2010年11月定例会 個人質問(11月29日)
市民の声を反映した市立病院改革プランを
国民健康保険料の引き下げを
生活再建の立場にたった貸付金返済計画を

くれまつ順子議員

録画中継を名古屋市会サイトにて配信しております。ご覧になりたい方はこちら(市議会の録画中継サイトが別ウィンドウで開きます

新しい名古屋市立病院改革プランについて


くれまつ議員

これまでの市立病院改革プランの総括は

【くれまつ議員】
名古屋市立病院改革プランについてです。市立病院では、市民ニーズに対応するために5病院の再編をすすめていましたが、診療報酬の低下や医師・看護師不足などの医療環境の変化により経営が悪化し、平成19年度に赤字が39億円となりました。こうした経営状況を立て直すために、平成20年度から今年度までの市立病院改革プランを定めて病院改革にとりくんできました。そして来年度から次の市立病院改革プランをつくろうとしています。

私は、これまでの改革プランについて、市民の期待通りの病院改革になったのかという点から、病院局長に伺います。

病院改革プランでは、「患者さんと職員の笑顔が見られる病院」をめざし、5病院の再編をすすめ、経営を改善し、不良債務を解消することを目標にとりくまれました。医師不足を解消する、医師にきてもらうために、特徴をもった病院に再編する計画。しかし、城西病院は民間譲渡で西部医療センターのサテライト化、高齢者に優しい病院にする計画は破綻し、緑市民病院再来年からの指定管理制度に移行するということになりました。これが病院改革プランの結果です。城西病院の利用者からは、「民間病院になると内科しか診療できないが、整形外科もやってもらいたい、」と切実な声をあげています。緑市民病院の指定管理者は応募がなく、分娩医療を必須条件からはずし条件を改悪して選定しましたが、「市内で最も人口の多い緑区でお産ができない状況では困る。」とこちらも切実です。今、多くの患者さんと職員から笑顔が消えているのではないでしょうか。

そこで、病院局長に、現在の病院改革プランで、どれだけ、医師・看護師をふやすことができたのか、市民の医療ニーズにこたえることができたのか、改革プランの総括について伺います。

抜本的な改革にはなっていないが、一定の成果を上げることができた

【病院局長】
平成21年3月に策定した名古屋市立病院改革プランに示した「患者さんと職員の笑顔がみられる病院」という理念の下、特色のある病院づくりに取り組み、その成果が表れ始めている。

具体的には、東部医療センタ一東市民病院で、心臓血管センター・脳血管センターの開設など、高度・専門医療の充実に取り組み、日本でも有数の高い技術を持つ医師を招聘するなど、医療体制を大幅に強化することができた。これらの高度・専門医療の充実を背景として各診療科の連携による救急医療体制の強化も可能となり、従来の内科二次救急に加え、今年度から外科系二次救急を開始するなど、医療ニーズが高い救急医療の充実に着実に取り組むことができている。

小児・周産期医療を特長とする西部医療センター城北病院では、さらに小児・周産期医療を充実させるとともに、がん医療への対応を強化できるよう、来年5月予定の西部医療センター開院に向け、精力的に準備に取り組んでいる。

このように精力的に取り組んだ分野では医師看護体制を強化することが出来、市民の皆さんの医療ニーズにもより的確に対応出来るようになった。医師の確保は平成20年の177名に比べ今年度は181名と4名増加出来ており、地域病院の特色が少しずつ理解されている。抜本的な改革にはなっていないが、一定の成果を上げることができた。

市民の声を反映した市立病院改革プランをつくるべき

【くれまつ議員】
さて、10月下旬、新しい市立病院改革プランを来年3月に策定するために、有識者会議が開かれたと新聞報道がありました。そこでは、病院改革プランの素案が出されたようです。

新しい病院改革プランについては、どうしたら市民のための市民病院として役割を果たせるのか、市民と力を合わせ、市民とともにプランをつくるべきと思うのです。緑市民病院では、医師会の皆さんの協力で夜間診療が行われています。城西病院を守る会の代表の方は、「お産の復活のために、産科の医師を探す努力を、私たちもします。名市大、名大に出向いて市立病院に医者を派遣していただきたいとお願いにいきたい。」と病院局との懇談の場で発言されました。新しい病院改革プランは、市民の生の声や知恵と力を借りてつくらなければ、いいものになりません。そこで、病院局長に伺います。

新しい改革プランを作る際に、緑市民病院や守山市民病院の利用者、職員から、直接声を聞く場を設けていただき、市民の声を反映した改革プランをつくるべきと考えます。答弁をもとめます。

パブリック・コメントで意見を聞く(局長)

