2012年11月議会

わしの恵子議員の議案質疑 職員給与引き下げは民間への悪循環と地域経済の冷え込みに(2012年11月21日)

5年間で90万円もの給与ダウン・・・給与削減は民間も巻き込み、個人消費を冷え込ませる

名古屋の民間給与が他市よりなぜ低いのか
【わしの議員】日本共産党市議団が取り組んでいる市政アンケートには、これまでに4,800人余りの方から返信をいただきました。景気低迷が続くなか、「あなたのくらしは以前と比べてどうですか」の質問に対して、「苦しくなった」が65.4%、一方「よくなった」はわずか2.4%と、圧倒的多くの方が、生活が苦しくなっていると回答しています。

 市民は、「厳しい生活をなんとかしてほしい」と願っています。名古屋市には市民の命・暮らしを守る自治体としての役割が求められています。
 ところがこの間、名古屋市内の民間企業の給与が、いっそう厳しいものになっているとして、人事委員会は毎年のように、マイナス勧告を示し続けてきました。さらに今回も、市職員の給与をマイナス0.73%、2,819円を引き下げようとしています。マイナス0.73%の勧告率は、大阪に次いで2番目に高い勧告率です。名古屋市の民間月例給は393,477円、20政令指定都市中、15番目で下から6番目と極めて低い水準ですが、本市の職員は396,371円と民間よりまだ高いということで本市の職員給与を2,894円引き下げるのです。

給与改定案
・人事委員会勧告(月例給▲0.73%)に基づき、職員給与を引き下げ。
・給料表の給料月額を平均約0.6%引き下げ。ただし、医師等は据え置き。上級職の引下げ率を大きくし、すべての給料月額を引き下げ。
・管理職手当の引き下げ
  局長 月158,000円→月146,000円(▲12,000円)
  部長 月122,000円→月114,000円(▲8,000円)
  課長 月95,000円→月90,000円 (▲5,000円)
・12月1日から実施。管理職手当の引き下げは平成25年4月1日実施。
・平均給与月額は
   386,075円→383,256円(▲2,819円、▲0.73%)
・年間平均削減額 約4.4万円。
・平均年齢 41.4歳。平均勤続年 18.4年

 そこで人事委員会にお聞きしますが、なぜ全国の都市のなかでも、大都市名古屋と呼ばれる名古屋においてマイナス勧告率が高いのか、今回、大阪は、全国1のマイナスの勧告率ですが、それでも職員給与を民間に合わせ、414,509円にするというものです。大坂の不況は深刻だと言われていますが、名古屋市と比べると、月額21,000円も高い。一体、なぜ名古屋市の勧告率が他都市に比べてこんなにも低いのかお尋ねします。

市内の企業の状況が厳しかったと認識
【人事委員会委員長】人事院や他の人事委員会と共同で、公務に類似する業種のうち、企業規模50人以上で事業所規模50人以上の事業所から無作為抽出した事業所を対象とした民間給与実態調査を実施し、この調査で得られた市内の民間企業のデータと、市職員の給与との比較の結果です。
 全国統一基準の調査なので、この地域の民間企業の状況が厳しかったものと認識しています。
 各市の数値は年齢や役職構成に違いがあるので単純比較はできない。

平成20年度の年収からどれだけ減少するのか
【わしの議員】人事委員会の勧告により、職員の年収がどれだけ減少しているでしょうか。平成20年度は、マイナス0.61%、21年度・22年度は、マイナス2.99%・マイナス2.35%と2年連続際立って悪い勧告でした。23年度は改定なし、さらに今回はマイナス0.73%です。これによって平成20年度の年収から、今年度の勧告が実施されると、市の職員の平均年収はどれだけ減少しますか。

職員の給与改定による削減は6年で90万円
【局長】20年度行政職給与表適用者の平均年収は708万円、勧告で約618万円。約90万円と減収。

給与削減が民間や社会経済に影響をあたえる
【わしの議員】市職員の給与が、民間の給与より高いということで、毎年のように下げ続けられてきたことによって、民間保育園や児童福祉施設、社会福祉施設などで働く労働者に影響が及ぶばかりか、民間企業の給与も減らされるという負のスパイラル、悪循環になることはないのか、そして、ますます、経済を冷え込ませるということにつながるものではないかと考えますが、市は人事委員会勧告のあたえる影響をどのように考えているのか、総務局長にお尋ねします。

民間は経営や雇用を考慮し労使で決定
【局長】一般的に、民間企業は経営状況や社会経済状況あるいは雇用状況といった要素を総合的に考慮して労使話し合いの上で決定している。
 職員の給与は、地方公務員法上、情勢適応の原則により決定し、そのために人事委員会勧告制度がある。本市職員の給与も人事委員会の勧告を尊重し給与改定を実施しているので、市民の理解と納得を得られている。今後も、本市人事委員会の勧告を尊重し給与改定を行い、市職員給与制度が、引き続き市民の理解と納得が得られるものとなるよう努めたい。

士気の低下が危惧される(再質問)
【わしの議員】総務局長の答弁では、20年度から25年度までの5年間で、市の職員の年収は約90万円も減少している。大変なことです。13%もの減少です。改めて衝撃を覚えます。
 市の職員は、永年にわたって職員が削減され、それでも必死

で頑張って働いています。しかし、5年間で90万円もの給与削減は、さすがに、「住民に喜ばれる仕事がしたい」と働きがいをもって一所懸命仕事をしている職員でも、士気が低下していくのではないか危惧するものですがいかがですか。

人勧や民間の状況を周知し士気を維持したい
【局長】人事委員会勧告の意義や民間の厳しい状況を職員に周知し、職員の士気の維持に努めたい。

しっかりとした答弁がない(意見)
【わしの議員】職員の士気の低下については、しっかりとした答弁はいただけませんでした。引き続き委員会での審議に委ねて質問を終わります。