3月7日 山口議員が自公民の「がん条例」に質疑

3月7日の本会議で、がん対策推進条例が、自民・公明・民主の3会派で共同提案され、民主党が提案説明し、山口清明議員が質疑を行いました。質問の概要を紹介します。

がん対策は患者などの声をきいて、生活や治療を支える仕組みを

 がん対策を推進することは当然です。国のがん対策基本法の制定を踏まえて、いくつかの自治体で、がん対策を推進する条例が生まれています。
「がん撲滅」が目的にふさわしい言葉か
 条例では「がん撲滅」「がんに打ち勝つ」(前文)、「がんの克服」(第1条目的)というといった言葉が使われています。「がん」は克服・撲滅する対象という側面もありますが、現実は、多くの患者・市民がつきあっていかざるをえない病気です。
 愛媛県の条例は「温かみのある適切ながん対策を推進することにより、がんになってもお互いに支え合い、安心して暮らしていける地域社会を実現」、岡山市の条例は「市民ががん患者となってもお互いに支え合い、安心して暮らすことのできる地域社会の実現」をうたっています。どちらの条例も、目的の一つに「適切ながん医療をすべての県民・市民が受けられるようにする」と明記しています。山口議員は「当事者であるがん患者・患者会やサポート団体が、深く条例づくりに関わり、つくられた成果」と紹介しました。
がんばっているがん患者を支え、すべての市民に適切ながん医療の提供を
 山口議員は「がんに罹患している方も大勢いらっしゃるなかで制定する条例です。がんに罹患しながら精一杯生きている市民を支えること、すべての市民に適切ながん医療を提供すること、この二つも条例の目的に加える必要があるのではないか」と指摘しました。
介護保険を利用できる仕組みを
 患者の療養環境を支える課題について、在宅療養の充実には介護保険の活用が大きな課題です。働き盛りの年代、40歳から65歳までのがん患者も介護保険を利用できるのですが、利用するには「もう助からない末期である」との医師の診断が必要です。
 山口議員は「これは酷な仕組みです。申請をためらい、介護保険を利用できない患者が少なくない」ことを明らかにしました。
医療費負担への支援を
 がん患者等の支援で負担の軽減として相談体制の充実だけが例示されていますが、医療現場の声を聞けば、最大の負担はやはり経済的負担です。東京都日の出町は「がん医療費の助成に関する条例」をつくり、患者の医療費自己負担分を助成しています。山口議員は「どんな負担を想定し、どんな支援を考えているのか」と追及しました。服部議員は「経済的支援を除外はしないが検討が必要」と答えました。
日常的な当事者参加の推進組織を
 推進体制と当事者参加について、他自治体の条例では、がん対策推進委員会などを組織し、施策の進行状況をチェックし、知事や市長に対し必要な意見を述べることができ、その構成メンバーには患者会、患者支援団体などを加えるとしている例が少なくありません。
 こうした体制がないと、条例が活きたものにならないとの危惧があります。山口議員は「なぜ4年後の検討だけで、日常的な推進組織を設けないのか」とただしました。服部議員は「患者支援団からも声があったが市長の付属機関になるので考慮した」と答えました。
緩和ケア病棟がある守山市民病院の廃止に反する条例になる
 山口議員は「名古屋市は、緩和ケア病棟がある守山市民病院の廃止条例を提案している。緩和ケアの充実をうたった条例案の精神と名古屋市の方針は180度ちがうのではないか」と指摘。この条例を市民参加でより良いものにするために、「当事者であるがん患者の方や患者会・サポート団体の方々を交えた公聴会を開くことや、がん医療や緩和ケアの専門医を参考人として招くこと」などを提案しました。

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