名古屋港管理組合議会11月定例会
一般質問(11月18日)
港湾経営の民営化で安全性や公共性は守れるのか
議員報酬を管理者が押し付けるべきではない

わしの恵子議員

港湾経営の民営化について


わしの恵子議員

港湾経営会社をどのように設立させるのか

【わしの議員】
国は、我が国港湾の国際競争力強化を図るため、公設民営の考え方のもと、港湾の経営に関する業務に民の視点を取り込み、港湾の一体経営を実現する制度を創設するため、港湾法の改正を予定しています。港湾法の改正は、来年の通常国会で審議されると聞くが、港湾法が改正されると、これまでの港湾業務のあり方の何が変わるのか、名港管理組合としての考え方を具体的にお尋ねします。

第1に、港湾経営会社をどのように設立させるのか。

公共性の確保も踏まえ、適切な対応をしていく必要がある

【企画調整室長】
改正予定の港湾法で規定される港湾経営会社は、本年8月末の国の「平成23年度港湾局関係概算要求概要」で基本的な枠組みは示されたが、詳細は明らかでない。

港湾経営会社は、港湾管理業務の一部を担うものと考えら、設立する場合は、公共性の確保も踏まえ、適切な対応をしていく必要がある。

港湾経営の民営化で港湾管理者の役割はどう変わるのか

【わしの議員】
第2に、港湾管理者である名港管理組合の役割がどのように変わるのか。

経営的な業務の一部を港湾経営会社が担うことになる

【企画調整室長】
港湾経営会社を設立した場合、経営会社に対して国や港湾管理者の行政財産の貸付を行うことや、施設使用許可の権限等を与えることなどが基本的な枠組みとして示されている。港湾経営の民営化で、これまで港湾管理者が行っていた経営的な業務の一部を港湾経営会社が担っていくことになり、これを除く港湾整備や管理業務等について港湾管理者が引き続き担っていく。

現時点で港湾経営会社の制度が確定しているわけではない。

公共性や安全性の確保はどこで対応するのか、自治体港湾の基本原則は変わらないのか


新しくなった議場(上)と広くなって見晴らしもいい傍聴室前のロビー(下)

【わしの議員】
第3に、港湾経営の民営化が行われるならば、疑問と不安は計り知れません。

1点目は、港の防災機能を民間で担えるのか、市民の憩いの場としての港づくりが利益最優先でできるのかということです。

2点目は、港湾の運営や経営に議会のチェックが働かなくなり、営利追求で効率優先になるのではないかと危惧するものです。公共性や安全性の確保はどうなるのか。

以上の2点については、どこで対応することになるのかについてもお答えください。

3点目は、港湾管理の在り方について、民間としてどこまで任せることができるのか自治体港湾の基本原則は変わらないのか。お尋ねします。

本港にとって一番よい方向となるよう検討する

【企画調整室長】
港湾経営会社は、港湾経営に関する業務を一元的に担い、民の視点による港湾の一体経営をするとされている。このため、港の防災機能や憩いの場としての港づくりは、引き続き港湾管理者が担っていく。

現時点における法改正の基本的な枠組みでは、国や港湾管理者は、港湾経営会社の指定や監督を行うこととされ、港湾経営会社における一定の公共性の確保がされている。

今後の本港の管理運営のあり方に係る大変重要な問題であり、本組合や港湾経営会社の役割、民の視点による港湾の一体経営について、本港にとって一番よい方向となるよう、検討を進めていく。

大企業にとって使い勝手がよければいいのか

【わしの議員】
第4に、民営化を進める背景については名古屋港がハイパー中枢港に選定されなかったが、選定港と同じように国からの支援を受けるためには、国際競争に負けると危機感をことさら強調して、規制緩和、コスト削減をすすめるのが目的ではないのか。それはつまり、最大の荷主である大企業にとって、自由に安く使い勝手のよい名古屋港になればそれで良いと考えられているのではないか。その方向での港湾法の改正を先取りした議論は進めるべきではないと考えますがいかがでしょうか、お答えください。

