2012年6月定例会

岡田ゆき子議員の議案外質問③ リニア中央新幹線について(2012年6月25日)

環境以外のもこんなに多くの課題がある「リニア」前提のまちづくりでいのか
【岡田議員】昨年5月27日、国土交通大臣はリニア中央新幹線の建設指示を出しました。2027年に東京―名古屋間、2045年に東京―大阪間の開業を目指し、総建設費9兆円余は、JR東海が全額負担するというものです。震災復興並みの建設費用を要する、巨大なプロジェクトが、まともな国民的議論もなく進められるのは問題です。環境問題については既に指摘されている通りで、今回私は、さらに5つの問題点を指摘したいと思います。
 1つは、巨額の建設費を投じて、さらに高速で都市を結ぶ輸送方法に、多くの人が必要性を感じているとは思えません。東日本大震災後に国が行ったパブリックコメントでも、必要ないという意見がほとんどでした。
 2つめ。国民への多大な負担が生じる危険性です。今までの大型開発を見れば、事業費が当初計画の何倍にも膨れ上がったという事例はいくつもあります。事業費が9兆円で済む保証はありません。鉄道は公共交通ですから、「事業に失敗したから倒産」とは、させられないため、公的資金が投入される恐れがあります。東海道新幹線のこの20年間の座席利用率も5割から6割程度で、少子化が叫ばれる中、過大な需要見込みによる国民への負担が懸念されます。
 3つめ。リニア以前に東海道新幹線の地震・津波対策を優先すべきではありませんか。開業までの15年間に、地震が起こらない保障はありません。リニア整備のため、東海道新幹線の耐震対策が遅れるのでは本末転倒です。資金があるなら、東日本大震災で打撃を受けた鉄道網の復旧など、鉄道会社の社会的貢献として、まずそちらを優先に支援すべきです。
 4つめ。従来型新幹線の3倍以上もの電気を消費すると言われるエネルギーの問題があります。河村市長も脱原発と言われました。自然エネルギーへの転換、低エネルギー社会へと、動き出そうとしている今、国民がこんなエネルギー浪費型の交通を望んでいるのでしょうか。
 5つ目。安全性に大きな疑問があります。行程の8割がトンネルで、大深度地下を走行し、活断層と交差するルートそのものの危険性です。運転手が不在の遠隔操作で、緊急時の避難誘導が十分にできるのか。また強力な電磁波が人体に与える影響は明らかになっていません。
 申し上げた通り、リニア計画自体にこれだけ不確実な要素があります。これらの解決なしに、新たに市民の税金を投入することは問題があると考えます。
 そこで、市長にお訊ねします。JR東海の計画通りにリニア新幹線ができることを前提に、名古屋のまちづくりを進めるおつもりですか、見解をお聞かせ下さい。

名古屋のまちづくりに生かしていこう(市長)
【市長】ご指摘の話も昔はありましたけど、この機をとらえて、大量の乗り換えが発生したりすることもあり、名古屋のまちづくりに生かしていこうということ。イノベーションというのは非常に重要なんで、電気を使うことは事実なんですが、新しい技術に積極果敢に設備投資、自分たちの金でやるというこの挑戦もなかなか尊いものなんですよ、JRのやっとるのは。

調査結果を市民に明らかにし、市民的議論を
【岡田議員】JR東海が全額建設費を負担するからといって、情報提供や市民的議論が十分されないままに巨大プロジェクトが動くこと自体、大きな問題です。昨年行った、「リニア中央新幹線開業に向けた都市機能検討調査」を、市は、今もって市民に公表していません。
 そこで、この調査結果を市民の前に明らかにし、リニアについても市民的議論が必要と考えますが、市長のご見解はいかがですか。

どこに駅ができるとか、データを公開して議論を進める段階ではない(市長)
【市長】市民の声を聴かないかんというのは、確かにそうで、こないだ、まあそろそろどうだ、といっとるんだが、まだどこに駅ができるとか、いろいろややこしい話もあり、まだちょっと皆さんにデータを公開して議論を進める段階ではない、と当局は申しております。

リニアありき・推進一辺倒でなく、問題を市民の前に明らかにし、計画の是非も含めて、市民的議論を(意見)
【岡田議員】リニア新幹線について。リニアありきで推進一辺倒の答弁でした。
 市長の答弁では、これまで述べてきた問題点や市民の不安・疑問には答えられません。「リニアが来てバラ色」の名古屋のイメージしか知らせてきていないのではないですか。
 計画の詳細も公表されておらず、名古屋駅地下に駅をつくることすらもJR東海は明言していないわけです。計画がほとんど知らされていないから、調査結果も公表できないのだと考えます。経済効果も評価は様々なのです。市長もストロー現象が心配だと言っていたのではないですか?今だからこそ、リニアそのものについて市民的議論が必要です。
 わが党は、この問題を市民の前に明らかにし、計画の是非も含めて、市民的議論をしていくことを求め、質問を終わります。

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