2012年2月定例会

岡田ゆき子議員の議案質疑① 志段味図書館の民営化はやめよ(2012年2月24日)

 「議決したら民営化を地域に説明」は住民無視の姿勢。志段味図書館の指定管理制度導入はやめなさい

志段味図書館1館を対象にした理由は
【岡田議員】名古屋市図書館条例の一部改正について、教育長にお尋ねします。
 この条例案は、名古屋市立鶴舞中央図書館をはじめ14の分館と6支所分館うち、志段味図書館に、指定管理者制度を導入するというものです。
昨年の、教育子ども委員会の所管事務調査で出された提案は、支所管内の図書館のうち、3館に指定管理者制度を導入し、次に残りの3館に拡大していくというものでした。指定管理者制度の計画が明らかになって以降、市民からは「民間に運営を任せないでほしい」「数年ごとに事業所が変われば、今まで相談に乗ってもらっていたことが、続けてもらえなくなる」「地域のことをよく知っている職員がいなくなるのは困る」「児童サービスの低下が心配」、こういった不安や怒りの声があちこちから上がりました。教育委員会にも、「直営を守ってほしい」という市民からの要望がたくさん出されたと思います。その後、条例案の提出は反故となりました。
 しかし、今回、志段味図書館だけに指定管理者制度を導入するという内容で、条例案が出されています。
 そこで教育長に改めてお聞きしますが、なぜ支所図書館が対象なのか、そしてなぜそれが志段味図書館の一館だけなのか、明確にお答えください。
小規模の図書館であり、民間事業者のサービス向上が反映されやすいから(教育長)
【教育長】市政アンケ一トは、現行のサービスや運営の改善を求める声が多数あり、図書館協議会では「指定管理者制度を試行的に導入してはどうか」との意見も多くあった。それで、市民サービスの向上と運営の効率化を図るため、志段味図書館へ指定管理者制度を試行的に導入することにした。
 志段味図書館は、歳書数や施設が比較的小規模の支所管内図書館であり、民間事業者のサービス向上が反映されやすく、貸出点数等の利用規模や施設の設直時期が標準的であることから選んだ。
区民への意見聴取をしたのか
【岡田議員】昨年5月の教育子ども委員会の委員からも、名古屋市図書館協議会委員からも、指定管理者制度導入に関して、広く市民の意見を聴く機会を設けるようにと指摘がありました。そこで、教育委員会は昨年10月に、市民経済局を通じて無作為抽出による市民アンケートを行いましたが、返信のあった回答者のうち図書館をほとんど利用していないと答えた方は61.9%にものぼります。これでは、図書館を利用する当事者市民の声を聞くものになっていないと指摘されても仕方がありません。
 そこで、教育長にお聞きします。この条例案を提案する前に、志段味図書館の指定管理者導入について、守山区民を対象にした説明会等を開くなどして、意見を聞いたのですか。
市民アンケートを行った(教育長)
【教育長】無作為抽出で2千人の市民を対象とした市政アンケートを実施するなど、市良の意見の把握に努めた。
文部科学大臣の発言等をどう認識しているのか
【岡田議員】図書館法には、「図書館は、図書館奉仕のため、土地の事情及び一般公衆の希望に沿い、更に学校教育を援助し、及び家庭教育の向上に資する」事を目的とし、「公立図書館は、入館料その他、図書館資料の利用に対する、いかなる対価をも徴収してはならない」としています。これは、憲法の定める国民の学ぶ権利、知る権利を保障するための、「原則無料」に立った、公共性の高い分野だということです。 市民が集う図書館は、長年にわたる地域住民の切実な要望から誕生した経過をもつ施設で、市民がどこに住んでいても、平等に学ぶ権利を保障する役割を持つ、市民の財産となっています。
 そして何より、図書館運営は、それ自体からは1円の売り上げも出ません。指定管理者は、奉仕と原則無料を貫くなら、利益を出すためには人件費を削る以外ありません。短時間の低賃金で、社会保険や雇用保険を事業所が負担しなくてもいい安い労働者を数投入することになるのではないですか。
 国会の議論はどうか。2008年6月の参議院文教科学委員会では「短期的な職員の入れ替わりによる弊害が生じている」こういう議論をして、渡海(とかい)文部科学大臣も、“公立図書館への指定管理者制度の導入は長期的視野に立った運営が難しくなり、図書館になじまないと答弁しています。
 指定管理者制度が導入された当時は、住民のサービス向上と経費削減を同時に実現させるような幻想を抱かせ、全国に広がりましたが、今、全国の中でもいったん指定管理者制度を導入した後、再び自治体直営に戻す図書館も増えてきています。
 教育長にお聞きします。国会の議論でも指定管理者は図書館になじまないと指摘があること、今、全国には直営に戻す自治体もあるということについて、どう認識していますか。
懸念に適切な配慮を求める主旨とみた(教育長)
【教育長】文部科学大臣の発言は、図書館への指定管理者制度の導入にあたっては、長期的な視野に立った運営が難しくなるなどの懸念に対して、適切な配慮を求める主旨であったと受け止めている。懸念を払拭するよう、市立図書館としての継続性の確保などに十分に配慮するなど、適切に対応する。
 他の自治体では、直営に戻った自治体が一部にあることも承知しているが、図書館に指定管理者制度を導入する自治体は徐々に増えている状況です。
まず地元説明会を開いて、意見を聞くべき(再質問)
【岡田議員】指定管理者制度が、ほんとによいものであれば、当初のように「3館でスタート」ということも考えられたと思うのですが、あくまでも試行的に1館から始めると決めるわけですから、教育委員会としても、指定管理者制度の導入を手放しで進めるというわけにいかないと、これが結論だと思います。
 再度教育長に質問いたします。今まで慣れ親しんできた職員がごっそりと入れ替わって、一番影響されるのは、志段味地域の実際図書館を利用される方々です。一般市民アンケートではなく、当事者である利用者の方々、地元で関わってきたボランティアグループのみなさんにこそ、まずは地元説明会を開いて、意見をお聞きするべきではないですか。お答えください。

決まったら聞く(教育長)
【教育長】条例を認めていただいたら、地域に指定管理者の運営について、事前に説明をおこないたい。
決まったことを話すのは、意見を聞くことではない(意見)
【岡田議員】地元説明会は、条例を出す前にする必要があるのです。決まったことを話すのでは、意見を聞くことになりません。先に条例を通すやり方は認められません。
 指定管理者制度を導入している自治体でも、さまざまな問題が出てきています。わが党は、指定管理者制度は、コストを削減がその目的にあり、行きつく先は、低賃金の非正規労働者を生み出し、しいては住民サービス低下つながるものだと指摘し、志段味図書館への指定管理者制度を導入するべきでないと申し上げておきます。この問題については引き続き委員会で審議していきたいと思います。

キーワード: