名古屋港管理組合議会11月定例会
一般質問(11月18日)
米軍艦船の入港拒否を
築地ポートタウン計画とガーデンふ頭周辺開発
本庁舎等の整備計画の進め方
山口きよあき議員
米軍艦船の入港について
山口議員
友好・親善の具体的内容について
【山口議員】
11月4日、名古屋港の弥富ふ頭7号岸壁に、アメリカ海軍のイージス艦シュウプが入港・接岸しました。この軍艦は、米海軍の空母リンカーンの随伴艦であり、母港はアメリカ西海岸です。今回の入港目的は、友好・親善と言われていますが、空母リンカーンの作戦行動に伴っての日本寄港だと考えるのが自然です。友好・親善との入港目的を港湾管理者は本当に信じているのでしょうか。
今回、シュウプの乗組員は友好・親善と称して具体的に何を行ったのですか。
友好・親善の入港料、入港目的を詐称した場合の港湾管理者の措置は
【山口議員】
友好・親善が目的の今回の入港も、日米地位協定にもとづくものなのでしょうか。地位協定では、「合衆国の公の目的で運行されるものは入港料を課されない」とあり、入港に要する費用は日本政府が負担することになっています。前回の米軍来航の時は福祉施設のボランティアでした。そのような友好・親善目的で来航した場合の入港料はどういう扱いなのか、うかがいます。
入港目的を詐称していたと判明した時には港湾管理者はどんな措置をとるのでしょうか。お答えください。
24時間前の情報公開及び四日市港並みの情報公開を
【山口議員】
今回も米軍艦船が入港するとの情報は、直前まで公表されませんでした。当局からは「米国領事館から24時間前まで公表しないよう要請を受けている」という説明が繰り返されていますが、港湾管理者の自主的・主体的な判断で積極的に情報公開すべきです。
米国からの要請は、いつ、誰から、誰に、どんな形で、どんな内容できたのか、まず明らかにしてください。
また今回、私ども管理組合議員に対して正式に情報提供があったのは入港二日前でした。24時間前という要請があっても、管理組合の自主的な判断で24時間前よりも早く情報公開することは可能と理解してよいのでしょうか。
私はしばしば、四日市港の米軍艦船入港対応マニュアルを紹介して、この問題を議論してきました。四日市港のマニュアルでは、入港の打診があった時点、入港より3週間前の時点で必要な情報を管理組合議員などに伝え、入港1週間前には広く県民市民に公表することにしています。
北海道の小樽港や沖縄の石垣島など、全国各地で米軍艦船は商業港へしばしば入港していますが、どこでも反対運動が起き、また港湾管理者が入港の可否をどう判断するかが大きな問題となり、マスコミにも報道されました。
つまり米軍の要請に従うことなく、港湾管理者の判断で情報を早く広く公開しているのが普通なのです。この件で、どこかの港で24時間前より早く情報公開したことで米国から何かクレームがついたとか、その後の港湾運営に支障をきたす様なペナルティがあったとか、私は聞いたことがありませんが、どうなのでしょうか。お答えください。
非核証明の義務付けを
弥富ふ頭に停泊中のシュウプ
【山口議員】
名古屋港の情報公開に後ろ向きの姿勢が際立っています。せめて四日市港並みの情報公開基準を設けるべきではありませんか。
四日市港のマニュアルでは、港湾管理者が米軍艦船の入港の可否を判断する前提として、核兵器搭載の有無についても、文書で外務省に照会することになっています。港湾管理者として当然の姿勢です。
昨年11月に苫小牧市が作成した「米軍艦船等寄港時の事件・事故等に関する危機管理マニュアル」では、管理組合が港湾施設使用の可否等を判断するうえで、苫小牧市が外務省に対して核兵器搭載の有無を照会し、核兵器搭載の有無を苫小牧市として確認したうえで、その結果を管理組合に連絡することになっています。
また外務省だけでなく必要に応じて在日公館に対しても市として核兵器搭載の有無を照会する、としています。
この点でも名古屋港管理組合の対応はどうでしょうか。昨年、ハワイを母港とするイージス艦チョーシンが入港した時は、口頭とはいえ、愛知県を通じて外務省に核兵器搭載の有無を照会したとのことでしたが、今回はアメリカ本土を母港とするイージス艦の入港です。必要な非核証明、核兵器は搭載していないとの証明を求めるのが当然と考えますが、どう対応されたのか、お答えください。
