2010年9月定例会 個人質問(9月14日)
市民・中小業者の苦しみがわからないのか。
金持ち減税より、税金が払えるだけの仕事をつくれ
山口きよあき議員
円高不況下での景気対策について−金持ち減税よりも庶民・中小業者のための具体策を−
山口議員
公約違反の金持ち減税・・・市民への正確な情報提供が不可欠だ
【山口議員】
市長さん、減税を続けるどうかより、税金をまず払いたい、払えるだけの仕事が欲しい! これが、私が聞いた不況で苦しむ中小零細業者の声でした。以下、通告に従い順次質問します。
いま議会解散運動のノボリにはお得意のワンフレーズで「減税解散」と書かれています。減税になぜ反対なの?市民にこう聞かれると、私も一瞬答えに詰まります。市長は、「減税の恒久化」が「市民の皆様から圧倒的なご支持をいただきました」と述べるなど、最近の世論調査による高い支持を「明確な民意」だと断定しています。しかし報道機関の世論調査は、恒久減税に賛成か反対かを問うだけで、減税の内容や実施期間を聞いていません。ここが問題です。
あなたの減税は誰がどう見ても、大企業・金持ちの優遇減税。納税企業のたった0.2%の企業に減税総額の44%が集中し、赤字の中小企業にはほとんど恩恵がありません。約40万人の非課税世帯は減税の対象にすらなっていません。
正確な情報提供が、民意を問うための大前提ではないでしょうか。
中日新聞の今年4月の世論調査では「恒久減税でなければ意味がない」26.3%に対し「一年やってみて継続するかどうか判断すればよい」は57.9%です。
日本共産党の市政アンケートには2週間で約千通の回答が寄せられています。「減税の恩恵を実感しますか?」の問いに62%が実感しない。実感するは20%です。「金持ちゼロに反しているのでは?」には、やむをえない20%、公約通り金持ちゼロにすべき58%です。これらもひとつの民意ではありませんか。
あなたは昨年、市長選さなかの中日新聞(2008年4月19日)では「金持ち優遇には絶対にしません!」とまで言いきりました。
民主主義の根幹である選挙公約を自ら踏みにじって恥じないあなたが、議会が「公約実現を阻んでいる」と言う資格はありません。
市長!「減税解散」の一言で議論を封殺するのではなく、減税の内容を正確に情報提供したうえで、このまま継続すべきかどうか、判断を仰ぐのがフェアなやり方とは思いませんか、答弁を求めます。
金持ち減税が生活支援や景気回復に効果があったか
【山口議員】
減税の目的には「地域経済の活性化」もうたわれています。しかし、あなたの金持ち減税は果たして、地域経済の活性化に役立つのか。不況の長期化プラス急激な円高で名古屋の地域経済はどうなっているでしょうか。
雇用が減っています。有効求人倍率は3年前の2.35が昨年はついに0.79です。「事業所・企業統計調査」によるとこの10年間で、建設業で約3万人、製造業で約6万5千人、卸売・小売業では9万2千人も雇用が減りました。
規模別にみると300人以上の大企業では10年間に約2千人の減なのに、従業員10人未満の事業所では約7万人の減です。従業員4人以下の所では実に5人に1人が職を失いました。
市内の企業は約9万社ありますが、赤字企業が増えています。欠損法人は3年間に約1万社増え、いま6万3千社、うち6万社は資本金1億円以下の中小企業です。3社に2社が赤字経営です。
企業倒産も増えています。2008年380件、2009年411件、今年は上半期で既に244件です。
法人市民税の滞納も、2006年の4181件が、2009年には5千件の大台を超え、5019件になりました。
生活保護を含む非課税世帯が増え、個人市民税の税収が落ちこんでいます。
市民税収の減少は、国保料のうち所得割の料率引き上げを招きました。年金暮らしのある男性は、市民税減税が4900円なのに国保料は前年より2万4800円も高くなりました。税収減が市民にいっそうの負担増を強いています。
市長、これらは何を意味しているかわかりますか?可処分所得を増やす減税効果の及ばない企業や市民がいまどんどん増えているのです。
先日の提案理由説明をそっくりそのままお返しします。「厳しい雇用情勢の中、一人ひとりが今を生きるのに必死になり、もがき苦しんでいる庶民の暮らしぶりや苦労を、市長は本当にわかっているのでしょうか。」
あなたの減税は、いまの経済情勢にそぐわず、格差を広げるだけです。
このまま公約違反の金持ち減税を恒久化しても、景気の回復、庶民の生活支援には何も役立たないのではありませんか。市長の答弁を求めます。
市長になるずっと前から単一税だ。実態調査に率先して出かけよ(再質問)
【山口議員】
金持ち減税について、市長さん、市民税が6%フラット化されたのは、市長選挙のかなり前ですよ。あなたはそのことを知っていて選挙公約をつくったはずではありませんか。それだけは指摘しておきます。
市長は、「不況対策は減税がすべてじゃない」と言いましたが、副市長からも局長からも具体的な対策は何もでてきていないじゃありませんか。融資枠を広げても、借りられない業者、借りても返せない業者が増えている。昨年度、市の信用保証協会の代位弁済、つまり融資返済の焦げ付き肩代わりは件数で1.3倍、金額で1.46倍、過去最高の263億円です。市長は金融機関にもお金はあるが借りてもらえない状態だ、と言っているじゃありませんか。
一点だけ再質問します。市長、もがき苦しんでいる庶民の暮らしぶりや苦労を、あなたが率先して調査していただきたい、零細業者の実態、どうですか。
円高を勘案した財政収支見通しなのか
【山口議員】
次に、本市の財政状況の見通しについてうかがいます。
