震災関連の補正予算についての山口清明議員の質疑


2011年4月27日

必要な施策を思いつくたびに次々と小出しにするやり方は問題

【山口議員】通告に従い、補正予算について数点、市長にうかがいます。

第一に、歳入と補正予算そのものについてです。

被災地域の支援に関しては、市民税減税を行わなかった留保分62億円の一部を財源に充てるということですが、市長、留保した財源を、必要な施策を思いつくたびに次々と小出しにするやり方は問題とは思いませんか。

 予算には大切な原則があります。総計予算主義に加え、予算の統一性の原則(単一予算主義)というのもあります。「一切の収入支出を単一の見積表にまとめ、予算の調整は一会計年度一回を適当」とする原則です。実際は特別会計や企業会計があり、補正予算もあって形骸化している面がありますが、予算提案の考え方として、必要な施策を思いつくたびに小出しにするやり方は、財政状況を統一的に把握しづらくなり問題とは考えませんか。答えてください。

柔軟に緊急性のあるものに対応していく(市長)

【市長】62億を次々小出しにするやり方はということだが、小出しとは思っていない。緊急性があるものに柔軟に対処すべきであるということで、当初予算ですべて決めれるんなら、補正予算はいれへんでしょ。そういう仕組みの中ですけど、柔軟に緊急性のあるものに対応していくという考えです。

陸前高田市への人的支援はどこまでか

【山口議員】第二に、陸前高田市への人的支援の意味合いについてです。

甚大な被害を受けた陸前高田市は、戸羽太市長を先頭に、市民が主役のまちづくりを進めていました。同市に対して、本市ができる限りの支援を行うことに心から賛意を表します。

そこで市長にうかがいます。陸前高田市への支援は、壊滅的な被害を受けた市役所の行政機能を回復する事務支援なのか。医療や福祉など市民へのサービス提供(現業部門)も含めた総合的な支援なのでしょうか。

また今後は、ゴミ処理や道路の維持管理から都市計画まで、長期的な支援も必要となると思いますが、支援の規模や期間はどれくらいと考えているのか。そのための財源は、今後も補正を組んで留保資金から捻出するおつもりですか。

来年度以降も支援が必要になるのではないか、こういう答弁もあったが、熱い市民の気持ちを届けたいという答弁もあった。私は支援のための基金を設立し、市民からも寄付を募るなどの工夫もすべきだと思いますがいかがでしょうか。支援計画の全体像を明らかにして下さい。

お節介にならないような支援を続けたい(市長)

【市長】故郷を愛する陸前高田市のみなさんの気持ちが第一なもんですから、お節介になってもいけませんので、あくまで。そこに配慮しながら、市の職員みなさんもそうとう士気が高くて、1年も行くことになるので、大いに、形式的にここまでだ、ということは絶対にないように、一歩も二歩も踏み込みながら、絶対お節介にならないような、支援を続けたいと思っています。そうとう、総合的にやろうという風に決断しております。

基金については今のところ、考えていません。予算の中で対応していこうと思っております。

耐震化の促進にはさらに思いきった施策が必要だ

【山口議員】第三に、本市の災害対策についてです。

民間木造住宅の耐震改修助成の拡充は当然です。2008年度では木造住宅の耐震化率は58.1%、今回の補正で150件増やしてもなかなか目標には届きません。

耐震化の促進にはさらに思いきった施策が必要と考えますが、どうですか。

 耐震改修のいろんな仕組みを積極的に情報提供したい(市長)

【市長】積極的に対処してまいりたいと思っておりますが、指示しているのは、最近テレビで見たが、存外安くできるようなやり方が耐震改修であるらしいもんだから、ようわかりませんが、ふつう200万ぐらいが100万ぐらいでできるものがあれば、大いに、特定の業者を推薦するというのは出来ないので、そういう面で市民にとって使いやすい耐震改修のいろんな仕組みについては大いに情報提供を積極的にするようにと、指示しています。

浜岡原発の震災事故や放射性物質の流出事故への対応も含まれるか

【山口議員】市長は先の本会議で、「浜岡原発の危険性や事故発生時の放射線物質についても市でチームをつくり検証作業をしたい、地域防災計画についても国や県の動向を見守るだけでおわるつもりは全くない」と答弁されました。

