後期高齢者議会 議案質疑④ 「平成24年度特別会計予算」(2012年2月9日)

「平成24年度特別会計予算」(自己負担割合の変更・資格証)について

所得変更に伴う医療費の自己負担割合の変更について

所得変更による医療費自己負担の変更件数、及び被保険者への通知は適正か
【田口議員】所得変更にともなう医療費の自己負担割合の変更についてです。
 昨年の秋、ある後期高齢者の夫婦の方から、「医療費の自己負担の差額分があるから支払えという通知と納付書が広域連合から届いた。差額分は夫婦合わせて1年間分で23万円。どうしたらいいのか」という相談がありました。広域連合からの通知を見せてもらったところ、「19年中の所得が変更されたことにより、平成20年8月から21年7月までの1年間、医療費の自己負担割合は3割だったが、1割しか負担してもらっていないので、差額の2割分を支払ってください」というものでした。
 事情を伺いますと、19年中の所得の変更は、いわゆる「消えた年金」が解決して、一時的な年金が入ったことによるものでした。しかし、このご夫婦の保険証は、「1割負担」のまま。医療費負担が3割になったことを知らないまま、ずっと1割分の医療費を払い続けてこられたのです。ところが2年以上も経って、実は3割負担だったから差額分を支払えといわれれば、だれでも驚きます。
 このご夫婦は、23万円もの差額分を一括して支払うことができなかったため、分割納付を広域連合にお願いされましたが、どうして自己負担割合が変更になったことを、その時点で知らせてくれなかったのか、納得がいかないようでした。

さかのぼって変更になったケースは何件か
【田口議員】そこで、事務局長にお尋ねします。
 私が紹介した事例のように、一時的な収入に伴う所得変更によって、医療費の自己負担が1割から3割にさかのぼって変更になったケースというのは、平成23年度分で何件ありましたか。
平成23年4月から12月までに381件
【事務局長】所得変更によって医療費の自己負担割合が1割から3割にさかのぼって変更になった事案は、平成23年4月から12月までにおいて、381件でした。

3割に変更になる場合の対応は
【田口議員】医療費の自己負担が1年に限って1割から3割に変更になる場合には、どのように対応されていますか。被保険者に自己負担割合の変更を伝えるべきではありませんか。
さかのぼっての変更では再交付せず、請求書を送る
【事務局長】保険証は、適正に差し替えるが、保険証の有効期間が8月から翌年の7月なので、8月より前にさかのぼって変更になった場合は、改めて交付しない。
 変更された期間に受診した医療費は、医療機関に確認し、差額の2割分を経緯を説明した文書を同封し、請求している。医療費が高額な場合には、相談で分割納付も行っている。

「消えた年金」に係る所得変更の医療費自己負担への連動をやめさせよ
【田口議員】そもそも、「消えた年金」が解決し、一時的に年金が入ったからといって、医療費の自己負担割合が1割から3割に変更になること自体が、私はおかしいと思うのです。「消えた年金」の責任は国にあります。後期高齢者医療の被保険者など国民には何らの責任もありません。「消えた年金」の解決にともなう臨時的な所得が、医療費の自己負担割合に連動しないよう国に改善を要望すべきではありませんか。お答えください。
国に要望したが、更生と同じにといわれた
【事務局長】年金受給額の変更に伴う影響は国の責任であり、広域連合としては、平成22年6月と11月の2回、全国後期高齢者医療広域協議会を通じて国に対し、「年金記録の訂正に伴う年金受給額増額者への影響について、国の責任において国民への説明・周知等の対応を行うこと」と要望したが、いずれも所得の修正申告による賦課更生と同様に対応を行うよう回答があった。

