2010年11月議会 意見書・決議日本共産党をはじめ各会派から提案された10件の意見書案、および北朝鮮の砲撃事件に絡み緊急に提出された意見書案1件、計11件について、議会運営委員会理事会で協議が行われ、7案件が適切な修正や調整を行って共同提案の合意が得られ、12月8日に議決しました。日本共産党の3件はいずれも否決でした。
結果が「可決」となっている、セルの背景が黄色いものは可決された意見書。 議運に提案された段階での態度です。 ○=賛成 ●=反対 △=保留 《採択された意見書》外来生物対策に関する意見書野生生物本来の移動能力を超えて、意図的・非意図的に国外や国内の他の地域から導入された外来種が、地域固有の生態系に対する大きな脅威となり、近年、世界的な問題となっている。 我が国では、平成17年に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(特定外来生物法)」が施行され、侵略的な外来種97種類を特定外来生物に指定し、栽培や輸入を規制しており、平成19年に閣議決定された第三次生物多様性国家戦略においては、外来種の存在を、生物多様性の危機の一つとして位置づけている。また、ことし10月に本市において開催されたCOP10のサイドイベントでは、日本の外来種問題とその対応について情報発信することにより、適切な外来生物対策が豊かな生態系の保全につながることへの理解促進を国内外へ図ったところである。 しかしながら、外来種の存在の実態が把握できていないことや、地域を越えて移動する外来種に対して、一つの地方公共団体の取り組みでは不十分といった課題がある。また、既に飼われている外来生物を野外に放すケースも見受けられ、国民への一層の周知、啓発が必要である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、国内の生態系を破壊する外来種を規制するため、次の事項を実現するよう強く要望する。
鉱業法の改正に関する意見書現在、地方公共団体においては、自然環境の保全や希少動物の保護、河川はんらんやゲリラ豪雨に対する防災など様々な施策を展開し、努力を重ねている。 しかしながら、昭和25年に戦後の産業復興のため、地下資源を優先的に活用することを目的として制定された鉱業法は、自然との共生や防災を目指す現在の社会的要請に著しく相反する内容となっている。 日進市を源流として名古屋市に流れ込む天白川の流域は、昭和34年の伊勢湾台風や平成12年の東海豪雨により甚大な被害を受けているが、近年その上流部において鉱業法による開発申請がなされるなど、地域住民の不安が高まっている。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、鉱業法を環境や防災に配慮したものとするとともに、開発許可の申請について関係市町との事前協議を義務づけるなど、実情に即した法律改正を検討するよう強く要望する。 幼保一体化に関する意見書幼稚園が定員割れになる一方、保育所の待機児童はふえ続けており、幼稚園と保育所の幼児教育・保育のニーズに対応するため、認定こども園制度が平成18年10月から開始されたが、あまり普及が進んでいないのが現状である。 政府は、幼保一体化を実現するため、文部科学省と厚生労働省で縦割りになっている補助金給付を統一した幼保一体給付(仮称)を実施すること等により、幼稚園・保育所・認定こども園の垣根を取り払い、幼児教育と保育をともに提供するこども園(仮称)に一体化する方針を示した。平成25年度からの実現を目指し、来年の通常国会に関連法案を提出する予定である。 しかしながら、幼稚園と保育所では必要とされる設備が違い、こども園(仮称)に一体化した場合に均一な幼児教育と保育をどのように提供するのかといった道筋も示されていないため、現場の戸惑いも多く、また、すぐれた幼児教育などの幼稚園のよさが失われる等の懸念の声もある。とりわけ、本市のような大都市部においては、幼稚園・保育園の歴史的な背景もかんがみ、それぞれの制度を併存させるなど柔軟に対応していくことが望まれる。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、幼保一体化については、拙速な結論を避け、慎重に審議するとともに、地方公共団体及び関係者からの意見を十分に考慮するよう強く要望する。 地方経済の活性化策に関する意見書地方の経済・雇用は依然として極めて厳しい環境に置かれ、地域間格差もますます拡大している。今必要なことは、地域で仕事を生み出すことであり、その上で雇用の維持・創出や失業者支援を強力に推進し、地方経済の活性化を図らなければならない。 しかしながら、第176回国会に提出された補正予算案は、このような地方の厳しい状況を十分に勘案したものとは言えず不十分であり、自治体が思い切った対策を打てるよう、より大胆な支援を行うべきである。 地方では、真に必要な公共事業の推進や中小企業支援施策の強化、農商工連携の促進、観光振興の拡充など、地域の実情に応じた経済対策が求められている。 特に学校・公共施設の老朽化・耐震化対策や橋梁・上下水道などの改修等は住民生活を守る上でも、積極的に進めていく必要がある。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、地域に即した事業支援による地方経済の活性化策を速やかに実施するため、次の事項を実現するよう強く要望する。
切れ目ない中小企業支援及び金融支援策に関する意見書現在、中小企業を取り巻く環境は消費の低迷、デフレに伴う低価格競争、急激な円高など、依然として厳しい状況が続いている。 こうした中、緊急保証制度と中小企業金融円滑化法は平成22年度末で期限切れを迎えるが、企業にとって最も重要な資金繰り支援を打ち切ることで資金が困窮すれば、事業が衰退し雇用に影響する。また、成長分野に取り組む中小企業支援を進めることは雇用促進にとって重要であり、年末・年度末の中小企業の資金繰りに万全を期す必要がある。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、切れ目のない中小企業支援及び金融支援策を早急に決定・実施するため、次の事項を実現するよう強く要望する。
