2012年11月議会
山口清明議員の議案質議 国保料の算定方式変更で負担増が10万人(2012年11月28日)
算定方式の変更で国保料が増える世帯が10万7千世帯。非課税世帯に最大5万円の負担増でいいのか
負担増となる世帯はどれだけか
【山口議員】国民健康保険施行令の改正に伴い、国保料の算定方式が、住民税をもとにした方式から所得をもとにしたものに変更されます。これにより保険料負担は大きく増減します。この制度変更は国により強いられたもので、市民には責任がありません。安易な負担増の押し付けは問題です。
さて提案された条例改正案は、影響が大きい多人数世帯や障害者、寡婦(夫)のいる世帯の負担増を抑制するため、世帯構成などに応じた本市独自の所得控除を、当分の間、保険料の枠内で実施する、というものです。独自の所得控除を設けて、社会的な配慮を要する世帯の負担増を抑制する点はおおいに評価できます。その評価を前提にしつつ、二点うかがいます。
名古屋市独自の緩和策 ・住民税の配偶者控除・扶養控除(33万円)に替わるものとして、扶養家族1人につき33万円を控除。 ・障害者・寡婦(夫)の保険料が増加しないよう、障害者等に係る住民税非課税限度額(125万円)と基礎控除額(33万円)との差額の92万円を控除 |
第一に、独自の負担抑制を行っても、少なくない世帯で保険料があがります。まず、どれだけの世帯が、平均いくらの負担増になるのか。
10万7千世帯に平均33,000円の増、 全体の平均保険料は変わりない
【健康福祉局長】試算では、「旧ただし書き方式」では、本市の国民健康保険の加入36万世帯の3分の1、12万世帯の平均保険料が年間48,000円増加するが、本市独自の所得控除で、保険料の増加する世帯を10万7千世帯、平均保険料の増加額を33,000円に抑えることができる。一方、9万9千世帯の平均保険料が35,000円引き下げられる。保険料の総額が変わるものではないので、1人当たりの平均保険料は以前と変わりがない。
4人世帯(40歳夫婦と子2人の例) |
|||
給与収入 |
住民税方式 |
旧ただし書き方式 |
新算定方式 |
200万円 |
176,570円 |
269,160円 |
176,570円 |
271万円 |
176,570円 |
320,670円 |
227,120円 |
400万円 |
358,010円 |
473,030円 |
401,970円 |
500万円 |
474,550円 |
556,230円 |
504,210円 |
4人世帯(40歳の寡婦(夫)または障がい者と子2人) |
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給与収入 |
住民税方式 |
旧ただし書き方式 |
新算定方式 |
100万円 |
77,110円 |
79,190円 |
77,110円 |
221万円 |
120,530円 |
228,240円 |
120,530円 |
300万円 |
206,550円 |
331,590円 |
167,510円 |
新たに所得割が課される世帯はどれだけか
【山口議員】非課税世帯で国保料も均等割のみだった世帯が、新方式では、所得も変わらず非課税のままなのに、新たに所得割が賦課されるケースが生じます。このような世帯がどれだけあり、平均いくらの負担増になるのか。
1万4千世帯に所得割賦課
【健康福祉局長】「旧ただし書き方式」への変更で新たに所得割が課される世帯が、3万6千世帯になるが、本市独自の所得控除により、1万4千世帯へと大幅に減少させることができる。保険料の増加額も、平均で年間41,000円から20,000円に半減する。
最も負担増となる階層はどうか
【山口議員】もっとも負担増となるのはどんな所得階層の世帯で、いくらの負担増になるのか。モデルケースでかまいません、答えてください。
非課税世帯 標準4人世帯で年収271万円の場合、年間50,550円の負担増
【健康福祉局長】給与収入のある世帯主が配偶者と子2人を扶養している場合をモデルケースといたしますと、住民税の非課税限度額である年収271万円の収入がある場合に、保険料の増加額が最大となります。
この場合、「旧ただし書き方式」では、年間144,100円増加するが、本市独自の所得控除で、年間50,550円の増加に抑えることができ、増加額を65%削減できる。
「当分の間」とはいつまでか
【山口議員】独自の負担抑制措置を行う期間について、条例で言う「当分の間」とは、具体的にはいつまでのことなのか。期日を限定した措置かどうか、お答えください。
期限は限定していない
【健康福祉局長】現在、国では、国民健康保険の都道府県単位化に向けた動きがあるので、今後、国民健康保険制度の大規模な改正などにより、本市独自の所得控除を継続できなくなる状況なども想定する必要がある。そうなった際には、本市独自の所得控除について再検討を行う必要があるので、「当分の間」という暫定的な措置とした。
低所得世帯には、福祉的対応を(再質問)
【山口議員】答弁で、「当分の間」ということは、2年とか3年とかいう期限ではないということを明確にしていただきました。これは、評価できます。しかし、負担抑制策やっても10万世帯が負担増なんです。非課税世帯で年間5万円を超える負担増は容認できません。
そこで、河村市長に伺います。あなたは、減税の恩恵を受けない非課税世帯は、「福祉で対応する」とこれまで言ってきましたね。「庶民の味方」と言うのだったら、あなたの減税の恩恵を受けない世帯がこれだけ負担増になるんです。負担増となる低所得世帯には、保険料の枠を超えて、一般会計からも繰り入れて、福祉的な対応をとるべきではありませんか。
一般会計からの繰入れはしない(市長)
【市長】9万9千世帯、ほぼ10万世帯が、保険料が減少するというわけで、こういう総枠自体について、一般会計から繰り入れをやるということになったら、また別個の議論が必要となる。
国の政治どころか市の政治を担う資格もない
【山口議員】理解できません。国の制度変更の、“ つけ ”が押し付けられるんですよ。せめて、国にはっきりものを言って下さい。国にものも言えないし、市民には負担をそのまま押し付けるのだったら、あんたには国の政治だけではなくて、市の政治も担う資格はない。
このことを厳しく指摘をしておきたい。以上、あとは委員会で質疑を続けたいと思います。