2012年9月定例会

山口清明議員の議案外質問① ディサービスの災害時対応(2012年9月18日)

高齢者ディサービスの災害時対応に指針を

 

行政として一定の指針を示す必要がある
【山口議員】東日本大震災から一年半、そして伊勢湾台風から53年目の秋です。数々の災害で犠牲となった方々に対し、あらためて哀悼の意を表したいと思います。今日はまず、ディサービスの災害時の対応についてうかがいます。
 高齢者を対象にした通所系介護サービス、いわゆるディサービスは、いま市内に500を超える事業所となり、一日平均約6300人が通う地域福祉と在宅介護を支える大きな存在となっています。
 地震や台風が起きた時、ディサービスはどんな対応をとるのか。
 昨年、百万人の避難勧告が出され、市内にも大きな被害をもたらした台風15号のとき、ディサービスではサービス提供を自粛すべきかどうか、利用者に帰宅をすすめるべきかどうか、その対応に少なくない混乱が生じていました。
 保育園には、朝6時の時点で暴風警報が出た時は登園を見合わせとするなど、市から方針が示されます。障害者の通所施設にも市から、公立施設の取り扱いが参考として示されました。
 ところが高齢者を預かるディサービスの対応はすべて、各事業所の判断に任されていました。市からは「利用者の帰宅等をふくめた安全確保策について検討」してくださいと伝えられただけです。サービス提供中に避難勧告や避難指示が出された場合の対応もすべて事業者まかせです。
 一方で、ディサービスの急な中止で、食事がとれなくなった独居高齢者に、暴風雨のなかを一軒一軒、職員が食事を届けた事業所もありました。利用者の食の確保など、こうした対応もみんな事業所まかせです。
 介護の制度が措置から契約へ変えられ、市が指導すべきものではないということなのでしょうか。高齢者の安全をどう確保するか、市にも責任があると思います。 
 また施設への報酬体系が月額制から日額制に変わり、悪天候で休止すればその日の分だけ収入が減る仕組みになっています。このことから、とにかく営業する、と無理な稼働を招くことも懸念されます。
 台風など災害発生時に、ディサービスの対応はどうするのか、行政として一定の指針を示す必要があると考えます。健康福祉局長の答弁を求めます。

情報提供と実地指導で事業所が災害時に適切に対応できるよう支援
【健康福祉局長】災害の発生が予測される場合のディサービスの対応は、何より利用者の安全の確保が重要。暴風雨や洪水の危険性は、それぞれの事業所や利用者宅の立地条件などが違い、利用者を自宅に帰す方がかえって危険な場合も想定され、迎えが困難な場合や、自宅に家族がいないなどのケースも多く、昨年9月の集中豪雨の時も、利用者を宿泊させるなどの対応を取ったディサービスがある。
 ディサービス事業所は、現在553事業所が開設され、立地状況は様々なので、行政が一律に事業の中止を含めた対応を指示するのではなく、利用者の状況や施設周辺の状況を総合的に考慮して、ディサービス事業者が利用者個々に判断をする方がより適切な対応が可能です。
 事業者講習会の場などを通じ情報提供するとともに、実地指導を行う中でディサービスも含めたそれぞれの事業所が災害時に適切に対応できるよう支援していきたい。

高齢者ディサービスの災害時対応に指針を名古屋市が積極的なイ二シアチブをとって一定の指針を(要望)
【山口議員】行政が一律に事業の中止を含めた対応を指示するのではなく、と言われました。誰も一律の指示は求めていない。行政として一定の指針を示す必要があるのではないか、と聞いたのです。
 それぞれが適切に対応できるように支援していきたい、ということですが、その際にも何らかの指針はいるでしょう。個々の事業所の優れた経験や困った経験を、各事業所同士だけでなく名古屋市も含めて、しっかりと共有する。
 その中から事業所も利用者も納得できる一定の指針をつくりあげ、事業所の災害対応能力の向上をはかっていただきたい。
 答弁にあるように、ディサービス事業者が、利用者個々にとって最適な判断をし、必要な対応ができるようになるのが一番の理想です。そのためにも事業所まかせではダメです。名古屋市が積極的なイ二シアチブをとっていただきたい。
ちょうど台風シーズンです。昨年の教訓を市内すべてのディサービスで活かせるように、当局の具体的な行動を強く要望しておきます。

 

 

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