9月定例会を終えて(声明)

2011年10月12日
日本共産党名古屋市会議員団

◆ 9月市会定例会は、9月9日に開会し、市民税10%減税案、補正予算案などの議案と、昨年度決算認定案が審議され、本日閉会しました。

◆ 定例会前半では、9月28日に補正予算などの議案が採択されました。わが党市議団は、災害対策や待機児童対策などの一般会計補正予算、人事案件など11件には賛成しましたが、市税条例等の一部改正に反対しました。市税条例等の一部改正は、申告書を提出しないものの過料を引き上げるとともに、機関投資家・金持ち優遇の株式売却減税を2年延長し、22億円の税収のうち9億円の減税を行うものになっています。

◆ 9月9日の本会議で河村市長は、減税は税金の使い道を市民一人ひとりに委ねる「究極の市民自治」と強調し、減税で「2つの市役所が実現する」という議論を展開しました。その1つは、市が税金を集め、予算編成や議会の議決を経て市民に再分配する「“伝統的”市役所」、もう1つは恒久減税により税金として納められるはずだった額の一部の使い道を市民に委ねる「“市民”市役所」という議論です。そして、“市民”市役所でこそ児童虐待や高齢者の孤立死、いじめ、不登校など、聞こえづらい子どもや高齢者の悲鳴に対して、役所のタテ割りを超えた対応が可能になると強調しました。これは、“伝統的”市役所には限界があると決めつけ、「市民自治」「市民市役所」など、「市民」の名をかりて、減税すればあらゆる問題が解決するかのように市民を欺く詭弁でした。

◆ 9月議会の最大の焦点は、河村市長が提案した市民税10%減税でした。すべての会派がこの問題をとりあげましたが、恩恵を受けるのは一部の大企業と富裕層で、大多数の市民には恩恵がなく、減税のためにさらなる行革を押し付けるものであり、断念すべきであると主張したのは日本共産党だけでした。わが党は、個人市民税と法人市民税の減税(決算年度で約160億円)の内訳をただし、個人では最高1000万円の減税の恩恵を受けた人がある一方で、225万人市民のうち116万人が減税額ゼロであること、わずか3%の人が減税総額の25%(37億円)を受け取り、格差が広がったことを明らかにしました。また、法人税減税も上位8社だけで18%(11億円)の減税の恩恵にあずかっている一方で、納税企業数は約500社減り、欠損を抱える赤字法人は逆に約1000社増えて、初めて全法人の7割を超える64000社となっていることも明らかになりました。わが党は、金持ち減税は否決すべきと主張しましたが、減税日本ナゴヤは行革のために減税をと賛成、自民、公明、民主は判断材料に乏しいとの理由で継続審議を主張し、採決の結果、継続審査となりました。

◆ わしの恵子議員とさはしあこ議員が個人質問に立ちました。わしの議員は、市民税減税について、2010年度の市民税減税でも1万円以下の減税が納税義務者の過半数であると指摘し、「金持ち・大企業減税」であることを解明、さらに減税の財源として市長が事業仕分けで敬老パスや小学校1・2年生の30人学級、保育料など福祉や教育を削ろうとしていることを批判しました。また、大気中の放射線量測定について名古屋市が独自に測定すること、「原発さよならなごや宣言」を求めました。さはし議員は、保育所待機児童解消をとりあげ、児童福祉法義務違反であることを指摘、民営化をすすめてきたこれまでの市の姿勢をあらため、公有地の活用などあらゆる手立てを要求、保育への企業参入は断念するよう求めました。また、さはし議員は、災害時要援護者の避難対策の充実を求めました。

