名港議会 一般質問③防災対策(2012年3月26日)

現時点の想定地震及び名古屋港における津波高は
【山口議員】地震・津波の発生に対する備えについては、毎回のようにこの議会で質問してきました。高潮防波堤や防潮壁の機能強化や水門の運用などについては、それなりに対策が進められていると思います。また国土交通省中部地方整備局などとの対策検討会議がいくつも立ち上がりました。会議の数が多くてかえって混乱しそうなくらいです。
 今日は三点うかがいます。
 第一に、現時点での災害想定です。様々な会議で、様々なシミュレーションが紹介されていますが、結局のところ、よくわからない。現時点での想定地震と名古屋港における津波高について、わかりやすく説明してください。
国土交通省が行っているものが最新の知見
(5連動型でマグニチュード8.9、船見ふ頭でN.P.+4.7m。岸壁をこえるが防潮壁は越えない)
【防災・危機管理担当部長】現時点において最新の知見に基づき公表されているシミュレーションは、国土交通省が行っているもののみです。これは、津波に対する港湾の防災対策の検討や災害に強い物流体系を早期に構築するため、東海・東南海・南海・日向灘・海溝軸のいわゆる5連動型でマグニチュード8.9を想定地震として津波シミュレーションを実施し、名古屋港における津波高は、飛島ふ頭コンテナターミナルではN.P.+3.6m、鍋田ふ頭コンテナターミナルではN.P.+3.7mであり、津波高が岸壁天端高を上回っておりません。船見ふ頭においては、N.P.+4.7mとなり、津波高が岸壁天端高を上回るものの、防潮壁を越えない。地殻変動に伴う沈下量は考慮しているが、液状化による沈下量は考慮していない。
 これは暫定的なものであり、今後、中央防災会議の検討結果の公表を受け、見直される予定で、国や愛知県の動向に注視しながら、防災対策の検討を進めていく。
防災避難ビルの計画について
【山口議員】第二に、津波避難ビルです。臨港地区内にこそ津波避難施設が必要だと何度か質問してきました。臨港地区内の津波避難ビルは、どこにいくつあるのか。
 避難ビルに必要な高さと強さを備えた建物はどこにいくつあり、指定を受けていないはどういう理由なのか。該当する建物がない地域には港湾管理者の責任で必要な避難施設をつくるべきと考えますが、その計画はあるのか、うかがいます。
名古屋市で4箇所、弥富市で1箇所が指定。避難タワーの建設も検討
【防災・危機管理担当部長】臨港地区内での津波避難ビル指定は各市村が行い、現在、名古屋市で4箇所、弥富市で1箇所が指定されている。現在、各市村では、避難ビルに必要な高さ、構造などの選定基準を設定し、該当する建物に対して調整を進めている。飛鳥村は津波避難ビルの候補を選定・調整し、避難タワーの建設も検討。弥富市は、他に基準を満たす建物がないため臨港地区に隣接する区域に津波避難ビルを指定。名古屋市はガーデンふ頭以外には指定建物がないため倉庫などの指定に向けた検討をすすめていく。東海市、知多市は石油コンビナート等防災計画において避難対策がまとめられている。
 今年度実施した名古屋港防災対策調査で、名古屋港内の企業に対して避難に関するアンケートを実施し、避難体制・避難施設の状況を把握した。今後は、この検証結果を用いて、市村と連携しながら、津波避難ビルも含めた避難施設のあり方について検討を進めていく。
 港湾地域の特徴を踏まえた防災訓練及び避難訓練の実施を
【山口議員】第三に、防災訓練です。とくに必要なのは、コンテナトレーラーのドライバーのみなさんと一緒に行う訓練だと思います。ターミナルの内外で列をなすトレーラーから運転手が離れて、どこへどう避難するのか。運転手不在の大型車が多数放置された道路を緊急輸送道路として使用できるのか、課題は山積しています。個々の企業や役所では必要な訓練をしているとは思いますが、多数の労働者が車で出入りしている港湾地域の特徴を踏まえた防災訓練・避難訓練を行うべきだと考えますがいかがでしょうか。
 各市村、トラック協会や港湾関係事業者などと連携しながら検討
【防災・危機管理担当部長】コンテナトレーラーのドライバーに対する具体的な避難方法は、各市村、トラック協会や港湾関係事業者などと連携しながら検討したい。
 防災訓練・避難訓練の実施は、避難対策を取りまとめる中で、国、県、各市村、民間企業と調整を図りながら、検討したい。
どのような訓練が必要か(再質問)
【山口議員】防災訓練・避難訓練についてですが、コンテナを大量に扱う港湾として現実的な被害想定をした訓練が必要です。物流拠点としての港湾を考えた時、ドライバーがトレーラーを離れて避難する訓練、その放置されたトレーラーをどうするか、のシミュレーションは不可欠です。現場の港湾労働者が実際に避難してみる訓練が必要です。
 管理組合だけで実施できないことは百も承知ですが、指摘したような訓練が必要だとの認識はありますか。具体的に、今年の9月1日の防災の日や、11月5日の津波の日に向けては管理組合としては、どんな訓練が必要と考えていますか。再度、答弁を求めます。
ドライバーに防災情報を伝達、緊急輸送道路を確保すること等の基本的ルールの訓練
【防災・危機管埋部長】訓練は大変重要なことで、訓練内容としては、ドライバーに防災情報を伝達する訓練や、避難時において緊急輸送道路を確保すること等の基本的ルールに従った避難ができるようにする訓練が考えられるが、こうした訓練は、港湾関係者が一体となって対応する必要があり、中部地方整備局、中部運輸局及びトラック協会など関係者と調整を図りながら検討したい。
実践的な訓練を繰り返し行ってこそ効果が発揮できる(意見)
【山口議員】防災について、ハード面の整備は科学的な知見に基づき、しっかりと計画的に進めてください。一方、現場の避難誘導は、机上のシミュレーションではダメです。実践的な訓練を繰り返し行ってこそ効果が発揮できます。ハードとソフトのちがいをよく踏まえて防災対策をすすめることを要望します。

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