意見書案に対する各会派の態度
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意見書案 | 原案提出 | 各会派の態度 | |||
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共産 | 自ク | 民主 | 公明 | ||
SARS(重症急性呼吸器症候群)対策の充実強化を求める意見書 | 自ク | 取下げ | |||
性同一性障害者の人権保護に向けた積極的施策の推進と法整備を求める意見書 | 自ク | 取下げ | |||
北朝鮮船籍の船舶への対応に関する法整備を求める意見書 | 自ク | 修正 | ○ | ○ | ○ |
医薬品の一般小売店における販売に関する意見書 | 自ク | ○ | ○ | ○ | ○ |
公共工事における建設労働者の適正な労働条件確保に関する意見書 | 民主 | ○ | ○ | ○ | ○ |
義務教育費国庫負担制度の堅持と学級規模の縮小を求める意見書 | 民主 | ○ | ○ | ○ | ○ |
教育基本法見直しに関する国民的議論の喚起を求める意見書 | 公明 | ● | ● | ● | ○ |
郵便投票制度の改正を求める意見書 | 公明 | ○ | ● | ● | ○ |
ヤミ金融対策の強化を求める意見書 | 公明 | ○ | ○ | ○ | ○ |
外国人学校卒業者に対する大学入学資格付与の早期実現を求める意見書 | 公明 | ○ | ● | ○ | ○ |
就学前までの乳幼児医療費無料制度創設を求める意見書 | 共産 | ○ | ● | ● | ● |
サッカーくじのコンビニエンスストアでの販売の中止を求める意見書 | 共産 | ○ | ● | ● | ● |
幼稚園と保育所の−一元化等に関する意見書 | 共産 | ○ | ○ | ● | ● |
有事法制の廃止を求める意見書 | 共産 | ○ | ● | ● | ● |
税源移譲を基本とする三位一体改革の実現を求める意見書 | 全国市議会議長会から依頼 | 修正 | ○ | ○ | ○ |
ゴチック字は可決された意見書議運に提案された段階での態度○=賛成●=反対△=保留
●が1つでもあれば議案として本会議に上程されません。
共産:日本共産党自ク:自民党市民クラブ民主:民主党公明:公明党
現下の地方財政は、バブル経済崩壊後の税の大幅な減収に加え、国が経済対策の一環として実施してきた国税・地方税をあわせた政策減税や、公共事業の追加等の経済財政運営により財源不足が拡大し、危機的な状況にある。
政令指定都市においては、行財政改革に取り組んでいるが、個性豊かな地域社会の形成、少子・高齢化への対応、地域経済の活性化等の新たな行政課題は増加の一途をたどっている。
このような状況のもと、真の分権型社会を実現するためには、自己決定・自己責任に基づく地方税財政基盤の確立が喫緊の課題となっており、国と地方の役割分担に応じた税源移譲による地方税財源の充実強化を基軸とする三位一体の改革を進めることが必要不可欠である。
よって、名古屋市会は、国会及び改府に対し、税源移譲を基本とする三位一体改革の着実な推進を図るため、次の事項を実現されるよう強く要望する。
昨年9月の小泉首相の北朝鮮訪問により、日本人拉致問題が北朝鮮の犯行であることが明らかになった。しかし、拉致被害者家族の早期帰国問題や、既に死亡したとされる拉致被害者に関する情報提供についての北朝鮮の対応は十分とは言えず、また、ミサイルや核兵器開発、不正送金の問題も報道されているなど、国民の間には不信感が募っている。
このような中、北朝鮮船籍の万景峰92号が、6月9日に新潟港に入港予定との報道がなされた。万景峰92号は、軍事転用品の不正輸出や麻薬の密輸、日本人拉致問題における工作船であったとの疑惑もあり、その入港に際しては、PSC(ポートステートコントロール)の実施など関係機関による厳正な検査態勢が組まれた。結果的に、万景峰92号は今回の入港を見合わせたが、万景峰92号以外にも我が国へ入港する北朝鮮船籍の船舶は多く、名古屋港へも北朝鮮船籍の船舶は入港しているところである。この事件を契機に、国においては、検査体制の強化の方針が出されているものの、今後も同様の問題が生じる可能性がある。
よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、地域住民、ひいては国民の不安を払拭し、安全を確保するために、北朝鮮船籍の船舶の入港に関し、必要な措置を図られるよう強く要望する。
政府の総合規制改革会議は、本年2月に、規制改革推進のためのアクションプランを公表し、その重点検討事項の一つに「医薬品の一般小売店における販売」を取り上げている。
医薬品は、効能効果とともに副作用被害の危険性をあわせ持っているにもかかわらず、同会議は医学・薬学の専門家のいない委員構成の中で、利便性のみの観点から、医薬品の一般小売店における販売を行うことを求めている。
薬事法に基づく医薬品製造・販売等に係る諸規制は、過去の副作用被害事例等の反省の上に立って築き上げられたものであり、医薬品の品質、有効性及び安全性を確保し、人の生命・健康を守るために不可欠な社会的規制である。国民の健康を犠牲にしてまでも、規制を緩和する考え方は、断じて容認することができない。現在、医薬品販売業者は、需要の多い医薬品だけでなく、希少な医薬品であっても国民が適切に入手できるよう、その責任を果たしている。超高齢社会を迎える我が国において、医薬品提供体制については、国民の健康や安全をどのようなシステムで支えるかという視点で考えるべき問題であり、経済的な視点からのみで論議されるべきものではない。
よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、国民の健康で安全な生活を守るために、医薬品の一般小売店における販売について、慎重に検討されるよう強く要望する。
建設業就業者数は全国で630万人と、全産業の就業者数の約10%を占めており、我が国の基幹産業として経済活動と雇用機会の確保に大きく貢献している。
しかしながら、建設業界の特徴である元請と下請という重層的な関係の中で、建設労働者の貸金体系は現在も不安定であり、不況下における受注競争の激化や近年の公共工事の減少が施工単価や労務費の引き下げにつながり、現場で働く労働者の賃金と生活に大きな影響を及ぼしている。
国においては、平成12年11月に「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」が制定され、「建設労働者の貸金、労働条件の確保が適切に行われるよう努めること」という附帯決議が参議院において付されたが、諸外国では、公契約における適正な貸金の支払いを確保する法律、いわゆる「公契約法」の制定が進んでいる。
よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、建設労働者の適正な労働条件の確保がなされるよう、次の事項について早急に実行されるよう強く要望する。
義務教育費国庫負担制度は、国と地方自治体との役割分担のもとに、教育の機会均等とその水準の維持向上を図る制度として完全に定着しており、現行教育制度の根幹をなしているものである。ところが、政府はこれまで、義務教育費国庫負担制度の見直しを進め、教材費や共済費長期給付等を国庫負担対象から除外するなど、一般財源化を図ってきた。国の財政事情による地方への負担転嫁によって義務教育費国庫負担制度が崩れると、厳しい状況にある地方財政を大きく圧迫することが考えられる。そして、地域により教育の質に大きな差が広がり、教育の機会均等の確保が大変難しくなる。
また、学校現場が抱えているいじめ・不登校や問題行動などの課題を克服し、子どもたち一人一人にきめ細かい、行き届いた教育を保障するには、学級規模の縮小が不可欠である。各都道府県教育委員会の判断による学級規模の縮小は可能になったものの、財政負担の責務は、当然国が負うべきものである。
よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、平成16年度の政府予算編成期に当たり、義務教育費国庫負担制度を堅持するとともに、学級規模の縮小を図り、そのために十分な教育予算を確保されるよう強く要望する。
