができている。
本年2月の広域連合からの通知を受けて、市町村において臨戸訪問による納付相談などを取り組んだところ、7月下旬までに21名の方に保険証を渡している。
しかし制度について理解を示していただけない方や 医療が必要な時にのみ更新に来る方などもお見えになり10名の方にお渡しできていない。
広域連合としては、引き続き臨戸訪問による納付相談を実施するなど、保険証の更新に向け、ねばり強く取り組んでいただくよう、市町村担当課長会議などあらゆる機会をとらえ、お願いしていく。
【田口議員】
次に、医療費の一部負担金の減免についてです。
昨年度、一部負担金を免除された人は63人おられます。この人たちは、いずれも災害により居住する住宅に重大な被害を受けたことが免除の理由だと思いますが、確認させていただきます。
【事務局長】
63人は、いずれも災害により居住する住宅に重大な被害を受けたことが免除の理由です。
【田口議員】
一部負担金の減免規定についてはこれまで、低所得者向けの減免規定を設けることを求める請願が提出され、私もこの間の議会で、災害により住宅に重大な被害を受けた場合の免除だけに限定せず、減免事由を拡大するよう求めてきました。その結果、今年度から減免規定が見直され、事業の休廃止など様々な事情で所得が激減した場合にも、一部負担金の免除、減額または徴収猶予が認められるようになりました。
ただし、減免事由は従来と比べて拡大されたとはいえ、あくまでも特別な事情で収入が激減した場合に限られています。低所得だけでは減免の事由にあたりません。
そこでお尋ねしますが、一部負担金の減免対象となる特別な事由の一つに、「その他の特別な事情」というような項目を加えて、低所得を事由とする減免規定を設けることについては検討されなかったのか、伺います。
【事務局長】
一部負担金減免は平成22年4月1日より改正を行った。
国の通知による一部負担金の減額、免除または徴収猶予の取扱いは、
・災害により住宅などに著しい損害を受けたこと
・農作物の不作などにより、著しく収入が減少したこと
・失業などにより、著しく収入が減少したこと
・長期間入院したこと
この四つの事由に限定して一部負担金の減免等の措置を行うことができると規定されており、「その他の特別な事情」という項目を加えて、低所得を事由とする減免規定を設けることは、検討していない。
【田口議員】
次に、保険料負担についてです。
まず、事務局長にお尋ねしますが、保険料の決定通知にたいして、「保険料が高い」などの理由で不服審査を請求した件数はどれだけあったのか、20年度と21年度についてお示しください。
【事務局長】
愛知県後期高齢者医療審査会に対して行われた保険料の賦課に関する審査請求の件数は、平成20年度が323件、平成21年度が、150件です。
区分 | 対象者(人) | 軽減額(円) | |
---|---|---|---|
均等割軽減 | 9割軽減 | 109,982 | 3,696,762,925 |
8.5割軽減 | 82,535 | 2,511,121,741 | |
5割軽減 | 14,121 | 255,223,666 | |
2割軽減 | 45,950 | 323,345,381 | |
被扶養者軽減 | 86,212 | 2,883,890,063 | |
小計 | 338,800 | 9,670,343,063 | |
所得割軽減 | 5割軽減 | 66,247 | 602,757,773 |
合計 | 405,047 | 10,273,101,549 | |
※対象者数は延べ人数 |
【田口議員】
後期高齢者医療制度が導入されて以降、重い保険料負担にも国民の怒りが集まり、政府はたびたびの見直しを余儀なくされました。昨年度は、低所得者にたいする保険料軽減について、均等割の8.5割軽減の継続に加えて新たに9割軽減という措置が講じられました。これは、一定の改善ではありますが、たとえ無年金者であっても、生活保護を受けていない限り保険料は払わなければなりません。
また、保険料軽減の対象とならない一定の収入がある人の中には、国民健康保険から後期高齢者医療制度に移行して、保険料の負担が急増した人が少なくありません。一つ、事例をお示しします。名古屋市内在住で障害者の息子さんを扶養している80歳の男性の方ですが、平成19年度の国民健康保険料は息子さんと二人で11万円だったそうです。それが、平成20年度の保険料は、後期高齢者医療に移行した本人は15万9,600円、国民健康保険に残った息子さんの保険料が6万円、合わせて21万9,600円となり、10万9,600円もの値上げになったといいます。保険料負担が2倍に増えたわけです。
以上を踏まえて、連合長にお尋ねします。20年度、21年度に講じられた保険料軽減対策は、一定の改善ではありますが、これで十分とはいえないと考えます。保険料負担を軽減するために、愛知県独自の対策を講じるべきではなかったのか。お答えください。
【連合長】
平成20年度には、低所得者に対する軽減措置として被保険者均等割額の8.5割軽減、5割軽減、2割軽滅、所得割額の5割軽減の措置が講じられ、被用者保険の被扶養者であった方は、被保険者均等割額の9割を軽減し、所得割額を課さないという措置が講じられた。
平成21年度には、低所得者について被保険者均等割額の9割を軽減する措置が新たに講じられ、保険料負担の軽減は図られていると考えている。
愛知県独自にも、罹災された方、収入が減少した方などに対する減免について条例に規定し、実施している。
