化製場等に関する法律によれば、牛、馬等政令で定める種類の動物を専用の施設において、県条例で定める数以上、飼養又は収容しようとする者は、動物の種類ごとに市長の許可を得なければならないとされている。また、同法では、市長が許可を与えるときには、専用の施設の構造設備が県条例で定める公衆衛生上必要な基準に適合していなければならないとされている。法がこのような規制を設けたのは、以下の理由によるものと考えられる。すなわち、動物の飼養には、排泄物、臭気、汚水等の発生が伴うことが多く、飼養する動物の数が増えれば、排泄物等も増加する。それらが放置されれば生活環境が悪化する等、周辺住民の生活に直接影響を与える可能性が高いからである。
ところが、同法では、市内すべての地域で市長の許可が必要とされているわけではない。許可が必要な区域は、人口密度が1平万キロメートル当たりおおむね3000人以上であること等、県条例で定める基準に従い、市長が告示によって指定しており、直近の告示では、周辺区域の一部は許可を必要としない区域とされ、我々が居住する港区南陽地区も許可を必要としない区域とされた。
しかし、この告示は昭和59年9月29日付けで行われたものであり、すでに四半世紀が経過している。これまで指定区域は過去一度も見直しがされていないが、この間、住民の環境意識の高まり、宅地開発等に伴う周辺地域の人口の増加等、本市の状況にはかなりの変化があった。そのため、指定されていない区域が現在も県条例の基準に適合しないのかどうかは明らかではなく、そもそも県条例の基準自体が本市の現状に適合しているのかという疑問もある。
快適かつ衛生的な環境で生活することは多くの人の願いである。我々は、自分たちが住む地域に法で定められた規制の適用がないことを極めて遺憾に思ってきた。これまで港区内では規制が問題となる事例はなかったが、この状況が永続するという保障はなく、必要な規制がされないかもしれないという不安を抱えたまま生活することはできない。
ついては、速やかに指定区域の見直しが実施されることを期待し、次の事項の実現をお願いする。
- 現在、本市において化製場等に関する法律第9条第1項に基づく動物の飼養又は収容のための許可を必要とする区域に指定されていない地域の状況を早急に調査し、指定区域の見直しを実施すること。
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