名港議会 一般質問(1) 核兵器搭載艦船の入港について(2011年11月14日)
非核名古屋宣言で米艦船の核搭載確認を
【山口議員】東日本大震災と東京電力の原発事故から8カ月が過ぎました。災害からの復興はまだ道半ばです。そして、名古屋港での災害への備えが問題です。東海・東南海・南海の3連動地震に、今度は日向灘地震なども加えた5連動地震まで想定した津波対策の検討が国土交通省中部地方整備局では始まりました。また、放射能汚染の広がりをどう食いとめるのか、私たちは核と共存できるのか、こういう課題も突きつけられています。
そこで1点目、核兵器搭載艦船の入港に関する管理者の基本姿勢について伺います。
名古屋港でも放射能汚染への対応が課題となっています。管理組合は、3月11日の原発事故後、5月に一度だけ港内の大気中の放射線量及び海水中の放射線物質を測定し、特に原発事故による放射能の影響は見受けられないとしています。被災した東北や北関東で抜港が相次いだ原因は、津波による港湾施設の被災ではなく、原発事故による放射能汚染への懸念でした。放射能汚染に対して敏感になり過ぎることはありません。
ところが、名古屋港管理組合は、核兵器搭載の可能性を持つ米軍艦船の入港に際しては全くといってよいほど鈍感です。核兵器搭載の有無を米軍に問い合わせることすら行っていません。せいえい政府に県を通じて口頭で問い合わせる程度です。しかも、アメリカ領事館からの要請だとして、米軍艦船に限っては入港24時間前にしか議会にも県民・市民にも関連する情報は提供されません。軍事行動というんだったらわからんでもないですが、友好親善のための入港でもこの秘密主義です。
日米安保条約のもとで日本じゅうの港が同様なのか。実は違うんです。非核神戸方式として知られる神戸港は、入港する軍艦船には非核証明書の提出を義務づけています。お隣の四日市港では、米軍艦船入港マニュアルをつくり、核兵器の搭載の有無を文書で外務省に問い合わせる、米軍の入港情報は1週間前には議会及び県民・市民に広報するなどを定めています。北海道苫小牧港、実際には苫小牧市になりますが、ここでも四日市港を参考に米軍入港対応マニュアルをつくりました。
私はこの夏、北海道のもう一つの港、小樽港を現地調査しましたが、話を聞いてきて驚きました。小樽港にも毎年のように米軍艦船が入港していますが、小樽港には受け入れ判断の3基準と呼ばれるものがあります。小樽港における米軍艦船への岸壁手配の際の検討項目として、①入出港時及び接岸時の安全性、②商業港としての港湾機能への影響、そして③核兵器搭載の有無、この3項目について検討した上で、港湾管理者である小樽市長が最終判断するという仕組みになっています。
さて、核兵器搭載の有無はどうやって確認しているんですか、と尋ねたところ、小樽港、小樽市は、外務省と在札幌米国総領事館に文書で照会するとのことです。私が思わず、返事は来るんですか、と聞きますと、ちゃんと文書でもらっています、との回答でした。残念ながら担当者からは、信書なので文書の実物を見せてもらうことはできませんでしたが、別途コピーを入手して読むことができました。返書の中身は、名古屋港の議会で私が質問するたびに聞かされる答弁プラスアルファのそういう程度のものですが、外務省北米局日米安全保障条約局長及び在札幌アメリカ総領事からの返事が港湾管理者あてに毎回届けられているんです。
ちなみに、情報公開の面でも、大体入港の1カ月以上前ですが、入港希望があった時点で、議会の各会派、港湾関係団体及び報道機関に情報を公表しているということでした。名古屋港とは余りにも違います。結果は、残念ながら入港を容認するケースがほとんどではありますが、国言いなりではなく独自の判断基準を持っているのは、自治体港湾として当然とはいえ、評価すべきと思います。ところで、毎年のように名古屋港に入港していた米軍艦船は、原発事故の影響でしょうか、今年度は今のところ来ていません。
さて、大村管理者に伺います。
非核の港湾をアピールすることは、アジアや世界の国々との貿易の発展にも私はプラスになると考えます。そこでまず、非核名古屋港を宣言し、入港する艦船にも非核証明の提出を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。少なくとも、アメリカ領事館及び外務省には核搭載の有無を文書で問い合わせ、入港の可否を名古屋港の管理者として自主的に判断することが必要だと思いませんか。せめて、いわゆる24時間ルールに縛られることなく、必要な情報を他港並みに公開することは、すぐに最低限行っていただきたい。いかがでしょうか、答弁を求めます。
寄港の通知があれば、核兵器の搭載はない
【管理者(大村知事)】国は、非核三原則はこれまでどおり堅持。国から寄港の通知があった場合には、核兵器の搭載がないことが既に確認をされている。公開は、米国のプレスリリースに合わせ、名古屋港のホームページにて公開をし、適切な情報公開をしている。
自主的判断もできない情けない姿勢だ(意見)
【山口議員】前任の管理者の方と大分答弁のスタイルは違うと思うんですが、中身は全く一緒だった。がっかりというよりも、私は、はっきり言って情けないと思います。
どういうことかというと、自治体のトップが国にはっきり物を言う姿勢、少なくともきちんとそれを確かめるという姿勢が不可欠だと思います。こんなことができないで中京都構想等と言っていますが、国からの独立云々かんぬん言われても、そういうふうには聞こえない。これはイデオロギーの問題ではなくて、自治体としての判断の自主性の問題を、私は毎回ここの議会では取り上げています。小樽港の例を紹介しましたが、港湾管理者として、自治体として、自分のところが管理する港の安全性を守るという点で、しっかり研究もして検討もしていただくよう、これは強く要望しておきたいというふうに思います。
キーワード:平和と人権、市民生活、山口清明