さらなる軽減策は、国の費用負担のもとで、全国一律の措置として定められるべきもの。
【田口議員】
保険料負担について再質問します。
私が質問で紹介した障害者の息子さんを扶養している方は、不服審査請求をされています。この方は、その中で次のように述べておられます。
「私は80歳になるが、今日まで一度も税金や保険料を未納したことはない。行政側が決めたこと、たとえば介護保険等についても一度も不服の申し立てをしたことはない。しかし、……今回の後期高齢者医療制度の差別には腹が立つ。私も扶養されている人なら、今回の保険料でも納得したであろう」
さすがに腹が立って、不服申し立てをせざるをえなかったのでしょう。
そこでお尋ねします。後期高齢者医療制度に移行して保険料負担が急増し、やむにやまれず不服申し立てをした、こういう人たちの思いをどのように受け止めておられるのか、連合長の思いをお聞かせください。
【事務局長】
国民健康保険は、同じ所得、世帯状況であっても、市町村によって保険料額が異なり、後期高齢者医療の保険料は、原則として愛知県内では統一の保険料率により計算しているので、市町村によっては、制度加入前後で保険料負担が大幅に増えるケースが生じてしまうこともある。
保険料負担が増えた方々にとっては、切実な問題であり、納得し難いことと認識しているが、負担の公平を図る観点から、都道府県内においては、同じ所得の方については同じ額の保険料をお支払いいただく仕組みとなっている。
いずれにしても、後期高齢者医療制度は、医療費の支出に要する費用のうち、約9割を公費や現役世代の保険料で負担し、残りの1割について保険料軽減も適用しながら、被保険者の皆さんに公平に負担をお願いしている。
歳入 | 歳出 | ||||
区分 | 決算額 | % | 区分 | 決算額 | % |
---|---|---|---|---|---|
分担金および負担金 | 1,216,204,000 | 14.68 | 議会費 | 2,951,630 | 0.04 |
国庫支出金 | 3,888,218,489 | 46.93 | ※議会会場借上料1,107,485円など | ||
県支出金 | 47,569,100 | 0.57 | 総務費 | 713,906,933 | 8.78 |
財産収入 | 6,687,538 | 0.08 | ※後期高齢者医療制度特別対策補助金35,065,000円 | ||
寄附金 | 0 | 0 | 民生費 | 7,411,479,580 | 91.18 |
繰入金 | 2,936,469,409 | 35.45 | ※後期高齢者医療制度臨時特例基金積立金2,075,302,245円 | ||
繰越金 | 188,491,597 | 2.28 | 公債費 | 0 | 0 |
諸収入 | 677,371 | 0.01 | 予備費 | 0 | 0 |
合計 | 8,284,317,504 | 100 | 合計 | 8,128,338,143 | 100 |
(津島市)伊藤惠子議員
【伊藤議員】
後期高齢者医療制度の財政負担割合(財源構成)について、制度設計では、公費5割、支援金約4割、保険料1割となっていますが、21年度決算を見ると国庫支出金29.39%、県支出金7.76%となっています。国・県の負担が少ないのではないでしょうか。
【事務局長】
現役並みの所得の方は、公費負担がなく、その分を現役世代からの支援である支援金で賄うこととされている。したがって、すべての被保険者の医療費の財源構成でみますと、公費の負担割合は5割を下回ることとなり、国、県の負担割合が少なくなっている。
【伊藤議員】
「現役並み所得者」が公費負担の対象にならない、それによって支援金つまり現役世代の負担が増えていくということです。これは制度発足時に厚労省が試算をしていまして、「現役並み所得者」を対象外にすると、公費負担率は46%でその分「支援金」の負担率が44%に増加すると見込んでいます。実際、愛知の21年度決算において支援金の割合が43%を超えているということですので、厚労省の試算とほぼ一致するということでしょうか。
公費負担5割というものが条件付きであったということが問題だと思います。そこで質問ですが、今後、団塊世代の高齢化に伴い「現役並み所得者」が増加することが予測されますが、公費負担がさらに低くなると予想されているのでしょうか。見通しをお聞かせいただきたいと思います。
【事務局長】
現役並みの所得のある方の医療費には公費負担はありませんので、被保険者に占める現役並みの所得のある方の割合が増加すると公費の負担割合は減少する。
歳入 | 歳出 | ||||
区分 | 決算額 | % | 区分 | 決算額 | % |
---|---|---|---|---|---|
市町村支出金 | 96,051,999,424 | 17.71 | 保険給付費 | 529,976,815,783 | 98.91 |
国庫支出金 | 159,454,377,366 | 29.39 | 県財政安定化基金拠出金 | 403,638,000 | 0.08 |
県支出金 | 42,112,735,833 | 7.76 | 特別高額医療費共同事業拠出金 | 69,046,220 | 0.01 |
支払基金交付金 | 233,344,049,000 | 43.01 | 保険事業費 | 1,130,046,473 | 0.21 |
特別高額医療費共同事業交付金 | 82,303,989 | 0.02 | 公債費 | 0 | 0 |
寄附金 | 0 | 0 | 諸支出金 | 4,239,623,023 | 0.79 |
