臨時議会で議会解散に反対する「弁明書」可決
名古屋市会は、1月7日、臨時議会を開催し、議会解散リコール署名が必要数に達し、直接請求が行われたことを受け、議会解散に反対する「弁明書」を賛成多数で可決しました。
議会解散のリコール署名が成立した背景には、「議会は、市民の気持ちや痛みがわかっていない」という市民の思いがあります。とくに、長く続いた民・自・公「オール与党」市政の中で、日本共産党の反対を押し切って、議員報酬の引き上げが繰り返され、慣例の海外視察などいわゆる「議員特権」も温存されてきました。市民の議会不信が大きいのも当然です。
しかし、議会解散の請求理由は、議会が河村市長の公約の実現をはばんでいるとして、
①市民税10%減税の継続
②地域委員会の継続
③議員報酬の半減
の3つの公約に議会が反対しているから解散だとするものです。
しかし、
①市民税減税は、河村市長がマニフェストで約束した「定率減税(金持ちはゼロ)」という公約に反して、大企業や金持ちに有利な一律10%減税を行うもの。しかもその財源に、福祉・市民サービスのカットや市債の発行をあてていることに議会の各党は反発し、共産党だけでなく公明党なども河村減税に代わる対案を示して議会で審議しています。
②地域委員会は、議会の中で反対している党はありません。市も、モデル実施の検証委員会による検証結果もふまえて、よりよい制度になるように見直し中です。
③議員報酬の半減については、議会各派で自主的な議会改革の努力が少しずつすすんでいます。報酬引き下げに消極的な党もありましたが、結局、日本共産党が提案した「市民参加・市民公開の第3者機関」を設置することが決まり、これから検討がはじまるところです。
このように、実際に「解散の理由」としてあげられている3つはいずれも道理がありません。
議会解散とは、市会議員75人全員を辞めさせるという重大な行為です。たとえ議会が市民の期待にこたえていない、という不十分な面があったとしても、違法な行為や不祥事があったわけでもないのに、議会を解散させるというまでの理由にはなりません。
本来、市議会が、議会解散に反対する弁明をおこなうならば、このような解散理由の道理のなさを明らかにした弁明書を議決すべきです。
ところが民・自・公3党は、減税などについて、市民の利益と道理に立った一貫した立場をもっていないため、成案となった弁明書には、本質的な内容が含まれていない不十分なものとなっています。
しかしながら、日本共産党は「議会解散に反対」という点では一致するため、弁明書に賛成しました。
議決された弁明書の全文は、以下の通りです。
議会解散請求に対する名古屋市会の弁明の要旨
私たち名古屋市会は、多くの市民の皆様が議会の解散を求める署名に応じたことを大変重く受け止めております。
私たちは、これまで二元代表制及び議会制民主主義を尊重する立場からも、市民の皆様の生活を守ることを第一に考えて議論をし、また、市長からの提案事項についても真摯に議論を行ってまいりました。今後さらに、市民生活第一に、議会改革に取り組んでまいる決意です。
しかしながら、この時期における議会の解散には
1、4月以降の市民生活に重大な影響を及ぼすおそれがある
2、3億2千万円もの税金を使うことになる
等の懸念があります。
従いまして、市長主導によるこの時期の議会の解散には「反対」です。
4月以降の市民生活に重大な影響を及ぼすおそれがあります
来る2月21日からは平成23年度予算の使い道を審議する2月定例会が予定されております。
①今、議会が解散されれば、来年度予算が決められなくなるおそれがあります。
②緊急の課題である景気・雇用対策や福祉・教育の分野の施策を決めることができなくなり、4月以降の市民の生活に大きな影響を及ぼすおそれがあります。
3億2千万円もの税金を使うことになります
今、議会を解散しなくても、もともと4月10日には、市議選と県議選が予定されています。
仮に解散となると、市議選と県議選が別々の日に行われることとなり、1か月市議選を早く行うためだけに3億2千万円の税金が余分にかかります。