名港議会 一般質問(2) 輸出自動車の放射能汚染について(2011年11月14日)
輸出用中古自動車の放射能汚染の現状認識を
【山口議員】幸い、大気中と海水からは放射能が検出されなかった名古屋港ですが、今全国一の輸出台数を誇る中古自動車の中から放射能汚染された車の発見が相次いでいます。そこで数点、管理組合としての対応が問われています。
第1に、まず輸出用中古自動車の放射能汚染についての現状認識をお聞かせください。
国から何らの基準等も示されていない
【防災・危機管理担当部長】輸出中古自動車等の放射線対策に関して、国から何らの基準等も示されていない。港湾労使間で中古自動車等における放射能汚染問題に関する暫定確認書を取り交わして対応しています。
確認書は、荷主責任において中古自動車等の量測定を行うこととされ、その結果、毎時5.0マイクロシーベルト以上が検出された場合は、港湾管理者へ連絡、必要な措置をとらせることとされている。この基準を超える中古自動車等が発生した場合に備え、本組合は、関係者間における連絡体制を整備した。本港では、全量測定を開始した8月以降、これまでに基準以上の数値が検出された中古自動車が3件あったたが、いずれもその安全性を文部科学省に確認した上、荷主責任において引き取っていただいた。
測定・検査をしている労働者の健康管理は
【山口議員】放射線の測定・検査の作業をしている労働者の健康管理はどうなっているのか。
危険な事態は直ちに退避、放射線防護服を着用
【防災・危機管理担当部長】港湾労使間の暫定確認書において、危険な事態に陥ったと判断した場合は直ちに退避する、また、危険事態と判断したときは、必要に応じて放射線防護服を着用することとされており、現在これに従って対応している。この問題は、労働者の健康にかかわる重要な問題であり、他の港湾とも連携して対応を検討したい。
汚染された車のフォロー、追跡調査は
【山口議員】チェックされた車は荷主に引き取らせると聞いていますが、その後のフォロー、追跡調査はどうしているのか。あわせて、どこから来たのか、搬入ルートについても解明して抜本的な対策を立てるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
関係省庁にガイドライン作成を要望したい
【防災・危機管理担当部長】国から特段の基準等が示されず、港湾労使間での暫定確認もされていないので、把握することは難しい。六大港湾協議会において、港湾関係者の安全や円滑な港湾運営のため、放射能汚染貨物の取り扱い方法の明確化が必要であるとの考えのもとに、全国統一的な対応方法のガイドラインを作成するよう関係省庁に要望することを検討している。
費用は当然東京電力に請求すべき
【山口議員】検査のための費用は当然東京電力に請求すべきと考えますが、実際にはどうしているのか。
諸費用は荷主負担
【防災・危機管理担当部長】放射線検査における費用負担は港湾労使間での暫定確認書で、放射線検査における諸費用は荷主負担とすると取り決められている。
放射線対策を放置すると名古屋港全体の信頼性の問題になりかねない(再質問)
【山口議員】国から特段の基準が示されていない。そんな中で一生懸命やっていただいていると思いますが、話に出た毎時5マイクロシーベルト以上のケースは3件だったという回答でした。でも、これは本当に氷山の一角です。
お話に出てきた港湾労使の協定では、毎時0.3マイクロシーベルト以上のものは港湾では扱わない、モータープールに入れないと荷主に引き取りを求めているそうです。どれだけ該当しているのか。10月22日からの1週間で44台、10月29日からの1週間で30台です。名古屋港は、中古車輸出のメッカで、総量は確かに月間1万台とも2万台とも言われる車が輸出されています。
何で0.3かというと、輸出先の国の受け入れ基準の問題なんですよ。5マイクロシーベルトの車を受け入れる国がありますか。そんな輸出品は受け取りません。EUでは0.2マイクロシーベルトが一つの目安とされており、台湾も0.2と言っています。ロシアは0.3と言われています。基準を超えた車が来たら返品されるんです。まだ名古屋港は出ていないと思いますけど、日本へ送り返されたケースもあると聞いています。
そこで、この問題は山田専任副管理者に伺います。名古屋港が輸出で外貨を稼ぐ港と言うんだったら、この問題を放置すると名古屋港全体の信頼性の問題になりかねないと考えますが、どうお考えですか。
答弁では搬入ルートの解明も判明後の追跡も行全われていないとのことでしたが、確かに名古屋港だけの対応では限界があります。荷主さん、港から持って帰ってよ。あとは知らないよ、では済まされないんですね。少なくとも港に持ち込ませないよう、もっと強く荷主にも物を言うべきではありませんか。全国に共通する問題として国に働きかけていると、この努力は率直に評価しますが、名古屋港の周辺住民という立場からは、港のモータープールになくなっただけで、あそこの駐車場にあるかもしれない、そういう不安は消えないんです。再度答弁を求めます。
全国港湾を対象とした適切な対応を要請
【専任副管理者】コンテナは国がガイドラインを定め、中古車は労使間で、コンテナのガイドラインの考え方に基づいて全国で統一された対応がとられています。
仮に放射線に汚染された貨物が日本に送り返されたとすれば、やっぱり日本というのは小さな島国で、仮に名古屋港から出ていなくても、名古屋港が安全だという評価にはつながらないので、国の港湾全体として対応していかなきゃいけないと認識しています。
今月1日に六大港湾協議会が名古屋で開催され、各港湾管理者の中で確認され、国に対して全国港湾を対象としたような適切な対応をとるように、強く要請していこうと今現在準備を進めている。
瓦れきは心配しても中古自動車はどんどん県内に搬入されていいのか。しっかり対応を(意見)
【山口議員】輸出製品の放射能汚染については、副官に答えていただいたとおりだと私は思います。日本の港湾全体にかかわる問題です。これは港湾労使間や荷主の問題という形にしないで、ぜひ積極的に対応していただきたい。
これも副市長さん、副知事さんがいらっしゃいますので言っておきますけど、被災地の瓦れきの処理は、放射能の汚染のことがあるので、愛知県は受け入れないよと、東京都以外はどこもなかなか今は受け入れるという状況になってません。瓦れきはあれだけ心配しているのに、この中古自動車を初めとした放射能に汚染されたものはどんどん県内に搬入されてきているというのが現実なんですよ。
ここを港が頑張って臨港敷地内から出すと、あとどうなっているか、だれが責任を持つのか、ここはぜひ市や県でも一緒に考えていただきたい。それで、車の輸出に関しては、やっぱり名古屋港が全国のトップを切って、安全基準もしっかり守らせるし、この問題を解決する。日本の港湾全体の信頼をかち取るためにも、名古屋港がイニシアを発揮したというような、名古屋港の提起が国を動かした、こういう状況になるまで、ぜひ頑張っていただきたい。そうでなければ、名古屋港は新車の輸出は熱心に応援するけど、あとは知らないよ、とそんなことを言われないような対応を求めます。
キーワード:環境と防災、まちづくり、山口清明