繰入金 | 3,005,462,005 | 0.55 | 予備費 | 0 | 0 |
繰越金 | 8,009,638,971 | 1.48 | |||
県財政安定化基金借入金 | 0 | 0 | |||
諸収入 | 444,137,890 | 0.08 | |||
合計 | 542,504,704,478 | 100 | 合計 | 535,819,169,499 | 100 |
【伊藤議員】
この財政負担に関しては一方、2007年、制度が始まる前に健保組合が出した資料の中には、「財源構成として世代間の負担の公平を維持するため、高齢者と現役世代の比率の変化に応じて負担割合を変えていく仕組みが導入されるので、高齢者の保険料による負担割合は高まり、現役世代の支援の割合は、約4割を上限として減っていくことになる」とされているものがあります。
『医療費が際限なく上がっていく痛みを後期高齢者自ら自分の感覚で感じ取っていただくことにした』、現役世代に大きなつけを回さないようにとつくられた制度でありますが、結局は高齢者も現役世代も負担が増加する仕組みになっているわけです。これでは、保険料が払えず短期保険証、あげくには資格証明書で、病気になっても病院に行けない、こういう人が増えていく一方なのではないですか。公費割合を引き上げるとともに、「現役並み所得者」に区分された高齢者についても公費負担の対象とするよう、国に強く要望すべきではないでしょうか。お考えをお聞かせ下さい。
【事務局長】
新たな高齢者医療制度の公費・現役世代・高齢者の費用負担につきましては、現在、高齢者医療制度改革会議において検討されておりますので、その議論を見守ってまいりたい。
【伊藤議員】
21年度の主要施策報告書を見ますと、健診受診率、高額介護合算療養費等の実績が市町村によってかなり格差があるようですが、この理由についてはどう把握されているのでしょうか。また広域連合として、こうした保険事業の格差をなくすために、市町村へどう対応しているのでしょうか。
【事務局長】
健康診査の受診率ですが、制度が発足して2年目ということもあり、市町村により「受診できる期間に差があること」あるいは「後期高齢者医療制度が始まる前からの健康診査事業への市町村の取り組みに違いがあること」などにより差があるものではないかと考えている。受診率向上に向けて各市町村に対し、(1)健康診査の実施期間を年間を適して実施する (2)健康診査の目的や受診方法を広く被保険者に周知 (3)受診券を被保険者全員に配布 (4)市町村が実施するがん検診など、他の検診と同時に受診できるようにする、などを要請しております。
高額介護合算療養費は、医療保険と介護保険の両方のサービスを利用し、自己負担の合計額が高額となる場合に支給される新たな給付制度です。平成21年度に支給を開始するにあたり、国民健康保険中央会からの電算処理システム捷供が遅れ、支給の対象となる方へのお知らせが平成22年1月となったことから年度内に申請できる期間が短く、申請者数にバラツキが出たのではないかと考えています。
なお、平成21年度中に申請が出来なかった被保険者は、22年度以降も申請が可能であり、引き続き支給をいたします。
各市町村への対応について、新たな制度であることから、市町村担当者会を開催して制度内容の周知を行うとともに、支給対象者リストを配布して確実に支給がなされるようお願いした。
【伊藤議員】
保険事業について、健康診査の受診率を見ますと、一番受診率の高い岡崎市が66.59%、一番低い清須市が9.02%とあまりにも格差が大きくなっています。受診率向上にむけ、何点かについて市町村に要請したとのことでありますが、22年度には改善にむけた動きがあるのでしょうか。改善された状況をお聞かせ下さい。
【事務局長】
本広域連合の要請を受けて、「健康診査の実施期間を延ばした」ところが「24市町」、「受診券を被保険者全員に配布するように切り替えた」ところが、「5市町」となった。市町村も受診率向上に努めている。
【伊藤議員】
後期高齢者医療制度は、医療の負担は公平にと始められましたが、還元されるものがあまりにもアンバランスです。訪問看護や移送などについても基盤整備がない市町村は利用できず不公平ではないでしょうか。こうした保険事業を広域連合で行うこと自体、無理があるのではないでしょうか。私は住民の健康、病気の予防については、もともと行政―市町村が主体となって行うべきことで、国や県は市町村に対し支援すべきことではないかと思っています。保険者が保険事業を充実させればさせるほど、財政が膨張し、保険料などの負担も増えていくわけですから、国に対し、保険事業は市町村に戻すことを要請してはどうでしょうか。お考えをお聞かせ下さい。
【事務局長】
7月23日に示された「高齢者のための新たな医療制度等についての中間とりまとめ(案)」におきまして、保健事業等は、「新たな仕組みの下では、75歳以上の方も、国保や被用者保険にそれぞれ加入することとなり、健康診査等についても、国保・被用者保険の下で各保険者の義務として行うこととする」とされておりますので、今後の「高齢者医療制度改革会議」の議論を注視してまいりたい。
【伊藤議員】
高額介護合算療養費について、高額療養費については自動償還が行われているのに、高額介護合算療養費については、申請しないと返還されないのが問題だと思います。自動償還にするべきと思いますが、どうでしょうか。またこの申請に私も一度立ち会いましたが、本当に複雑です。通知をもらっても内容を理解できない、また高齢者が窓口に出向いて申請するのが困難なことも多いので、わかりやすく、そして受け取りやすくするべきだと思いますが、この点についてお聞きします。
