2010年11月定例会 個人質問(11月27日)
住民合意もなく小規模校の統廃合をやめよ
議員報酬は議会の自主的改革をささえよ
わしの恵子議員
小学校における小規模校の統廃合について
わしの恵子議員
統廃合押し付けのための説明会ではないのか
【わしの議員】 小学校における小規模校の統廃合についてです。
名古屋市教育委員会は、「小規模校に関する基本方針」を策定し、11学級以下の小学校44校を3つのグループに分け、6学年すべてが単学級で、今後6年間も同じ状況が続く見込みの第1グループから優先して統合を進める方針です。
第1グループを2016年までに統廃合する具体的な計画を定め、今年中にすべてを対象に、順次説明会を行っています。
私も、地元の小学校の地域説明会に参加しましたが、当初の予定を約45分間として、30分も、教育委員会によるパワーポイントによる説明が行われ、残りたった15分を参加者からの意見や質問に答えるというものでした。
当然15分ではおさまらず1時間以上の質疑応答になりましたが、そもそも問われなければならないのは説明会のあり方です。教育委員会の基本方針には、「保護者や地域の皆様の十分な理解を得ながら進めます」とあります。
最初にお聞きしますが、大半の時間を、パワーポイントによる説明にあて、残り時間を参加者の意見を聞けばよいという説明会が、どうして保護者や地域の皆様の十分な理解を得ることができると考えるのですか。
小規模校の問題点に関する具体的なデータがあるのか
【わしの議員】 参加者からは、統合に反対する声が続出しました。「3校が統合されれば、通学するのに国道を横断することになり時間もかかる。子どもの安全を第1に考えて」「クラス替えができなくても問題はない。先生の目も子どもによく届く」など、保護者が次々と発言されました。地域の人たちからも、「少子化というが、人が住みやすいまちをつくることが大切」「学校は地域の宝であり拠点、成人式を行う場であり、豪雨の時は住民の避難場所としても使われた。簡単に統合するのは問題」と。
トワイライトスクールの関係者からは、「1年から4年生の子どもたちが仲良く遊んでいる。縦のつながりは子どもたちの成長に大切、クラス替えができなくても問題ない」という発言。
そして、教育委員会の答弁は、「クラス替えができないことがなぜいけないのか」納得のいくものではありませんでした。
私の2人の子どもたちも南押切小学校で学びましたが、「きめ細かい指導、家庭的な雰囲気」で、校長先生も子どもたち一人ひとりの顔を覚えてくださるなど小規模校で育てていただいて良かったと、実感しています。ですから、「クラス替えができない」「交友関係が固定化されやすい」などの課題をあげ、「児童・生徒にとってよりよい教育環境にするため、一定規模以上の学級数を確保することが必要」との説明には納得できません。小規模校は子どもたちの教育にとってむしろプラスになると考えます。
そこでお尋ねしますが、市教委があげている小規模校の問題点を裏付ける具体的なデータはあるのですか。
学級規模と学力にかかわる調査結果についての見解は
【わしの議員】 国際的にも、WHO(世界保健機構)が「教育機関は小さくなくてはならない。生徒100人を上回らない規模」が好ましいと指摘しています。さらにグラス・スミス曲線と呼ぶ、学級規模と学力にかかわる調査では、1クラス25人以下になると学力が上がり始め、15人ぐらいで急速に上がるという調査結果も出されています。
いじめや不登校・学校不適応についても学校規模が大きくなるとともに増へてくるという国内の調査結果もあります。
教育長は、これらの調査結果についてどのような見識をお持ちかお答えください。
学校の統合は地域の合意が不可欠という文部省通知の見解は
【わしの議員】 さて、1970年代に無理な小中学校の統廃合が行われ、国会で大きな問題になって、行き過ぎはよくないと文部省から通知が出されました。これはUターン通知といわれているそうですが、学校の統合は地域の合意が不可欠という当時の文部省の通知は現在も生きていると考えますか、見解をお聞かせください。
小規模校対策より、大規模校対策を優先的に取り組むべき