今回の、地域防災計画の見直しに向けた調査には、浜岡原発の震災事故や放射性物質の流出事故への対応も含まれると理解してよいですね。端的にお答えください。

国の計画への上乗せ計画でええんではないか(市長)

【市長】原発事故は地域防災計画に含まれるかということだが、私は含んだ方で、国のシステムだと、国がやって42条で市町村が地域防災計画を立てるんだけど、国の計画に抵触してはならないと規定があるので、やりにくい気もするが上乗せ計画でええんではないかと、思っておりますけど、どこまでできるか悩ましいけど、原発の危険というのは、前からいっているが、原発は危険なので、はっきり言って、それをタブー視せずに市民にとって安全な原発ということで、今まで通りのことでなくて相当ふみ込んだ調査ができるようにやっていきたいと思っております。

 津波に対する市長の現状認識が心配だ

【山口議員】地震・津波に対する防災意識の啓発として、シンポジウムの開催をあげていますが、企画の柱は、現在の地域防災計画を説明し、津波は名古屋港では最大2.5mだから心配いらない、という趣旨のようです。冗談じゃありません。その想定が甘い、として防災計画を見直すんですよね。

名古屋港の高潮防波堤、防潮壁に防潮扉、堀川口水門、どれも伊勢湾台風などの高潮には対応できても、地震と津波には耐えられない恐れが強いのです。

安心です、と市民を説得するのではなく、名古屋港及びその周辺地域の防災課題を、ハード面をふくめ明らかにすべきです。津波に対する市長の現状認識をあらためてうかがいます。

今までのやつがいいとは思ってない(市長)

【市長】今までのやつがいいとは思っていませんよ。だいぶ指示しております。伊勢湾台風の被害が徹底的なんで、名古屋の場合は。特に南区のかたはほんとに2.5mでいいのかということは、失礼しました、南区、港区、中川区、大変心配していると思いますのでこの間地図を見てみましたけど、なんか津波が襲う地域と書いてありますけど、伊勢湾台風の浸水地域が想定された図面になってないので、ほんとに2.5mでええのか、もっと全く違う状況が起こるのではないかということを、きちっと歴史的事実も見ながら、相当な気持ちで対応するように指示がしてあります。

災害対策について、まとまったものを提案すべき

【山口議員】災害対策について3点うかがいましたが、市長、災害対策についても施策を小出しにする補正予算を連発されては、全体像が市民にわからなくなります。

当初予算では、留保の62億円を残しながら各局の要望は200億円以上削りました。災害対策上重要な消防団舟艇の購入63団分1200万円も局内の財源でまかなえ、と政策的判断から外しました。災害対策全体の位置づけこそ補正が必要です。

必要な手当てを随時行うことは当然ですが、議会に補正予算を提出するのなら、災害対策についても、もう少しじっくりかまえて、まとまったものを提案すべきではありませんか。

その通りだが、今回は緊急事態なので、精いっぱい対処(市長)

【市長】じっくり構えてまとまったものを提案すべきではないか、まさにその通りだが今回は緊急の事態なので、その中で精いっぱい対処させていただいております。

防災意識の啓発が必要なのは市民でなく、まず市長だ(意見)

【山口議員】市長は「津波については2.5mで本当にいいのか」といってますが、その通りなんです。ところがそれを説明するだけのシンポでは、名古屋の南部の皆さんは納得しませんよ。巨大地震が来れば、高潮防波堤は液状化で4m沈み込む。津波は防げない。防潮堤にある41の扉は地震でレールが歪むと閉まらない。堀川口水門、3月11日には1mの津波でも水門を閉じることができなかったのです。市長、堤防から見ていただけではわからない港の防災課題がたくさんあるのです。

緊急に必要な事業として提案するのなら、それなりの危機感と問題意識を持って提案していただきたい。防災意識の啓発が必要なのは市民でなく、まず市長だと言いたくなります。

この続きは委員会だけでなく、6月に名古屋港管理組合議会でも議論させていただくことを予告して、私の質問を終わります。

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