2011年3月定例会
潮見が丘保育園及び緑市民病院についての議案質疑(2011年3月28日)さはし あこ 議員
汐見が丘保育園について
汐見が丘保育園の民間移管は問題だ
【さはし議員】汐見が丘保育園を来年の4月1日をもって廃止することと定めた条例についてお聞きします。
緑区では、市内でも待機児童が最も多い区です。私も選挙中、公園で遊んでいる親子連れの方にお話をうかがいましたが、本当に多くの方から「うちの子待機児童です」と言われました。待機児童解消のためには、公立民間それぞれ認可保育園をしっかり増やしていくことが求められていると思います。
汐見が丘保育園は緑市民病院と隣接しており、この地域のみなさんにとっては、共に地域で子育てを支える役割を担っている保育園と病院が、どちらも制度が変わってしまうことに、大変大きな不安を感じています。名古屋市が運営する保育園だからという安心感は、とても大きなものがあります。公立保育園から民間保育園への移行による環境の変化による子どもたちへの影響も心配されます。
子育て支援を重点政策に掲げてきた名古屋市としては、直営の保育園を廃止することは、たいへんな問題だと考えますが、お考えをお聞かせ下さい。
「公立保育所整備計画」にもとづいてすすめている(局長)
【子ども青少年局長】公立保育所の民間移管は、平成21年9月の「名古屋市公立保育所整備計画」で順次すすめている。汐見が丘保育園は、民間移管計画の公表以降、保護者への説明会を9回実施し、丁寧な説明を行い、保護者の理解を得た。
移管法人は、実績のある社会福祉法人を対象に公募し、昨年12月に保護者代表を含めた外部委員により引き継ぐ法人を選定した。
4月には、保育士が変わることによる子どもたちへの影響を少なくするため、移管前1年間の引継ぎ・共同保育を予定し、平成24年4月の移管に向けて、選定法人及び保護者とともに、新しい保育園づくりを進めていく。
緑市民病院の指定管理について
辞退した法人が受けられる条件に変更したのではないのか
【さはし議員】この議案は、緑市民病院の指定管理者として来年4月1日から10年間、医療法人純正会を指定するものです。
指定管理者の導入については、多くの区民・患者から、医療の公的責任を放棄するものだと、強い抗議の声が寄せられ、指定管理者制度導入を決めた条例を凍結し、公立公営を続けてほしいという主旨の「緑市民病院のよりよい医療を願う」請願署名も16,000筆を超えて集まっています。市は指定管理制度を導入しても、市民サービスは低下させない、市民病院としての災害時対応など公的な医療機関としての役割も堅持すると表明してきました。
しかし実際には、指定管理者の募集にあたって、唯一、名乗りを上げた医療法人は、300床の維持、分娩の継続、という条件では引き受けられない、となり辞退し、条件を緩和し、医療サービス提供の水準を下げて200床以上、分娩なし、という条件でようやく指定管理者の候補が決まりました。
候補である法人が一つであったことを考えると、病院利用者へのサービス向上との視点からではなく、再募集にあたって、この法人の提示した条件に合わせて医療サービス提供レベルを切り下げたのではありませんか?お答えください。
現在の入院需要に対応(局長)
【病院局長】再公募の平成22年10月時点では緑市民病院の入院患者数は150人程度であり、200床あれば現在の入院需要に対応できるため、最低限の条件として200床以上とした。事業計画書では、指定管理開始時は200床としているが、将来的には300床を目指すこととなっている。
分べんは、市直営の現在でも、平成23年4月以降は受け入れができない状況。地域密着型の病院として、分べんは継続していきたいが、やむを得ず、分べんについては必須としない条件とした。
再公募の条件見直しは、少しでも多くの公募参加者を募るために行った。候補者の条件に合わせて変更したものではありません。
災害発生時に派遣できる対応か
