岡田ゆき子議員の個人質問① 外部評価対象事業の今後の方向性について(野外学習センター)
2011年11月25日
岡田ゆき子
■野外活動を高校教育の一環として取り入れていることの意義は
【岡田議員】通告に従い質問いたします。
始めに、今回、外部評価で廃止と判定された、野外学習センターについて質問します。当センターは、市立高校生の野外教育活動の拠点として1990年に開設され、市立高校だけでも、この20年間で延べ12万5千人を超える高校生が利用してきました。
現地へ視察に行きました。緑深い山の中に、施設があり、管理棟や体育館の周辺の山道を歩いて行くと、飯ごうすいさんのできるキャンプ場、テニスコート、野球場、陸上競技場などがあります。
1クラスが1棟に宿泊できる宿泊棟は木立の中に点在し、施設はどこも20年経過しているとは思えないくらいきれいに整備されていました。名古屋の子ども達にとって、自然の中で、クラスそろって寝食を共にする体験は貴重なものだと思います。
教育長にお尋ねします。野外活動を高校教育の一環として取り入れていることの意義について改めてお聞きします。
■豊かな人間性をはぐくむうえで教育的意義がある(教育長)
【教育長】野外教育活動は、自然と生徒との出会いの中で自然を理解させるとともに、仲間と協調して活動する大切さを体験させ、自主自律の態度を身につけさせるものであり、豊かな人間性をはぐくむうえで教育的意義があると考えております。
■継続すべきだ。来年の実施はどうする
【岡田議員】45年前に中学生のための稲武・野外教育センター、その4年後に小学生対象の中津川・野外教育センターが建設され、小中の経験から、高校生にも継続した野外経験をと当センターができたのです。
しかし、外部評価の判定結果は廃止です。廃止の判定に対しては保護者や生徒、現場の教師からも不安の声が出ています。
「自然の中での体験は、今の高校生には非常に貴重。」「教育という分野がなぜ事業仕分けの対象になってしまうのか」「採算が取れない事業だからこそ、行う価値がある。教育や文化に関わる分野は、受益者は社会全体。価値は価格にはかえることはできないと考えてほしい」
合宿に参加した生徒は、「合宿で、一段とクラスの雰囲気が良くなった。高校生活を始めるために欠かせないものだと感じた」と感想を述べています。
これらは、本当に継続が必要だとする切実な声です。
市民判定員の廃止のコメントに、民間譲渡や代替施設でも可能だとの意見がありました。現在は直営であるから市立高校生優先に宿泊調整ができ、宿泊施設とスポーツ施設が一ヶ所に配置されているため、移動のロスがないという利点があります。民間譲渡、代替施設になれば、今までの直営である利便性をそのまま引き継ぐことは絶対にできません。何よりも教育施設という位置づけですから、名古屋市立の生徒は宿泊費が無料です。一般の施設となれば、宿泊料金は1泊でも現在の3倍程度、7000円くらいが必要となってきます。
ある教師からは「近年、家庭の経済的負担が理由で部活動に参加しない、参加できない生徒が多くなっている実感がある。このセンターがあることで、経済的な負担をそれほど心配することなく合宿が行えますが、なくなれば部活動そのものを諦めることも十分あり得る。」といわれます。現在の不況下では公的施設として残すことの重要性がさらに求められているのです。
来年高校を受験する中学3年生の学校見学会が夏休み前後に行われていますが、当センターを利用した行事紹介や、部活動合宿等が紹介され、ほとんどの市立高校のパンフレットにも掲載されています。また来年度の新一年生のオリエンテーション合宿は、今が各校とも調整に入らなくてはいけない時期でもあります。
野外体験を子どもたちにさせるという名古屋の教育的伝統を継続するためにも野外学習センターの利用は継続すべきだと考えますが、教育長の見解をお聞かせください。また、この時期まで来て、来年の実施はどうするおつもりか、合わせてお答えください。
■効率性や地元との協力関係なども勘案して、教育委員会として判断(教育長)
【教育長】野外学習センターにつきましては、外部評価では「廃止」という厳しい結果をいただきました。この判定結果につきましては真筆に受けとめ、来年度以降の野外学習センターのあり方について検討しているところでございます。
この検討にあたりましては、市立高等学校の野外教育活動を、今後どのように行っていくかを議論の基本とし、野外学習センターの効率性や、長年にわたる地元の方々との協力関係などについても勘案したうえで、教育委員会として判断してまいりたいと考えております。
■今まで位置付けてきたことを、なかったことにできるのか(再質問)
【岡田議員】次に、野外学習センターについて、教育長に再度質問します。
長い間、このセンターを利用して行われる、オリエンテーション合宿や部活動の、野外教育としての意義が高い、このことは現場の教師や教育委員会との間でも共通認識となっている。今まで学校行事にしっかりと位置付けられてきたことを、なかったことにできるのですか?
