11月議会を終えて(声明)
2011年12月7日
日本共産党名古屋市会議員団
◆名古屋市会11月定例会は、市長提出の37議案と、議員提出議案1件を可決し、閉会しました。党市議団は、名古屋市立大学第二期中期目標の制定や議員提出の名古屋市集団回収における古紙持ち去り防止条例制定など34議案には賛成し、継続審議となっていた市民税減税条例や、熱田区のごみ収集の民間委託に係る債務負担行為を含む一般会計補正予算案、あらたに民間営利企業を指定管理者に指定する議案など5議案には反対しました。9月議会から継続審議となっていた市民税10%減税は否決されました。
◆9月議会で継続となった市民税10%減税条例が最大の焦点となりました。河村市長は提案理由説明で、市民税10%減税と災害対策について「『3.11』を経てもなお『変わることのないもの』もある」として “市民の政治的選択”があるので市民税10%減税を実現する必要があり「『災害対策か減税か』ではなく『災害対策も減税も』」と強調、行革のためにも減税を何としても成立させてほしいと述べました。しかし、成立の見込みがなくなると減税日本ナゴヤから①減税率を一律7%とする、②低所得者への対応として個人市民税「均等割のみ納税者」の3,000円を1,000円とする修正案が提出されましたが、協力を求めた公明からも「高額納税者優遇に変わりなし」等と賛同されませんでした。12月7日に山口議員が反対討論に立ち、市民税一律減税は10%でも7%でも、「大企業と金持ち優遇」であり庶民の生活支援が目的の減税にはならず、大多数の市民には恩恵もないばかりか、減税のために敬老パスが改悪されたり、高年大学鯱城学園や女性会館などが廃止されたらたまらないと市民の不安や批判が広がっている。さらに、財源のメドが立たない中で、減税を強行すれば、市民生活を支える施策を削る「公的福祉解体減税」となると指摘し否決を求めました。採決の結果、市民税減税条例は10%減税も7%減税も否決されました。
◆田口一登議員と岡田ゆき子議員が個人質問に立ちました。田口議員は、事業仕分けについて、財政負担の観点が優先され、事業の意義や効果の議論は後景に追いやられ、市民税減税の財源づくりのために事業仕分けの判定結果をお墨付きにして、高年大学や女性会館を廃止する、敬老パスを見直す、こんなことはあってはならないと市長の姿勢を質しました。さらに、市長の提案する減税は、「減税」による税収減をテコに福祉・暮らしの予算を削減し、福祉は地域委員会や民間企業に任せるという「公的福祉解体」減税であることを明らかにしました。また、田口議員は、難聴の人の集団補聴システムである磁気ループを広く設置すること、設置場所を周知徹底することを求めました。岡田議員は、事業仕分けで廃止と判定された野外学習センターについて現地調査をふまえ、豊かな自然の中でクラスそろって寝食を共にする体験は貴重と紹介し、部活動でも剣道部は10数校200名が合同合宿できる、こんな施設は他にないと強調、ホームページでの生徒の声も紹介して存続を強く求めました。また、岡田議員は、敬老パスの効果を生きがいと健康つくり、社会参加、経済効果と環境面、交通事故防止など多面的にとらえて継続するよう求めました。
◆今議会の大きな特徴として、10月に行われた外部評価(事業仕分け)で、「廃止」「見直し」と判定された、福祉、教育、市民サービスの様々な事業に対して、短期間に存続・充実を求める大きな市民運動が起こり、34件もの請願が提出されたことです。高年大学鯱城学園の生徒、OBなど幅広い関係者が立ちあがった運動、「女性会館を守る会」の結成と要請行動など、幅広いとりくみが広がりました。
◆名古屋市集団回収における古紙の持去り防止に関する条例が自民公明民主の議員提出議案として提出されました。山口議員が議案質疑に立ち、この条例を有効なものとするうえで重視すべき問題を指摘しました。
◆名東区でおこったいたましい児童虐待による中学生の死亡事例について、児童相談所が虐待を把握しながら事件を防げなかった問題に関わり、本会議でも質問が行われ、教育子ども委員会で所管事務調査が行われました。この委員会は個人のプライバシーにも立ち入って審議する必要があったため、秘密会として行われました。
◆12月7日の本会議で意見書9件が可決されました。わが党議員団が提案した3本の意見書案のうち「愛知県の福祉医療制度の存続・拡充」「介護職員処遇改善交付金制度の継続」の2本の意見書は成立しました。「環太平洋連携協定(TPP)参加反対」の意見書案は共産党を除く全会派の反対で上程されませんでした。
◆議会改革推進会議の設置が提案され、各会派2名と正副議長で構成されることが理事会で確認されました。12月7日の本会議終了後、議会改革推進会議準備会の初会合が開かれました。日本共産党市議団からは、田口議員と山口議員が委員として参加し、4年に1度の慣例的海外旅行の中止を協議事項とするよう主張しました。今後、議会報告会の実施など、議会改革の検討がすすめられることになります。
◆河村市長の市民税減税は、税率を7%としても否決に追い込まれました。これは、市民税減税条例が、大企業と大金持ちに税金をばらまき、景気浮揚とはならず、意図的に税収減をつくり、福祉や暮らしを削減する「公的福祉解体」減税であるという本質的な矛盾を内在し、いくら「民意」を口実にしても説得力を持ちえないことによる当然の帰結です。名古屋市政は今こそ「住民福祉の増進」という自治体本来の使命へ、市民の福祉やくらしを削減することなく、福祉・防災のまちづくりを最優先に来年度予算編成をおこなう必要があります。日本共産党名古屋市議団は、そのために広範な市民と力を合わせ、市民要求実現へ全力で奮闘する決意です。
以上