【事務局長】
高額療養費は、厚生労働省通知により初回時のみの申請でその後発生する高額療養費は申請時に指定された口座に振込む対応を実施している。
高額介護合算療寮費の支給は、介護保険、国民健康保健、被用者保険の自己負担額情報を必要とするため、高額療養費と同様に取扱うことは難しいことから、申請書を提出するよう厚生労働省からも通知を受けている。
高額介護合算療養費はご指摘のとおり、大変複雑な制度であり、その内容を広域連合や市町村においてホームページや各種パンフレットなどでわかりやすくしています。
また、市区町村窓口では、申請が医療保険の窓口のみでできるワンストップサービスにより、少しでもご負担を減らすようにするとともに、親切でていねいな対応に努めています。
市町村名 | 受診者数 (人) |
被保険者数 (人) |
受診率 % |
市町村名 | 受診者数 (人) |
被保険者数 (人) |
受診率 % |
---|---|---|---|---|---|---|---|
名古屋市 | 41,466 | 207,579 | 19.98 | 日進市 | 1,640 | 5,501 | 29.81 |
豊橋市 | 7,352 | 34,497 | 21.31 | 田原市 | 3,186 | 7,850 | 40.59 |
岡崎市 | 20,073 | 30,145 | 66.59 | 愛西市 | 2,169 | 6,673 | 32.50 |
一宮市 | 14,552 | 33,433 | 43.53 | 清須市 | 508 | 5,634 | 9.02 |
瀬戸市 | 3,557 | 12,913 | 27.55 | 北名古屋市 | 1,296 | 5,524 | 23.46 |
半田市 | 5,548 | 10,275 | 54.00 | 弥富市 | 1,358 | 3,847 | 35.30 |
春日井市 | 5,949 | 23,159 | 25.69 | みよし市 | 765 | 2,706 | 28.27 |
豊川市 | 2,686 | 17,323 | 15.51 | あま市 | 2,157 | 6,386 | 33.78 |
津島市 | 1,962 | 6,332 | 30.99 | 東郷町 | 660 | 2,594 | 25.44 |
碧南市 | 3,592 | 6,876 | 52.24 | 長久手町 | 705 | 2,576 | 27.37 |
刈谷市 | 4,538 | 9,748 | 46.55 | 豊山町 | 141 | 973 | 14.49 |
豊田市 | 7,661 | 28,451 | 26.93 | 大口町 | 778 | 1,666 | 46.70 |
安城市 | 4,642 | 12,517 | 37.09 | 扶桑町 | 1,670 | 3,058 | 54.61 |
西尾市 | 2,510 | 9,613 | 26.11 | 大治町 | 465 | 1,757 | 26.47 |
蒲郡市 | 2,767 | 9,435 | 29.33 | 蟹江町 | 1,123 | 3,019 | 37.20 |
犬山市 | 2,825 | 7,226 | 39.09 | 飛島村 | 198 | 612 | 32.35 |
常滑市 | 1,572 | 6,205 | 25.33 | 阿久比町 | 257 | 2,396 | 10.73 |
江南市 | 4,411 | 8,924 | 49.43 | 東浦町 | 2,372 | 4,024 | 58.95 |
小牧市 | 3,781 | 10,244 | 36.91 | 南知多町 | 625 | 3,280 | 19.05 |
稲沢市 | 4,448 | 12,300 | 36.16 | 美浜町 | 515 | 2,575 | 20.00 |
新城市 | 3,176 | 7,846 | 40.48 | 武豊町 | 1,552 | 3,272 | 47.43 |
東海市 | 2,401 | 7,984 | 30.07 | 一色町 | 679 | 2,885 | 23.54 |
大府市 | 1,787 | 5,887 | 30.36 | 吉良町 | 601 | 2,629 | 22.86 |
知多市 | 2,089 | 6,781 | 30.81 | 幡豆町 | 240 | 1,651 | 14.54 |
知立市 | 1,734 | 4,552 | 38.09 | 幸田町 | 1,405 | 2,898 | 48.48 |
尾張旭市 | 1,674 | 6,434 | 26.02 | 設楽町 | 592 | 1,628 | 36.36 |
高浜市 | 1,996 | 3,615 | 55.21 | 東栄町 | 479 | 1,209 | 39.62 |
岩倉市 | 1,139 | 3,754 | 30.34 | 豊根村 | 140 | 408 | 34.31 |
豊明市 | 662 | 5,320 | 12.44 | 合計 | 190,826 | 638,599 | 29.88 |
※豊川市には旧小坂井町分、清須市には旧春日町分を含み、あま市は旧七宝町分、瀾美和町分、旧甚目寺町分の合計を記載 |
田口一登議員
【田口議員】
後期高齢者医療に関する条例の一部改正にたいして反対の立場から討論を行います。
反対する理由は、後期高齢者医療の保険料を値上げし、加入者の方々に重い負担を強いることになるからです。