近年、長引く不況を背景にヤミ金融が横行しており、中には人の弱みに乗じて、年利数千%から数万%にも上る高金利による違法な貸し付けが行われるなど、看過できない社会問題となっている。勤務先や家族への脅迫的な取り立てはもとより、子どもが通う学校にまで催促の電話がかけられ、解雇や離婚、自己破産を余儀なくされたり、さらには行方不明や自殺へと追い込まれるケースもあるなど、ヤミ金融による被害が深刻化、多発化している。
現行制度のもとでは、登録を行うだけで容易に貸金業を営むことが可能であり、法外な金利や強引な取り立てを行う悪徳業者への規制や取り締まり等の対応も実効を期しがたく、立法措置を含めた国による抜本的対策が急務となっている。
よって、名古屋市会は、国会及び政府に対し、悪徳ヤミ金融を排除するため、次の措置を速やかに講じられるよう強く要望する。
名古屋市においては、この8月1日から通院・入院ともに就学前まで乳幼児医療費の助成が実施されることになり、子育て中の親からは大きな期待が寄せられている。乳幼児医療費の助成制度は、実施主体である自治体によって対象年齢や所得制限などに違いがある。「全国どこに住んでいてもせめて就学前までは無料にしてほしい」との思いは、不況が続く中でますます切実になり、今日では全国すべての自治体が、助成措置を設けるまでになり、乳幼児医療費無料化の願いは全国的に大きな流れになっている。よって名古屋市会は、国会及び政府に対して、就学前までのすべての乳幼児を対象に乳幼児医療費無料制度を創設するよう強く要望する。
文部科学省の諮問機関である中央教育審議会スポーツ・青少年分科会は3月31日、サッカーくじのコンビニエンスストアでの販売を決定した。そもそもサッカーくじ導入にあたっては、青少年への悪影響を懸念する声がだされ、19歳未満への販売が禁止されている。日本PTA全国連絡協議会、教育・スポーツ・女性団体などがコンビニ業界に自粛を要請し、その結果、「青少年に悪影響を及ぼさないよう販売方法について十分留意すること」などの付帯決議が付されている。
コンビ二エンスストアでのサッカーくじの販売が認められれば、コンビ二エンスストアが青少年の溜まり場になっていることからも、青少年が安易にサッカーくじを購入できるようになりその影響ははかりしれない。
よって名古屋市会は、国会と政府に対し、サッカーくじをコンビニエンスストアで販売しないよう強く要望する。
地方分権改革推進会議をはじめ政府の諮問機関は、幼稚園と保育所の制度の「一元化」を進めようとしている。それにあわせて、幼稚園になく保育所のみに必置が義務づけられている給食調理室の設置規制をはずす規制緩和、さらには、保育所運営費の一般財源化を提起している。幼稚園と保育所は、戦後60年近い歴史を重ねる中で、それぞれ独自の機能を拡充してきた。今回の提起は、
こうした各施設の実態や子どもの保育条件、地域住民の切実な願いなどを無視し、幼稚園と保育所の水準を、どちらか低いほうに合わせるといった「一元化」であり、国の財政削減策に過ぎない。こうした性急な提起に対しては、厚生労働省・文部科学省からも、反対意見が出されている。
よって名古屋市会は、国会及び政府に対し、幼い子どもの成長と生活を保障する施設である保育所と幼稚園において、規制緩和と経済効率を理由に保育条件が切り下げられることのないよう、以下の点を強く要望する。
武力攻撃事態法などいわゆる有事法が成立したが、この法律は国民や地方自治体にとって大きな問題を含んでいる。
本来、我が国憲法は9条で国の交戦権を放棄していっさいの戦力を持たないとしているにもかかわらず、戦時体制を敷くこのような法律を政府が制定すること自体が憲法に違反する行為である。
しかも、条文では「武力攻撃事態」の概念が曖昧のままであり、さらに「おそれのある場合」も含まれ、より広範に曖昧さが広がっている。時の政府の姿勢一つで「有事」が拡大されるおそれが濃厚である。
この法律の予定する有事とは「日本有事」単独ではなくて「周辺事態法」によるアメリカの戦争支援との関わりで発生する蓋然性が高いのである。
すなわち、「アメリカの戦争」に際して、日本国内で戦争支援の体制が敷かれることになる。地方自治体の行う内容は未だはっきりしないが、政府の命令によって地方自治体は戦争への協力を強いられ、拒否すれば総理大臣が代執行できる制度になっている。これは憲法の定める「地方自治の本旨」をねじ曲げるものである。