2010年9月定例会 個人質問(9月14日)
異様な「議会解散請求署名」は、自治法に反する。
無法な収集方法や選挙への利用やめよ
さとう典生議員
市長が主導する議会解散請求署名について
さとう議員
地方自治制度の趣旨からの逸脱だ
【さとう議員】
このたびの定例会は異常な状態のなかで開会されました。河村市長が自分の意見が通らないからと、議会解散の直接請求を始めたからであります。市長が一方で議会解散を主導し、一方で議会を招集するという、戦後の地方自治の歴史において初めての事態です。
この異常な事態、市長の暴走に対し、会派を超え、議員が共同して、議会制民主主義と二元代表制を守るという点で協力し、立ち向かっています。
ところが、市長は先日の提案理由説明の中で事態を逆に描き「議会を一党独裁政治」と攻撃しました。しかし、議会を解散させて、選挙で自分の支持者を当選させ過半数を占めて議会を支配するという、河村市長のねらいは、これこそ独裁政治を目指すものであります。一党独裁という言葉はそっくり市長にお返しします。
それではまず、今回の解散請求署名が地方自治制度の趣旨から逸脱しているという観点から市長に質問します。
私は地方自治法に認められた直接請求制度は住民が市政に参加する大事な権利だと考えています。
しかし、現在行われている「議会解散請求」は、市長が主導して、自分の権力を強くするために行っているもので、民主主義の悪用です。
減税の問題は議会で昨年来議論をしてきました。市長提案では財源不足になり市民生活に重大な影響が出るということで、議会としては1年限りとしました。その結果、市長と議会側で意見が違うという事態が生まれました。
このことは市長と議員がそれぞれ住民から直接選ばれ、チェックアンドバランスの役割を果たすという、憲法・地方自治法の趣旨に沿った状態といえます。
そうなったときに、議論をつくして折り合いつけることが、民主主義ではないですか。それを拒否して、本来、住民が行使する権利である直接請求を市長が議会攻撃に使うというのは、地方自治法の趣旨に反するものです。
しかも、住民の条例制定直接請求では地方税の賦課徴収に関する事は禁止されています。税金の問題が地域的政争の具に使われ、自治体の財政的基盤を危うくしたことなどから、昭和23年の法改正で認めないとされました。
税金の問題を利用して、市民を動員し議会解散をはかる市長の行為は地方自治法が危惧した事態そのものです。
以上のように、今回の市長の主導による議会解散請求署名は地方自治法の趣旨に反した行いだと私は思いますが、市長の見解をもとめます。
2か月前倒しの選挙に、6億5000万円も使うのか
【さとう議員】
議会と市長との間で政策実行について意見が一致しない場合は市民が選挙において最終的に判断すればよいわけです。さいわいに、本市の場合、来年、4月に市会議員選挙が予定されています。
一方、今回の解散請求が成立し、市民投票をへて、議会解散となれば2月の知事選挙時に市会議員選挙を行うとのことです。
市長も市会議員も任期が4年間と定められています。4年の間、安定した状態でそれぞれ、市民のために仕事をするということだと思います。
議会が不祥事を起こしたり、機能しなくなっているならともかく、次の選挙を目の前にして、わずか2ヶ月前倒しするために解散請求を行うことは法の趣旨に反しているのではないでしょうか。しかも、トリプル選挙ともなれば、余分に6億5000万円の出費増と試算されています。
わずか2ヶ月だけ前倒しするための解散請求は法の趣旨から考えて、全く道理に合わないと思いますが、市長の考えをお聞きします。
署名活動における異常な状況をただす
【さとう議員】
第2点目は署名活動の諸問題について、選挙管理委員長にお尋ねします。
先日、署名活動に当たっての選挙管理委員長談話が発表されました。直接請求署名活動はこれまでも行われてきました。ところが今回は今まででは考えられない事態が起こっています。
さとう議員
まず、署名簿です。(実物を示す)
署名簿というよりは署名用紙といった方がふさわしいのではないかと思います。これまでの直接請求では代表者証明の写しや、委任状、署名欄をとじ合わせ、まさに署名簿という体裁でした。
ところが、今回はB4用紙の裏が署名欄、表側は縮小コピーされた証明書、請求趣旨、委任状が4分割で印刷されています。
テレビの映像や実際の署名の場面を見ると、裏返しにして、署名欄だけを並べて、呼びかけている。これでは、請求の趣旨が署名者に読めません。また、その署名用紙はだれが集めているのか、受任者名がみえません。
しかも、請求代表者と受任者の署名について同一のものを使用している。街頭で各区の署名用紙を並べている場合に、請求代表者の署名なのか受任者の署名なのか判然としません。
これでは誰が署名を集めているのか不明であり、署名の収集方法が適切とは考えられませんが、選挙管理委員会としてどのように対処されるのか。伺います。
また、収集に使われている用紙は法律に定められた様式からはずれており署名簿とはいえないと思うが、いかがでしょうか。
市民のみなさんから、いろいろと通報をいただきます。その一例を紹介します。 金山駅頭で16区の署名用紙を並べていたので、「請求代表者はいるのか」と聞いたら、「いま、向かっています」と答えたそうです。このばあい、請求代表者がいないのに他人が署名を集めていたことになり、違法行為です。
先の土曜には私自身が確認しました。三越前で河村ネットワークのTシャツを着た若者が数人画板に署名を16区分もって署名の勧誘を行っていました。受任者かと聞いたら違うと言っていました。中日ビル側にいた請求代表者から頼まれたというのです。これも違反です。
そのほか、喫茶店においてあったとか、回覧で回したとか、マンションの掲示板に張ってあったなどと市民から通報がたくさんあります。いくつかは選挙管理委員会にも知らせてあります。