いま年金で暮らすお年寄りは、年金から、税金はいうに及ばず介護保険料、国民健康保険料、75歳以上の方は後期高齢者医療保険料を差し引かれ、しかもその額は年々重くなっています。中でも、後期高齢者医療の保険料は、高齢者の人口や医療費の増加に応じて2年ごとに保険料が上昇するという苛酷な仕組みになっています。ここに、75歳という年齢で区切って高齢者を囲い込むこの制度の大きな弊害の一つがあります。こんな"姥捨て"制度は、直ちに廃止すべきであります。
今回の保険料値上げは、剰余金の活用や財政安定化基金の積み増しと取り崩しなどによって、当初の試算よりも値上げ幅を抑制したとはいえ、財政安定化基金を約20億円も積み立てたままにするなど、値上げ抑制の努力は不十分だと言わなければなりません。約5%という保険料値上げは、後期高齢者の方々にさらに辛い思いを強いるものであり、到底、認めるわけにはまいりません。
以上の反対理由を申し上げ、討論を終わります。
伊藤恵子議員(津島市議)
【伊藤議員】
厚労省が7月23日発表した、後期高齢者医療制度に対する「新制度」の中間とりまとめ案について質問します。
まずこの『案』について、どう受け止めておられるのか、連合長のお考えをお聞きします。後期高齢者医療制度は、発足前から国民の大変な批判を受け、廃止を公約とした民主党政権が誕生しました。しかしその公約に反して、現政権は廃止を先送りし、「新制度」を2013年度に創設をめざすとしています。そして先日の中間とりまとめ案の発表となったわけですが、この案は現制度の根本的な問題が改善の方向になっているのでしょうか。
・年齢による差別はなくなるのか
・高齢化・医療費の増加による際限のない保険料の値上げはなくなるのか
・医療の抑制は行われないか
・現役世代への重い負担はないのか
・保険料滞納によるペナルティはなくなるのか
以上、「新制度」中間とりまとめ案の内容に関して、国民の怒りをかった根幹の問題について、改善されていると思われるか、簡潔にお答えください。
【連合長】
会議は、制度の基本的枠組み、運営主体・費用負担のあり方などを議題として、今まで8回行われましたが、その議論の中で、現行制度の問題点とされてきた、(1)年齢により区分したことにより、75歳到達でこれまでの保険制度から分離・区分され、保険証も別になったこと、(2)高齢者の医療費の増加に比例して高齢者の保険料が増加するものとなったこと、を改めるべきとしている。
中間とりまとめ(案)では、(1)年齢による区分は、「年齢で区分しない。保険証も現役世代と同じものとする」、(2)高齢者の保険料の増加は、「高齢者の保険料の伸びが、現役世代の保険料の伸びよりも大きく乖離しないよう抑制する仕組みを導入する」としており、こうした項目に関しては改善に向けた一定の方向性が示されている。
今回の中間とりまとめ(案)は、骨格レベルを示したもので、引き続きの検討課題も残されている段階であり、運営主体・公費投入を始めとする制度設計のあり方や新制度移行に向けた業務処理などの全体像について、今後の議論の動向をしっかりと確認していく必要がある。
【伊藤議員】
新制度へ当連合会のこれまでの取り組みや意見がどう反映されていくのでしょうか。
【連合長】
後期高齢者医療広域連合の全国組織である全国協議会を通じ、厚生労働大臣あてに提出した要望書において、「被保険者や後期高齢者医療広域連合を始めとする関係機関と十分な議論を行うこと」及び「必要な財源については、被保険者の負担や地方の負担を増加させることなく、全額国において確保すること」等を要望してきた。
国では、そうした要望を受けて、高齢者を始め国民の意見を幅広く反映できるよう、全国各地で地方公聴会の開催を企画したものと考えている。今後は、最終とりまとめに向け、高齢者医療制度改革会議において精力的な議論が進められていく中、私どもの要望事項が反映されているのか注視していくとともに、必要に応じ、全国協議会を通じて、国に要望をしたい。
また、全国協議会の会長が改革会議に参画しているので、こうした場も積極的に活用したい。
【伊藤議員】
新制度について当議会で審議されることがあるのでしょうか。
【連合長】
新制度の創設は、国において法案として検討、審議される事項です。新制度の内容により、条例の改廃などについて当議会で、審議いただくことがあるのではないかと考える。
【伊藤議員】
二つ目は実務的なことですが、新制度への移行まで、広域連合としてはどういうスケジュールですすめられていくのか。
政府は平成25年4月に新制度施行を目途としていますが、広域連合としてはどのようなスケジュールになるのでしょうか。お尋ねして、1回目の質問とします。
【事務局長】
国の「新しい高齢者医療制度の創設までのスケジュール」は、広域連合としても十分承知している。
今後のスケジュールとしては、平成23年春の法案成立以降、新制度がスタートする平成25年4月までの施行準備期問において、全ての市町村等でコンピュータシステムの改修や新制度にむけた広報などが行なわれる予定となっているので、広域連合としても、県や市町村とも連携しながら、被保険者に混乱が生じることがない様、適切な対応に努めたい。
【伊藤議員】
年齢で区分しない、保険証を現役世代と同じにするとしている。また保険料を抑制する仕組みを導入するので、改善の方向性が示されている。との連合長の答弁でした。地域保険は、国保と一体化するということですが、75歳(65歳)から財政を別勘定にして一定割合を高齢者の負担にする、など年齢での区分が残されようとしています。また「高齢者の医療費に関する負担の明確化が図られた」ことを利点として評価していることが際限ない保険料の値上がりにつながるわけです。これは現制度と仕組みは同じで、問題とされている根幹がまったく解決されていないと思います。