【さはし議員】災害時の医療活動拠点となることは、指定管理者となっても変わらないということですが、市民のみなさんからは、「やっぱり市で救急・災害は対応してほしい」という声があります。指定管理者の下で、他の市民病院と同様の活動が本当に維持できるのか心配です。
今回の大震災では、発生以降、病院局からトータルで16名のスタッフが現地に派遣されて活動しています。指定管理者募集要項には、「災害発生時は、市の指示に従い、名古屋市地域防災計画に基づく災害医療活動拠点としての役割を果たすこととします」と記載されていますが、指定管理となった病院の職員も他の市立病院と同様に、災害時の対応として、市の指示があれば、他の被災地へ派遣できると考えてよいでしょうか?お答えください。
できる範囲で災害時の医療に対応(局長)
【病院局長】事業計画書も、できる範囲で災害時の医療に対応するとなっています。
また、他の地域で災害が発生した場合にも、指定管理者に対しても役割に応じた協力を要請したい。
診療科目やベッド数の決定をするのは名古屋市か
【さはし議員】ひと足早く民間に譲渡された城西病院は、住民のみなさんが、新しい経営者と懇談を重ねて、当初は行わないとしていた整形外科を、診療科目に加える方向で検討が始められています。地域住民の医療のニーズに的確に応えてこそ、患者も増え、住民の安心安全、健康も守られると思います。そこでうかがいますが、緑市民病院の診療科目やベッド数などについて、決定するのはどこになるのでしょうか?指定管理者ですか、病院局ですか、お答えください。
協議のうえ、最終的には病院局が決める(局長)
【病院局長】病院局が監理監督を行い、診療科目や病床数の変更は、東海北陸厚生局や愛知県への許可申請などが必要となりますので、指定管理者と協議のうえ、最終的には病院局が決める。
分娩の対応ができない法人でいいのか
【さはし議員】とりわけ緑区は人口急増地域でもあり、安心してお産ができる総合病院への期待はとても高いものがあります。「娘が里帰りしてもお産をする病院がない。緑市民病院でお産を代々しているのに、もう出来ない」と切実な声が寄せられています。医師や助産婦の確保が厳しい情勢であることは承知の上で、名古屋市には、緑市民病院での分娩の再開をつよく求めるものです。
そこでお聞きしますが、指定管理者となる医療法人純正会が経営している3つの病院では、産婦人科(分娩)はないそうですが、今後住民のニーズに応え、分娩をやる気構えはあるのでしょうか?全くゼロだとしたら、住民ニーズを踏まえた選定とは言えないのではありませんか?対応できる潜在力がある医療法人だと考えてよろしいでしょうか?お答えください。
公募でも分べんを必須条件としないとした
【病院局長】候補者が運営する病院に、分べんに対応している病院はない。
医師不足のなかでも、特に産婦人科の医師は、勤務条件の過酷さ等から全国的に相当に不足した状態となっている。指摘の点は痛く受け止めておりますが、緑市民病院においても産婦人科の医師を確保することが困難となり、平成23年4月以降は分べんの受け入れを中止せざるを得ない状況となった。
名古屋市は市民の意見を聞き社会的責任を果たせ(意見)
【さはし議員】それぞれ答弁をいただきました。
汐見が丘保育園の廃止は、答弁を聞いても納得できません。待機児童の解消のためには、公立保育園は公立保育園のまま、さらに認可保育園を増やしていくことが必要です。今も、大勢の父母が不安と不満を持っていること、名古屋市を厳しい視線でみつめていることを忘れないで下さい。
緑市民病院への病院局長の思いは、聞かせていただきました。医療が社会的責任を果たすという意味においても、行政が運営する公立病院は必要です。
今回の大震災で、公立病院の存在が、いざという時にかけがえのない役割を果たすことが、あらためてうきぼりになっていると思います。緑市民病院を公立公営で続けることを強く求めます。あとは、委員会の審議に委ねて、私の質問を終わります。