【病院局長】
昨年度から「今後の市立病院のあり方」の検討を行っており、これまでにも「名古屋市立病院のあり方を考える有識者会議」のほか、市民の皆様や医療関係者などから幅広い意見を聞いている。現在、各市立病院において、事務部門と各部門の職員が共同して具体的な目標を検討するなど、病院局全体で新たな改革プランの検討を行っている。 今後、パブリック・コメントを予定しており、市民には、その中でご意見を頂きたい。

西部医療センター城西病院の民間譲渡
・平成23年3月末をもって、市立病院としては廃止。民間譲渡により平成23年4月以降の医療施設としての存続及び介護保険関連施設の誘致を図る。
・理由@周辺に多数の病院が存在し、急性期病院は必要でない。A医師等の医療従事者の確保が困難である上、市が多額の財政的な負担をしてまで市立病院の運営を継続する理由がない。B亜急性期、回復期、慢性期等の医療ニーズは、民間医療施設による対応を図ることが望ましい。C市全体で介護保険関連施設が不足し、中村区はひとり暮らしの高齢者が多い地域である。

緑市民病院の指定管理者制度導入
・指定管理者制度を平成24年度までに導入し、市立病院として地域密着型の総合的な病院の役割を継続。
・理由@医療ニーズの増加が見込まれるが、周辺には大規模な病院があまり存在しない。A救急患者の多くが区外に搬送されており、救急医療を安定的・継続的に確保するためには、市立病院としての位置付けを維持し、市が責任を持って医療を継続する必要がある。B医療従事者を十分に確保し、救急医療の充実、経営の改善等を実現するためには、指定管理者制度を導入して民間の運営手法を活用する必要がある。

守山市民病院の存続を


くれまつ議員

【くれまつ議員】
次に、守山市民病院の存続についてです。

来年度からの改革プランの素案について、有識者から、「守山市民病院は存続させるべきか否か考え直すべき」との意見が出て、こうした意向をもりこむことにしたと報道されていました。守山市民病院は廃止されるのかと不安が広がっています。有識者は、なぜ存続させるべきか否かというのでしょう?守山市民病院がいかに、守山区民に愛されて利用されてきた病院であるのか、全くご存じないといわざるをえません。病院局長はどのように思われているのでしょうか。

守山区民は廃止をのぞんでいません。城西病院に続き、東部医療センターのサテライト病院である守山市民病院もなくすという情け容赦ない計画にしてはなりません。

そこで、病院局長に、伺います。守山市民病院を、守山区唯一の総合病院と位置付け、地域の医療機関や東部医療センターとの連携を強めて、市立病院として存続させると、新しい病院改革プランに明記していただきたい。お答えください。

総合的に検討していく(局長)

【病院局長】
東部医療センター守山市民病院は、緩和ケア医療のほか、物忘れ外来や医療健康よろず相談窓口などによる高齢者医療に重点をおいて取り組んでおり、特に、緩和ケア病棟については入院待ちの患者がみえるなど、現在の改革プランによる取組みが一定の成果を上げている。

一方で、病院全体としては、病床利用率が3年連続で70%を下回り、総務省の公立病院改革ガイドラインにより、今後のあり方を抜本的に見直すことが求められるほか、医療従事者の確保が困難であるなど、非常に厳しい状況となっている。

今後は、市立病院全体としての機能や分担、連携の状況、周辺の医療環境、患者さんの動向、医療従事者の充足状況など、様々な観点から、総合的に検討していく必要がある。

患者さんの笑顔が消えていく病院改革だ(再質問)

【くれまつ議員】
納得のいく答弁ではないので、再度質問します。

重点的にとりくんできた城北病院と東市民病院のとりくみで成果があがったという答弁でした。こんな総括は認められません。城西病院の民間譲渡、緑市民病院は指定管理でお産も条件から外す。これでは患者さんの笑顔が消えていく病院改革になったのではないか、こうした医療ニーズにこたえることができていないことをきちんと総括すべきです。

医療資源の選択と集中で医療機能を強化することが重要(局長)

【病院局長】
評価としてはいろいろあろうかと思いますが、医療の高度専門化、多様化、医師・看護師等の不足といった医療環境の変化に的確に対応できていなかった。

そのため、限られた医療資源の選択と集中で、各病院の特徴をより明確にし医療機能を一層強化することが重要であると信じております。名古屋市全体の状況を勘案し医療ニーズが高い分野に重点を置き、特色のある病院づくりをすることは、市立病院の改革として最も重要な取組みであり、その成果は表れ始めていると考えております。

廃止が決まってから城西病院の患者の声を直接聞いたのか(再質問)