◆ 決算審議では、市民税10%減税が行われた年の決算であり、「減税」によって市民の暮らしがどうなり、福祉や教育、市民の暮らしが減税によって制限されたり削られたりしていないかを明らかにする立場で奮闘しました。特に、名古屋市が新しく行政評価に外部評価(30事業について有識者と市民により継続か見直しを判定する)という手法を取り入れ、市民参加の体裁で大型開発と大企業・金持ち減税の財源づくりのために、敬老パスや30人学級、保育料などを廃止・見直ししようとしていることとの関係で、名古屋市が独自にすすめている先進的な事業が、いかに効果があり、市民の福祉、教育にとって重要かが浮き彫りになるように奮闘し、来年度予算編成へ福祉や教育、暮らしを充実させるうえで役立つように審査しました。

◆ 議会最終日の10月12日、2010年度一般会計歳入歳出決算をはじめ、20件の2010年度決算が認定されました。日本共産党名古屋市議団は、2010年度国民健康保険特別会計決算など11件の決算認定には賛成したものの、2010年度一般会計歳入歳出決算など8件については反対しました。山口議員は、討論にたち①庶民減税とは名ばかりの金持ち大企業減税が行われた、②減税の財源づくりとも減税の目的ともされた行財政改革により市民のための施策が削減された、③税金の無駄遣いの大型開発は推進されたという反対理由を明らかにしました。

◆ 議会閉会中の常任委員会で不採択・審査打切となった請願結果について日本共産党と減税日本が異議を申し立てました。田口議員が「日本軍慰安婦問題」の請願を採択すべきと討論に立ちました。この討論は、奇しくも、自民党藤沢議員(南区)が歴史・公民教科書は「育鵬社、自由社こそ採択すべきだった」と質問し、河村市長も「一方的な自虐史観にもとづき、何でも謝ればいいという国家像に対して、今こそ立ち上がらなければ」と応じた、侵略戦争を美化する危険で反動的な本会議でのやりとりへの反撃となりました。

◆ 10月11日の議事運営委員会で、海外派遣の報告書を、保存期間は1年から5年に改め、市会図書室において閲覧に供し、ホームページにも1年間掲載することが決まりました。10月12日の本会議で、議員の派遣が議題となり、トリノ市との姉妹都市提携5周年記念公式代表団は全会一致採択となりましたが、北米視察団(自民8人、民主2人)については、“4年に1度の慣例としての議員派遣”であり、わが党は反対しました。減税日本ナゴヤと公明党は、参加を見送りましたが採択では賛成しました(減税日本の1人は棄権)。10月7日、わが党市議団は「名古屋市議会の慣例的海外視察の中止を求める申し入れ」を行い、今回の海外視察もとりやめるよう、強く要望しました。

◆ 9月28日の本会議で意見書9件が可決されました。わが党議員団が提案した3本の意見書案のうち「原発事故による放射能汚染対策の強化」「生活保護制度」の2本の意見書は修正や一本化により成立しましたが、「国民生活センターの充実強化」の意見書案は民主党の反対で成立しませんでした。また、保育関係者が要望してきた「子ども・子育て新システムに関する意見書」も採択されました。

◆ 議会開会中の9月20日から21日にかけて、台風15号が接近・通過し、21日の委員会は中止となりました。この台風は庄内川が守山で越水するなど、名古屋市にも大きな被害をもたらしました。市議団は北区や守山区の現地調査をふまえて、9月30日に防災対策の緊急要望を申し入れました。

◆ 9月20日に市議団は、来年度予算編成への重点要求を提出し、市長と懇談しました。特に、市長の「減税」と「中京都構想」は、形を変えた大企業支援であり、市民のふところを直接あたためる政治、福祉と防災のまちづくりをすすめるよう強く求めました。

◆ 名古屋市は行政評価の内部評価結果を公表し、市民意見の募集が行われました。新たな行政評価として外部評価が実施されることへの関心も高まり、数千人の市民が、短期間にもかかわらず、敬老パスや30人学級、保育料など福祉や教育を削る見直しに反対の意見をよせました。

◆ 名古屋市政は今こそ「住民福祉の増進」という本来の役割を果たし、福祉、防災のまちづくりが求められています。日本共産党名古屋市議団は、そのために広範な市民と力を合わせ、議会として市長をチェックするとともに市民要求実現へ全力で奮闘します。

以上