台風15号の被災を踏まえての防災対策に関する緊急要望
2011年9月30日
名古屋市長
河村 たかし 様
日本共産党名古屋市会議員団
団長 わしの 恵子
台風15号の被災を踏まえての防災対策に関する緊急要望
9月20日から21日に襲来した台風15号は本市にも大きな被害をもたらしました。いま名古屋市として、被災状況をきめ細かく把握するとともに、必要な対策をとることが急がれます。同時に、これまでの災害対策の評価と今回の災害で明らかになった課題を検証し、今後の防災活動に役立てることが大切です。
日本共産党名古屋市会議員団は、先日「福祉と防災のまちづくり」を中心とした新年度予算重点要望を市長に提出しました。またこの間、守山区や北区で現地調査を行ってきました。今回、被災された方々から寄せられた声もふまえて、現時点での緊急要望をまとめました。積極的に受けとめていただき地域防災の充実にいっそう力を尽くしていただくことを要望します。
【総括的な要望】
- 浸水被害者の救援、復旧、補償要望に誠実に対応すること
- 台風15号による雨量、水量などの気象状況、被害発生状況、避難状況および災害対策の経過を地域別および時系列で整理し、市民的検証の素材となるようわかりやすい形で公表すること
【庄内川に関して】
- 越水した庄内川左岸堤防のかさ上げ工事を急ぐよう国に働きかけること
- 国による庄内川水系河川整備計画の進捗状況を明らかにすると共に、東海豪雨が前提となっている被害想定及び整備計画の実効性を再検討する場を設けること
- 河川管理者である国と避難情報を発令する名古屋市との間で情報共有が十分だったか検証するとともに、避難などの目安となる情報の共有化と市民への情報提供ルールを整理すること
- 東海豪雨をふまえた庄内川流域の特別対策事業の進捗状況および評価(整備の効果がどう発揮されたか)を明らかにすること
【その他の河川に関して】
- 天白川流域の特別対策事業の進捗状況および評価(整備の効果がどう発揮されたか)を明らかにすること
- 八田川、長戸川、野添川などの被害が報道されている。それぞれの河川について、そもそも市の被害想定にあったのか、被害状況及び今後の対策を明らかにすること
【守山区吉根地域の水門(吉根排水ひ管、至来排水ひ管)に関して】
- 今回の水門開閉措置について、東海豪雨時の対応との違いをふくめて、住民と専門家をふくめた検証を行うこと。被災住民の補償要望に対して誠実に対応すること
- 水門の開閉についてはあらかじめ関係地域の住民に周知すること。連絡周知の方法については地域住民の要望をよくふまえて決めること
- 水門の開閉状況などを地域住民に知らせる防災スピーカー(せめてサイレン)を設置すること
- 排水ポンプを設置すること
- 住宅建築許可および宅地分譲について、浸水可能性の高い土地であることをふまえた対応をとること
【避難勧告・避難指示などの防災情報に関して】
- 避難準備情報・避難勧告・避難指示・避難命令・河川流域の防災情報について、用語の正確な説明を徹底すること。それぞれの情報を、どこが、どんな基準にもとづき発令・解除するのか、気象情報との関連の有無などを市民にわかりやすく知らせること。(洪水・内水ハザードマップには避難準備情報及び避難勧告は掲載されているが避難指示については記載がない)
- 100万人規模の避難勧告が適切だったのか、対象地域、発令及び解除のタイミングをふくめ検証すること。今後の避難訓練においては、今回の対応をふまえ、実際に避難を要する人数についてきめ細かく想定すること
- 避難指示や避難勧告の発令と住民を誘導する避難所の設置基準との関係を明確にすること。避難指示が出された学区の避難所から避難者を別の避難所に再移動したケースについて検証すること
- ハザードマップについて、内容を再度精査すると共に、関係地域の住民への配布及び説明会の開催など、その活用についても徹底すること
- 避難勧告及び避難指示などの情報伝達方法について、豪雨で聞こえなかった地域や、既に浸水が始まり情報が遅かった地域などの問題点を検証し、必要な改善につとめること
【避難所の整備・運営について】
- 避難勧告の発令及び解除と避難所の開所及び閉鎖についての判断について検証すること。地域住民の安全確保を第一に、地域ごとの柔軟な運用を行うこと
- 備蓄している食糧の配布についても各避難所の取り組みを検証し、被災住民の実態に見合う対応に改善すること
- 避難指示に伴い、学区外からの被災住民を受け入れるケースが発生した。学区単位だけでなく広域的な避難に見合った避難所の運営について課題を検証し改善を図ること
- 避難所開設にともなう責任の所在を明確にすること。区役所と学校及び地域住民(災害対策委員=区政協力委員)との情報共有と連絡体制を再点検すること
- 避難所にもテレビやラジオを常備するなどし、災害情報が十分に届くようにすること
- 必要となる備蓄品の種類と数量について、検証し必要な見直しを行うこと
- 避難所への犬猫等ペットの持ち込みなどについては様々な意見がある。避難所運営全体についても市民的な議論の場を設けること
【学校や保育園、福祉施設の対応について】
- 子どもたちへの下校や待機の指示が適切だったか、保護者と現場教職員を含めて学校ごとに検証すること
- 避難所となる学校の教職員と行政担当者の分担・連携をはっきりさせること
- 気象情報だけでなく行政の避難情報に対する対応を明確にしておくこと
- 保育園や通所系の介護・福祉施設が通所者に対しどんな対応をしたのか把握すること。受け入れ体制、車による送迎の可否、避難や開閉所の基準についても利用者及び職員の安全面から検証すること
【職員の非常配置について】
- 避難所開設数に見合う職員配置がとれたのか検証すること。市税事務所の職員配置についてもあわせて検証すること
【帰宅困難者対策について】
- 名古屋駅などでの帰宅困難者の発生状況と対応実態をまとめ、交通事業者、市内主要企業や経済団体、労働団体なども参加する場で対策を検討すること
【サンライズ志段味について】
- 福祉施設や介護施設と報道されていたが、法外施設であったため、要援護者が多数在住していたにも関わらず、避難訓練の実施などが指導されていなかった可能性がある。この機会に適切な指導体制を検討すると共に、市内にある類似施設(要援護者が集住している法外施設)をチェックすること
以上