あわせてどこの国であれ、少なくとも軍用艦船の入港に際しては非核証明の提出を義務づけるべきであると考えますが、答弁を求めます。
核兵器搭載の有無を明らかにするよう繰り返し求めよ(再質問)
【山口議員】
養護施設の慰問へ行くのもサプライズで、直前まで秘密にする、そのための入港費用まで、日本政府の持ち出し。そんな予算があるのなら、直接、養護施設の福祉予算を増やすべきですよ。
やはり軍事行動の一環として、名古屋へ寄港したとしか考えられません。
適切に情報公開しているし、東西主要港では、どこの港も米国の要請通りやっているとの答弁でした。東西主要港との比較と言いますが、よく調べてみてください。京浜、東京港はいちばん秘密にしていますが、そもそも東京湾には横須賀基地があり、横浜港にも米軍基地が存在しています。その横浜でも大桟橋に着岸するような友好親善の寄港時にはもっと情報公開しています。阪神はどうか、大阪港でも名古屋港のように抗議行動もよくありますが、少なくとも議員には24時間より早い段階で情報提供されていると聞いています。残るのは神戸港です。商業港への入港を比較するのなら、神戸港との違いをどう考えているのか、うかがいたい。
神戸港は、非核証明書の提出を入港する軍艦に義務付ける非核神戸方式を採用しています。この方式を採用して以来、米軍艦船の入港はストップしています。入港情報の公開以前に軍艦への対応そのものがちがうのです。
港湾法の原則は、港湾は地方公共団体=地方自治体が管理することにあります。名古屋港は国の直轄港ではありません。小樽港や石垣島を例に出しましたが、それらの港については調べもしない。各港とも、自主的な情報公開の結果、何も不利益をうけていないということですね。なにかあるなら答えてください。
アメリカは、軍艦の入港を求めてくるたびに情報統制を要請してきています。
だったらせめて港湾管理者も、軍艦の入港が打診されるたびにくり返し、核兵器搭載の有無を明らかにするよう求めるべきではありませんか。
港湾管理者の見解をうかがっておきます。
管理者の資格に欠ける(意見)
【山口議員】 管理者の答弁にはほんとうにがっかりです。コンテナ戦略港湾の選定では、あなたは国に対して「名古屋港を選定から外すのは八百長だ」とまで言いました。ところがあなたは、アメリカの軍艦が港湾管理者の権限を無視して情報管制を敷きながら、核兵器搭載の有無も明かさず入港してくることについては、国の言うことが絶対だ、と言うだけです。ほんとうに情けない。そんな姿勢では、名古屋港はなんだかんだ言っても国には逆らえない、と国に思われるだけじゃないですか。憲法9条への態度の問題ではなく、港湾管理者としての自主性、主体性をここでは問うているのです。管理者の資格に欠けると指摘せざるをえません。
築地ポートタウン計画について
民間事業者の進出に固執する理由は
【山口議員】 築地ポートタウン計画との関連で、ガーデンふ頭東側東地区の再開発および本庁舎等の整備事業について、数点うかがいます。
築地口からガーデンふ頭にかけての街づくりをすすめる築地ポートタウン計画は2007年11月に改定され、2027年度を長期的な目標年次とする港まちづくりのための指針です。しかし計画の推進と具体化にあたって、臨港地区は管理組合が、その他は名古屋市が、と行政機関の縦割りの構図がそのまま持ち込まれており、チグハグな進行になることが危惧されています。港区公職者会でも「各公所の所管ごとではなく、一体的な推進体制の確立」を、名古屋市にも要望しているところです。
さて、その計画の一角を占めるガーデンふ頭東側地区、つまりイタリア村跡地の再開発についてうかがいます。
旧名古屋港イタリア村について、管理組合は、民間事業者の進出可能性をさぐる努力を重ねてきたようですが、残念ながら民間事業者の進出は現時点でもかなり厳しいとの報告が先日の議員総会でもありました。