事前に議論、検討することは大変重要

【企画調整室長】
本港が、中部圏のものづくり産業を物流面で支え、地域の発展に貢献していくためには、本港の国際競争力を維持・強化していくことが重要であり、そのため、引き続き港湾サービス向上やコスト低減に努めていく必要がある。港湾法改正に速やかに対応するためにも事前に議論、検討していくことは本港や地域の発展にとって大変重要である。

民営化より、関係者と意見交換しながら名古屋港の発展ビジョンを持つべき

【わしの議員】
第5に、名古屋港が国際戦略港湾に選定されなかったが、今度は国際バルク戦略港湾に選定されるために、輸入原料から付加価値を創造し、全国へ配送する国内産業ハブ拠点の形成を図る。そのため船舶の大型化への対応及び食糧コンビナート群、資料工場の段階的な移転集約も視野に入れた施策の展開を提案されています。そして、政府が参加を検討している「例外なき関税撤廃」を原則とする環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加を前提にしていると、先回の国際競争力強化特別委員会にて資料が提示されました。

愛知県は、TPPに参加した場合、県内の農業生産額は940億円(26%)減少するとの試算を明らかにしました。また、日本の食糧自給率は現在の40%から14%に急落するといわれています。TPPはアメリカの戦略にそって関税自主権を放棄するものであり、日本の農業を破壊するものと言わざるを得ません。

かつて主食のトウモロコシの自由化で打撃をうけた後に価格が高騰し、消費者も生産者も大打撃をうけたメキシコの例をご存知でしょうか。名古屋港が国際バルク戦略港湾に選定されるために、愛知ばかりでなく日本の農業が破壊されてもやむをえないとお考えですか、お答えください。

グローバルロジスティクスの中枢拠点の港へ

【企画調整室長】
学識者、利用者、住民、NPO等で構成する委員会での検討やパブリックインボルブメントの幅広い意見を踏まえながら、本港の長期構想「名古屋港の針路」を策定している。グローバルロジスティクスにおける中枢拠点の港を目指し、高い国際競争力を持ち、利用しやすい港づくりを進めていくなど、将来の展開方向を示しており、港湾経営の民営化は、その実現に向けた具体的な方策の一つ。

自治体港として独自の発展方向をもつべき(意見)

【わしの議員】
港湾経営の民営化についてですが、港の防災機能、市民の憩いの場としての港づくり、港湾の運営についての公共性や安全性の確保については、「管理者として引き続き対応し、公共性の担保をしていく」という答弁がありました。

それでは名港管理組合の職員の身分、待遇はどうなるのかと危惧しますが、少なくとも、現在働いておられる職員の方々の身分、待遇をまもるように強く要望をするものです。

また、港湾経営の民営化に対する答弁をお聞きして、そんな方向性でいいのか疑問を感じます。民営化は港を大企業に支配されるということではないですか。

さらに、答弁では、「本港の国際バルク戦略港湾の提案は、TPPへの参加を前提にしているわけではありません」と言われましたが、先日の国際競争力強化特別委員会にて提示された資料には、TPPへの参加を前提にしたものになっていたとしか思えません。(資料は返却ということで手元には残っておりませんが・・・)

改めていいます。国際バルク戦略港湾に選定されるために、日本の農業を破壊するTPPへの参加を前提にするのは大問題です。日本経団連などは、「乗り遅れるな」などと煽りたてていますが、この「恩恵」を享受するのは自動車・電機などの一部の輸出大企業だけです。一部の輸出大企業のために、日本農業を破壊し、国民生活に多大な犠牲を負わせることは問題です。

国や大企業の言いなりになって民営化を進めるのではなく、これまでのように港湾労働者や地元業者を大切にしながら運営されてきた名古屋港を、日本農業と地域経済、県民・市民生活をさらに発展させていくという自治体港として独自の発展方向をもつべきです。