だれでもが病気がちになる高齢期に重い医療費負担がかかることは大変不安です。この不安に対し現制度は大変な批判が起こったんだと考えます。そこで連合長に再度お尋ねしますが。安心感を生みだすことが、保険制度の大きな役割だと考えますが、この「新制度」中間とりまとめ案で本当に安心感が生まれると思われますか。お答えください。
【連合長】
引き続きの検討課題とされた中には、保険料の伸びを抑制する仕組みや公費の投入など、制度の基本的な事項が多くありますので、どのような形になるのか、見定めていく必要があるものと考えている。
新制度の検討に際して、国は、高齢者を始め、国民の意見を丁寧に伺いながら進めることとされており、中間とりまとめ及び最終とりまとめ前に意識調査の実施や地方公聴会を開催するなど、きめ細やかな対応をされている。
【伊藤議員】
また要望して公聴会が開催されることになったとのことですが、地方公聴会といっても、全国で6か所、東海北陸圏では10月1日に愛知県で2時間半開かれるだけです。これでは十分な議論どころか、説明もできないのではないでしょうか。現在の後期高齢者医療制度は、現場の声を聞かず、国民に重い負担と高齢者への差別的医療制度として発足し、施行前から制度の見直しを迫られるなど、大混乱となりました。同じ過ちを繰り返さないためにも、様々な立場、様々な観点から議論が必要と考えます。当連合会でも国の公聴会だけにとどまらず、様々な県民の声を聞く場を持って、新制度へ意見を反映させていくべきではないですか。連合長にお聞きします。
【連合長】
今回の中間とりまとめ(案)は、骨格レベルを示したもの。したがって、広域連合と市町村のかかわり方など、運営主体に関しては、新制度の全体像を踏まえ、また、将来的な財政試算等を明らかにしつつ、引き続き、検討することとされている。
また、現行制度導入時の反省に立ち、地方自治体等の意見を十分に聞きながら、着実に電算システム改修や広報等の準備を進めることが必要であるとしている。
当連合におきましても、県民の意向を新制度に反映できるよう、積極的な議論の場を作っていただくよう要望しておきます。
【伊藤議員】
中間とりまとめ案では、国保との一体化という方向だと思いますが、広域連合と市町村のかかわり方はどうなるのでしょうか。国保の広域化をにらんだとりくみになるのなら(都道府県か広域連合か)、組織として根本的なあり方の問題がかかわってきます。これは現制度より複雑で困難な課題が山積しているように思いますが、今年度中に最終的な取りまとめ、23年度の通常国会を目途に法案を提出する、25年4月に施行…ということは、この大がかりな制度変更、実務的なことをほぼ1年でやるということになります。しかも市町村国保の広域化はまだ時間がかかると思いますが、国保と一体化させるのに財政運営は市町村と広域連合と二分化するのですか。私としてはまったくイメージがわきませんし、タイムスケジュールに無理があるのではないですか。現場は混乱するばかりだと思います。ひとまず老人保健制度に戻した方が、混乱なく事務がすすむと考えますが、事務局としてどう思っておられるのかお聞きしまして、私の質問を終わります。
【事務局長】
国民の方々のご意見を丁寧に伺う
【田口議員】
請願第3号、同第4号、同第5号について、趣旨を簡単にご説明申し上げます。
まず、請願第3号についてです。後期高齢者医療制度は、2013年4月に廃止し、新しい制度を発足させる方向で検討されていますが、厚労省が示した新制度案では、高齢者の医療費を高齢者自身の保険料に連結させる仕組みとなり、医療費の抑制か、際限のない保険料の引き上げかの選択を迫るものとなります。これでは、国民的な批判を受けた後期高齢者医療制度と同じ性格のものとなり、後期高齢者医療制度の廃止そのものがさらに先送りされる心配があります。後期高齢者医療制度を速やかに廃止し、まずは元の老人保健制度に戻すのが最善の道であると考えますが、制度が運用されている状況に鑑み、本請願は、愛知県独自の保険料軽減制度を設けること、生活保護基準の1.4倍以下の世帯に対する一部負担金の減免規定を愛知県独自に設けること、資格証明書の発行を行わないこと、愛知県にたいして健康診査事業などへの補助を求めて、保険料負担を軽減することを求めるものです。
次に、請願第4号についてです。2009年9月24日に常設の「愛知県後期高齢者医療制度に関する懇談会」が設置されましたが、構成する委員には公募による委員が選出されていません。そこで、本請願は、愛知県後期高齢者医療制度に関する懇談会に公募委員を加えることを求めるものです。
次に、請願第5号についてです。愛知県後期高齢者医療広域連合議会は、平成22年度第一回定例会において平均3,660円の保険料値上げを決めましたが、これは、民主党を中心とする新政権の制度廃止の公約と保険料値上げ抑制の約束に違反しています。そこで本請願は、保険料値上げを撤回すること、資格証明書を発行しないこと、後期高齢者医療制度に関する懇談会委員の公募枠を設け、懇談会の傍聴を認めることを求めるものです。
以上の請願の趣旨をおくみとりいただき、皆様のご賛同をお願いして、趣旨説明を終わります。
【田口議員】
「後期高齢者医療制度の改善を求める請願書」について、賛成の立場から討論を行ないます。
まず、第1項の愛知県独自の保険料軽減制度を設けることについてです。
