2012年2月定例会

田口一登議員の自公民提出議案への反対討論 議会と市長が一体で仕分けするのか(2012年3月7日)

 

市民・利用者無視の「事業仕分け」を市長・議会が一緒になって市民サービス切り捨てることになる 

市長が再議・提訴していた、金持ち優遇減税の財源づくりの条例だった
 私は、日本共産党名古屋市会議員団を代表して、公開事業審査の実施に関する条例の一部改正について、反対の立場から討論を行います。
 この「いわゆる事業仕分け条例」が、一昨年の6月定例会で議決された際に、わが党は、事業仕分けという仕組みが、大企業・金持ち優遇減税の財源づくりのために、市民サービスの削減にお墨付きを与えるものになりかねないとして、反対しました。
敬老パスや高年大学鯱城学園などが標的に
 昨年、河村市長のもとで実施された事業仕分けは、私たちの懸念が現実のものとなりました。仕分けの対象となった事業の多くは、敬老パスや高年大学鯱城学園、小学校1・2年の30人学級、女性会館、そして子育て支援手当など、市民の福祉や暮らしを支える事業でした。今回の事業仕分けは、市民生活にとってかけがえのない事業までやり玉にあげ、利用者・受益者の意見が反映される機会がまったくないまま、財政負担の観点を優先する仕分け議論が行われ、「廃止」「見直し」「継続」という3区分で機械的に判定を下す、という粗雑なやり方だったと言わなければなりません。
利用者の声も聞かない粗雑なやり方
 「廃止」あるいは「見直し」という判定結果にたいして、市民のみなさんから「異議あり」の声が上がっている事業が少なくありません。しかし、その判定結果は、来年度以降の予算に反映されようとしており、事業仕分けは、まさに市民サービスの削減にお墨付きを与えるものになろうとしているのであります。
今の議会では一層サービス後退になりかねない
 公開事業審査実施条例には、事業仕分けへの議会の関与が盛り込まれています。これは、市長の独断に一定の歯止めをかけるものとはなるでしょうが、議会の大勢は、「行財政改革」といえば民営化・民間委託、受益者負担という流れであり、市長と方向性を同じくするもとで、本条例にもとづいて実施される新たな事業仕分けが、市民サービス削減の引き金にならないという保障はないのであります。
市長と議会が手を取り合って、ムダを削ると称して市民サービスを削る道を歩む
 今回の改正は、こうした事業仕分けの問題点を払しょくするどころか、市長と議会が手を取り合って、ムダを削ると称して市民サービスを削る道を歩むことになるのではないかと、強く危惧するものであります。
 以上の理由から、本件には反対であるということを申し上げて、討論を終わります。

参考:公開事業審査に関する条例(仕分け条例)の流れ
・2010年6月議会 自民の提案、民主・公明の修正、日本共産党の反対で可決
・2010年9月議会 河村市長が再議にかけましたが、再可決。
・2010年10月 愛知県知事に審査申し立て
・2011年1月 愛知県の自治紛争処理委員が却下
・2011年3月 市長が議会を名古屋地裁に提訴
・2012年1月 地裁は市長の請求を棄却
・2012年2月 市長が控訴
*その後、市長が議会(自・公・民)との協議を行い、控訴を取り下げて可決された条例を認めるというので、議会も市長に妥協した形で条例の改正案を出したものです。

 

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