【くれまつ議員】
選ばれなかった病院の患者さんから笑顔が消えていると思います。選択と集中、この言葉によって緑、城西、守山市民病院の患者さんから笑顔が消えていると思います。もちろんそれぞれの病院で医師が一生懸命患者さんをみて下さっているのは分かりますけれど、

今、医師が5病院全体で4名ふえたといわれましたが、内訳をみると東市民が15名、城北が2名の増員、一方で守山と城西病院はそれぞれ、5名と8名の減員です。緑は現状維持。

東市民と城北病院には医者が増えるけれど、城西病院と守山市民病院は選ばれない。城西と守山の患者から笑顔が消えていく。選択と集中で、5つの病院の再編を進める改革は破たんしているといわざるをえません。頼るべきは市民の力、裏切ってはいけないのは患者さん。そして、市民といっしょに市民病院をよくしていく、こうした姿勢が重要ではないでしょうか。

そこで、再度病院局長の姿勢を問いたい。あなたは、廃止になると決まってから、城西病院の患者さんの声を直接聞いたことがおありでしょうか?

守山市民病院の沿革
年月 項目 年月 項目
昭和26年8月 旧守山市立守山市民病院として建築に着手 昭和59年9月 中央材料室、新管理棟の増築
昭和29年10月 診療開始 平成5年6月 新病棟改築により200床稼働となる
昭和30年4月 瀬古診療所を本院の附属診療所とする(昭和43年閉鎖) 平成9年2月 MRI棟増築
昭和30年12月 伝染病隔離病舎建設(昭和47年閉鎖) 平成9年12月 診療予約システムの開始
昭和36年8月 病棟第1期、第2期工事完成、病床数200床に増床 平成14年3月 建物耐震工事完了
昭和38年2月 名古屋市と合併、名古屋市立守山市民病院と改称。国民健康保険志段味診療所を守山市民病院附属志段味診療室に改称(昭和60年閉鎖) 平成15年7月 北側進入路供用開始
平成19年1月 全身用X線コンピュータ断層撮影装置(CT)更新 平成20年4月 名古屋市立東部医療センター守山市民病院と改称
昭和45年3月 防衛庁航空騒音防止対策補助金を受け、診療部門、管理部門の改築工事第1期、第2期完成 平成21年3月 ライフライン等耐震工事完了
平成21年4月 許可病床数165床に変更 昭和46年3月 既設病棟防音施行により減少した病床数71病床分の病棟を増築し、防音改築工事第3期完成
平成21年6月 緩和ケア病棟開棟 平成22年1月 日本医療機能評価機構による病院機能評価の認定取得
昭和51年6月 総合病院名称承認 平成22年3月 電子カルテ導入

職員を通じて話は聞いている(局長)

【病院局長】
現場、職員を通じ、話はきいており、多くの人の意見を聞いております。

市民の生の声を聞いていただきたい(意見)

【くれまつ議員】
直接市民の声を聞いてほしいと思います市立病院は市民のための病院です。現在の改革プランには『「いつでも、どこでも、誰にでも、安心で最良の医療を提供」することができるよう、市立病院、市立大学を始めとする公的病院等と民間医療機関が機能分担を図り、行政機関とも連携しながら体制を整える必要があります。』

このように書かれています。しかし、新しいプランの素案には、この言葉が消えて、自立した経営を目指すという言葉が強調されています。経営よりも、市民のための病院として、市民といっしょに病院の充実をすすめること、次の改革プランは、直接市民の意見を聞いて、つくっていくことを強くもとめておきます。

国民健康保険料の引き下げを

国保料一人1万円引き下げの決断を

【くれまつ議員】
次に、高すぎる国民健康保険料の引き下げをもとめ、市長に伺います。

高齢者の方は、「市民税減税は3000円、国保の値上げは13000円、これじゃ増税じゃないか、年金は変わってないのに、どうして保険料があがるのか」と、怒りの声を上げています。今年は、不況と減税による税収不足を穴埋めするため、所得割率を大幅に引き上げ、収入が増えないのに、減税の3倍、4倍もの値上げで、保険料が数万円も上がる人が続出しています。私は、地域で高すぎる保険料を一人1万円の引き下げを求める署名をとりくんできました。「一人1万円の値下げは、とてもありがたい」と署名は好評です。

国保料の1万円引き下げにおよそ60億円必要です。財源はあります。市民税10%減税のうちの法人市民税減税と高額所得者への減税をやめれば、70億円の財源がつくれます。一般会計から国保会計への繰入れ額を5年前に戻せば約60億の財源増です。高すぎる国保料をせめて1万円引き下げて、払える保険料にすべきです。そこで市長に伺います。

私は、6月議会で国保料引き下げを市長に求めました。その時の答弁は、「やりたいけど、困難」でした。国保料の1万円引き下げも庶民減税の一つです。

高齢者と自営業者のみなさんのくらしを応援するために、国保料一人1万円引き下げの決断を市長に求めます。お答えください。

まず均等割の3%を下げた

【市長】
国保保険料1万円引き下げは何とかならんか、おんなじ医療給付を受けるのにこの不公平さは何なんだ、という気持ち、これはいかんなぁとは思っております。

一般的には困難だってことにはなるけど、不公平だと、感じとるだけじゃいかんとは思いますが、せめてまず3%に取り組んだことだけはご理解頂きたい。

国保料を引き下げてこそ喜ばれる庶民減税(意見)

【くれまつ議員】
国保料の引き下げを多くの市民がもとめています。市長に強く、国保料を引き下げて、自営業者、高齢者のみなさんに喜ばれる、庶民減税だということ申し上げておきます。

生活再建の立場にたった市債権管理計画を

債務者から強制的な取り立てを行うことは問題

【くれまつ議員】
次に、税金や国保料が払えない、市営住宅の家賃を滞納している、こうした市債権の適正管理について、伺います。

本市は、市債権の未収金が年々増加する中、未収金を3年間で約100億円圧縮する債権管理計画を策定しようとしています。11月にパブリックコメントをし、来年1月に計画を発表する予定です。

未収金の多くは、市民からすれば払えないお金です。今日の不況で中小業者の営業が厳しく、仕事が減り税金を払いたくても払えない、そういった市民が増えています。滞納額を生活に応じて分納していた人が、市税事務所ができて以降、「一括で払え」と問答無用でせまられたとの相談が寄せられています。

債権管理計画による債権回収組織は、その人の生活基盤をも奪うような強権的な取り立てが行われることが目に見えています。債権回収は、きちんと訪問をして、生活状態をていねいに聞き取り、生活を再建していく手立てについて相談にのるなど、市民の立場にたって、生活再建のとりくみこそもとめられています。

そこで、名古屋市債権管理対策会議のトップである副市長に伺います。債権回収組織をつくって、債務者から強制的な取り立てを行うことは問題です。それよりも、市債権の適正管理の取組みでは、生活に苦しんでいる市民に対し、生活再建の立場に立ってとりくむべきと考えますが、お答えください。

事情があるかたは適切に対応したい(副市長)

【副市長】
所得や資産があるにもかかわらず納めていないかたに対しては、負担の公平という観点から厳正に対処したいと考えているが、期限までに納めることができない事情があるかたには、所得や生活状況などをお伺いし、適切に対応してまいりたい。

主な未収金の状況(単位:億円)
債権名 年度
2008 2009
市税 115 132
国民健康保険料 112 122
生活保護法返還金徴収金 5 12
介護保険料 9 9
市営住宅等家賃 6 6
母子寡婦福祉資金貸付金 6 6
全市計 321 356

母子寡婦福祉資金の貸付者には、生活状況を聞いて対応すべき

【くれまつ議員】
次に市債権の中で、ひとり親家庭への貸付金である、母子寡婦福祉資金についてお聞きします。未収金額は約6億円ですが、やや増えています。ひとり親家庭、特に母子家庭は、一般家庭の4割しか収入がない、働いても平均収入230万円で、生活が苦しい状況にあります。母子寡婦福祉資金の支払いが困難な母子家庭が多いのではないかと思います。

そこでこども青少年局長に伺います。母子寡婦福祉資金の貸付者には、生活状況を聞いて、納付が困難と判断された場合には、債権放棄をすることも含めて、対応をすべきと考えます。お答えください。

適切な債権管理を行っていきたい

【こども青少年局長】
貸付金の未収債権は、従来から、償還指導月間を設けるなど適切な償還指導に努めてきた。今年度、新たに、債務者の所得や滞納理由などの調査を行い、返還が可能かどうかなど、債権の分類整理を行っている。お返しいただいた返還金が、次の貸付の原資となるので、今後とも、一人ひとりの生活状況に応じた償還指導に努めるとともに、本年度実施しております調査結果も十分に踏まえながら、適切な債権管理を行ってまいりたい。

生活に困っている市民の生活再建の立場に立った対応を(意見)

【くれまつ議員】
市税も国保料も本当にこの不況で払えない市民が増えています。債権回収組織が生活の苦しい市民から厳しくとりたてをしていくような全庁的な組織はいりません。それぞれの部局で、現場の職員体制を増やして、ひとりひとりの生活状況を調査し、生活に困っている市民の生活再建の立場に立って、未収金の対応をされるように、要望をしておきます。

▲このページの先頭へ戻る