全国の広域連合の中には、独自の保険料軽減制度を設けているところがあります。たとえば、東京都では、葬祭事業、審査支払手数料、財政安定化基金拠出金、収納率による保険料上乗せ分の4つの事業について、保険料算定からはずして区市町村負担とすることによって、保険料を軽減してきました。本広域連合としても、とくに低所得者にたいする独自の保険料軽減制度の創設が求められています。
次に、第2項の一部負担金について生活保護基準の1.4倍以下の世帯に対する減免規定を愛知県独自に設けることについてです。
本広域連合の一部負担金の減免規定は、今年4月から国の通知どおりに改善されましたが、国の通知では、減免対象を災害や失業などによる収入激減、長期間入院など4つの事由に限定しています。これでは、医療費の支払いが大変でも、恒常的に低所得の人は減免の対象になりません。一部負担金を支払うのが困難で受診が遅れたりすることがないように、低所得を事由とする減免規定を愛知県独自に設けることは必要であります。
次に、第3項の保険料未納者への「資格証明書」の発行を行わないことについてです。
本広域連合ではこれまで、資格証明書は1件も発行されていません。国も資格証明書は「原則として交付しない」との方針を示しています。高齢者は病気にかかりやすく、受診の遅れが命に関わりますので、保険証の取り上げという資格証明書の発行は、1件もあってはなりません。本広域連合としてもこの立場に確固として立つことを求めます。
次に、第4項の愛知県にたいして健康診査事業などへの補助を強く求めて、保険料負担を軽減することについてです。
本広域連合は昨年7月、愛知県にたいして健康診査事業への助成を求める要望書を提出しましたが、愛知県からの補助は実現していません。健診事業などへの補助が実現すれば、その分、保険料の負担を軽減することができるわけですから、愛知県にたいして補助を強く求めるべきです。
以上の理由から、本請願の採択を求めて、討論を終わります。
【請願趣旨】
後期高齢者医療制度は、2013年4月に廃止し、新しい制度を発足させる方向で、「高齢者医療制度改革会議」で検討されています。
厚労省が検討会議に示した新制度案は、65歳以上は原則国保に加入し、運営を都道府県単位として、財政を完全に別建てとする方向です。その上で、医療給付費の1割相当を国保に入る高齢者の保険料でまかなうべきだとされています。
この案では、高齢者の医療費を高齢者自身の保険料に連結させる仕組みとなり、医療費の抑制か、際限のない保険料の引き上げかの選択を迫るものとなります。
これでは、特定の年齢で高齢者を差別し、国民的な批判を受けた後期高齢者医療制度と同じ性格のものとなり、間違いなく、後期高齢者医療制度発足時の大混乱・大紛糾の再現となります。このような新制度へ変更する法律案を成立させる訳にはいきません。そうなると、後期高齢者医療制度の廃止そのものがさらに先送りされる心配があります。
私たちは、後期高齢者医療制度を速やかに廃止し、まずは元の老人保健制度に戻すのが最善の道であると考えています。
後期高齢者医療制度の廃止が長引けば長引くほど、制度の矛盾が拡大します。今年4月の愛知県の後期高齢者保険料の改定では、剰余金の充当や財政安定化基金を活用したにもかかわらず、5%もの大幅引き上げとなりました。
私たちは、高期高齢者医療の矛盾を根本的こ解消するには、制度そのものの速やかな廃止が必要だと考えますが、制度が運用されている状況に鑑み、後期高齢者のいのちと健康を守る立場から、当面、直ちに次の事項の実現を求めます。
【請願事項】
【田口議員】
「愛知県後期高齢者医療制度に関する懇談会に公募委員を加えることを求める請願書」について、賛成の立場から討論を行ないます。
「愛知県後期高齢者医療制度に関する懇談会」は、当初は常設の組織ではなかったために、平成20年度には一度も開かれませんでしたが、愛知県社会保障推進協議会からの4回にわたる請願などを踏まえて、昨年9月から常設の組織となり、年2回開催されるようになりました。
しかしながら、構成する委員には公募による委員が選出されていません。北海道、鳥取県、富山県、香川県などの広域連合では、公募による委員が選出されています。北海道では被保険者に限らず、満20歳以上であれば公募委員に応募することができ、鳥取県では、被保険者の委員5人は全員が公募によるものです。
被保険者の方などから広く意見を聞き、制度運営に反映させるためには、愛知県老人クラブ連合会および名古屋市老人クラブ連合会から推薦された委員にとどまらず、公募による委員を加えることが必要であると考えます。
以上の理由から、本請願の採択を求めて、討論を終わります。
【請願趣旨】
愛知県においては、2009年9月24日に常設の「愛知県後期高齢者医療制度に関する懇談会」が設置されました。
当協議会は、2007年11月、2008年8月、2009年2月、2009年8耳の4回にわたり「運営協議会(仮称)の設置を求める請願」を提出し、その要望を実現していただいたことを感謝いたします。
しかしながら、構成する委員には公募による委員が選出されていません。当協議会の調査によると、北海道、富山県、鳥取県、香川県などの後期高齢者医療広域連合では公募による委員が選出されています。また、国民健康保険の運営協議会では、多くの自治体で公募による委員が選出されています。
愛知県後期高齢者医療広域連合においても、「愛知県後期高齢者医療制度に関する懇談会」に公募委員を加え、活発な検討がなされることが求められます。
つきましては、次の事項の実現を求めます。
【請願事項】
【伊藤議員】
