図書館に指定管理者制度を導入する方針の撤回を求める申し入れ
2011年5月27日
名古屋市長 河村 たかし 様
名古屋市教育委員会
委員長 坂井 克彦 様
日本共産党名古屋市会議員団
団長 わしの 恵子
図書館に指定管理者制度を導入する方針の撤回を求める申し入れ
名古屋市教育委員会は、市内支所管内にある6図書館に、指定管理者制度を導入する方針であることが明らかになりました。
指定管理者制度の導入は、対象となる図書館から司書をはじめとする市職員を引き上げ、民間業者に図書館運営を委ねることになります。しかし、資料の収集から分類・整備を行い、図書館資料についての十分な知識を持ちあわせ、その利用のための相談に応ずるなど、司書が専門的な業務を継続的に担うことによってこそ、利用者に役立つサービスを提供できる施設となると考えます。
また、数年単位で業者が入れ替わることになる指定管理者制度では、図書館サービスの専門性は低下せざるをえません。図書館法では、「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と定めています。そのもとで、民間事業者が利益をあげようとすれば、非正規・低賃金の非常勤職員などによってコストを削減することが中心となり、長期的な視野に立った図書館運営が難しくなることは明らかです。
指定管理者制度の導入は、公の施設の設置目的を効果的に達成するために導入するとされながら、実際には、経費の削減が中心目的となっているのが実態です。経費削減だけを狙って、図書館に指定管理者制度を導入することに対しては、総務大臣からも否定的な見解が示されていますし、全国には指定管理者制度から直営に戻す動きも生まれています。
さらに、今回導入が予定されている支所管内の図書館は、長年にわたる地域住民の切実な要望から誕生した施設であり、市民がどこに住んでいても平等に学ぶ権利を保障する役割をもつ市民の財産です。地域住民の愛着も強く、利用実績も決して低いとは言えません。
行財政改革の手段として、指定管理者制度を市立図書館に安易に導入することは、到底容認できません。
日本共産党名古屋市会議員団は、名古屋市と名古屋市教育委員会が、市民の学習権を守る立場を堅持して、図書館への指定管理者制度を導入することについて断念し、方針を撤回するよう強く申し入れるものです。
以上