ヒトT細胞白血病ウイルス1型総合対策に関する意見書ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV−Ⅰ)は、致死率の高い「成人T細胞白血病(ATL)」や、進行性の歩行・排尿障害を伴う「HTLV−Ⅰ関連脊髄症(HAM)」等を引き起こす。このウイルスの国内感染者は100万人以上と推定され、毎年1000人以上がATLで命を落とし、HAM発症者は激痛や両足麻痺、排尿障害に苦しんでいるが、いまだに根本的な治療法は確立されていない。 現在の感染経路は、主に母乳を介しての母子感染であり、妊婦健康診査時にHTLV−Ⅰ抗体検査を実施し、陽性の妊婦に授乳指導を行うことで、効果的に感染拡大を防止することが可能だが、こうした取り組みは、一部の地方公共団体に限られている。 厚生労働省は通知を改正し、HTLV−Ⅰ抗体検査を妊婦健康診査の標準的な検査項目に追加し公費負担の対象とできるようにしたが、感染の拡大を防止し、感染者及び発症者を支援するため、相談体制の充実を図るとともに、診療拠点病院の整備、予防・治療法の研究開発、国民への正しい知識の普及啓発等の総合的な対策の推進が不可欠である。 よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、ヒトT細胞白血病ウイルス1型総合対策を推進するため、次の事項を実現するよう強く要望する。
北朝鮮の韓国への砲撃に抗議する決議朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)は、11月23日に、韓国西方の黄海に浮かぶ延坪島に対して砲撃を行った。同国は、韓国軍による領海侵犯を主張し、今後も同様の軍事的対応を行う可能性がある旨の声明を発表している。 韓国と北朝鮮の間では、昨年の11月にも艦艇による銃撃戦が行われるなど、緊張状態が続いているが、今回の砲撃は一般市民が居住している地域に向けて行われており、非人道的な暴挙である。また、韓国軍を初め、民間人にも死傷者が出ており、攻撃とそれによる被害は非常に深刻な事態である。 このような北朝鮮の行為は、韓国のみならず、我が国を含めた北東アジア全体の平和と安全を脅かすものであり、断じて許すことはできない。 よって、名古屋市会は、恒久平和を実現し、市民の生命と財産を守る立場から、北朝鮮の韓国への砲撃に厳重に抗議するとともに、今後同様の行為を行わないよう強く求めるものである。 以上、決議する。 《採択されなかった日本共産党提案の意見書案》環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する意見書案政府は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について、「関係国との協議を開始する」と明記した「包括的経済連携に関する基本方針」を閣議決定した。 TPPは、関税を原則撤廃し、農産物の輸入完全自由化をすすめるものであり、これに日本が参加すれば、農水省の試算では、わが国の食料自給率は40%から14%へと激減し、関連産業も含めて340万人の雇用が失われるとされている。TPPへの参加は、農業と地域経済に深刻な打撃を与え、"おいしい日本のお米を食べたい"という消費者の願いにも反し、国民の食の安全と安定的な食料供給を大きく脅かすことは明らかである。 農産物の関税撤廃は世界のすう勢ではない。農産物の平均関税率はEU20%、アルゼンチン33%、ブラジル35%などと高く、アメリカも乳製品や砂糖の輸入規制を続けている。日本はすでに平均12%まで関税を下げており、「世界で最も開かれた国」の一つになっている。自国の食料のあり方は、その国で決めるという食料主権を保障する貿易ルールこそが、日本にも、国際社会にも求められている。 よって名古屋市会は、国会及び政府に対し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に参加しないよう強く要望する。 国民健康保険制度の「広域化」に関する意見書案厚生労働省は、後期高齢者医療制度に代わる新しい高齢者医療制度の検討の中で、国民健康保険について全年齢を対象に期限を決めて、全国一律で都道府県単位に「広域化」する方針を明らかにした。 厚労省は、国民健康保険の「広域化」に当たって、保険料の算定方法を法令で定め、都道府県単位の運営主体において、一般会計からの繰り入れを行う必要が生じない仕組みとするとしている。国民健康保険では、多くの市町村は住民の保険料負担を軽減するために一般会計から財源を繰り入れており、繰り入れをなくせば、医療費の増加が保険料の引き上げに直結し、保険料がいっそう高騰することは明らかである。しかも、市町村が独自に実施している保険料の減免制度も、後期高齢者医療制度における広域連合での運営のように否定されることになりかねない。 いま、国民健康保険制度に求められるのは、国庫負担を引き上げ、その割合を2008年度の24%から1984年の50%に戻すことである。そして、保険料を引き下げ、国民が支払える保険料にすることである。 よって、名古屋市会は国会及び政府に対し、国民保険制度の「広域化」を断念するとともに、国民健康保険会計全体に占める国庫負担割合を50%に引き上げるよう強く要望する。 企業・団体献金の禁止に関する意見書(案)政治資金をめぐり国会議員に重大な疑惑が生じても、国会における説明責任すら十分に果たされない異常な事態が続き、国民の政治不信を招いている。 そもそも「政治とカネ」の問題による政治腐敗事件の多くが、政治家をめぐる企業・団体献金に起因していることは明らかである。しかも企業・団体献金の禁止を約束しながら実行されていないことが、国民の政治不信をさらに広げている。 現行の政治資金規正法では、企業や団体による政治家個人への献金を禁じているが、政党やその支部にいったん献金し、政治家の資金管理団体などにまわす迂回献金の抜け道も残されたままである。 よって名古屋市会は、国会及び政府に対し、政治への国民の信頼を取り戻すために、速やかに、企業・団体献金を全面的に禁止するよう強く要望する。 |
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