さきほど、私は市長が署名を主導することは法の趣旨に反すると指摘しましたが、署名の現場でも違反行為が続出し、法律が予想もしなかった事態となっています。このような事態に対し 選挙管理員会としてどのように対処するのでしょうか。街頭署名の現場に立ち会って指導するとか、調査をおこない、不法行為を是制するべきと考えますが、いかがでしょうか。
署名を選挙に利用していいのか
【さとう議員】
各区で署名収集の中心となっているのは「減税日本・河村党」のメンバーといわれています。
ある区で行われた、署名についての説明会では、中心人物(市会議員選挙に「減税日本・河村党」で立候補する予定で事務所を開設している人物)「市議選で当選するのに1万票必要。市議会を解散させた後、署名した人を一軒一軒回って支持をお願いする」と語った、そうです。
これを聞いて、奇妙だなと思いました。署名簿は必要数が集まれば、選挙管理委員会に提出されます。手元には残りません。ところが、署名した人を訪ねて、選挙での支持を訴えるというのですから、不思議です。
名簿のコピーを手元に残すという前提での発言なのかと思います。そういう目で見れば、たしかに、この署名用紙はコピーがしやすい構成です。
もし、署名用紙をコピーして、「減税日本」の予定候補者が自分たちの選挙に使うとなれば、署名の目的外使用になり、法の趣旨に反すると考えますが、いかがでしょうか?選挙管理委員長の答弁を求めます。
署名簿の様式について、地方自治法等ではどのように規定されているのか(再質問)
【さとう議員】
奈良県で使われたから、という答弁であったが、果たしてこれが署名簿といえるのか疑問であす。これまで、本市で直接請求署名を行ってきたみなさんからの声を聞いているが、みんなびっくりしている。自分たちは、規定に従って、面倒ではあってもきちんと署名簿を作ってきたので、こんな簡単なものが認められるのかという思いである。私も、藤前干潟の住民投票直接請求に参加し、毎日書類の整理に負われた経験がある。
そこで、改めて、法律の規定を確認したい。署名簿について、どのように規定されているのか。
署名簿ごとにつづりこまなければ無効になる(意見)
【さとう議員】
法律の規定はなにも変わっていない。自治法の詳細解説で、無効について署名簿そのものに瑕疵がある場合の中で、写しを付してというのは、自治法施行令98条の4にもとづく規則の別記様式により署名簿ごとに表紙の次につづりこむものとされており、これらを欠いている署名簿である場合は署名簿そのものに瑕疵があるとして署名の実質審査に立ち入る必要はない、と書いてある。ストレートに読めば、この署名簿は無効だから審査する必要がないときちんと書いてあるので、選管としてきちんと対応していただきたい。
署名簿を選挙に使うのか(市長への再質問)
【さとう議員】
先ほどの選管委員長の答弁で「署名の目的外使用」について、話があった。現場で署名集めの中心になっているのが、減税日本の予定候補者だということはありますが、減税日本の代表者である河村市長に具体的に尋ねます。
個人情報保護の観点から、市長傘下の議員予定候補者に署名の目的からいって請求署名をコピーしないように、市長から明確に指示すべきだはないか。
必要数に達しない場合は、署名自信を出さなくていい、もしくは審査の場合に無効にされて返されたりする。その際に署名簿が請求人に残るがどう処理されるのか。
市長が深くかかわっていることは明らかだ(再質)
【さとう議員】
減税日本から立候補するということで、事務所も構えてやっておられる方、その方が受任者になって各区で取りまとめをされているし、市長は今、市民がやっていることで自分はやっていないと言い逃れをされたが、はたしてそうでしょうか。これまでの報道の経過をたどれば、全くの言い逃れに過ぎない。
市民もマスコミもそう思っている。請願の趣旨を市長が書いたことも報道された。受任者に署名簿と一緒に送った、市長の写真入り檄文などを見れば、市長が深くかかわっていることは明らかだ。
しかも、受任者に郵送された封筒の裏には連絡先があり、「ネットワーク河村市長」本部と書いてあり、古出来町になっているが、各区の連絡事務所の電話が局番が同じで連番で印刷されている。実際に電話すると「ネットワーク河村市長」の事務所につながるわけです。結局、市長の関係が深い方、指示者の強力な方ですから署名運動を行っているのが市民だといっても、この事態を見れば中心的には市長に深い関係のある団体や、市長が代表者の政党の構成ではないのでしょうか。
だから、マスコミも含めて市長主導と言っているわけではないでしょうか。
市長があおって、公職選挙法にしばられない選挙運動を行っている(意見)
【さとう議員】
どのようにいわれても主導している、あおっている、市長がやっていることは、市民をあおって解散請求署名を仕掛けたことでる。
問題は、2元代表制というのはどちらも選挙で選ばれるのだけれども、市長と議会との間で政策一致しないときはどうするのかです。その時、市長は市民を使って民主的手段とは言え、自分が有利になるようにしよう、今回は議会を解散させ、自分の支持者で議会を固め、議会を支配しようということです。まさに民主主義の悪用だと言っている。四月の選挙ではなぜいけないのかについてははっきり言いませんでしたが、結局は目立つためにやっているとしか思えません。今回は公職選挙法にしばられない選挙運動を行っているという、識者の指摘は全く持ってその通りである。
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政策の実現のために応援するのは当然だ(市長)
【市長】
ものすごい多くの市民の方が立ち上がり、主体はどう考えても、市民がやっとられる。私自身は自分の公約をとにかく実現せないかんという思い。また、減税も始まっており地域委員会も始まっております。この政策を継続せなかんということで、全力で応援している。私が市民の前でマイクを持って「かくあるべし」ということが、選挙で選ばれた人間の最もしなければならないことで、逸脱では全くありません。