議員の議員報酬及び費用弁償に関する条例の全部改正について

管理者は議会を尊重すべき

【わしの議員】
この議案は、名古屋港管理組合議会の議員報酬及を廃止し、費用弁償を実費とするものです。名古屋港管理組合議会のあり方検討会が、今年の3月定例会で設置され、今年中に議員報酬や費用弁償等について結論を出すという方向で議論が行われており、これまでに5回の検討会が開かれています。現在その最中であり、近じか結論が出されようというときに、管理者が、一方的にこのような条例提案を行うのは、議会と管理者のチェックアンドバランスから見ても、管理者の権限を超えた問題であると考えます。

そこで質問します。名古屋港管理組合議会の議員報酬や費用弁償のあり方については、管理者は議長から、「あり方検討会」の設置について文書で申し入れがされているにもかかわらず、なぜ「あり方検討会」の結論を待つことができないのか、議会を尊重すべきだと考えますがお答えください。

議会改革を着実かつ速やかに実行しなければならない

【管理者(河村市長)】
今年の2月に議会改革に関する申し入れを行った。しかし議会からはいまだ原案も示されず、本定例会での条例案の提出に至った。

議会では、3月に「議会あり方検討会」が設置され、5月には、「議会改革について、平成22年内を目途に幅広く検討を行っている」旨の報告は受けているが、残り1ケ月余りの現時点でも議会からは原案も示されていない。一方的に推し進めてきたとの認識はもってない。

あり方検討会で今年中に結論を出すことになっている(意見)


名港議会の本会議中に携帯電話を操作している山本久樹議員

【わしの議員】
議員報酬、費用弁償についてですが、管理者の答弁は、「残り1か月余りとなっても議会からは何も示されない」と言われたが、管理者が議員報酬・費用弁償についてこのような条例案を出すことが問題で、管理者の答弁は2元代表制を否定するもので、憲法の原則からも外れていると指摘します。

日本共産党は、現在の名古屋港管理組合議会の議員報酬については、母体である県議会・市議会の議員報酬が高すぎることや、年間10日間という審議日数から見ても速やかに廃止をすべきであると考えます。

費用弁償に関しては、交通費を実費支給し、また、議員の政策提案活動や調査活動などについては、領収書を添付して、報告書を義務付けるなど使用した分だけ支給するという政務調査費にあたるものを検討すべきと思います。

あり方検討会でも今年中に結論を出されるということになっていますので、その検討会では、このような議論ができるように私ども日本共産党は取り組んでまいります。にもかかわらず、先ほども言わせていただきましたが、管理者である河村たかし市長が、議会に対して憲法に保障されている2元代表制を否定して、一方的に議員報酬、費用弁償のあり方について、口を出すのは間違っており、自重すべきであると強く意見を申し上げておきます。

11月議会の主な議案

件名 説明 結果 態度
一般会計補正予算 補正額11億8,100万円。前年度繰越金、国庫補助事業の内示差に伴う組合債の増額、国庫支出金の減額。コンテナターミナル内荷さばき地補修など緊急的に必要な工事費、廃棄物処理施設整備費及び繰上償還に伴う公債費の増額等 可決
基金特別会計補正予算 補正額4億2,450万円。一般会計からの水族館等運営収支差額、水族館の希少水族の入手に要する経費の積戻金増額、財産収入の減額等 可決
施設運営事業会計補正予算 補正額0。一般会計貸付金返還金の増額 可決
埋立事業会計補正予算 補正額△2億3,286万1千円。一般会計貸付金返還金及び利息の減額 可決
名古屋港管理組合議会の議員の議員報酬及び費用弁償に関する条例の全部改正 議会で検討中なのに、一方的に議員報酬と費用弁償を廃止 否決 ×
(公明賛成)
特別職の職員の給与等に関する条例の一部改正 特別職の職員の報酬を引き続き減額 可決
名古屋港管理組合港湾施設条例の一部改正 鍋田ふ頭コンテナターミナル第3バースにおいて、港湾法54条の3の規定に基づき岸壁及び荷さばき地を一体的かつ長期的に貸し付ける特定埠頭運営事業を導入 可決
議員提出案件
件名 説明 結果 態度
名古屋港管理組合議会の議員の議員報酬の特例に関する条例の制定 議員報酬を減額 可決

 

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