田口一登議員の個人質問②磁気ループの設置・活用について

2011年11月25日
田口一登

■生涯学習センターの集会室や区役所窓口等への設置促進を

【田口議員】次に、難聴の人たちのための集団補聴システムの一つである磁気ループについて質問します。

私は先日、難聴の高齢者の方々と一緒に、可搬型の磁気ループの貸し出しを行っている名古屋市身体障害者福祉連合会の聴覚言語障害者情報文化センターを訪ねました。私たちが案内された聴言センターの会議室には、磁気誘導アンプにつなげた電線が机の周りを1周していました。

磁気ループとは、スピーカーに音を出すかわりに、ループ状の電線に音の電流を流し、磁界として音の信号を空中に出す仕組みです。この磁界の音信号は、Tコイル付きの補聴器や専用受信機で聞くことができます。受信機を耳にあてると、スピーカーからは音が出ていないにもかかわらず、マイクで説明する同センターの職員の方の声がはっきりと聞こえます。「補聴器を3種類持っている」という難聴の方も、「補聴器だけでは聞きづらかったが、磁気ループがあるとよく聞こえる」とうれしそうでした。

年を取ると聴こえが悪くなる人が多くなります。補聴器を使っても、ガーガーうるさい音が入ってきて、会話をするのに不自由している方が少なくありません。コミュニケーションがうまくとれなくなりますから、「だんだん人の集まる場に出かけるのがおっくうになる」と、同伴した高齢者の方が話していました。

高齢者の方などが、聴こえが悪くなっても社会参加を控えることなく、生き生きと暮らせるようサポートするために、集団補聴システムの整備が急がれます。とりわけ専用の受信機がなくてもTモード対応の補聴器があれば聞くことができる磁気ループの設置を推進することが求められていると思います。

本市では、「福祉都市環境整備指針」の中で、「劇場等においては、難聴者の利用を考慮し、赤外線送受信装置、磁気ループ、FM放送受信装置など集団補聴装置を設置する」とされています。本市の施設では、どこに集団補聴装置が設置されているのか、当局を通じて調べたところ、磁気ループがある施設が19か所、赤外線装置が8か所、FM装置が1か所となっており、その多くが区役所の講堂や文化小劇場のホールでした。ところが、市民への周知が不十分なため、多くの施設では「使用実績がない」と聞きました。これでは宝の持ち腐れです。唯一、ほぼ毎日使用があるのは、改築した科学館のプラネタリウム。ホームページや館内掲示で来館者に周知されています。

そこで健康福祉局長にお尋ねします。磁気ループについて、劇場などだけでなく、生涯学習センターなどの集会室、市民病院や区役所の窓口などにも設置を求めていく考えはありませんか。

■集会室への設置は進めたい。区役所窓口等へは有効性を研究したい(局長)

【局長】福祉都市環境整備指針におきましては、多数の方にマイク等で音声を伝えることが日常的に想定される公共的建築物の観覧席、客席に関して「劇場等においては、難聴者の利用を考慮し、赤外線送受信装置、磁気ループ、FM放送受信装置など、集団補聴装置を電波障害等の状況を確認のうえ設置する。」としているところです。

また、劇場等以外については「施設の規模や利用の頻度を考慮し、難聴者用設備を設けることが望ましい。」としています。

集会室等についても設置が望ましいところでございまして、今後とも設置のPRに努めてまいりたいと存じます。

市民病院や区役所の窓口等につきましては、一対一の対応が行われている現状の中、筆談等による対応の方がより有効であるとも考えられるため、集団補聴装置の設置につきましては、今後、研究が必要であると考えております。

■磁気ループが設置されている施設の周知徹底を

【田口議員】また、すでに磁気ループが設置されている市の施設について、設置されていることの周知を徹底すべきではありませんか。

■活用にむけて掲示などの広報に努めるよう各局に働きかける(局長)

【局長】集団補聴装置を設置している施設の周知や広報につきましては、障害者施策の案内冊子に記載してまいります。

また、本市の各施設管理者に対し、施設を利用する行事等の主催者に集団補聴装置の利用を勧奨するとともに、来場者に対しても装置をより活用していただくための掲示などの広報に努めるよう、各局に働きかけてまいりたいと考えております。

■設置をさらに進め、市民への周知を徹底し、有効に活用を(意見)

【田口議員】磁気ループについてですが、健康福祉局長からは前向きな答弁をいただきました。磁気ループの設置をさらに進めるとともに、市民への周知を徹底し、有効に活用されるよう、これは各局の局長に要望させていただきます。

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