しかし今後の取り組みについても「引き続き民間事業者への意向調査を行う」「事業者の進出しやすい貸付料の設定や既存施設の撤去・利用転換など」を進めるとしています。
多額の公費を基盤整備に使う、どうしてそこまでしながら民間事業者の開発にこだわるのか、私にはわかりせん。経済状況も民間活力万能論がふりまかれていた時とは全くちがっています。
民間事業者の進出にそこまで固執する理由はなにか、答えてください。
文化ホールの建設を提案する
【山口議員】 イタリア村跡地について私は2009年9月議会で、文化活動の交流拠点として再生させよう、と提案し、当局からは「文化活動拠点としての活動も利用方法のひとつとは思います」との答弁をいただきました。また本庁舎の整備事業が問題となった2006年11月議会では、港湾会館に代わるホール建設も提案してきました。
この間、名古屋市内では、厚生年金会館がなくなり、今年は愛知県の勤労会館も閉鎖されました。港湾会館をふくめて中規模ホールが三つもなくなっています。
管理組合も他人ごとではありません。金城ふ頭につくった野外音楽場はたった1年足らずで閉鎖してしまいました。港湾会館ホールの存続を求めた私の質問には、金城ふ頭のフットサルスタジアムもできるのでホールの代替機能は確保できる、と答弁しています。港湾会館ホールからフットサルスタジアムに移った利用者はいったい何人いるのか、聞きたいくらいです。
そこで、あらためてイタリア村跡地に、市民県民が気軽に集える文化ホールを建設することを提案します。ガーデンふ頭に多くの市民県民が集い、また地元の文化活動の拠点となるようなホールを創ろうじゃありませんか。
金城ふ頭との差別化をはかる上でも、商業やアミューズメント施設ではなく、文化活動の拠点こそガーデン埠頭にはふさわしいと考えますが、いかがでしょうか。お答えください。
臨港地区の開発は柔軟に
【山口議員】 イタリア村跡地は臨港地区ではありますが、必ずしも名古屋港管理組合が全てを仕切って開発する必要はないと私は思います。現に、金城ふ頭の開発では、わざわざ名古屋市と土地交換までしています。
臨港地区内でも、交流ゾーンと位置づけた地域の開発は、名古屋市との一体的な開発なり、適切な役割分担なりが必要ではないのでしょうか。開発主体についても柔軟に考えることを併せて提案しますが、答弁を求めます。
今後の築地ポートタウン計画の進行管理は誰が黄任を持つのか(再質問)
【山口議員】 「港まちづくり連絡会」で協議しながら進めると言われましたが、この連絡会は、昨年も一昨年も、一度も開かれていないではありませんか。ハッキリ言って機能していないんじゃありませんか。
今後、計画の進行管理はいったい誰が責任を持つのか、計画の司令塔は誰が担うのか、もう少し具体的に答えてください。再度うかがいます。
本庁舎等の整備について
敷地活用事業の契約及び見通し
【山口議員】 私は先の6月議会で、PFI方式による新庁舎建設運営事業について質問しました。ホテル事業がとん挫し、他の計画とくに旧本庁舎跡地の関連事業は心配だ、とたずねました。
当局は何と答えていたか、「当初の計画どおり愛知県に有料老人ホームの申請を行い・・・平成23年3月の敷地貸付本契約締結に向けて、本年秋ごろをめどに事業計画を確定できるよう協議を行ってまいります」と答えていました。その答弁がまだ耳に残っているこの11月に先の議員総会では「介護保険適用の特定施設に選定されなかった」と報告がありました。
選定から外れたのは2年連続と聞いています。施設のめどが立たなくても予定通り、土地の貸付契約は結ばれるのでしょうか。
また旧港湾会館敷地活用事業も、当初計画の分譲マンションを3棟建てる計画は厳しくなり、当面は駐車場として活用するとの報告でした。ここも予定通りに土地の売払い契約は結ばれるのでしょうか。
6月議会の答弁とあまりにも見通しがちがうのではありませんか。答えてください。
責任の所在及び違約金について
【山口議員】 結局、PFI事業及びその関連事業は、何一つ当初の計画どおり進んでいません。この責任は誰がどう取るのでしょうか。ホテル計画では今年12月31日までにSPCの責任で新たな事業者を誘致してくることになっていますが、その見通しも暗い。新たな事業者の誘致を断念した時の違約金はいくらになるのか、あわせて答えてください。
