2012年11月議会
田口一登議員の議案外質問② 市の施設の屋根貸しで太陽光パネルの推進を(2012年11月28日)
「屋根貸し」で太陽光発電にもっと力を
環境局の施設における先行実施を
【田口議員】市施設の屋根などの貸し出しによる太陽光発電設備の設置、いわゆる「屋根貸し」について質問します。
先の9月定例会で、わが党のさはし議員の質問にたいして環境局長は、「研究したい」と答弁されましたが、もはや研究などと悠長なことを言っている段階ではありません。今年7月からスタートした新たな固定価格買取制度を活用し、公共施設への太陽光発電設備の設置を促進するため、「屋根貸し」を実施する自治体が広がっています。
その先駆けである神奈川県では、屋根の面積が1,000平方メートルで、耐震性も備えている20施設25棟を対象に事業者を公募したところ、約665世帯分の電力使用量に相当する約232万7千kwhの年間発電量が確保でき、神奈川県には年間496万円余の使用料が入ると見込まれています。
岐阜県では、県立高校の屋根を県内に事業所がある企業に貸し出す事業を始めています。県レベルにとどまらず、富山市、藤枝市、越前市など市レベルでも実施が始まっており、愛知県下では、刈谷市が、15の小学校を対象に事業者の募集を始めます。
政令市では、神戸市が、市の公有財産である「土地」と「建物の屋根」を活用した太陽光発電事業者の公募を始めており、1回目は市の処分場跡地、および貨物集配施設を対象にしています。
こうした「屋根貸し」は、自治体の費用負担を伴うことなく公共施設への太陽光発電の導入を促進できること、自治体には使用料収入が入ること、地元の施工業者などの参加による地域経済の活性化に寄与することなどのメリットがあります。本市でも、実現可能な施設から、「屋根貸し」を始めるときです。
そこで、環境局長にお尋ねします。まずは環境局が有する施設において、「屋根貸し」による太陽光発電設備の設置を始めたらどうですか。答弁を求めます。
民間事業者のプロポーザル方式で準備している
【環境局長】「屋根貸し」による太陽光発電設備の設置は、まずは環境事業所や焼却工場など環境局の24施設、約3万平方メートルについて、耐震性、耐荷重等の課題や貸し出し方法について検討してきた。その結果、民間事業者からのプロポーザル方式により進めることが有効と考え、選定基準や選定方法における仕様の作成などの準備を進めている。
業者選定後に、業者が中部電力や中部経済産業局と、売電のための協議に3か月ほど要することから、その間に売電単価が変更となる可能性が高いので、業者のリスクを回避するため、新たな価格が決まった時点で、公募を開始できるようにしたい。
学校の屋根の貸し出しを
【田口議員】今年度、総務局が実施している「民間提案」の中にも「屋根貸し」の提案がありました。それは、「事業者が区役所や小中学校などの屋根を借用して太陽光発電施設を自費で設置し、売電して投資を回収するとともに、災害時の電力供給や再生可能エネルギーの啓発を行う」という提案です。こうした「民間提案」については、実現可能性について検討を行い、今年度中に検討結果が公表されると聞いています。「屋根貸し」の提案では、具体的に小中学校の屋根があげられていますので、教育長にお尋ねします。
学校の屋根を、もちろん津波避難ビルに指定されている学校は対象外になるでしょうが、事業者に貸し出して太陽光発電設備の設置を進める提案について、どのように検討されておられるのか、お答えください。
実現可能性について検討しており今年度中に検討結果が公表される
【教育長】学校における太陽光発電設備は、これまで、新設・改築に併せて設置し、平成22年度は、国の緊急経済対策に対応し、屋上強度が確認できた一部の既設校に設置した。
校舎の屋上等を事業者に貸し出し、新たに太陽光発電設備を設置するという民間提案につきましては、屋上の強度についての検証、雨漏り等に対するリスクへの対応のほか、児童・生徒の安全確保、津波避難ビルとの関係など様々な課題があり、この民間提案の実現可能性について検討している。今後、全庁的な会議で検討され、今年度中に検討結果が公表される予定となっている。
市内の中小企業に受注機会が与えられるように(意見)
【田口議員】「屋根貸し」による太陽光発電設備の設置についてですが、環境局長からは、まずは環境事業所や焼却工場など環境局の施設を対象に、事業者を公募する準備を進めているとの答弁をいただきました。実施にあたっては、市内の中小企業に受注機会が与えられるようにしていただきたい。また、今後は、学校をはじめとする他の市施設にも対象を拡大するよう要望させていただきます。
キーワード:環境と防災、まちづくり、田口かずと