【わしの議員】 私は、過大校の対象にならない、30学級以下の大規模校に勤務する教員の方からお話を伺いました。「1000人近くの子どもがいれば、地域のつながりがなくなり、子どもも保護者も顔が一致しないので、疎遠な関係になっている」、「大規模校こそ対策をしてほしい」ということでした。
教育委員会は、学校の「適正な規模」は、12学級から24学級としていますが、学級数24を超える"大規模校"は27校もあります。全校生徒が校庭で遊べない、トワイライトスクールも交代で参加するなど弊害はあきらかです。こうした"大規模校"こそ、より良い教育環境をつくる適正化が必要ではないですか。お答えください。
小規模校の良さをいかせ(再質問)
【わしの議員】 小規模校の問題点について、根拠となるデータは教員対象のアンケートだけでした。パワーポイントによる説明でも、課題ばかり強調され、ある会場では、「教育委員会は、教師や子どもを信頼していないのではないか」という質問があり、会場からは共感の拍手があったそうです。課題に掲げた、「交友関係が固定化されやすい」とか、人間関係がこじれた場合、修復がむずかしい」というのは、小規模校に限らず学校・教師が取り組むべき課題です。ましてや公務分掌量や補欠授業など教育条件にかかわる問題は、適正な予算と人員を配置すれば解決できる問題ではないですか。
結局は、小規模校の良さがいっぱいあるのに、「より良い教育環境のため」という理由で、学校を統廃合して、教育予算を削減する目的があるのではないかと考えますが、お答えください。
住民の合意なしに学校の統合をすすめるな(再再質問)
【わしの議員】 教育委員会の言うことには根拠がなく、クラス替えができないことが悪いと言っているとしか思えません。
市教委は「小規模校の解消」には熱心ですが、30学級を超えるところしか「大規模校の対策」はやろうとしません。
小規模校の統廃合のねらいは、教員の人件費と学校の削減で、閉校した学校の土地を民間に売り払うことにあるとしか考えられません。小規模校を統廃合して、教育条件を切り下げて子どもと先生に負担を押し付け、地域の宝といえる教育と文化の大切な拠点である学校をなくすことは大問題です。
教育長は、「統合には地域住民の合意が不可欠です」という文部省の通知は、認めておられますので、この場で「住民の合意なしに学校の統合をすすめることはない」と、きっぱり表明していただきたいが、どうですか。
理解と同意が得られるまでやるな(意見)
【わしの議員】 学校の統合は、「保護者や地域住民の十分な理解を得る」と、表明されました。最低のことなので、理解と同意が得られるまでやらないでいただきたい。
名古屋市議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部改正について
政務調査費の使途拡大は「第2の報酬化」。議会改革に逆行
【わしの議員】 次に、議員報酬についてです。
日本共産党議員は、住民への献身を信条としています。過去の「オール与党」市政のもとでのたび重なる市議報酬の引き上げに反対し、いわゆる議員特権と利権政治の一掃に取り組んできました。
さらに、河村市政のもとでも一貫して市民要求実現、議会改革実現にも力を尽くしてまいりました。
この秋、日本共産党は市民要求実現を目指して「市政アンケート」活動を行いました。議員報酬額について日本共産党がこれまで提案してきた条例額から4割削減する1000万円のたたき台について、「まだ高い」との声も多くありました。そこでこのような民意の動向を重く受け止め、半減を含めた報酬の本格的な引き下げに取り組むこととし、先の22日、市議会の皆様にたいし、「半減」を含む報酬の本格引き下げのために、議会が速やかに、主体性をもって協議を開始するよう呼びかけたものです。
さて、河村市長の「報酬半減」条例案の議会提出は今度で5回目ですが、新しい重大な問題が提起されています。
市長は、議員報酬半減とセットで、政務調査費の支給範囲の拡大や、多様な民意の反映をさまたげる議員定数削減にまで言及しています。
政務調査費はそもそも「市政に関する調査研究に要する経費」ですが、収支報告書1枚では使途適正化が保障されません。従来、問題のある使い方がされてきました。
