後期高齢者議会 議案質疑① 後期高齢者医療に関する条例の一部改正(保険料率の改定)(2012年2月9日)

保険料値上げをやめよ、短期証の無保険者なくせ、後期高齢者医療は直ちに廃止を

保険料値上げで高齢者に重い負担を強いるのか
【田口議員】本件は、平成24年度および25年度の保険料について、均等割額を1,666円引き上げて43,510円に、所得割率を0.7%引き上げて8.55%に改定するものです。保険料は一人あたり平均で年額4,439円、5.86%の値上げとなります。

保険料の改定案(平均年額)*国試算ベース
・一人当たり 75,775円→80,214円
 *均等割額 41,844円→43,510円
 *所得割率  7.85%→ 8.55%

 年金の支給額は減らされる一方で、介護保険料も今年4月から大幅値上げが予定され、高齢者には負担増と給付削減のオンパレードです。たとえば、名古屋市内にお住まいの夫の年金収入250万円、妻は80万円以下の夫婦世帯の場合、介護保険料の値上げ額は、夫婦合計で年間3万3千円程度、これに後期高齢者医療の保険料の値上げ額10,200円を合わせますと、年間4万3千円もの負担増となります。名古屋市では来年度、市民税5%減税が実施される予定ですが、この世帯の減税額は年間1,600円程度にすぎません。減税分の27倍もの負担増が、二つの保険料値上げによってのしかかり、減税の恩恵は木っ端微塵に吹き飛んでしまいます。
 連合長、今回の保険料値上げは、介護保険料の値上げなどと相まって、後期高齢者に耐えがたい負担増を強いるものではありませんか。どのように認識しておられるのか、お答えください。