財政局が9月に発表した収支見通しの試算では、政府の経済成長見通しが0.4%から1.6%、1.7%に変更されたとして、来年度の市税収入を3月時点の試算よりも約91億円、その2年後には137億円も多く見込みました。
まさか減税を恒久化しても税収は十分と言うための試算ではないでしょうが、財政局の収支見通しは楽観的過ぎませんか。
政府試算値は、現下の円高水準を見込んでいません。収支見通しの前提となる為替レート(円高水準)をいくらとみているのか。
円高の影響が大きい輸出産業が多いこの地域では、より厳しくみる必要があると思いますが、財政局長お答えください。
山口議員
独自の円高不況対策等はあるのか
【山口議員】
この経済成長率を本気で達成しようと思えば、政府まかせでなく本市独自でも円高不況対策・内需拡大策が必要ではないのでしょうか。
ところが今回の補正予算では、そのための施策はまったく組まれていません。これはどうしたことか。
円高対策、景気対策も10%減税の恒久化ですべて解決するのですか。現下の経済状況の認識とあわせて、市民経済局長にうかがいます。
実効性ある不況対策・景気刺激策のためにも中小業者の実態調査が必要だ
【山口議員】
円高の影響は深刻です。3点、市民経済局長に提案し、答弁を求めます。
まず市内の中小業者を市の職員が訪問し、経営と生活の実態を直接把握する調査をしてください。とりわけ従業員5人以下の小規模業者の実態を本市はいまだ十分に把握していないのではありませんか。
現場に足を運ぶ調査からこそ具体的、効果的な対策が見えてきます。現場で話を聴くだけでも例えば、従来型の融資枠拡大という金融支援では不十分だと実感できます。
融資の運用改善と固定費補助の創設が必要だ
【山口議員】
法人市民税の滞納が増えています。当然、個人市民税も滞納しがちです。ところが融資条件の原則には、税金の滞納がないこととあります。しかしこれでは支援が必要な業者に十分な融資ができません。柔軟な対応に改めるべきではありませんか。
なぜ税金を滞納するのか?固定経費の負担です。町工場などでは、地代や機械のリース代など、仕事が減っても売り上げに関わらず発生する固定費がほんとに重い。
仕事が減り固定費が売り上げの2割3割にもなるとピンチです。税金よりもこちらの支払いを優先してしまう。
すると融資も受けられず、返済も滞り、最後には機械や工場を手放す。いったん手放したら、一から設備投資する力はもう中小業者には残っていません。
景気が回復し、注文が増えてくるまで、設備や工場を維持するための支援こそ必要ではないでしょうか。
従来型の金融支援から一歩踏み出し、固定経費に対し直接補助制度を設けるべきではありませんか。答弁を求めます。
山口議員
内需拡大、景気刺激策の具体化として住宅リフォーム助成を提案します
【山口議員】
業者は支援でなく仕事が欲しいのです。しかし厳しい財政状況下、投資的経費も抑制されています。内需拡大には安定した雇用の拡大や社会保障の充実、国保料の引き下げなどと共に、効果的・効率的な需要喚起策が必要です。
私は再度、住宅リフォーム助成を呼びかけます。政府も家電エコポイントやエコカー補助金などを行ってきました。一定の需要喚起にはなりましたが、家電や自動車メーカーは本来、自力で値引き可能な大企業です。
公がやるべきことは、自力ではなかなか価格を下げられず、または下げすぎて儲けも出せないような中小メーカー・自営業者への支援ではないでしょうか。
政府は住宅エコポイントも延長するようですが、愛知県はこの利用が多いのです。しかし、新築一戸建での利用が多く、共同住宅やリフォームでの利用はいまひとつ、また大手住宅メーカーが受注しがちで、小規模事業者には十分に仕事が廻ってきません。そこで自治体のリフォーム助成です。
秋田県が今年度から住宅リフォーム助成を始めました。工事費の10%、最大20万円を補助します。申し込み件数は8月末で予定の7000件を大きく超え8901件に、助成金は12億5619万円ですが、工事金額は194億円にのぼり、地元の個人業者が件数の30%、工事金額の45%を受注しています。関連業界まで含めリフォーム助成で新たにおこった民間需要は約311億円、費用対効果は約25倍です。
県下でも蒲郡市が10月から始めます。秋田県同様、10%、20万円の助成で、予定額は2000万円です。
そこで、大西副市長にうかがいます。
例として住宅リフォーム助成をあげましたが、財政に大きな負担をかけずに需要を喚起する、市民の潜在需要を引き出し、市民の力(資金)で地元業者の仕事を増やすような施策が必要だとは考えませんか。
名古屋市としてどんな需要喚起を検討しているのか、お答えください。
金持ちゼロの庶民減税で不況から市民のくらしと営業を守る施策を(意見)
【山口議員】
減税と仕事おこしと本市の財政を両立させる道もあります。それはわが党が提案しているように、減税の対象から法人企業と高額所得者をのぞき、金持ちゼロの庶民減税にすることです。
減税規模を小さくして生み出す財源で、住宅リフォーム制度や固定費補助、国保料の引き下げなども財政に無理なく行うことができます。
この方向で、厳しい不況から市民のくらしと営業を守り抜くことを呼びかけて、質問を終わります。
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6%の均一税率を崩さず法律に従っただけ。金持ち優遇ではない(市長)
【市長】
平成18年から6%の均一税率になり、あえて減税の税率を変えると、この6%が崩れることになるので、法律に従った。もともとの税率が金持ち優遇になったと言えるかもしれません。