■今後も継続していく必要があるが、来年度の実施は現在検討中(教育長)
【教育長】市立高校生の野外教育活動につきましては、豊かな人間性をはぐくむうえでの大切な活動であり、今後も継続していく必要があると考えております。
来年度の実施内容につきましては、現在検討しておりますので、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
■いつ結論を出すんですか(再々質問)
【岡田議員】例えば、来年度の実施内容についてこれから検討するといわれましたが、代替施設はないんです。美浜少年自然の家の予約は、再来年の予約をすでに始めています。他も同様で、入り込む隙なんてありません。県の施設や民宿などは、県立高校などがすでに使っていて、そこに入ろうと思えが競合して取り合いになる。これは名古屋だけの問題ではない。
このセンターの代替施設がないということでは、部活動がそうです。剣道部は10数校、200名が合同合宿できる。こんなことがほかでできるのですか。
建設当時に教育委員会、校長会 教員組合が3者協議会をつくって、生徒に使い勝手の良い充実した施設を作り上げてきたのです。このセンターの施設レベルのところは、ほかにありません。学識経験者、市民判定員もぜひ視察していただきたい。
そして、この時期中学3年生は、高校見学などもして進路を決める時期です。
(パンフをみせながら)学校のパンフレットももらっている。そこにも年間行事として、稲武の野外学習センターの活動が写真も入れて載っています。桜台高校のホームページには、生徒が合宿の紹介をしています。「合宿は学習やお楽しみ、友達作りなど高校生活をスタートするにふさわしい行事だよ合宿でみんなと仲良くなれるから心配しなくてもいいよ」と。この時期、希望する学校のホームページも見たりして高校生活に期待を持つんじゃないですか。ホームページやパンフレットを見ていたら、みんな来年も稲武で当然やると思っています。
もう12月になります。来年度の実施について、いつ結論を出すんですか。
■各学校が来年度の行事予定を決定できる時期に結論を出したい(教育長)
【教育長】先ほど申し上げましたとおり、野外学習センターのあり方については、現在検討しているところでございますが、来年度の野外教育活動の実施内容につきましては、各学校が来年度の行事予定を決定できる時期に、結論を出してまいりたいと考えておりますので、ご理解いただきますようお願い申し上げます。
■来年度は野外活動センターで実施すると明言を(再々再質問)
【岡田議員】行事予定を決定できる時期というと、遅くとも1月中ぐらいかと理解しますが、1月24日から、公立高校の願書提出の時期に入ります。このような時期に、野外学習センター合宿は来年度ありませんなんて、通知を出すわけにいかないでしょう。
いまさら13校分の代わりの野外施設は探すことはできません。来年度は、今ある野外活動センターで実施すると、この場で明言してください。教育長おねがいします。
■検討中です(教育長)
【教育長】来年度の実施につきましては、検討中です。
■野外学習センターでの教育実践は今後も必要(意見)
【岡田議員】はっきりと答えをいただけませんでした。いろんな経験をして、将来名古屋を担う子どもたちや、子どもの成長・発達を一番に考える先生方の気持ちを考えると、許せない思いです。行革のため、市長の減税のために、子ども、教育、福祉といった自治体が本来担うべき事業が削減の対象にされたことに、市民は本当に怒りを感じているんですよ。保育料の値上げや小学校1、2年生の30人学級について、これは継続となったのは当然です。
野外学習センターを利用して積み上げてきた教育実践は今の子どもたちにも今後も本当に必要です。一定の見直しは必要だとしても廃止ではなく、存続を求め質問を終わります。