本庁舎の管理運営及び事業スキームへの影響について
【山口議員】 PFI事業にもとづくSPCとの契約は25年の長きに渡りますが、これからも経済情勢の大きな変動はいくつもあるでしょう。その間、管理組合は、ずっとSPCその中核である住友林業の経営状態を心配しながらこの新庁舎を使い続けることになるのでしょうか。今回の一連の計画破たんが、本庁舎の管理運営に、そして事業全体のスキームに悪影響を与えることはないのか、うかがっておきます。
旧本庁舎跡地の貸付事業や旧港湾会館の敷地売払い事業は、どちらも築地ポートタウン構想の一角を占めています。とりわけ本庁舎跡地の複合施設には商業施設の入居も予定されていますが、その計画が予定通り進むかどうかは、一方でイタリア村跡地の再開発がどうなるかにも大きく影響を受けます。
ホテル計画予定地は旧イタリア村の東地区とポートビルや水族館の真ん中、ガーデンふ頭の中心であり、ここをどうするかは、ガーデンふ頭全体のグランドデザインをどう描くかともおおいに関係してきます。それぞれがバラバラに進められては困ります。
ガーデンふ頭全体整備及び築地ポートタウン計画の一体的、計画的な進め方について
【山口議員】 ガーデンふ頭の全体整備との関連で、旧イタリア村の再開発事業と本庁舎整備に関わる関連事業をどう一体的に進行させていくのか。
また臨港地区か否かで機会的に縦割りにせず、ポートタウン計画をどう一体的、計画的にまちづくり・にぎわいづくりを進めていくのか、名古屋市を含めてその進行管理を担う司令塔は誰なのか、答弁を求めます。
貴重なエリアを文化施設としての再生も視野に入れて幅広く検討すべき(再質問)
【山口議員】 SPCと関連事業を行う住友林業とはっきり区別していくから本庁舎の管理運営や事業スキームには大きな影響を与えることはない、とのことでした。いちばん安定性が求められる庁舎管理が、ときどきの経済状況や景気動向で左右されることがないようにしていただきたい。
逆に、敷地活用事業については、当初の計画に固執せず、状況の変化に応じた柔軟に対応することも必要になってくると思います。
イタリア村の跡地についても同様です。
ところが、みなさんはどうしても商業・アミューズメントゾーンとしての開発、イタリア村のにぎわいのイメージからなかなか抜け出せないのではないか。
もともとあの場所は、名古屋市のアートポート事業が展開されていた所でもあります。ホールをはじめとした芸術文化の拠点、市民県民が集える広場として整備することは、地元からの要望でもあります。
築地ポートタウン計画にはこのエリアを、商業・アミューズメントゾーンと規定し、歴史的港湾施設の保存・活用に努める、とありますが、旧倉庫は更地にする、もう倉庫にはこだわらないとも議員総会では説明しましたね。一方でこのエリアは、海洋文化・レクリーションゾーンとも位置づけられています。
現在の市内の経済情勢、文化状況を考えたとき、この貴重なエリアの活用方法について、文化施設としての再生も視野に入れて幅広く検討すべきではありませんか。
イタリア村跡地に文化ホールを(再〃質問)
【山口議員】 管理者には、せっかくですからイタリア村の跡地にホールをつくろう、というこの提案についてはいかがですか、再質問でも誰がポートタウン計画の司令塔かはっきりしなかった。臨港地区ではありますが、ここで求められているのは都市機能なのです。地元学区と相談しているとの答弁でしたが、市民県民の憩いの場なのです。地元だけの問題ではありません。管理者である市長がこの計画でも司令塔になるべきです。イタリア村跡地に文化ホールをつくることを提案します。管理者の見解をうかがって、私の質問を終わります。
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養護施設の慰問等を行った
【港営部長】
今回の入港目的である「友好」親善」の具体的な内容としては、名古屋市内の養護施設の慰問等を行ったと聞いている。