保険料の増加抑制をした
【連合長】年金支給額の引下げや介護保険料の値上保険料値上げをやめよ、短期証の無保険者なくせ、後期高齢者医療は直ちに廃止をげは影響があるものと存じます。
 今回の保険料率の改定にあたり、可能な限り保険料負担の増加を避けることが必要と強く認識し、剰余金や県財政安定化基金による保険料の増加抑制を図った。
 低所得者を対象とした軽滅制度の適用で、9割軽減の保険料は年間で200円の増、8.5割軽減は年額で300円の増に抑えるので、ご理解賜りたい。
全国での据え置きや引き下げはないのか
【田口議員】以下は事務局長に答弁を求めます。
 まず、2年前の前回の保険料改定では、全国の広域連合の中には、保険料率を据え置いた広域連合があります。中には保険料率を引き下げ広域連合もあります。今回の保険料改定にあたっては、保険料率の据え置きや引き下げを予定している広域連合はありませんか。
被災地の岩手県と福島県が据え置く
【事務局長】新聞報道では、岩手県が被保険者均等割額と所得割率を、福島県は被保険者均等割額を据え置く予定とされている。
国に財政措置の要望を
【田口議員】2点目、前回の保険料改定に際して広域連合は、国にたいして保険料率上昇要因の一つである後期高齢者負担率を、現行のまま維持することなどを要望されました。今回の改定にあたっては、保険料増加を抑制するために、国にたいして財政措置を要望されていませんか。国にたいして、少なくとも後期高齢者負担率の上昇分ぐらいは補助するなどの財政措置を、今からでも要望すべきはありませんか。
国に要望したが新たな手立てはなかった。今後も行う
【事務局長】平成23年6月と11月の2回、全国後期高齢者医療広域連合協議会を通じて、剰余金や県財政安定化基金の活用以外にも保険料負担の抑制措置を講ずる趣旨の要望を行なったが、国からは、後期高齢者負担率の上昇分に対する補填など、新たな抑制措置が示されなかった。
 国に対する財政措置の要望は、今後とも全国後期高齢者医療広域連合協議会を通じ、機会あるごとに行っていく。
県が健診へ補助すれば保険料減額はいくらか
【田口議員】3点目、広域連合は昨年7月、愛知県にたいして健康診査事業にたいする財政支援の要望を行われましたが、今回の保険料改定にあたって、愛知県はこの要望に応えてくれたのでしょうか。そうでなければ、今からでも再度、愛知県にたいして健診事業への補助を要望すべきではありませんか。合わせて、県が健診事業に補助した場合、平成24年度および25年度の保険料額はいくら減額されるのか、お答えください。
約500円の保険料減額になる
【事務局長】県から、全国トップクラスの拠出率を継続して財政安定化基金約94億円を当広域連合に交付され、間接的だが、健康診査事業への財政支援要望にも配慮されたと考える。
 県から健康審査事業に国と同額の補助を受けるとして試算すると、一人当たり約500円が減額される。
値上げは少ないと本気で考えているのか(再質問)
【田口議員】低所得者には軽減措置を講じているからご理解してくださいということでしたが、年金の支給額は減らされるわけですから、低所得者の保険料は据え置くべきだと思います。負担増が大きいのは、私が先に紹介したような軽減措置の対象とならない方です。夫の年金収入250万円、妻は80万円以下の夫婦世帯の場合、夫婦合わせて年間1万円を超す負担増です。これに介護保険料の大幅値上げもかぶさったら、生活は大きく圧迫されるでしょう。
 今回の保険料値上げは、剰余金や財政安定化基金による保険料の増加抑制を図っても、なお、高齢者に重い負担を強いるものだと思いますが、連合長は、負担は軽いとお考えですか。再度、お答えください。
一定の所得のある被保険者には影響がある
【連合長】今回の抑制後の保険料増加率5.86%は、国が示す2つの増加要因による上昇率となっているから、適切な水準だ。今回、国が示す一人当たり保険料の試算方法が変更されたため、前回と同様の決算見込ベースの数値を別に試算したら、前回の4.95%を下回る4.83%となった。
 一定の所得のある被保険者には、保険料増加率を上回る影響があると認識しているが、保険料賦課限度額を改定し、中間所得者の負担軽減を図っている。
医療費がさらに3%増加する根拠は何か(再質問)
【田口議員】財政安定化基金の取り崩しにあたって、約24億円残しています。これは、国が「3%までの医療費の増加には対応できるよう、賦課総額の3%分を残高として残すことが必要」と通知しているからです。
 そこでお尋ねしますが、今回の保険料改定では、平成24・25年度の2年間における医療費の増加は見込まれていますが、その見込みよりも、さらに3%増加するかもしれないという根拠は何ですか。
 前回の保険料改定の際にも、賦課総額の3%分、約20億円を基金に残しましたが、医療費は見込み以上に増加しなかったことから、約20億円の残高は現在、そっくりそのまま残っています。3%という数字は根拠のない数字ではありませんか。
医療費と実績報告値とのかい離率から
【事務局長】国庫負担金における当初申請時の医療費と実績報告値とのかい離率の全国平均値を求め、過去10年間の中で、最もかい離率の高い数値を採用したと聞く。
基金の取り崩しでさらなる引き下げを(再質問)
【田口議員】財政安定化基金をさらに取り崩せば、保険料の値上げをさらに抑制することができます。約24億円の残高をさらに取り崩して、保険料を抑制する考えはありませんか。お答えください。
国の基準で抑制をやった
【事務局長】今回の県財政安定化基金の活用も、国が示す基準に基づき、制度の安定的な運営に必要な財源を確保しながら保険料の増加抑制を行なった。
保険料値上げはやめるべき(意見)
【田口議員】「3%までの医療費増加」というのは、過去10年間のもっとも高い数値とのことですが、これはおそらく老人保健制度の時代の数値でしょう。根拠のある数値とは思えませんので、財政安定化基金をさらに取り崩して、保険料を抑制すべきであります。
 今回の保険料増加率は「適切な水準」という連合長の答弁は、到底納得できません。保険料値上げはやめるべきだということを申し上げて、質問を終わります。

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