そこで、税金の無駄遣いを防ぐため、使い道を市民が監視すること、そのためには領収書や帳票類の公開が不可欠です。日本共産党は、1円以上の領収書公開を求めてきました。ようやく2010年度分から領収書の公開が行われ、前進しました。ところが、今回の市長が提案する政務調査費の支給範囲拡大は税金の無駄遣いの拡大につながるおそれがあると考えます。そこでお聞きします。市長が提案する政務調査費の支給範囲拡大は、政務調査費が「第2の報酬化」にならないのか、これまで進めてきた議会改革の流れに逆行するものではないのか。これが市民の求める改革と考えるのか、市長におたずねします。
議会の自主的な改革に期待する立場に立つべき
【わしの議員】 次に、議会の自主的な改革についてうかがいます。
いま、市民のくらし・営業は、いっそう厳しさを増す中で、市民から、「議会は市民の苦労や痛みが分かってほしい」「報酬は下げてほしいが、市長は議会とのケンカばかり、もっと生活応援をしてほしい」と切実な声が寄せられています。日本共産党は、そんなみなさんの声をしっかり受け止めて、市民の願い実現のために献身する議会づくりに全力挙げて取り組んでまいります。
昨年4月の市長選のマニフェストでは、河村市長は議会改革について「自主的な改革に期待」すると公約しています。
議会は昨年の秋以来、自主的な改革に取り組み、議会基本条例を制定しました。その基本条例に基づき、市長のマニフェストに掲げられていた政務調査費の領収書全面公開、議会での市民3分間スピーチ、地方議員年金廃止決議を実現してきました。費用弁償については、あなたのマニフェストは実費支給とありましたが、議会は廃止まですすんでいるところです。
そこで質問です。市長は議会に対して「押しつけ」をやめ、「議会の自主的な改革に期待」する立場に立つべきであると考えますが、市長の見解を求めます。
無駄遣いの拡大につながる懸念がある。議会の自主的に改革を見守るべき(意見)
わしの恵子議員
【わしの議員】 政務調査費ですが、問題は、「運用の改善」「使い勝手をよくする」と称して、政務調査費の透明性を弱め、無駄遣いの拡大につながる懸念があることです。1円からの領収書公開、支出を証明する帳票類の公開を貫くべきと考えます。
議会の自主改革について、市長が議員の報酬や議会に対して、自論を持つことはありうるが、それを議会に押し付け、このような条例案まで提案することは2元代表制からみても問題です。議会は自主的に改革に取り組んでおり、見守るべきということを申し上げておきます。そして、市長は「議会改革の課題」に定数削減を述べていますが、定数削減は多様な民意を切り捨て、議会の役割を弱めることになります。日本共産党は、議会が本来の役割を発揮すること、すなわち、多様な民意の反映、チェック機能の発揮こそ議会改革の要です。議会経費の節減では慣例的な海外視察旅行の中止、政治とお金の問題では企業・団体献金の禁止が求められます。日本共産党市議団は、あらためて議会改革の先頭に立つ決意を申し上げ、議員報酬の条例案の審議は、引き続き委員会の審議に委ねることを表明して私の質問を終わります。
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・運動会・体育大会、学芸会・文化祭などでの児童・生徒の種目や演目に限界がみられ、役割分担の負担が大きくなりやすい。
・音楽、保健体育などの教科において、集団での演奏や競技などのグループ分けが難しくなる。
・児童・生徒の交友関係が固定化されやすい。
・学級内でのけんかやトラブルで人間関係がこじれた場合、修復が難しい。
・学校行事や児童会・生徒会・委員会活動などで児童・生徒の役割・位置付けが固定化されやすい。
・児童・生徒の興味・関心に対応した多様なクラブ活動や部活動を実施することが難しい。
・児童・生徒に互いに競い合ったり、高め合ったりする切磋琢磨する態度を育てにくい。
・教師一人当たりの分掌事務量が多くなるとともに、分掌が固定する傾向がある。
・教員の出張や欠勤などがあった場合、補欠授業が組みにくい。
※これらのほとんどが、小規模校に限らず学校・教師がとりくまなければならない課題です。校務分掌量や補欠授業など教育条件に関わる問題は、適正な予算と人員を配置すれば解決する問題です。