医療費の請求より自己負担割合の変更を知らせることが親切な対応だ(再質問)
【田口議員】私が紹介した事例のように、医療費の自己負担割合が1割から3割に変更になっても、保険証の有効期間との絡みで保険証が差し替えられず、本人が3割負担になったことを知らないまま医療機関にかかり続けている場合への対応が問題だと思うのです。
 この方の場合、1割から3割に変更された期間は、平成20年8月から21年7月までの1年限りです。しかし、保険証が差し替えられなかったので、この期間中も1割負担の保険証だった。ところが、2年以上も経った平成23年の10月、突然、広域連合から、あなたの医療費負担は実は3割でした、差額分があるから支払いなさいといって、納付書まで一緒に送り付けられる。こんな通知と納付書を同時に受け取った方の心情を考えてみてください。びっくり仰天、憤まんやるかたないと思いますよ。
 そこで、事務局長にお尋ねします。医療費の自己負担が1年に限って1割から3割に変更になり、しかもその期間の保険証の差し替えができなかった場合、できるだけ速やかに自己負担割合の変更のみを先に通知する。差額分の請求はその後でいいですから、まずは自己負担割合が変更したことを知らせるというのが、親切な対応ではないでしょうか。
今後、市町村と協議をしながら検討したい
【事務局長】所得の更正で負担割合が遡って変更になる場合は、保険証の差し替えを行う際に、後日医療費の差額分が請求される旨の説明をしている。
 過去の負担割合のみが変更となる場合には、医療費の差額請求で負担割合が変更になったことを知らせている。
 ご指摘につきましては、今後、お知らせの時期や方法について、市町村と協議をしながら検討したい。

短期保険証の交付について

短期保険証の交付率び未渡し状況は

【田口議員】事務局長にお尋ねしますが、短期保険証の交付件数、短期保険証が期限切れになっても更新されず、保険証が未渡しとなっている被保険者の人数、および保険証の未渡しの多い自治体ベスト3を、件数も合わせて示していただきたい。

短期保険証は23年12月末現在で705件
【事務局長】短期保険証の交付件数は平成23年12月末現在で705件です。短期保険証を渡せない件数は100名です。短期保険証の未渡しの多い市町村は、名古屋市が65名,小牧市が17名、安城市が8名です。

短期保険証の交付率び未渡し状況は
【田口議員】私は、短期保険証の未渡し問題、保険証が手元にないという事実上の無保険状態の解消について、毎回の定例会で質してまいりました。
前回の定例会では、事務局長が、「きめ細かな取り組みが十分できない市区町村を訪問し、今後の方針について個別に対応することも必要」であると答弁されました。保険証の未渡しが多いのは名古屋市です。名古屋市に伺ったところ、保険証が未渡しになっている件数が、昨年12月末現在で55件あるとのことでした。
広域連合は、名古屋市や保険証の未渡し件数が多い区役所を訪問し、今後の方針について個別に対応を協議されたのですか。どのように対応することになったのですか。

市町村へ個別に訪問し、短期保険証の活用と未更新者への対応をお願いした
【事務局長】短期保険証の交付件数の多い市町町、および未更新となっている件数の多い市町村へ個別に訪問し、短期保険証の活用と未更新者への対応をお願いした。名古屋市は市役所および未更新件数が多い緑区と天白区に訪問した。
 名古屋市の状況は、電話などで接触が図れているが、来庁されず未更新となっているので、くりかえし納付折衝するようお願いした。
 広域連合から市町村に直接出向くことで更新業務に対する意識の向上を図る効果がある。今後も未更新の件数の多い市町村には訪問調査を実施し、未更新解消にむけて粘り強く取り組むようお願いする。
相談ができるだけの職員体制がない(再質問)
【田口議員】未渡しが多い名古屋市役所と緑区・天白区の区役所を訪問し、対応を協議されたとのことですが、その中で現場の担当者から、きめ細かな納付相談ができるだけの職員体制がないという声は聞かれませんでしたか。
限られた人員によって最大限取り組んでいる
【事務局長】業務量が多く大変であるという状況は区役所担当者から伝わるが、限られた人員によって最大限取り組んでいると認識している。
 名古屋市役所の担当課も、通知書の引き抜き・発送業務や電話催告業務を集約して委託するなど区役所の事務負担軽減の努力をしながら短期保険証更新などの事務指導を行っていると聞いている。
 引き続き各市町村の取り組み状況の調査を実施し、参考となる取り組みの情報提供を行うなど、保険証の更新にむけて取り組みの強化をお願いしていく。
原則として交付しない立場に立つべき(意見)
【田口議員】業務量が多く大変だと区役所の担当者から伝わっているとお答えになりました。私が、以前、区役所の担当者に聞いたときにも、「職員は国保の業務と兼務のため、個別の訪問ができない」とこぼしていました。
だからといって、保険証が手元にない被保険者を放置していてよいはずがありません。被保険者のみなさんに安心して医療を受けていただくためには、すべての方に保険証を渡すというのは当たり前のことです。そもそも短期保険証を発行せず、正規の保険証を年に一度届ければ、保険証の未渡しという事態は生じません。ですから、資格証明書はもちろんですが、短期保険証も原則として交付しないという立場に立つべきであるということを申し上げて、質問を終わります。

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