後期高齢者医療制度は廃止すると公約に掲げ政権交代を果たした現政権は、公約に反して制度廃止を先延ばしにした結果、今年度保険料の改定に至りました。厚労省からの通達により、保険料の増加を抑制するために剰余金の活用、財政安定化基金からの交付等の手立てがとられたようですが、特に国の財政措置が十分に行われず、愛知では平均3,660円の値上げになりました。これは請願趣旨にも書かれているとおり、2重の公約違反と言わざるを得ません。請願事項1の保険料の値上げ撤回は当然の要求であると考えます。
また請願事項2についてですが、保険料滞納による資格証明書の発行は、慎重に対処するよう通達は出され、現段階で発行はされていないようですが、高齢者に対するこうしたペナルティは、道義的にも許すことができず、高齢者の医療の確保に関する法律第54条等の資格証明書に関する条項そのものを削除して、資格証明書を発行しないようにすべきだと考えます。
請願事項3につきましては、先の請願第4号と同様であります。
以上請願第5号は、採択すべきものと考え、賛成討論とします。
【請願趣旨】
愛知県後期高齢者医療広域連合議会は、平成22年2月10日に開かれた平成22年度第一回定例議会において平均3660円の保険料の値上げをおこないました。民主党を中心とする新政権は総選挙において、後期高齢者医療制度の廃止を公約しました。また、廃止にいたる間は保険料の値上げを抑制することを約束をしています。
これこ先立ち参議院では廃止法案が民主党など野党4党の合意により成立を見ていますが、この中には老人保健制度に戻す旨が明記されています。第一回定例議会における保険料値上げは、廃止と保険料の値上げを抑制するという二つの約束に違反しています。
これらの経過を踏まえて全国では多くの議会が保険料の値上げを中止しています。後期高齢者は、相次ぐ増税や社会保険料の値上げと負担増、年金の切り下げによって苦しめられています。愛知県後期高齢者医療広域連合議会におかれましても、平成22年度保険料の借上げを撤回し、短期保険証の発行などについて再討議し、下記事項を実施するよう請願いたします。
【請願事項】
議案 | 各議員の態度 | 結果 | 内容 | |
---|---|---|---|---|
共産党 | 他議員 | |||
議案第9号 愛知県後期高齢者医療広域連合職員の勤務時間、休暇等に関する条例及び愛知県後期高齢者医療広域連合職員の給与に関する条例の一部を改正する条例の制定 |
○ | ○ | 可決 | 月60時間を超える時間外勤務手当を125%から150%にするか有給休暇を与える |
議案第10号 平成22年度愛知県後期高齢者医療広域連合一般会計補正予算(第1号) |
○ | ○ | 可決 | 3601千円の補正。今後のモデルとなる収納対策の企画・取り組みに対し国の補助金が出るようになり、豊橋市の事業に充当する |
議案第11号 平成22年度愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療癖別会計補正予算(第1号) |
○ | ○ | 可決 | 4,420,261千円の補正。療養給付費や高額療養費の清算 |
認定第1号 平成21年度愛知県後期高齢者医療広域連合一般会計歳入歳出決算認定 |
○ | ○ | 可決 | 市町村負担金12億円、国庫支出金40億円など。派遣職員は事務局長以下39名。保養所利用実績5480人など |
認定第2号 平成21年度愛知県後期高齢者医療広域連合後期高齢者医療特別会計歳入歳出決算認定 |
× | ○ | 可決 | 保険者数667,728人。一人当たり医療費887,039円。一人当たり28.7件。保険料75,289円。収納率99.26%。健診190,826人(29.88%) |
請願第3号 後期高齢者医療制度の改善を求める請願書(愛知県社会保障推進協議会) |
○ | × | 不採択 | 県独自の保険料軽減や一部負担金減免を。資格者証を出すな、健診事業への助成で保険料引き下げを |
請願第4号 愛知県後期高齢者医療制度に関する懇談会に公募委員を加えることを求める請願書(愛知県社会保障推進協議会) |
○ | × | 不採択 | 懇談会に公募委員を加える |
請願第5号 平成22年度後期高齢者医療制度保険料値上げ撤回等に関する請願(全日本年金者組合愛知県本部) |
○ | × | 不採択 | 保険料値上げを撤回せよ、資格書を発行しない、懇談会に公募枠を設け、傍聴可能に |
態度:○=賛成 ×=反対日本共産党の2人以外の全議員は同じ態度でした。 |
医療給付実績(2009年3月〜2010年2月診療分) PDF 71KB
被保険者数(平成22年3月31日現在) PDF 72KB
市町村別医療給付実績(平成21年3月〜平成22年2月診療分) PDF 72KB
誤解しやすいとの指摘で「後期高齢者医療制度」の表現に統一
【事務局長】
制度の名称をパンフレット等では通称名の「長寿医療制度」と表記をしていたが、昨年度の第1回目の懇談会において、「高齢者にとっては、『新たな制度ができた』と誤解を与える表現である」との意見をいただき、正式名称である「後期高齢者医療制度」の表現で統一させていただいた。
この他、「高齢者には懇切丁寧な説明してほしいと思っている」との意見で、高齢者の方からの問合せに懇切丁寧な応対を心がけるとともに、複雑な制度を高齢者の方にも理解していただけるようリーフレット、パンフレット及びホームページの内容を平易な表現に見直し、よりわかりやすく、見やすくしている。
今後とも、懇談会でいただいた意見は、制度の運営に反映させていきたい。